終了した試験研究課題(植物防疫分野)
イモゾウムシに関する研究
サツマイモ等の重要害虫であるイモゾウムシの根絶のための実用的な光トラップの開発及び防除モデルの策定
- 研究期間
平成23年度~平成25年度 - 研究概要
南西諸島ではサツマイモ等の重要害虫であるイモゾウムシやアリモドキゾウムシが発生しているため、サツマイモ等については南西諸島から本土に持ち出すことが植物防疫法に基づき規制されています。アリモドキゾウムシについては、種特異的な誘引物質を利用したトラップ(捕獲装置)と不妊虫放飼法を組み合わせた根絶方法が確立されていますが、イモゾウムシについては、有効な誘引物質がないため、効果的な根絶方法が確立されていない状況です。 そこで、イモゾウムシの誘引方法として有望と考えられている光(LED)を利用したトラップを開発するとともに、光トラップを活用した防除モデルを策定するための研究を実施しました。 - 研究成果の概要等(PDF:65KB)
- 研究成果報告書(PDF:1,475KB)
ジャガイモシロシストセンチュウに関する研究
ジャガイモシロシストセンチュウの効果的な防除法の開発
- 研究期間
平成28年度~平成30年度 - 研究概要
平成27年8月に、北海道網走市の一部地域において、わが国で初めてジャガイモシロシストセンチュウの発生が確認されました。本線虫は、世界的にばれいしょの生産に重大な被害をもたらす病害虫として知られています。特に、ばれいしょを基幹作物として輪作を行っている北海道における本線虫の発生は、ばれいしょ生産及び輪作体系の崩壊を招きかねない重大な問題であり、本線虫のまん延を防止するためには、直ちに本線虫の防除技術を開発し、発生地域におけるまん延防止を図る必要があります。 このため、本線虫発生地域の大規模ほ場での輪作体系に対し、線虫類の防除に有効な既往の各種技術を導入してその効果を検証するとともに、防除に掛かる経費のシミュレーション等を行い、それらを組み合わせた効果的な農家が受け入れられる防除体系マニュアルを作成するための研究を実施しました。 - 研究成果の概要等(PDF:66KB)
- 研究成果報告書(PDF:2,156KB)
ジャガイモシストセンチュウに関する研究
ジャガイモシストセンチュウの根絶を目指した防除技術の開発と防除モデルの策定
- 研究期間
平成24年度~平成26年度 - 研究概要
馬鈴しょ等ナス科作物の重要害虫であるジャガイモシストセンチュウは、環境耐性等があるため、既存の防除技術では発生密度の低下は図れるものの、根絶は困難な状況となっています。このため、発生地域の拡大防止及び根絶技術の開発が喫緊の課題となっています。 そこで、ジャガイモシストセンチュウの防除効果が高い技術を開発し、既存の防除技術と組み合わせて、根絶を目指した防除モデルを策定するための研究を実施するとともに、ジャガイモシストセンチュウを高感度に検出するための技術を開発し、根絶を確認するための手法を構築するための研究を実施しました。 - 研究成果の概要等(PDF:65KB)
- 研究成果報告書(PDF:1,479KB)
テンサイシストセンチュウに関する研究
テンサイシストセンチュウの防除対策の効果検証と調査手法の改良
- 研究期間
平成30年度 - 研究概要
平成29年9月に、長野県諏訪郡原村の一部地域において、わが国で初めてテンサイシストセンチュウが確認されました。本線虫は、植物防疫法における「検疫有害動植物」の一つで、あぶらな属(キャベツ、ブロッコリーなど)植物、ふだんそう属(てんさいなど)植物等の生産に大きな被害を与えるおそれがあり、現在、本線虫のまん延防止を図るため、発生ほ場における寄主植物の植栽自粛、土壌消毒の実施等の緊急防除を実施しており、同対策による効果を検証する必要があります。 このため、本線虫の緊急防除で実施している薬剤防除の効果を検証するとともに、従来法を上回る検出感度の密度調査技術等の開発、また、本線虫の寄主になりうる植物の解明等を行うための研究を実施しました。 - 研究成果の概要等(PDF:66KB)
クロバネキノコバエ科に関する研究
クロバネキノコバエ科の一種の総合的防除体系の確立と実証
- 研究期間
平成29年度~令和元年度 - 研究概要
埼玉県北部のねぎやにんじんの産地では、平成26年より、クロバネキノコバエ科の一種による甚大な被害が発生し、これらの作物の栽培が困難な事例も認められています。 仮に本種によるねぎ、にんじんへの被害が他の地域に拡大した場合は、農業生産収益を大きく減少させるおそれがあります。また、本種は国内未記録種である可能性が高く、生態や防除方法が不明であり、現在のところ、有効な防除方法が確立されていません。 このため、本種に対する総合的な防除体系を確立し、生産現場に普及することで、本種のまん延を防止するとともに生産現場における被害を最小に抑える必要があります。そこで、本種について、発生・分布状況を把握する手法及び各種防除技術の開発を行い、総合的な防除体系を確立するための研究を実施しました。特異度が高く、国内で診断薬の自給が可能な検査方法を確立するための研究を実施しました。 - 研究成果の概要等(PDF:67KB)
- 研究成果報告書(PDF:1,275KB)
ハクサイ土壌病害に関する研究
ハクサイ土壌病害虫の総合的病害虫管理(IPM)体系に向けた技術確立
- 研究期間
平成22年度~平成24年度 - 研究概要
土壌病害の発生には、病原菌だけではなく、センチュウの発生等その他の要因も影響しており、その予測が困難です。 このため、農業現場では予防的に農薬を施用することが多く、農薬に過度に依存しない総合的な土壌病害虫の防除方法(IPM)を確立するためには、その防除要否を判断する手法を確立する必要があります。 そこで、本研究では、ハクサイで大きな問題となっているハクサイ黄化病とその助長要因と思われるキタネグサレセンチュウを対象として、バーティシリウム菌(黄化病の発生における病原菌)とキタネグサレセンチュウの発生量の影響を分析するとともに、防除時期や要否判断のための指標を検証しました。 - 研究成果の概要等(PDF:61KB)
- 研究成果報告書(PDF:1,408KB)
ウイロイドに関する研究
我が国の重要な農作物に被害を与えるウイロイド病の侵入リスク管理措置の確立
- 研究期間
平成23年度~平成25年度 - 研究概要
我が国において未発生であったウイロイド病害のトマト退緑萎縮ウイロイド(TCDVd)が2006年広島県内において、また、ポテトスピンドルチューバーウイロイド(PSTVd)が2008年福島県内において確認されました。これらの新規ウイロイド病害は、我が国の重要な農作物であるナス科植物を中心として様々な植物に感染し、海外から輸入された農作物の種苗類を介して国内に侵入したと疑われています。 そこで、輸入農作物種苗を介した新規ウイロイド病害の侵入防止に資するよう、ウイロイド病害について、感染リスクが高い種苗リスト及び科学的に裏付けされた検疫措置を確立するための研究を実施しました。 - 研究成果の概要等(PDF:62KB)
- 研究成果報告書(PDF:1,477KB)
病害虫リスクアナリシス(PRA)に関する研究
国内未発生の植物病害虫が侵入した場合の経済的影響の予測・評価及び的確な管理措置の実施のために必要な要因の分析
- 研究期間
平成22年度~平成24年度 - 研究概要
近年、貿易拡大、気候変動などにより、未確認病害虫の侵入可能性が高まっています。万一侵入した場合に早急に検疫措置を講じられるよう、病害虫危険度評価の手法を高度化する必要があります。 このため、本研究では、その経済的影響の評価手法の開発、SPS協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)で認められている「適切な保護の水準」の設定根拠として、侵入の許容度やまん延した場合の要防除水準設定のための基礎理論を検討しました。 - 研究成果の概要等(PDF:64KB)
- 研究成果報告書(PDF:638KB)
新規国内侵入病害虫対策のためのリスクアナリシス実施手順の確立
- 研究期間
平成25年度~平成27年度 - 研究概要
農林水産省では、国内農業に被害をもたらすリスクの高い病害虫が我が国に発生した場合に迅速な対応を行うため、「重要病害虫発生時対応基本指針」を平成24年5月に策定しました。本指針では、病害虫の「潜在的まん延能力及びまん延の予想速度」や「まん延により予想される将来的な経済的損失」等について評価を行うことを定めるほか、特に国内農業に甚大な被害を与えることが明らかな重要病害虫について防除指針を策定することとしています。 そこで、新規侵入した重要病害虫に対して行うべき防除対策を迅速に決定するために必要なまん延速度や被害動態の予測手法、植物の移動規制や病害虫の緊急防除等の公的防除の費用対効果を分析する手法等を開発し、これら重要病害虫に対するPRA(病害虫リスクアナリシス)に求められる定量的な評価・分析の手順を確立するための研究を実施しました。 - 研究成果の概要等(PDF:64KB)
- 研究成果報告書(PDF : 1,087KB)
総合的病害虫・雑草管理(IPM)に関する研究
IPMを推進するために必要な経済的効果の指標及び評価手法確立
- 研究期間
平成27年度~平成29年度 - 研究概要
農林水産省は、平成17年、総合的病害虫・雑草管理(IPM)を推進するための基本的な考え方をまとめたIPM 実践指針を策定し、当該指針に基づいて、農業者によるIPMの取組を評価するための指標の作成を行う都道府県を支援しているところです。 このような中、平成23年からOECD(経済協力開発機構)において、IPMの経済的効果を測るための指標の必要性について議論されていたところです。また、国内においても、生産者にIPMの実践を促すには、防除効果だけでなく、既存の体系と比べたコストや、費やしたコストに見合ったメリットといった経済的な効果を示すことが求められています。 そのため、我が国におけるIPMの経済的効果を測る指標及び評価手法を確立するための研究を実施しました。 - 研究成果の概要等(PDF:70KB)
- 研究成果報告書
全体版(PDF : 2,836KB)、分割版1(PDF : 1,566KB)、分割版2(PDF : 1,961KB)
農薬散布に関する研究
シミュレーションモデルを活用した無人ヘリコプターのよりきめ細かい散布手法の検討
- 研究期間
平成26年度~平成27年度 - 研究概要
平成26年4月、航空機製造に係る総重量規制が100 kgから150 kgに緩和され、今後100 kgを超える無人ヘリコプターが生産現場で活用されることが見込まれています。 そこで、本研究では、よりきめ細かな散布の技術指針や空中散布実施者向けの安全対策マニュアル等に反映することによって、空中散布実施者への情報提供、指導に資するよう、空中散布の農薬の飛散シミュレーションモデルによる農薬飛散分布の推計値及びほ場試験の実測値を比較し、その結果を用いて適切な飛行条件を検証しました。 - 研究成果の概要等(PDF:64KB)
- 研究成果報告書(PDF : 861KB)
隔離栽培検査体系に関する研究
隔離栽培検査体系の見直しのための高度な病害虫検査技術の開発
- 研究期間
平成25年度~平成27年度 - 研究概要
我が国では、海外から輸入される栽培用の果樹の苗、穂木、花卉の球根などの種苗については、隔離されたほ場で一定期間栽培検査する「隔離検疫」を行っており、この検査には原則1年(又は1作期間)を要しています。我が国への病害虫の侵入リスクの低減を図りつつ、これら種苗の輸入を円滑にするために、迅速かつ効率的な検査手法の開発が望まれています。
このため、隔離栽培検査における迅速かつ効率的な検査が可能となるよう、分子生物学的な技術等を応用した新たな検査技術を開発するための研究を実施しました。 - 研究成果の概要等(PDF:67KB)
- 研究成果報告書(PDF : 909KB)
Tomato brown rugose fruit virusに関する研究
Tomato brown rugose fruit virusの多検体診断技術及び防除技術の開発
- 研究期間
令和2年度~令和4年度 - 研究概要
Tomato brown rugose fruit virus (ToBRFV)は、日本を含む多くの国 でナス科植物の生産に被害をもたらしている Tobacco mosaic virus (TMV) や Tomato mosaic virus (ToMV)と同じ Tobamovirus に含まれる新種のウイルスです。ToBRFVは、2014年にイスラエルで発見された以降、米国や中国等新規発生報告が相次いでいること、果実が奇形となるなどの経済的被害が報告されていること、ToMV 等の抵抗性品種に対する打破能を有することが報告されていることなどから、世界的に未発生地域・国への侵入が警戒されています。
このため、ToBRFVについて、RT-PCRや血清学的手法を用いた検出方法を開発し、ToBRFVの生物学的基礎情報(宿主範囲、種子伝染のメカニズム等)の収集、ToBRFVの感染拡大リスクを低減させるための防除方法(消毒薬剤の効果確認等)を見出しました。 - 研究成果の概要等(PDF : 364KB)
- 研究成果報告書
本文(PDF : 2,172KB)、別紙・別添(PDF : 504KB)、病徴写真集1(PDF : 2,366KB)、病徴写真集2(PDF : 2,372KB)、病徴写真集3(PDF : 2,375KB)、病徴写真集4(PDF : 2,317KB)、病徴写真集5(PDF : 1,662KB)、病徴写真集6(PDF : 1,638KB)
Xylellaに関する研究
Xylella fastidiosaの宿主範囲及び検定方法に関する研究
- 研究期間
令和元年度~令和3年度 - 研究概要
Xylella fastidiosaは多犯性の植物病原細菌であり、果樹や樹木に病害を引き起こします。本細菌は、一般的に、様々な植物に葉枯れ、枝枯れ等の症状を引きおこし、収量低下や枯死といった大きな被害を与えており、世界的に未発生地域への侵入が警戒されています。
わが国においては、これまでに本菌は侵入していないことから、植物防疫法により発生地域の輸出国に対して、輸出前の宿主植物の検定を要求しています。しかしながら、近年の各国の研究によって、本病菌には宿主範囲の異なる様々な亜種が存在していることや、新たな宿主植物が相次いで発見報告されていることから、国内への侵入の危険性は高まっているところです。
本研究では、宿主範囲を調査研究し、遺伝子情報に基づくXylella fastidiosaの迅速な検出・同定技術を開発し、国内産植物種についてデータベースを開発しました。 - 研究成果の概要等(PDF : 687KB)
- 研究成果報告書(PDF : 1,635KB)
臭化メチルに関する研究
臭化メチルの代替の消毒方法の確立及び安全性の確保(臭化メチルの安全性の向上に係る研究)
- 研究期間
令和2年度~令和3年度 - 研究概要
臭化メチルは、農薬取締法に基づき登録された農薬であるため、人体や環境への影響に関する最新の科学的データ(暴露評価に関する知見等)を整備し、使用上の安全性を確保することが求められます。そのため、現行の臭化メチルを用いた消毒措置の継続が必要な品目を対象に、科学的データに基づき人体等への安全性を担保しつつ、検疫上の安全性を確保した新たな消毒基準を策定する必要があります。
臭化メチルの暴露評価に関する科学的知見を得るために、簡易で迅速な臭化メチル及び臭素の分析法(必要な真度、精度及び感度を有する)、並びに、読み替え手法等を確立することが求められています。
本研究では、分析法の開発として、標準溶液の安定性の確認、分析法の検討、分析法の妥当性確認を行い、実態調査として、臭化メチルくん蒸による残留実態を把握し、読み替え手法等を構築しました。 - 研究成果の概要等(PDF : 241KB)
- 研究成果報告書(PDF : 1,005KB)
臭化メチルの代替の消毒方法の確立及び安全性の確保(新たな消毒方法の評価・選定に係る研究)
- 研究期間
令和2年度~令和3年度 - 研究概要
日本における輸入植物への消毒措置としては、主に臭化メチルくん蒸処理が行われていますが、臭化メチルはモントリオール議定書においてオゾン層破壊物質に指定されており、締約国は代替技術への切り替え等による使用削減が求められているところです。
輸入後、直ちに加工処理(加圧蒸煮、圧ペン処理)が行われる穀類(トウモロコシ、モロコシ、小麦、大麦)、豆類(大豆)について、薬剤を用いない消毒方法として加工処理工程を導入する場合、各工程の消毒効果(有効性)、消毒対象物への影響を評価する必要があります。
そこで、本研究では、食品用途の豆類及び飼料用途である穀類について、加工処理工程の中で穀類害虫を殺虫できる加熱工程を特定するとともに、特定した加熱条件よりも殺虫されにくい条件設定において穀類害虫が殺虫されることを確認しました。 - 研究成果の概要等(PDF : 192KB)
- 研究成果報告書(PDF : 626KB)
臭化メチルの飼料用植物への使用に関する安全性の確保
- 研究期間
令和4年度~令和5年度 - 研究概要
海外から輸入された植物から検疫上有害な害虫等が発見された場合は、その植物に対して消毒又は廃棄の措置が講じられています。臭化メチルは、輸入植物検疫規程別表第3消毒方法の基準に基づき、様々な害虫や植物に対して使用が認められているところです。臭化メチルでくん蒸した飼料用植物を介した畜産物の安全性を確保するために、輸入時のサイロ及び倉庫で行われる消毒について残留しにくい消毒方法を確立するほか、飼料の製造工程における臭化メチル残留量の減衰に係る科学的データを整備する必要があります。
そこで本研究では、くん蒸終了後の排気流量の増大及び排気時間の延長により、飼料中の臭化メチルの残留量を低減できることを明らかにするとともに、飼料製造プロセスにおいて、加工工程(粉砕、圧ペン及び圧搾)を経ることで残留濃度が大きく低減することを明らかにしました。 - 研究成果の概要等(PDF : 562KB)
- 研究成果報告書
本文(PDF : 384KB)、別紙1(PDF : 562KB)、別紙2-1(PDF : 1,860KB)、別紙2-2(PDF : 2,363KB)、別紙3-1(PDF : 1,963KB)、別紙3-2(PDF : 2,169KB)、別紙3-3(PDF : 2,468KB)、別紙3-4(PDF : 2,345KB)、別紙3-5(PDF : 2,380KB)、別紙3-6(PDF : 2,218KB)、別紙3-7(PDF : 2,471KB)、別紙3-8(PDF : 2,489KB)、別添(PDF : 152KB)
お問合せ先
消費・安全局食品安全政策課食品安全科学室
代表:03-3502-8111(内線4451)
ダイヤルイン:03-3502-5722