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農林水産省

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「第1回 クロバネキノコバエ科の一種の対策検討会議」議事概要

開催日及び場所

日時:平成28年8月22日(月曜日)
会場:農林水産省南別館4階消費・安全局第1会議室
所在地:東京都 千代田区 霞が関 1-2-1

議事概要

農林水産省消費・安全局は、標記検討会において、クロバネキノコバエ科の一種に関する情報を有識者等に説明し、防除対策について意見を聴取した。その結果は以下のとおり。


1 発生状況等の調査結果について

(1)本虫の発生状況の調査結果について植物防疫所より以下のとおり報告があった。

  (ア)ネギ栽培ほ場調査(平成28年3月実施)

    埼玉県北部において、本虫の多発生ほ場3カ所を調査し、全てのほ場のネギで外葉の萎れ、株の生育不良などの被害が確認された。

  (イ)ニンジン栽培ほ場調査(平成28年5月実施)

    (ア)の調査で被害が認められたネギほ場に隣接するニンジンほ場で調査を実施した結果、本虫の食害が確認された。

  (ウ)隣接都県における聞き取り調査(平成28年7月実施)

隣接都県(茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、東京都、山梨県、長野県)において、本虫の発生が疑われる事例の有無を聞き取りにより調査した結果、全ての都県から本虫の発生が疑われる事例はないとの報告があった。

(2)埼玉県が、今夏に発生状況を調査したところ、今までに発生が確認された地域の一部においては、夏季においても、気温が低い早朝に本種と疑われる虫体が活動していることが確認された。

2 緊急研究課題の計画・進捗等について

緊急研究課題「クロバネキノコバエ科の一種の生態の解明及び防除手法の開発(平成28年度農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業)」の研究統括者より、本虫についての生態特性の解明、識別法の開発、防除技術の開発を進めた上で、防除マニュアルの作成を行う研究計画が示されるとともに、成果については平成29年3月までに取りまとめられることが報告された。
   
3 重要病害虫リスク分析の結果報告

植物防疫所より、現時点までに得られている情報を元に行った重要病害虫リスク分析の結果について以下のとおり報告があった。

  (ア)緊急研究課題の結果や農薬登録の拡大といった新たな成果が得られるまでの当面の間、同属他種の情報を参考とすれば、植物残渣の除去、水はけの改善、土壌消毒の実施、土壌を介したまん延の防止といった管理措置が考えられる。

  (イ)一方で、生産地において、出荷時に十分な選別を行うことにより、本虫を農産物から除去する対応をとれば、現時点では移動規制等は不要と考えられる。

  (ウ)本虫については、現時点で防除方法が確立されていないため、緊急研究課題の結果や農薬登録の拡大をもとに、防除措置の見直しについて検討する必要がある。


4 防除措置の検討

上記1~3の報告を踏まえ検討いただいた結果、以下の防除措置を講じることが妥当とされた。

(1)発生範囲の特定のための調査

本虫の発生範囲を特定するため、今までに発生が確認されている埼玉県北部において、平成27年度秋冬ネギで被害が確認された範囲から150m外側の区域のほ場において、発生範囲特定のための調査を実施することとされた。また、隣接都県を含む発生確認地域以外についても、秋冬ネギ及び春ニンジンの産地において収穫時期に本虫の食害の有無について収穫物を調査することとされた。

(2)当面の防除方針
農林水産省及び埼玉県は、本虫の発生が確認されている地域の生産者に対し、別紙の当面の防除方針に基づく防除指導を行うこととされた。また、緊急研究や農薬登録の拡大といった新たな成果を踏まえて速やかに防除対策を見直すこととされた。

5 農薬登録試験の計画・進捗等について

現時点では本虫に対して効果を有する農薬の登録がないことから、来年春に向けて農薬登録の拡大について手続を進めることとされた。埼玉県から、農薬登録試験の計画が示されるとともに、試験に必要な供試虫の準備を進めている旨報告があった。

(別紙)
       
当面の防除方針

 
農林水産省及び本虫の発生が確認された県は、本虫の発生が確認されている範囲の生産者に対し、以下の項目について病害虫発生情報等を用いて当面の間における防除指導を行う。
併せて本虫の発生が確認された県は、本虫に効果のある農薬の登録に向けた試験を実施するとともに、生産者に対して定期的に本虫に関する発生情報(場所・被害植物・被害状況)及び防除知見について営農に関する広報誌等を用いて情報提供を行い、被害軽減に努める。
また、来年度以降、農薬登録・生態研究の進捗があった場合に防除方針の見直しを行う。

1 植物残渣の処分

幼虫の被害が確認された又は生育不良等で抜き取ったネギ及びニンジンの植物残渣については当面、ほ場内外に放置すると次世代の発生源となる可能性があることから、分散防止に努めながらほ場外で焼却等により適切に処分する、又はほ場内にすき込んだときは石灰窒素による植物残渣の腐熟促進等の処理を徹底する。は種、定植、土寄せ(追肥)等の栽培管理の中で、幼虫の付着が確認されたものについても同様の処理を行う。
また、ネギ及びニンジン以外のほ場についても、ほ場衛生の確保に努める。

2 出荷調製段階の確認の徹底

出荷物に本虫が付着したまま流通したり、出荷先で本虫が発生することのないよう当面、出荷調製段階で本虫の付着や食害痕などをよく確認する。
その際、本虫の発生が確認されたほ場からの収穫物については、特に注意する。
また、出荷調製段階の残渣についても、放置せず適切に処分する。
以上の取組が適切に実施されているか県が植物防疫所と連携して巡回指導を実施する。

3 水はけの改善

これまでの調査で、水はけの悪い場所で本虫の発生が多い事例があるため、明渠の設置など水はけの改善に努める。 

4 土壌消毒の実施

本虫の発生が多い土壌については、可能であれば土壌消毒を実施する。

5 発生ほ場での栽培作物

本虫の発生ほ場では、可能な限りネギ及びニンジン以外の作物を栽培する。



(以上)

「第1回クロバネキノコバエ科の一種の対策検討会議」議事概要(PDF : 110KB)

お問合せ先

消費・安全局植物防疫課

担当者:国内検疫班 坂田、田中、住田
代表:03-3502-8111(内線4564)
ダイヤルイン:03-6744-9644

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