更新日:平成28年5月31日
担当:消費・安全局植物防疫課
「第3回 ミカンコミバエ種群の防除対策検討会議」議事概要
開催日及び場所
日時:平成28年5月31日(火曜日)14時00分~16時00分
会場:農林水産省 4階 第2特別会議室(ドアNo. 467)
所在地:東京都千代田区霞が関1-2-1
議事概要
農林水産省消費・安全局は、本日、標記検討会において、鹿児島県奄美大島で緊急防除を実施しているミカンコミバエ種群の誘殺状況及び防除実績を委員に説明し、緊急防除の解除方針等について意見を聴取した。その結果は以下のとおりであり、本虫の緊急防除の解除に当たっては、本方針に沿って判断することが適当とされた。 |
農林水産省消費・安全局は、本日、標記検討会において、鹿児島県奄美大島等で確認されているミカンコミバエ種群について
- 誘殺状況及び防除実績
- 緊急防除の解除に向けた根絶確認の方法
- 今後の防除対策の実施方針
について有識者に説明し、意見を聴取した。その結果は以下のとおりであり、今後、本虫に係る防除対策及び根絶確認については、この方針に沿って実施することが適当とされた。
1.ミカンコミバエ種群の発生状況等について
誘殺状況及び防除実績の報告を踏まえ、有識者からは以下の見解が示された。
(1)奄美大島、徳之島、屋久島の3島において、気温が上昇する春先に、新たに羽化する成虫の発生等が懸念されたが、前回の検討会議(1月19日)以降、誘殺は確認されていない。
(2)寄生果については、3月22日に奄美大島においてバンジロウ1果が確認されて以降は確認されていない。
(3)これらは、テックス板(誘引・殺虫効果のある防除資材)の設置・散布や寄主果実の除去などのこれまでの防除効果によるものであり、こうした状況を踏まえると、本虫が存在している可能性は否定できないものの、発生はほぼ終息しているものと推測される。従って、これまで実施されてきた防除対策は、概ね妥当と判断される。
2.奄美大島における緊急防除の解除について
奄美大島における緊急防除の解除に向けた根絶確認の具体的な方法について、有識者からは、以下の方針に沿って実施することが妥当であるとの見解が示された。
(1)根絶の確認について
奄美大島では、これまでの検討会議での検討を踏まえ、満遍なく発生が警戒できるようトラップを再配置するとともに、定期的な寄主果実調査を実施する等、早期に発見できる体制を整備してきた。今後、最後の誘殺から3世代相当期間トラップによる誘殺がなければ、有識者の意見を踏まえ根絶を確認し、緊急防除を解除する。その際、寄主果実調査については、根絶を判断するための参考データとする。なお、同島で最後に本虫の誘殺が確認された12月21日から3世代相当期間が経過するのは7月9日となる。
(2)誘殺が確認された場合の対応
南西諸島においては、今までも夏季を中心に台湾等からの飛来と考えられるミカンコミバエ種群の誘殺(飛び込み)が確認されている。誘殺が確認された場合、飛び込みによるものなのか、当該地域において発生したものなのか判断する必要がある。このため、
A 誘殺確認から1世代相当期間、確認地点から半径5kmの範囲内において、新たに誘殺が確認されなければ、当該誘殺は飛び込みによる誘殺と判断し、緊急防除の解除の判断には反映しない
B 誘殺、寄生果実の状況、沖縄等への飛来の状況、流跡線解析等を総合的に検討し飛び込みによる誘殺と判断できない場合には、誘殺が確認された地点から半径5km以内を含む市町村における緊急防除の解除を見送り、新たに3世代相当期間誘殺がないことを確認する
こととする。
3.今後の防除対策の実施方針について
今後は、根絶が確認され緊急防除が解除されるまでは、現在実施している防除対策を継続する。ただし、徳之島においては誘殺が発生初期に集中していること等を踏まえ、第5回目の航空防除は実施しない。
緊急防除が解除された後は、A トラップの増設及び再配置等の侵入警戒体制の強化、B テックス板の備蓄や即時供給体制の構築等の迅速な防除体制の整備を中心にさらに検討を進める。
なお、前回の検討会で鹿児島県から提案された予防防除の実施については、本対策が実施される中では必要性は低いものの、当面の対策として実施するかについては次回検討する。
また、県及び各市町村は、平時より、地元住民と連携し、本虫の繁殖源となり得る寄主植物を把握し、不要な果実の除去に努めることが重要である。このため、寄主植物の植栽場所を視覚的にわかりやすく整理した上で住民への提供に努める。
4.次回の検討会について
次回の検討会では誘殺状況等を踏まえて根絶の確認を行う。また、今後の防除対策については、次回の検討会議において、対策の進捗状況を踏まえてさらに検討する。
5.その他
有識者からは、
A 寄主果実調査について、集果の数、場所等についても報告すること
B 誘殺状況や寄生果の確認状況についてマッピングによるホットスポットの特定や、寄生果の周辺の状況等の分析を行うこと
C 飛来のリスクを分析するための流跡線解析、海外の発生状況の情報収集等を行うこと
等の指摘があった。
また、地球温暖化によりミカンコミバエ種群等が北上している可能性があるとの指摘がなされている。今後は、そのような可能性も留意し、戦略的な対応を進める必要がある。
(以上)
お問合せ先
消費・安全局植物防疫課
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