農業における労働環境改善のための要因分析
分析の目的
本分析は、令和5年度「農業労働環境の改善に関する意識・意向調査」(以下、「意識・意向調査」とする。)を起点として、労働環境の改善に向けた課題や取組に関する考え方等を分析し、労働環境整備に向けた施策検討を行うための知見を得ることを目的としています。
使用データ及び分析方法
1.使用データ
2.分析方法
- クロス集計
分析結果の概要
1.被雇用者の労働環境に対する満足度分析(販売金額別)
(1)販売金額別
満足度の分析にあたり、被雇用者が各項目に対する「非常に満足である」及び「やや満足である」の回答の合計割合で評価しました。
被雇用者の農繁期の1日の労働時間の長さ、農繁期の1日の休憩時間の長さ、農繁期の1か月あたりの休日数、1年間の働き方等の満足度を経営体の販売金額別に比較したところ、それぞれ販売金額が上がるにつれて満足度も上がる傾向がみられました。
※傾向を見る上で、回答数50人未満の区間(灰色部分)は評価から除外。
(2)営農類型別
被雇用者の農繁期の1日の労働時間の長さ、農繁期の1日の休憩時間の長さ、農繁期の1か月あたりの休日数、1年間の働き方等の満足度を営農類型別に比較しました。
水田作、酪農では、全設問において全体と比較して満足度が低く、特に水田作では1日の実労働時間の長さに対する満足度が、酪農では1日の実労働時間及び休憩時間の長さに対する満足度が低い結果でした。
養豚・養鶏等では、ほとんどの設問で全体と比較して満足度が高く、特に1日の実労働時間の長さに対する満足度が高い結果でした。
また、1年間の働き方については全営農類型で6割を超える結果でした。
2.経営体の労働環境改善に関する特徴把握(販売金額別)
経営体が労働環境を改善する必要と考える割合を販売金額別に比較したところ、販売金額が上がるにつれて改善する必要があると回答する割合も上がる傾向がみられました。また、改善が必要だと思う点については、「賃金の上昇」、「休日の増加」は販売金額が上がるにつれて必要と思う割合も上がる傾向がみられた一方、「農業機械等の導入による作業負荷軽減」、「農業技術の習得の支援」は、販売金額が上がるにつれて必要と思う割合は下がる傾向がみられました。
※1 傾向を見る上で、回答数50人未満の区間(灰色部分)は評価から除外。
※2 データは、農業経営体の労働環境で改善が必要だと思う点の1位~5位を点数化(1位は5点、2位は4点、3位は3点、4位は2点、5位は1点)し、合計値を回答者数で割ったポイントを使用。
3.労働環境の状況と被雇用者の満足度の特徴把握(営農類型別)
労働環境や労働時間等の状況及びそれに対する被雇用者の満足度を営農類型別に比較したところ、農繁期の1日の実労働時間の長さについては、農業経営体全体で8時間を超えると満足度が下がり、酪農は他と比較して8時間を超える経営体の割合が高い結果でした。
農繁期の休憩時間及び休日数については、農業経営体全体で1日の休憩時間が60分以上、1ヵ月あたりの休日数が8日以上だと満足度が高く、養豚・養鶏等は他と比較して1日の休憩時間が60分以上、1ヵ月あたりの休日数が8日以上の経営体の割合が高い結果でした。
農繁期については、農業経営体全体で農繁期が短い方が満足度が高い傾向であり、養豚・養鶏等は他と比較して農繁期なしの経営体の割合が高い結果でした。
分析結果資料詳細版(PDF : 896KB)
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