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農林水産省

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農地整備事業に係る効果分析

分析の目的

  農地整備事業は、農地の大区画化や汎用化、農業水利施設の長寿命化やパイプライン化・ICT化等の整備を行い、担い手への農地集積・集約化や農業の高付加価値化、高収益作物の導入、水利用の効率化・水管理の省力化等を推進することを目的に農林水産省が実施している事業です。
  本分析は、農地整備事業のうち区画整理を行う事業(以下「本事業」といいます。)について農業集落単位の農地や農業従事者に及ぼす因果効果を推定すること、また、農村振興局による今後の本事業の運営及び継続的な効果分析に向けて、推定された事業効果からの示唆の取りまとめ及び効果分析を実施する上での課題の特定を行うことを目的に実施しました。

使用データ及び分析方法

1.使用データ

  • フォローアップ調査データ:2009年から2021年までに事業が完了した県営事業の実施の有無を把握したデータ(農村振興局より提供)
  • GISデータ:1926年から2042年までに事業が完了又は完了予定の国営事業地区及び1990年から2015年に事業が完了又は完了予定の県営事業地区に係る情報と農業集落単位の情報との紐づけが行われたデータ
  • 地域の農業を見て・知って・活かすDBに掲載している農業集落単位に編成された2005年から2020年まで4期間の農林業センサス、国勢調査、地域指標及び経済センサスのデータ

2.分析方法

  • 傾向スコアマッチング及びイベントスタディ型の差の差分析

分析結果の概要

1.本事業を実施した農業集落全体での効果
  2006年から2020年までに本事業が完了した地域が含まれる農業集落(介入群)におけるアウトカム変数の変化の大きさと、それ以外の農業集落(統制群)におけるアウトカム変数の変化の大きさを本事業による介入からの経過年数に応じて比較しました。なお、比較を行う農業集落については、集落環境の相違による事業効果へのバイアスを可能な限り軽減するため、傾向スコアマッチングという手法を用い、比較する農業集落を抽出しました。
  その結果、「耕作放棄地割合」について10%水準で有意な減少効果がみられました。また、「農産物販売金額」及び「5ha以上規模の経営体割合」については、有意な増加効果がみられました。


耕作放棄地割合

農産物販売金額規模(万円/農業経営体)

5ha以上規模の経営体割合

*:介入前後の年数は、本事業の完了年からの経過年数を表しているもので、介入からの経過年ごとの事業効果は、介入から経過年時点のアウトカムと、仮に介入を受けなかった(本事業が行われなかった)場合における同時点でのアウトカムとの差を推定したものです。

2.農業地域類型別での効果
  分析対象となる農業集落に追加的な条件を設定した上で、同様の比較を行いました。
  農業地域類型1次分類(都市的地域、平地農業地域、中間農業地域、山間農業地域)別の農業集落に対する効果分析では、土地利用型畑作物の作付割合について、平地農業地域で有意な増加効果がみられました。また、耕作放棄地の割合については、山間農業地域で有意な減少効果がみられました。

平地 土地利用型畑作物の作付割合  山間地 耕作放棄地割合

3.前歴事業の有無別での効果
  本分析の対象年である2006年以前に実施されていた本事業と類似した事業(前歴事業)の有無別による分析では、耕作放棄地の割合について、前歴事業のない農業集落で有意な減少効果がみられました。また、5ha以上規模の経営体割合については、前歴事業のない農業集落で有意な増加効果がみられました。

耕作放棄地割合  5ha以上規模の経営体割合

*介入群:2006年以前に事業は行われていない農業集落のうち、2006年以降に1度だけ本事業が行われた農業集落
   統制群:全期間通じて一度も事業が実施されていない農業集落

4.高齢者割合の高低での効果
  2005年時点の農業集落人口のうち高齢者(65歳以上)の割合が50%以上/未満の別による分析では、耕作放棄地の割合について、高齢者の割合が50%未満の農業集落で有意な減少効果がみられました。

耕作放棄地割合


分析結果資料詳細版(PDF:2,437KB)

お問合せ先

大臣官房統計部統計企画管理官

担当者:統計データ分析支援チーム
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