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農林水産省

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多面的機能交付金の効果分析

分析の目的

多面的機能支払交付金(以下、「本交付金」という。)は、農用地、水路、農道等を適切に保全管理するための地域の共同活動に係る支援を行い、農業・農村の有する多面的機能が今後とも適切に維持・発揮されるようにするとともに、担い手農家への農地集積という構造改革を後押しするものです。
本分析では、本交付金の実施状況のデータ、特に市町村単位の多面的機能支払のカバー率※(以下、「カバー率」という。)と、農林業センサスのデータをもとに、交付金の取組状況及び活用地域における効果発現状況を把握し、可視化することで、本交付金による地域への効果を評価し、本交付金の未実施地域への活用促進に資することを目的としています。

 ※カバー率:農用地面積に対する認定農用地面積の比率
 ※農用地面積:「令和3年の農用地区域内の農地面積」に農用地区域内の採草放牧地面積」(農村振興局調べ)を加えた面積
 ※認定農用地:対象組織が事業計画に位置付けて活動を実施する農用地の面積「令和5年農業構造動態調査」より

使用データ及び分析方法

  1. 使用データ
     ・農林業センサス(2005~2020年)
     ・多面的機能支払交付金の実施状況(平成29年度~令和3年度)
     ・地域の農業を見て・知って・活かすDB(農林業センサス、多面的機能支払交付金、人・農地プラン、国土数値情報、地域指標)

  2. 分析方法
     ・Tableauによるクロス集計・可視化
     ・地図ソフト(QGIS)による可視化

分析結果の概要

1. 市町村カバー率区分ごとの地域分布
 ・多面的機能支払交付金(農地維持)の市町村ごとのカバー率(※)を25%ごとに区分(取組なし、25%未満、25-50%、50-75%、75%以上)した。
 ・北海道、東北の日本海側、北陸などでカバー率が高い区分(50%以上)が多く、取組なしの地域は東京・大阪など大都市周辺に多い。

 ※カバー率は、2020年度(令和2年度)の多面的機能支払交付金の実施状況に基づき、市町村ごとに農用地面積(「令和元年の農用地区域内の農地面積」に「農用地区域内の採草放牧地面積」(農村振興局調べ)を加えた面積)に対する認定農用地面積(農地維持支払)の比率により区分した。なお、「取組なし」は維持カバー率が0%または農用地面積が存在しない市町村。

市町村カバー率区分ごとの地域分布


2. 市町村カバー率と各種データの関連性分析
カバー率区分(取組なし、25%未満、25-50%、50-75%、75%以上)ごとに、各種データとの比較分析を行った。

(1)経営耕地面積の増減率(2005-2020年)
 ・カバー率区分ごとに農林業センサスにおける経営耕地面積の増減率(2005-2020年)を比較した。
 ・全体としては、北海道・都府県とも経営耕地面積は減少傾向であるが、北海道の95.9%に対し、都府県は84.1%となっている。
 ・カバー率区分ごとに見ると、都府県はカバー率が高い区分になるにつれ段階的に経営耕地面積の減少幅が小さくなる傾向がみられ、カバー率75%以上では9割以上の経営耕地面積が維持されている。

市町村カバー率と各種データの関連性分析


(2)寄り合い(集会、常会、会合など)の開催回数(2020年)
 ・カバー率区分ごとに、集落内の寄り合い(集会、常会、会合など)の開催回数を比較した。
 ・全体としては、2カ月に1-2回以上(2カ月に1-2回、月に1-2回、月に2回以上)寄り合いを開催している集落の割合が北海道では50%未満、都府県では50%以上となっており、都府県の方が比較的寄り合いを多く開催している傾向がみられる。
 ・カバー率区分ごとに見ると、北海道・都府県ともにカバー率が75%以上の区分で寄り合いの開催回数が多く、特に都府県ではカバー率が高い区分になるにつれ、段階的に開催回数が増加する傾向がみられる。

寄り合い(集会、常会、会合など)の開催回数(2020年)


(3)経営耕地面積の集積率(2020年)
 ・都府県において、カバー率区分と経営耕地面積の集積率(田畑計:5ha以上)(※)を比較した。
 ・全体としては、平地農業地域では57.9%の集積率となっているが、都市的地域及び中山間農業地域では50%未満となっている。
 ・カバー率区分ごとに見ると、いずれの農業地域でも、カバー率50%以上(50-75%、75%以上)では、総計を上回るか同程度の集積率となっており、カバー率が高い区分になるにつれ、段階的に集積率が高くなる傾向がみられる。

 ※総経営耕地面積(田畑計)に対する「経営耕地面積(田畑計)が5ha以上の農業経営体」の経営耕地面積(田畑計)の割合

経営耕地面積の集積率(2020年)


(4)人・農地プランへの取組
 ・人・農地プランが実質化されている集落数(※1)を比較した。
 ・全体としては、北海道については78.5% (※2)の集落、都府県では50.2%(※2)の集落で人・農地プランが実質化されている。
 ・カバー率区分ごとに見ると、都府県ではカバー率が高くなると段階的に人・農地プランが実質化されている集落の割合が高くなる傾向が見られる。

 ※1 既に実質化されていると判断されたまたは実質化の取組が終了した地域の人・農地プランの対象地区が包含する農業集落数。実質化の取組が終了等したプランであっても対象地区が包含する農業集落を特定できなかったプランは含まれていない。
 ※2 集落ごとに取組の有無により分類し、総集落数(※3)に対する割合を算出したものであり、人・農地プラン内の農地面積カバー率を示したものではない。

人・農地プランへの取組


3. 地域の農業を見て・知って・活かすDBを用いた小地域分析
農業集落単位で多面的機能支払交付金の認定農用地面積と人・農地プランの取組状況を可視化(※)した。

 ※地図は、任意の市町村を利用して都道府県別の地図作成イメージとして作成

地域の農業を見て・知って・活かすDBを用いた小地域分析

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