林業組織経営体経営調査の概要
調査の目的
林業組織経営体経営調査(以下「調査」という。)は、会社組織の林業サービス事業体等(以下「林業事業体」という。)の経営実態を把握し、林業事業体の育成、林業労働者の就業改善等の林業施策に必要な資料を作成することを目的とする。
調査の沿革
本調査は、林業事業体における経営状況を把握し、各種林業施策推進の基礎資料を提供することを目的として、平成8年に開始し、毎年実施した(平成7年については遡及して調査)。
しかしながら、本調査の目的の一つであった「(林業労働力の)雇用改善に係る指導資料」が都道府県において作成されることになったことから、調査の効率化・調査対象経営体の負担を軽減するため、平成16年調査をもって廃止した。
調査の根拠法令
統計報告調整法(昭和27年法律第148号)第4条第1項に基づく承認統計調査として実施した。
調査の対象
調査の対象は全国の林業事業体とした。
本調査における「林業事業体」とは、次の1から3のいずれかに該当する会社組織の事業体とし、会社の支社、出張所、支店等についてもそれぞれ1つの事業体とした。
1. 育林サービス(林家等から育林作業(植林・下刈り等)を請負う事業)
2. 素材生産(林家から立木を購入し伐採後、販売する事業)
3. 素材生産サービス(林家等からの請負により伐採・運材を行う事業)
抽出方法
調査客体(標本)の選定は、母集団を経営形態別都道府県別の階層に区分し、階層別に標本数を定めて全体で290の調査客体を選定した。経営形態別区分は、「育林・素材生産会社」と「素材生産会社」の2つの区分とし、「育林・素材生産会社」は、育林サービスのみを行う会社や、育林サービスに加え素材生産、素材生産サービスを行う会社、「素材生産会社」は、育林サービスを行わず素材生産と素材生産サービスの一方もしくは両方を行う会社とした。選定は、2000年世界農林業センサス(以下「センサス」という。)結果による林業サービス事業体のうち、会社組織の事業体(2,074事業体)から以下の手順で行った。
1. センサス結果による2,074事業体を経営形態別に「育林・素材生産会社(1,248)」と「素材生産会社(826)」に区分し、それぞれの事業体数に比例して総標本数を経営形態別に配分した。
2. 経営形態別に配分した標本数を都道府県別の経営形態別事業体数に比例して都道府県別にそれぞれ配分した。
なお、標本の配分に当たっては、標本が配分される都道府県の最低標本数を合わせて5事業体とすることを原則とした。
3. 階層別にセンサス結果において調査対象に該当した会社組織の事業体を請負料金収入区分の小さい方から順に配列した名簿を作成し、系統抽出法により調査客体を選定した。
調査事項
従業員の状況、林業用機械の使用状況(自家山林で使用した場合を除く。)、請負面積及び素材生産量の状況、財産及び損益の状況を調査した。
調査の時期
本調査は、調査年4月1日から翌年3月31日までの間に決算が到来した調査客体の決算日前1年間を調査対象期間とした。
調査の方法
農林水産省-地方統計組織の系統で、職員による面接聞き取り又は調査対象が記入した調査票を職員が回収する方法により実施した。
集計・推計方法
1. 集計対象
調査対象期間中に当該事業を休廃業した客体及び調査拒否等により調査を中止した客体以外の調査客体を集計対象客体とした。
2. 推定式
経営形態別、従業員規模別及び広域流域別は単純平均により算出した。経営形態別を統合した全国1林業事業体当たりの平均値は、センサス結果の階層別事業体数を用いて、次のように算出した。
用語の解説
1. 従業員の状況
(1) 男女別従業員数及び社会保険等加入者数
調査客体である会社に勤務する従業員(職員及び作業員)の雇用・就業の状況について計上した。
なお、役員(事業主を除く。)であっても一定の事務又は作業に従事した者は、従業員に含めて計上した。
また、事務系従業員とは主として事務に従事した者をいい、現場系従業員とは主として育林、素材生産等の現場作業に従事した者をいう。
ア. 男女別従業員数
男女別の従業員数と、そのうち通年雇用(1年を通して雇用される者)されている従業員数を計上した。
また、従業員のうち、育林・素材生産に従事している従業員を男女別に計上した。
イ. 社会保険等加入状況
従業員の社会保険等への加入人数を計上した。
なお、社会保険等の区分及び内容は、次のとおりである。
(ア) 労災保険
労働者の業務災害による死傷病に対する保険制度をいう。
(イ) 雇用保険
失業給付(労働者が失業した場合にその生活の一定期間を補償する給付)などの保険制度をいう。
(ウ) 健康保険
疾病、障害などが発生したとき、その治療や休業による所得の中断、減少を補償する社会保険(職域保険)をいう。
(エ) 厚生年金
事業所で働く人に適用される年金制度のことで、老齢給付、障害給付、遺族給付をいう。
(オ) 退職金共済
林業退職金共済制度をいう。
(2) 年齢別従業員数(現場系従業員男女計)
現場系従業員について、会社の決算期間の期首時点における満年齢により、29歳以下、30~39、40~49、50~59、60歳以上の年齢階層に区分し、計とそのうちの通年雇用について計上した。
また、現場系従業員のうち、育林・素材生産に従事した従業員の年齢階層別従事者数を計上した。
2. 業種別就業日数
決算期間の一年間における業種別(育林、素材生産、木材・木製品製造、その他)の就業延べ日数を計上した。
ただし、素材生産から製材までの一貫経営を行っている場合は、伐採から搬出までの就業日数を素材生産就業日数に、製材等の加工の就業日数は木材・木製品製造就業日数にそれぞれ計上した。
3. 林業用機械の使用状況
林業事業体が請負で使用した林業用機械の台数と使用日数(8時間を1日として換算を計上した。)
4. 作業別請負面積及び素材生産量の状況
(1) 植林面積及び保育面積
林業事業体で請負により植林又は保育(下刈り、枝打ち、除間伐等)作業を実施した面積である。
また、除間伐等には、下刈り、枝打ち以外の除伐、間伐、つる切り、雪起こし等の保育作業の面積を計上した。
(2) 請負による素材生産量
林業事業体で請負による素材生産量について、計とそのうちの主伐による生産量、主な樹種別〔針葉樹(すぎ、ひのき、その他)、広葉樹〕に計上した。ただし、自家山林の素材生産量は除いた。
(3) 立木買いによる素材販売量
林業事業体で立木買いによる素材販売量について、計とそのうちの主伐による生産量、主な樹種別〔針葉樹(すぎ、ひのき、その他)、広葉樹〕に計上した。
5. 財産の状況(貸借対照表)
調査客体が作成している貸借対照表の勘定科目の組替えにより、資産、負債及び資本を計上した。
なお、資産、負債及び資本の内容については、参考2「財産及び損益の状況に関する調査項目の内容及び範囲」を参照されたい。
(1) 資産計=流動資産計+固定資産計+繰延資産
(2) 負債計=流動負債計+固定負債計
(3) 資本計=資本金+その他資本額
6. 損益の状況(損益計算書)
調査客体が作成している損益計算書又は総勘定元帳の勘定科目の組替えにより、収益及び損益を計上した。
また、本調査においては林業事業営業部門の損益を算出することとしているため、調査客体の作成している損益計算書において林業事業営業収益及び費用が分離されていない場合(例えば、素材生産から製材までの一貫経営を行っている場合)には、収益及び費用の各勘定科目について、林業事業営業部門と林業事業外営業部門とに分離し、計上した。
なお、収益及び費用の内訳については、参考2「財産及び損益の状況に関する調査項目の内容及び範囲」を参照されたい。
(1) 林業事業営業収益計=請負収入+立木買い収入
(2) 林業事業営業費用計=売上原価+販売費及び一般管理費
(3) 林業事業営業利益=林業事業営業収益計-林業事業営業費用計
(4) 営業収益=林業事業営業収益計+林業事業外営業収益
(5) 営業費用=林業事業営業費用計+林業事業外営業費用
(6) 営業利益=営業収益-営業費用
(7) 収益合計=営業収益+営業外収益
(8) 費用合計=営業費用+営業外費用
(9) 経常利益=収益合計-費用合計
(10) 税引前当期利益=経常利益+特別利益-特別損失
(11) 当期利益=税引前当期利益-法人税等引当額
参考2 「財産及び損益の状況に関する調査項目の内容及び範囲」(PDF:174KB)
利用上の注意
1 統計表中の計と内訳の積み上げ値とは、単位未満を四捨五入したため一致しない場合がある。
2 統計表中に使用した記号は、次のとおりである。
「-」:事実のないもの
「0」及び「0.0」:単位に満たないもの。
「△」:負数又は減少したもの
利活用事例
林業事業体の育成、林業労働者の就業改善等の林業施策の企画・立案のための資料。
お問合せ先
大臣官房統計部経営・構造統計課
担当者:林業・漁業経営統計班
代表:03-3502-8111(内線3637)
ダイヤルイン:03-3502-0954