食品流通段階別価格形成追跡調査の概要
調査の目的
食品流通段階別価格形成追跡調査は、食品の生産又は輸入から消費に至るまでの各流通段階における価格形成の実態及び流通経費の実態を把握し、食品の流通改善、価格安定対策及びコスト縮減対策の推進等のための資料を作成することを目的とする。
調査の沿革
昭和47年から実施した「青果物流通段階別価格形成追跡調査(昭和47年は野菜の流通段階別価格追跡調査)」と昭和51年から実施した「水産物流通段階別価格形成追跡調査」を平成9年に統合し「食品流通段階別価格形成追跡調査」として実施した。
なお、平成15年からは、「食品流通段階別価格形成調査」として調査体系を見直し実施している。
調査の根拠法令
食品流通段階別価格形成追跡調査は、統計報告調整法(昭和27年法律第148号)第4条1項の規定に基づく、総務大臣の承認を受けた承認統計調査として実施した。
調査体系
食品流通段階別価格形成追跡調査は、次の体系により実施した。
なお、青果物集出荷段階経費調査、青果物仲卸段階経費調査及び青果物小売段階経費調査は、平成14年のみ実施した。
調査の対象
1. 青果物及び水産物
(1) 小売・食材卸段階調査
東京都区部又は大阪市において営業し、調査対象消費地卸売市場(東京都中央卸売市場及び大阪市中央卸売市場。以下同じ。)から仕入れを行って販売する小売店舗・食材卸問屋
(2) 消費地仲卸段階調査
調査対象者とした小売店舗・食材卸問屋に調査対象荷口を販売した調査対象消費地卸売市場の仲卸業者
(3) 消費地卸売段階調査
調査対象者とした小売店舗・食材卸問屋又は仲卸業者に調査対象荷口を卸売した調査対象消費地卸売市場の卸売業者
(4) 場外・輸入段階調査
東京都区部又は大阪市に所在し、調査対象消費地卸売市場以外の場所で営業している場外問屋及び輸入業者のうち、調査対象者とした小売店舗・食材卸売問屋、調査対象消費地卸売市場の卸売業者又は他の場外問屋に調査対象荷口を販売した業者
(5) 産地出荷段階調査
調査対象者とした小売店舗・食材卸問屋、卸売業者、場外問屋又は産地出荷業者に調査対象荷口を出荷又は販売した産地出荷業者
(6) 産地卸売段階調査(水産物のみ)
調査対象者とした産地出荷業者に調査対象荷口を卸売した産地卸売市場の卸売業者
2. 青果物経費
(1) 青果物集出荷段階経費調査
全国の青果物の主要産地に所在する集出荷団体のうち、主に東京都中央卸売市場(築地、太田及び淀橋市場。)へ調査対象品目を販売又は販売委託した集出荷団体
(2) 青果物仲卸段階経費調査
東京都中央卸売市場に所在する仲卸業者
(3) 青果物小売段階経費調査
東京都区部に所在し、東京都中央卸売市場から青果物を仕入れている小売業者
抽出方法
1. 抽出方法
(1) 青果物
ア 小売・食材卸段階調査
有意に抽出した。
イ ア以外の調査
小売店舗又は食材卸問屋から産地出荷段階又は輸入段階まで、調査対象荷口の流通経路をそ及する方法により有意に抽出した。
(2) 水産物
ア 小売・食材卸段階調査
有意に抽出した。
イ ア以外の調査
小売店舗又は食材卸問屋から産地出荷、産地卸売段階又は輸入段階まで、調査対象荷口の流通経路をそ及する方法により有意に抽出した。
(3) 青果物経費
全ての調査において有意に抽出した。
2. 目標精度
本調査において、目標精度は設定していない。
調査事項
1. 調査品目
(1) 青果物
ア 国産品
だいこん、にんじん、はくさい、キャベツ、ほうれんそう、ねぎ、ブロッコリー、レタス、きゅうり、かぼちゃ、なす、トマト、ピーマン、たまねぎ、みかん(温州)、りんご(ふじ)、かき
イ 輸入品
- 平成13年
ブロッコリー、かぼちゃ、たまねぎ、オレンジ(バレンシア) - 平成14年
ブロッコリー、かぼちゃ、オレンジ(バレンシア)
(2) 水産物
ア 国産品
(ア) 生鮮品
かつお、まいわし、まあじ、さば、さんま、はまち(養殖)、まだい(養殖)、するめいか、ほたてがい(養殖・むき身)
(イ) 冷凍品
- 平成13年
まぐろ類(東京都区内にあっては「めばち」、大阪市にあっては「きはだ」) - 平成14年
なし
(ウ) 塩蔵品
塩ざけ
イ 輸入品(冷凍品)
- 平成13年
まぐろ類(東京都区部にあっては「めばち」、大阪市にあっては「きはだ」)、さけ、えび(ブラックタイガー、無頭、殻付き) - 平成14年
さけ、えび(ブラックタイガー、無頭、殻付き)
(3) 青果物経費
だいこん、にんじん、はくさい、キャベツ、ほうれんそう、ねぎ、ブロッコリー、レタス、きゅうり、かぼちゃ、なす、トマト、ピーマン、たまねぎ、みかん、りんご(ふじ)、かき、バレンシアオレンジ(青果物集出荷段階経費調査は除く。)
2. 調査項目
(1) 青果物
ア 小売・食材卸段階調査
産地、等級・階級、仕入月日、仕入先、仕入数量・金額、販売形態、販売形態別重量・値段等
イ 消費地仲卸段階調査
仕入月日、仕入先、仕入数量・金額等
ウ 消費地卸売段階調査
荷主名・荷印、卸売数量・金額、卸売手数料率
エ 場外・輸入段階調査
仕入月日、仕入先、仕入数量・金額等
オ 産地出荷段階調査
(ア) 産地出荷業者が荷を手当てする直前までに要した生産者の選別・荷造労働費及び運搬労働費
(イ) 東京都中央卸売市場(築地、大田及び淀橋市場)又は大阪市中央卸売市場(本場)で卸売される直前までに要した産地出荷業者の出荷運送料、包装荷造材料費、団体手数料等
(2) 水産物
ア 小売・食材卸段階調査
産地、銘柄・部位、仕入月日、仕入先、仕入数量・金額、販売形態、販売形態別重量・値段等
イ 消費地仲卸段階調査
仕入月日、仕入先、仕入数量・金額等
ウ 消費地卸売段階調査
荷主名・荷印、卸売数量・金額、集荷方法等
エ 場外・輸入段階調査
仕入月日、仕入先、仕入数量・金額等
オ 産地出荷段階調査
(ア) 仕入月日、仕入先、仕入数量・金額
(イ) 東京都中央卸売市場(築地市場)又は大阪市中央卸売市場(本場)で卸売される直前までに要した運賃、資材費、団体手数料、各種料金等
カ 産地卸売段階調査
卸売手数料及び産地卸売市場で卸売される直前までに要した水揚料、選別料等
(3) 青果物経費
(ア) 経営概況
(イ) 包装・荷造材料費と検査料
(ウ) 選別、包装、荷造労働費
(エ) 販売管理費
(オ) 固定資産
(カ) 代金決済勘定
(キ) 運送費用と保管料
(ク) 販売価額
(ケ) 減耗量
(ア) 経営概況
(イ) 販売費及び一般管理費
(ウ) 店舗等の固定資産
(エ) 管理施設、配送施設及び倉庫施設の経費
(オ) 仕入数量(仕入減耗数量)・仕入金額、売上数量(売上残廃棄数量)・売上金額
調査の時期
1. 青果物
- 平成13年
小売・食材卸段階調査は平成13年11月13日に行い、逐次、消費地仲卸段階調査から産地出荷段階調査までの各調査を実施した。 - 平成14年
小売・食材卸段階調査を平成14年11月1日に行い、逐次、消費地仲卸段階調査から産地出荷段階調査までの各調査を実施した。
2. 水産物
- 平成13年
小売・食材卸段階調査を平成13年10月30日に行い、逐次、消費地仲卸段階調査から産地卸売段階調査までの各調査を実施した。 - 平成14年
小売・食材卸段階調査を平成14年10月1日に行い、逐次、消費地仲卸段階調査から産地卸売段階調査までの各調査を実施した。
3. 青果物経費
(1) 調査対象期間
ア 青果物集出荷段階経費調査
(ア) 調査項目のうち、調査事項-2(3)ア (ア)、(エ)、(オ)及び(ク)の項目
平成14年直近の決算期間(1年間)
(イ) 調査項目のうち、調査事項-2(3)ア (イ)、(ウ)、(カ)及び(キ)の項目
平成14年11月(1か月)
イ 青果物仲卸段階経費調査及び青果物小売段階経費調査
(ア) 調査項目のうち、調査事項-2(3)イ (ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)の合計の項目
平成14年直近の決算期間(1年間)
(イ) 調査項目のうち、調査事項-2(3)イ (オ)の品目別の項目
平成14年11月(1か月)
(2) 調査実施時期
ア 青果物集出荷段階経費調査
平成14年12月から平成15年1月まで
イ 青果物仲卸段階経費調査及び青果物小売段階経費調査
平成14年11月から12月まで
調査の方法
1. 青果物
調査は、職員による調査対象者に対する面接・聞き取りのほか、関係諸帳簿の閲覧等により実施した。
また、調査の手順は、小売店舗又は食材卸問屋から産地出荷段階又は輸入段階まで、調査対象荷口の流通経路をそ及する方法により行った。
2. 水産物
調査は、職員による調査対象者に対する面接・聞き取りのほか、関係諸帳簿の閲覧等により実施した。
また、調査の手順は、小売店舗又は卸問屋から産地出荷、産地卸売段階又は輸入段階まで、調査対象荷口の流通経路をそ及する方法により行った。
3.青果物経費
調査は、職員が調査対象者に調査票を配布し、調査対象者が決算帳簿等の資料に基づき調査票を作成する自計調査とし、職員が回収する方法、又は職員による調査対象者に対する面接・聞き取りの方法により実施した。
集計・推計方法
1. 青果物及び水産物
流通段階別価格の各品目平均値は、個々の荷口の流通段階別価格を積み上げ、集計件数で除した単純平均により算出した。
2. 青果物経費
(1) 青果物集出荷段階経費調査
ア 1集出荷団体当たり
単純平均により算出した。
イ 調査対象品目10kg当たり
とした。
(2) 青果物仲卸段階経費調査及び青果物小売段階経費調査
それぞれの1店舗当たりは、単純平均により算出した。
用語の解説
1. 青果物
(1) 流通段階別価格
ア 生産者庭先価格
青果物が収穫され、生産者の庭先まで運搬された時点の価格をいい、卸売価格から卸売手数料(調査対象消費地卸売市場の卸売業者が卸売価額から委託手数料として控除した金額)及びその他の控除経費(産地出荷団体が荷を手当てする直前までに要した生産者の選別・荷造労働費及び運搬労働費並びに調査対象消費地卸売市場で卸売される直前までに要した産地出荷団体の出荷運送料、包装荷造材料費、団体手数料等)を差し引いて算出した。
イ 生産者受取価格
青果物の販売により生産者が実際に受け取った価格をいい、生産者庭先価格に産地出荷団体が荷を手当てする直前までに要した生産者の選別・荷造労働費及び運搬労働費を加えて算出した。
ウ 卸売価格
調査対象消費地卸売市場において、卸売業者が卸売した価格をいう。
エ 仲卸価格
仲卸業者が小売店舗・食材卸問屋に販売した価格をいう。
オ 小売価格
小売店舗が消費者に販売した価格をいう。
カ 食材卸問屋販売価格
食材卸問屋が外食事業者に販売した価格をいう。
キ 場外問屋販売価格
場外問屋が調査対象消費地卸売市場の卸売業者又は小売店舗・食材卸問屋に販売した価格をいう。
ク 輸入価格
国内に輸入された時点の価格をいい、CIF価格(出港時の船積価格に仕向港までの運賃及び保険料を含めた価格)とした。
ケ 輸入業者販売価格
輸入業者が調査対象消費地市場の卸売業者又は小売店舗・食材卸問屋へ販売した価格をいう。
コ 流通価格比
(ア) 全価格比
生産者受取価格に対する小売価格(食材卸問屋販売価格)の比率をいい、次式より算出した。
(イ) 消費地価格比
卸売価格に対する小売価格(食材卸問屋販売価格)の比率をいい、次式により算出した。
サ 流通価格差
(ア) 全価格差
小売価格(食材卸問屋販売価格)と生産者受取価格の価格差をいい、小売価格(食材卸問屋販売価格)から生産者受取価格を差し引いて算出した。
(イ) 消費地価格差
小売価格(食材卸問屋販売価格)と卸売価格の価格差をいい、小売価格(食材卸問屋販売価格)から卸売価格を差し引いて算出した。
(ウ) 産地・消費地間価格差
卸売価格と生産者受取価格の価格差をいい、卸売価格から生産者受取価格を差し引いて算出した。
シ 集計件数
集計に用いた収集事例件数をいい、国産品については生産者受取価格又は場外問屋販売価格まで、輸入品については輸入価格まで把握できた荷口数とした。
ス 等級・階級
産地又は輸入先国において、品質や大きさ等により選別され、出荷される等級(A、Bや秀、優等の品質)・階級(2L、L、M等の大きさ)をいう。
(2) 小売店舗における販売状況
ア 小売価格
小売店舗が消費者に販売した価格をいう。
なお、この小売価格については、平均、特売(あらかじめ1日以上の販売期日を定めて特売であることをチラシ等で明らかにして販売したもの)及び通常販売(特売以外のもの)に区分した。
イ 販売件数
集計に用いた収集事例件数をいい、小売店舗が1個(本、房)売り、山売り等の販売形態により消費者に売り渡した件数とした。
したがって、小売店舗の仕入れが1荷口であっても、販売形態が1個売り、山売りの2種類に区分されていた場合は、販売件数は2件とした。
ウ 販売形態別
(ア) 1箱売り
仕入れ時の荷姿で1箱ずつ販売する方法をいう。
(イ) 1本(個、束)売り
袋詰め、カット等の処理をせずに、そのままの形態で1本(個、束)ずつ値決めをして販売する方法をいう。
(ウ) 山売り
袋詰め、カット等の処理をせずに、そのままの形態で複数を、ざる等に乗せて1山ずつ販売する方法をいう。
(エ) 量り売り
袋詰め、カット等の処理をせずに、そのままの形態で100g等の重量を単位として値決めをして販売する方法をいう。
(オ) 袋売り
カット等の処理をせずに、そのままの形態のものを1本(個、束)又は複数を袋に詰めて1袋ずつ販売する方法をいう。
(カ) トレーパック売り
カット等の処理をせずに、そのままの形態のものを1本(個、束)又は複数をトレーに詰めて1パックずつ販売する方法をいう。
(キ) 切り売り
半分、4分の1等にカットして販売する方法をいう。
(ク) 加工売り
漬け物等、上記(ア)~(キ)以外の販売方法をいう。
エ 仕入数量規模別
小売店舗における仕入時の数量(重量)により区分した。
2. 水産物
(1) 流通段階別価格
ア 生産者受取価格
水産物の販売により生産者が実際に受け取った価格をいい、生産者の販売(出荷)方法により次のとおりとした。
(ア) 生産者が産地卸売市場に出荷した場合
産地卸売価格から卸売手数料(産地卸売市場の卸売業者が卸売価額から委託手数料として控除した金額)及びその他の控除経費(産地卸売市場で卸売される直前までに要した水揚料、選別料等)を差し引いて算出した。
(イ) 生産者が産地出荷業者に販売した場合
産地出荷業者の仕入価格とした。
(ウ) 生産者が産地出荷業者に販売を委託した場合
a 産地出荷業者が調査対象消費地卸売市場の卸売業者に販売を委託した場合は、卸売価格から卸売手数料(調査対象消費地卸売市場の卸売業者が卸売価額から委託手数料として控除した金額)及びその他の控除経費(調査対象消費地卸売市場で卸売される直前までに要した運賃、資材費、団体手数料、各種料金等)を差し引いて算出した。
b 産地出荷業者が小売店舗・食材卸問屋、場外問屋又は調査対象消費地卸売市場の卸売業者に販売した場合は、産地出荷業者販売価格からその販売の直前までに要した運賃、資材費、団体手数料、各種料金等を差し引いて算出した。
イ 産地卸売価格
産地卸売市場において、卸売業者が卸売した価格をいう。
ウ 産地出荷業者販売価格
産地出荷業者が小売店舗・食材卸問屋、場外問屋、他の産地出荷業者又は調査対象消費地卸売市場の卸売業者に販売した価格をいう。
エ 場外問屋販売価格
場外問屋が小売店舗・食材卸問屋、他の場外問屋又は調査対象消費地卸売市場の卸売業者に販売した価格をいう。
オ 卸売価格
調査対象消費地卸売市場において、卸売業者が卸売した価格をいう。
カ 仲卸価格
仲卸業者が小売店舗・食材卸問屋に販売した価格をいう。
キ 小売価格
小売店舗が消費者に販売した価格をいう。
ク 食材卸問屋販売価格
食材卸問屋が外食事業者に販売した価格をいう。
ケ 輸入価格
国内に輸入された時点の価格をいい、CIF価格(出港時の船積価格に仕向港までの運賃及び保険料を含めた価格)とした。
コ 輸入業者販売価格
輸入業者が小売店舗・食材卸問屋、場外問屋又は調査対象消費地卸売市場の卸売業者に販売した価格をいう。
サ 流通価格比
(ア) 全価格比
生産者受取価格(輸入価格)に対する小売価格(食材卸問屋販売価格)の比率をいい、次式により算出した。
(イ) 消費地価格比
卸売価格に対する小売価格(食材卸問屋販売価格)の比率をいい、次式により算出した。
シ 流通価格差
(ア) 全価格差
小売価格(食材卸問屋販売価格)と生産者受取価格(輸入価格)の価格差をいい、小売価格(食材卸問屋販売価格)から生産者受取価格(輸入価格)を差し引いて算出した。
(イ) 消費地価格差
小売価格(食材卸問屋販売価格)と卸売価格の価格差をいい、小売価格(食材卸問屋販売価格)から卸売価格を差し引いて算出した。
(ウ) 産地・消費地間価格差
卸売価格と生産者受取価格(輸入価格)の価格差をいい、卸売価格から生産者受取価格(輸入価格)を差し引いて算出した。
ス 1尾当たり重量
小売店舗又は食材卸問屋の仕入れにおける1箱当たりの重量を、1箱当たりの尾(個、杯)数で除したものをいう。
なお、小売店舗・食材卸問屋の仕入形態が1尾をカットした切り身等の場合には、1尾当たり重量を算出していない。
セ 集計件数
集計に用いた収集事例件数をいい、国産品については生産者受取価格まで、輸入品については輸入価格まで把握できた荷口数とした。
ソ 一括買い後、用途別に選別して出荷した場合の産地卸売価格の取扱い
産地出荷業者が産地卸売市場でトラック1台、1山等の単位で一括買いをした後、用途別に選別して出荷した場合は、産地卸売市場で当該荷口が取引された日の市況等を参考にして産地卸売価格の接続を図った。
タ 販売過程における除去部分の取扱い
頭や骨などの不可食部分を除去して販売したものの価格は、全て除去する以前の状態(丸)に換算した。
(2) 小売店舗における販売状況
ア 小売価格
小売店舗が消費者に販売した価格をいう。
なお、この小売価格については、平均、特売(あらかじめ1日以上の販売期日を定めて特売であることをチラシ等で明らかにして販売したもの)及び通常(特売以外のもの)に区分した。
イ 販売件数
小売店舗が1尾売り、山売り等の販売形態により消費者に販売した件数とした。
したがって、小売店舗の仕入れが1荷口であっても、販売形態が1尾売り、山売りの2種類に区分されていた場合は、販売件数は2件とした。
ウ 販売形態別
(ア) 1箱売り
仕入れた時の荷姿のまま1箱単位で販売する方法をいう。
(イ) 1尾(個、杯)売り
パック詰め、カット等の処理をせずに、そのままの形態で1尾(個、杯)ずつ値決めをして販売する方法をいう。
(ウ) 山売り
パック詰め、カット等の処理をせずに、そのままの形態で複数をざる等に乗せて1山ずつ販売する方法をいう。
(エ) 量り売り
パック詰め、カット等の処理をせずに、そのままの形態で100g等の重量を単位として値決めをして販売する方法をいう。
(オ) 袋売り
カット等の処理をせずに、そのままの形態で1尾(個、杯)又は複数を袋に詰めて1袋ずつ販売する方法をいう。
(カ) トレーパック売り
カット等の処理をせずに、そのままの形態で1尾(個、杯)又は複数をトレーに詰めて1パックずつ販売する方法をいう。
(キ) 切り売り
2枚卸し、3枚卸し、切り身等にカットして販売する方法(刺身(造り)としてカットしたものを除く。)をいう。
(ク) 加工売り
刺身(造り)、焼き売り等、上記(ア)~(キ)以外の販売方法をいう。
エ 仕入数量規模別
小売店舗における仕入時の数量(重量)により区分した。
オ 仕入月日別
小売店舗における仕入月日により区分した。
3. 青果物経費
(1) 青果物集出荷段階経費調査
ア 集出荷経費
(ア) 包装・荷造材料費
容器代、商品個々を包装するポリパック、ビニール袋、発泡ネット等の個装費、容器に充填するトレーパック、中仕切りに使う波型段ボール等の内装費及び容器の外側に用いるラベル、針、バンド、ビニールテープ等の外装費を計上した。
(イ) 選別・荷造労働費
選別、包装、荷造のために支払った労賃を計上した。
a 選別・荷造労働費(生産者)
生産者個々が選別、包装、荷造を行っている場合、出荷箱数を1人1日(8時間労働で換算)当たりの荷造箱数で除して延べ作業人日を算出し、それに平成14年11月の都道府県別労賃単価の平均を乗じて算出した。労賃単価は、平成14年11月の「毎月勤労統計調査」(厚生労働省)の「運輸・通信業」の「5~29人規模」の事業所における賃金データ(都道府県別)を男女込みの加重平均単価により算出し計上した。
b 選別・荷造労働費(集出荷団体)
集出荷団体が選別、包装、荷造を行っている場合は、支払った労賃とした。
(ウ) 減価償却費
集出荷団体が集出荷のために所有している集荷場、選果場、選果機等の償却資産について、青果物販売額に占める調査対象品目の販売額の割合等から、その調査対象品目が負担すべき減価償却費を算出し計上した。
(エ) 集荷費
農家の庭先から集出荷場までの運搬費を計上した。
(オ) 検査料
集出荷団体等が徴収する検査料を計上した。
(カ) 保管料
調査対象品目を倉庫や冷蔵庫へ保管した場合に支払った保管料を計上した。
(キ) 販売管理費
集出荷団体の決算帳簿のうちから、販売部門に要した次の経費について、販売部門で取扱った全品目の販売額に占める調査対象品目の販売額の割合等から、その調査対象品目が負担すべき販売管理費を算出し計上した。
a 借地料
集荷場、選果場等の集出荷施設の敷地が借地の場合に、支払った借地料を計上した。
b 見積地代
集出荷団体の所有地に集荷場や選果場等の施設がある場合は、類似の借地料に見合った見積額を計上した。
c 人件費
調査対象品目の出荷事務、代金精算事務及び管理部門に要した職員の労賃であり、役員報酬、給料手当、福利厚生費、退職引当金等を計上した。
d 事務費
調査対象品目の出荷事務、精算事務等に要した通信費、事務用消耗品、図書費等の経費を計上した。
e 業務運営費
調査対象品目の集出荷のために要した会議費、接待費、広告宣伝費、資料印刷費等を計上した。
f 施設費
調査対象品目の集出荷のために利用した建物(選果場等)や機械器具(選果機等)の修繕費、保険料、水道光熱料、賃借料、消耗備品等施設の維持管理に要した経費を計上した。
g 租税
固定資産税、自動車税・軽自動車税等の物税のほか消費税を計上した。
h 雑費
上記以外の調査対象品目の集出荷のために要した経費を計上した。
(ク) 資本利子
a 固定資本利子
償却資産の現在価を算出して固定資本額とし、これに青果物販売額に占める調査対象品目の販売額の割合等を乗じて、当該調査対象品目が負担すべき資本額を算出し、その額に年利4%を乗じて算出し計上した。
b 流動資本利子
包装・荷造材料費、集荷費、選別・荷造労働費、検査料、保管料及び借地料、見積地代を除いた販売管理費を合計し、その2分の1を流動資本額とみなし、これに年利4%を乗じて算出し計上した。
なお、2分の1としたのは、これら流動財等が調達されてから回収されるまでの前払期間をほぼ平均して半年程度とみたためである。
イ 販売経費
(ア) 出荷運送料
卸売市場へ出荷するのに要した運送料を計上した。
(イ) 卸売会社手数料
荷受会社が卸売価額から控除した手数料を計上した。この手数料は、中央卸売市場の場合は野菜8.5%、果実7.0%であり、地方卸売市場の場合は地域によって異なる。
(ウ) 卸売代金送金料
荷受会社が卸売代金を集出荷団体に支払った際に要した送金料を計上した。
(エ) 上部団体手数料
集出荷団体の全国連及び道府県連が卸売代金から徴収した販売手数料を計上した。
(オ) 負担金
出荷対策費、価格安定費、共済金等を計上した。
ウ 販売収入
(ア) 卸売価額
調査対象品目が卸売市場で販売された金額を計上した。
(イ) 販売代金以外の収入
販売代金以外の入金については、上部団体が手数料として、また集出荷団体の運営費に充当する等して、現実に生産者に還元されない場合も考えられるが、この調査では、「販売代金以外の入金」は全額生産者へ還元されるとの前提に基づいて計上した。
a 荷主交付金・出荷奨励金
集出荷団体が荷受会社から受け取った荷主交付金・出荷奨励金を計上した。
b その他の入金
その他出荷に関連した入金(共済見舞金等)及び価格補てん金を計上した。
エ 生産者受取価格
「卸売価額」に「荷主交付金・出荷奨励金」、「その他の入金」を加えた「販売収入」から「集出荷・販売経費」を差し引き、「集出荷経費」のうち「選別・荷造労働費(生産者)」を加えて算出し計上した。
(2) 青果物仲卸段階経費調査及び青果物小売段階経費調査
ア 販売経費
(ア) 支払運賃
荷の取り引き及び発送のため、鉄道や運送会社等に支払った運賃を計上した。
(イ) 包装材料費
販売のために要した包装紙、紙袋、ひも、テープ等の包装材料費を計上した。
(ウ) 保管料
取扱い品目を倉庫(冷蔵庫等)に保管した場合に支払った保管料を計上した。
(エ) 車両燃料費
営業のために使用した自動車のガソリン代、オイル代等を計上した。
(オ) 取引通信費
仕入れや販売など営業上の連絡のために支出した電話代、電報代、切手、はがき代等を計上した。
(カ) 取引交通費
仕入れや販売に要した交通費、旅費を計上した。
(キ) 広告宣伝費
ちらし広告、折り込み広告、スタンプ、福引券等の販売促進費等を計上した。
(ク) 商品廃棄処分費
商品の仕入減耗及び販売残等に関わる廃棄処分費を計上した。
イ 管理経費
(ア) 福利厚生費
健康保険料、失業保険料等の法定福利費のうち、店主の負担額、店員の慰安等の厚生費、店員に係る慶弔見舞金を計上した。
(イ) 減価償却費
建物、冷蔵庫等、機器及び車両設備等営業用の固定資産に対する減価償却費を計上した。
(ウ) 支払地代
店舗、倉庫等の敷地を借り入れている場合に支払った地代を計上した。
(エ) 賃借料
店舗、倉庫、車庫、機器、コンピュータ等の賃借料を計上した。
(オ) 見積地代
店舗、倉庫等の敷地が所有地の場合は、類似の地代を見積もって計上した。
(カ) 修繕費
営業に使用している店舗、倉庫、車両、備品等に要した修繕費、また車検に要した費用を計上した。
(キ) 水道光熱費
営業のために要した電気、ガス、水道代、その他の燃料費を計上した。
(ク) 支払利子
銀行等金融機関からの借入金の支払利子及び手形の割引料を計上した。
(ケ) 租税及び負担金
固定資産税、事業税、自動車税、収入印紙税、組合費等(所得税、法人税、住民税は含まない。)を計上した。
(コ) 消耗品費
事務用品、作業服、耐用年数1年未満の備品等を計上した。
(サ) 損害保険料
営業に使用している店舗、倉庫、備品の火災保険料、自動車保険料(自賠責保険料、任意加入保険料)を計上した。
(シ) 接待交際費
仕入先、得意先等を接待した飲食費や慶弔見舞金等を計上した。
(ス) 市場使用料(青果物仲卸段階経費調査のみ。)
仲卸人が市場内で使用する売場の使用料であり、東京都中央卸売市場の業務規定により市場開設者に支払った市場使用料を計上した。
(セ) 雑費
税理士への謝金、寄付金等、その他営業雑費を計上した。
ウ 施設経費
管理施設、配送施設及び倉庫施設を保有し、店舗にかかる経費と決算がそれぞれ独立している場合の施設の経費を計上した。
エ 給料手当
従業員給料及び事務員給料(アルバイト等を含む。)、通勤手当、賞与、役員給料手当(店主及び家族の給料を含む。)、退職給与引当金繰入等(役員賞与を含む。)を計上した。
オ 資本利子
(ア) 固定資本
店舗、管理施設、倉庫等の償却資産の青果物営業負担分の期首現在価に年利4%を乗じて算出し計上した。
(イ) 流動資本
給料手当等営業のために現実に支出を伴った費用を合計し、その24分の1を流動資本額とみなし、この額に年利4%を乗じて算出し計上した。
なお、24分の1としたのは、これらの流動財等が調達されてから回収されるまでの前払期間をほぼ平均して半月程度とみたためである。
調査票
平成14年食品流通段階別価格形成追跡調査調査票(青果物経費)(PDF:603KB)
平成14年食品流通段階別価格形成追跡調査調査票(青果物及び水産物)(PDF:923KB)
平成13年食品流通段階別価格形成追跡調査調査票(青果物及び水産物)(PDF:923KB)
利用上の注意
1. 統計数値については、表示単位未満の数値を四捨五入したため、合計値と内訳の計が一致しない場合がある。
2. 表中に使用した記号は、次のとおりである。
「0」 | :単位に満たないもの(例:0.4円→0円) |
「0.0」 | :単位に満たないもの(例:0.04%→0.0%) |
「…」 | :事実不詳又は調査を欠くもの |
「-」 | :事実のないもの |
「△」 | :負数又は減少したもの |
「*」 | :青果物及び水産物において消費地市場における集荷方法が、場外問屋、産地出荷業者又は輸入業者からの販売委託のため、場外問屋、産地出荷業者又は輸入業者の販売価格が存在しないもの |
利活用事例
1. 食品流通構造改善促進法に基づく流通構造の合理化と流通機能の高度化を推進するにあたり、構造改善計画の策定や有効な方策を検討する際の資料
2. 野菜及び果実の流通・加工対策における政策評価結果書の作成にあたり、集出荷・販売費用の削減目標に対する削減実績値の算定
Q&A
1. 食品流通段階別価格形成追跡調査とは
Q. 「食品流通段階別価格形成追跡調査」はどのような調査ですか?
A. 食品の生産又は輸入から消費に至るまでの各流通段階における価格形成の実態及び流通経費の実態を把握することにより、食品の流通改善、価格安定対策及びコスト縮減対策の推進等のための資料を整備するために実施しました。
Q. 「食品流通段階別価格形成追跡調査」の結果からどのようなことがわかったのですか?
A. 青果物及び水産物に係る調査では、主要な品目毎の生産又は輸入から消費に至るまでの各流通段階(産地卸売、産地出荷、場外・輸入、消費地卸売、消費地仲卸及び小売・食材卸)における価格形成の実態がわかります。
また、青果物経費に係る調査では、産地の集出荷団体、消費地市場の仲卸業者及び小売業者における青果物に係る流通経費の実態がわかります。
Q. 「食品流通段階別価格形成追跡調査」はどのように利用されていましたか?
A. 食品流通構造改善促進法に基づく流通構造の合理化と流通機能の高度化を推進するにあたり、構造改善計画の策定や有効な方策を検討する際の資料、野菜及び果実の流通・加工対策における政策評価結果書の作成にあたり、集出荷・販売費用の削減目標に対する削減実績値の算定に利用されていました。
2. その他
Q. 最新の調査の結果はいつ頃公表されるのですか?
A. 平成14年度に実施した青果物に係る調査結果は平成15年5月、水産物に係る調査結果は平成15年4月、青果物経費に係る調査結果は平成15年7月に公表しました。
なお、本調査は、平成14年度の調査をもって終了し、平成15年度以降は、食品流通段階別価格形成調査として調査体系を見直して実施し、調査結果は、食品流通段階別価格形成調査として公表しています。
お問合せ先
大臣官房統計部生産流通消費統計課消費統計室
担当者:価格・消費動向班
代表:03-3502-8111(内線3718)
ダイヤルイン:03-6744-2049