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農林水産省

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(1)福島県の復興に向けた取組


(避難指示区域の解除・見直し)

東電福島第一原発事故に伴い、周辺住民に対する避難指示が行われました。この避難指示の対象区域は、平成24(2012)年4月以降、「避難指示解除準備区域」、「居住制限区域」及び「帰還困難区域」の3つの避難指示区域に再編され、平成25(2013)年8月に、避難指示区域の見直しが完了しました。さらに、平成26(2014)年4月1日に田村市(たむらし)において避難指示が解除され、同年10月1日に川内村(かわうちむら)の避難指示が一部解除されました(図4-2-1)。

平成27(2015)年3月現在、10市町村において避難指示区域が指定されているとともに、約4万7千人(*1)が福島県から県外へ避難している状況にあり、引き続き避難住民の早期帰還・定住に向けた取組を推進していく必要があります。


*1 復興庁「全国の避難者等の数」

図4-2-1 避難指示区域の概要(平成26(2014)年10月1日現在)

(避難住民の「早期帰還・定住プラン」に基づく工程表の策定)

避難住民の早期帰還・定住の推進のため、平成25(2013)年3月、復興庁に設置された福島復興再生総括本部において、「早期帰還・定住プラン」が策定されました。このプランに基づく住民の帰還・定住を加速するための工程表については、東電福島第一原発事故により被災した12市町村の置かれている状況がそれぞれ異なることを踏まえ、自治体ごとに個別・具体的に進められてきました。

復興庁は、工程表を既に公表した広野町(ひろのまち)、楢葉町(ならはまち)、川内村及び田村市に続いて、平成26(2014)年7月8日に南相馬市(みなみそうまし)及び川俣町(かわまたまち)の工程表を公表しました。他の市町村については、今後も調整を行い、順次公表を行うこととしています。

また、避難指示区域等の地域においては、避難住民が帰還後速やかに営農再開できるよう、農林水産省では、関係省庁と連携し、除染と合わせて、農林水産業関連インフラ復旧等を推進しています。さらに、平成27(2015)年度までを事業期間とする「福島県営農再開支援事業」を実施しており、除染が終了した農地等の保全管理から作付実証、大規模化や施設園芸の導入等の新たな農業への転換まで、一連の取組を切れ目なく支援しています。平成26(2014)年には、南相馬市、広野町、川内村、田村市の約700ha(*1)で水稲の作付けが本格的に再開されるなど、営農再開に向けた取組が進んでいます。


*1 農林水産省調べ

(関係省庁等と連携し復興を推進)

福島の復興を加速化するため、平成25(2013)年度補正予算及び平成26(2014)年度予算において、「福島再生加速化交付金」が措置され、町内復興拠点の整備、放射線不安を払拭する生活環境の向上、農林水産業等の再開に向けた環境整備と、既存の長期避難者支援を一括するとともに、事業メニューを多様化し、より幅広くきめ細かなニーズに対応しています。農林水産省は、関係機関等と連携しながらこれらの事業を推進し、福島の再生、復興まちづくり、産業の復興及び被災者支援に引き続き取り組むこととしています。


事例:原発事故からの復興に向けた取組

(1)トルコギキョウの4年ぶりの出荷再開

福島県川俣町
栽培中のトルコギキョウ
栽培中のトルコギキョウ

福島県の阿武隈高原北部に位置する川俣町(かわまたまち)山木屋(やまきや)地区のあぶくまカットフラワーグループは、地区の生産者8戸で構成されたグループで、平地との標高差約500メートルから生まれる寒暖差により、着色や日持ち性に優れた花を生産するほか、湿式輸送の導入、グループ共通の箱の使用等によりブランド力を築き上げ、震災前(平成22(2010)年)までは東北有数のトルコギキョウ産地として高い評価を受けていました。しかしながら、東電福島第一原発事故により、山木屋地区は計画的避難区域に指定され、平成23(2011)年に栽培中だった花を廃棄したほか、平成24(2012)年以降も避難生活を余儀なくされ、栽培も断念せざるを得ない状況でした。

地道に築き上げたブランドをなくすわけにはいかないという気持ちから、同グループのメンバーは避難生活をしながらも、台湾のトルコギキョウ産地や国内の取引市場の視察等を通じ、消費者が求める流行の実態把握に努めるなど、出荷再開に向けた準備を積極的に進めました。

そして、平成25(2013)年には、地区の本格除染の開始や、避難指示区域の再編等、山木屋地区の復旧・復興に向けた動きが加速したことを受け、ハウスにおいてトルコギキョウの試験実証栽培を行いました。試験実証栽培では38品種(約7千本)のトルコギキョウを栽培し、市場関係者や種苗メーカー等が揃う品質検討会で高い評価を受けました。

検討会での高評価も後押しし、平成26(2014)年には、震災前の約半分の栽培面積ながら、グループ全8戸で営農及び出荷を再開しました。同グループの出荷再開は業界でも注目され、震災前と同等以上の価格で販売されました。

4年ぶりの出荷再開にも関わらず市場から高い評価を受けたことについて、同グループのメンバーは「産地として忘れられていなかった。」と喜ぶ一方で、「今年はご祝儀みたいなもの。来年が本当の勝負。」と口を揃え、平成27(2015)年3月現在も避難指示解除準備区域に指定され、宿泊が制限されている山木屋地区の「復興の先導役」を果たすべく、次年度に向けて栽培準備を進めています。

 

(2)被災農家による共同型運営牧場の立ち上げ~酪農復興の取組~

福島県
紺野宏さん(左)と増子裕人さん(右)
紺野宏さん(左)と
増子裕人さん(右)

東日本大震災と東電福島第一原発事故に伴い、福島県の酪農は大きな被害を受け、県内の約500戸全ての酪農家が生乳の出荷制限を指示されました。その中でも、浜通りを中心とする11市町村の酪農家76戸は、避難指示区域による避難を余儀なくされ、酪農を続けていくことができなくなりました。13戸は自力で酪農を再開しましたが、避難した大半の酪農家にとっては、酪農を再開できるのか、そもそも元の場所に戻れるのかも分からない不安を抱えていました。

このような中、フランス乳業メーカーのダノンから福島県酪農業協同組合に対して、福島県の酪農の復興のための支援の打診がありました。同農協は、酪農家同士が集まってともに酪農作業に携わることができ、情報交換できる場として、震災で経営が困難となっていた牧場を借り受け、牛舎・機械を改修し、共同型運営牧場ミネロファームを立ち上げることとし、被災した酪農家へ参画を打診しました。また、支援の受皿として、特定非営利活動法人福島農業復興ネットワーク(FAR-Net)を立ち上げ、元広告会社勤務の増子裕人(ましこ ひろと)さんを事務局に迎え、ミネロファームの運営に加え、新規就農支援や大学生向けのインターンシップ受入れ、子供の酪農体験も行っています。

被災した酪農家紺野宏(こんの ひろし)さんらは「これまでやってきた酪農がしたい。」、「地元に近い場所で昔からの仲間達と一緒に牛を飼いたい。」としてミネロファームに参加し、平成26(2014)年の経営状況は、乳牛は163頭で、搾乳を1日2回行い、生乳出荷量は1日約4tにまで拡大しています。

被災した酪農家が個人で牧場を新規整備することは難しいため、ミネロファームは、元々一人の経営者だった参加農家の気持ちを一つにすることを大切にし、共同型運営の実践モデルとなることを目指しています。今後、建設が進められる第2、第3の共同型運営牧場で、休業している酪農家が復帰することを目指し、福島の酪農を復興させていくこととしています。

 


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