1 東日本大震災からの復旧・復興
「「第2期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針」等に沿って、以下の取組を推進します。
(1)地震・津波災害からの復旧・復興
ア 農地等の生産基盤の復旧・整備
被災した農地、農業用施設等の着実な復旧を推進します。
イ 経営の継続・再建
東日本大震災により被災した農業者等に対して、速やかな復旧・復興のために必要となる資金が円滑に融通されるよう利子助成金等を交付します。
ウ 農山漁村対策
(ア)福島県を始め、東北の復興を実現するため、労働力不足や環境負荷低減等の課題解決に向け、スマート農業技術を活用した超省力生産システムの確立、再生可能エネルギーを活用した地産地消型エネルギーシステムの構築、農林水産資源を用いた新素材・製品の産業化に向けた技術開発等を進め、若者から高齢者まで誰もが取り組みやすい超省力・高付加価値で持続可能な先進農業の実現に向けた取組を推進します。
(イ)福島イノベーション・コースト構想に基づき、ICT等を活用して農林水産分野の先端技術の開発を行うとともに、状況の変化等に起因して新たに現場が直面している課題の解消に資する現地実証や社会実装に向けた取組を推進します。
(2)原子力災害からの復旧・復興
ア 食品中の放射性物質の検査体制及び食品の出荷制限
(ア)食品中の放射性物質の基準値を踏まえ、検査結果に基づき、都道府県に対して食品の出荷制限・摂取制限の設定・解除を行います。
(イ)都道府県等に食品中の放射性物質の検査を要請します。また、都道府県の検査計画策定の支援、都道府県等からの依頼に応じた民間検査機関での検査の実施、検査機器の貸与・導入等を行います。さらに、都道府県等が行った検査の結果を集約し、公表します。
(ウ)独立行政法人国民生活センターと共同して、希望する地方公共団体に放射性物質検査機器を貸与し、消費サイドで食品の放射性物質を検査する体制の整備を支援します。
イ 稲の作付再開に向けた支援
令和6(2024)年産稲の農地保全・試験栽培区域における稲の試験栽培、作付再開準備区域における実証栽培等の取組を支援します。
ウ 放射性物質の吸収抑制対策
放射性物質の農作物への吸収抑制を目的とした資材の施用、品種・品目転換等の取組を支援します。
エ 農業系副産物の循環利用体制の再生・確立
放射性物質の影響から、利用可能であるにもかかわらず循環利用が寸断されている農業系副産物の循環利用体制の再生・確立を支援します。
オ 避難区域等の営農再開支援
(ア)避難区域等において、除染完了後から営農が再開されるまでの間の農地等の保全管理、鳥獣被害防止緊急対策、放れ畜対策、営農再開に向けた作付・飼養実証、避難先からすぐに帰還できない農家の農地の管理耕作、収穫後の汚染防止対策、水稲の作付再開、新たな農業への転換や農業用機械・施設、家畜等の導入を支援します。
(イ)福島相双復興官民合同チームの営農再開グループが農業者を個別に訪問し、要望調査や支援策の説明を行います。
(ウ)原子力被災12市町村に対し、福島県や農業協同組合と連携して人的支援を行い、営農再開を加速化します。
(エ)原子力被災12市町村において、営農再開の加速化に向けて、「福島復興再生特別措置法」(平成24年法律第25号)による特例措置等を活用した農地の利用集積、生産と加工等が一体となった高付加価値生産を展開する産地の創出を支援します。
カ 農産物等輸出回復
東電福島第一原発事故を受け、未だ日本産食品に対する輸入規制が行われている国・地域に対し、関係省庁が協力し、あらゆる機会を捉えて輸入規制の早期撤廃に向けた働き掛けを実施します。
キ 福島県産農産物等の風評の払拭
福島県の農業の再生に向けて、生産から流通・販売に至るまで、風評の払拭を総合的に支援します。
ク 農産物等の消費拡大の推進
被災地や周辺地域で生産された農林水産物、それらを活用した食品の消費拡大を促すため、生産者や被災地の復興を応援する取組を情報発信するとともに、被災地産食品の販売促進を始め、官民の連携による取組を推進します。
ケ 農地土壌等の放射性物質の分布状況等の推移に関する調査
今後の営農に向けた取組を進めるため、農地土壌等の放射性核種の濃度を測定し、農地土壌の放射性物質濃度の推移を把握します。
コ 放射性物質対策技術の開発
被災地の営農再開のため、農地の省力的管理や生産力回復を図る技術開発を行います。また、農地の放射性セシウムの移行低減技術を開発し、農作物の安全性を確保する技術開発を行います。
サ ため池等の放射性物質のモニタリング調査、ため池等の放射性物質対策
放射性物質のモニタリング調査等を行います。また、市町村等がため池の放射性物質対策を効果的・効率的に実施できるよう技術的助言等を行います。
シ 東電福島第一原発事故で被害を受けた農林漁業者への賠償等
東電福島第一原発事故により農林漁業者等が受けた被害については、東京電力ホールディングス株式会社から適切かつ速やかな賠償が行われるよう、関係省庁、関係都道府県、関係団体、東京電力ホールディングス株式会社等との連絡を密にし、必要な情報提供や働き掛けを実施します。
ス 食品と放射能に関するリスクコミュニケーション
関係府省、各地方公共団体、消費者団体等が連携した意見交換会等のリスクコミュニケーションの取組を促進します。
セ 福島再生加速化交付金
(ア)農地・農業用施設の整備、農業水利施設の保全管理、ため池の放射性物質対策等を支援します。
(イ)生産施設等の整備を支援します。
(ウ)地域の実情に応じ、農地の畦畔(けいはん)除去による区画拡大、暗渠(あんきょ)排水整備等の簡易な基盤整備を支援します。
(エ)被災市町村が農業用施設・機械を整備し、被災農業者に貸与すること等により、被災農業者の農業経営の再開を支援します。
(オ)木質バイオマス関連施設、木造公共建築物等の整備を支援します。
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