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農林水産省

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農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取組(Q&A)(2016.11月改訂)

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平成28年11月22日更新

担当:消費・安全局農産安全管理課農薬対策室

  以下の内容のPDF版は、こちら(PDF : 391KB)からダウンロードできます。

  

  農薬は、品質の良い農産物を安定的に国民に供給するために必要なものです。しかし、農薬は、環境に放出されることが多いため、使用する際には蜜蜂などの有用生物やその他の周辺環境に悪影響を及ぼさないよう十分な配慮が必要です。
 
  花粉媒介昆虫として重要な蜜蜂には、いろいろな種類がありますが、我が国で、果樹・野菜の授粉、ハチミツの生産等に活用されているのは、主としてセイヨウミツバチ(外来種)です。

  欧米では、2000年代より、蜜蜂が越冬できずに消失したり、働き蜂のほとんどが女王蜂や幼虫などを残したまま突然いなくなり蜜蜂の群が維持できなくなるという、いわゆる「蜂群崩壊症候群」(CCD)が多く報告されており、世界中で蜜蜂の減少への関心が高まっています。

  CCDを含む蜜蜂の減少の主な要因として、欧米豪では、「ダニ等の寄生虫や害虫」、「病気」、「栄養不足」、「農薬」、「周辺環境の変化」、「異常気象」などが挙げられており、いくつかの要因が複合的に影響していると考えられています。

  そこで、近年、蜜蜂を保護する取組を各国政府が進めています。
   ア)米国政府は、花粉媒介者保護タスクフォースを立ち上げ、2015年に蜜蜂を含む花粉
       媒
介者の生育地の保護などを目標とした国家戦略を公表しました。
   イ)欧州では、2013年5月、欧州委員会が、蜜蜂への危害を防止するため、ネオニコチノ
       イ
ド系農薬の使用の一部を暫定的に制限することを決定しました。また、欧州食品安
       全機
関は、蜜蜂の健康への取組に関するウェブサイトを立ち上げ、蜜蜂への種々の
       ストレス
要因に関する情報等を公開しています。
   ウ)
豪州では、2010年から、農業生産に資する蜜蜂の健康保護のため、政府機関と企
       業、
養蜂家等の間で蜜蜂の調査を行っています。

  我が国では、現在までCCDは報告されていませんが、農林水産省は、農薬が原因と疑われる蜜蜂被害の全国調査、被害を減らすための対策の推進等の取組を行っています。これらの取組を、Q&A形式の「農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取組」として作成し、広く国民の皆様に知っていただけるよう、農林水産省のウェブサイトで2013年8月から紹介しており、定期的に見直しを行っています。 

Q1.  農薬を使うのに、何か規制やルールがありますか。

A1.

登録された農薬しか使えません。

  農薬は、農作物を病気、害虫、雑草などから守る目的で使用するものです。それ以外に、農作物の発芽、発根、伸長、着果、結実などを促進又は抑制する目的で使用されるいわゆる植物成長調整剤も農薬に含まれています。このように農薬は品質の良い農産物の安定供給に欠かせないものではありますが、その使用が人や環境に悪影響を及ぼす可能性がないわけではありません。例えば、殺虫剤は、害虫を駆除するために使用されるものですが、その使用によって害虫以外の虫も死んでしまう可能性があります。このため、効果や安全性に関するデータを審査して問題がないと判断した農薬のみを、農林水産省が登録し、登録された農薬のみを使用できることになっています。また、登録の際に、使用できる作物と使用方法(希釈倍数、使用量、使用時期、回数など)を合わせて定めており、農薬を使用するときにはこれらを守らなければなりません。
  栽培される農作物は国によって異なります。また、気候や栽培される農作物、栽培方法が違えば、発生する病気や害虫や雑草も違います。このため、必要となる農薬やその使用方法、使用できる作物は、各国で異なっています。

さまざまな試験成績に基づき、効果・安全性を確認した農薬だけを登録します。

  農薬登録の際には、農薬の開発者に以下の試験成績の提出を求めています。
    ・  薬効・薬害に関する試験
    ・  農作物や土壌中の残留に関する試験
    ・  毒性に関する試験(人に対する健康影響を見るため、実験動物に農薬を与えて実施する試験)
    ・  有用生物への影響に関する試験
    ・  植物や動物における農薬の代謝・動態に関する試験
  農林水産省は、食品安全委員会、厚生労働省及び環境省と協力して、農薬を使用する農業者の健康への影響、水質や水生生物などへの影響、周辺の農作物や蜜蜂などの有用生物への影響、農薬が残留した農産物を食べた消費者の健康への影響、病害虫防除の効果などを、これらの試験成績に基づいて評価し、登録の可否を判断しています。 

農薬は、ラベルに表示された使用方法を守って使用しなければなりません。

  農薬登録の際に効果及び安全性が確認された使用方法をラベルに記載することが定められています。農薬が、必要な効果を発揮しつつ、人の健康や環境に悪影響を与えないようにするためには、ラベルに表示された使用方法を守ることが不可欠です。農林水産省は、都道府県、農協、販売業者を通じて、使用方法を守るよう農薬使用者に指導しています。

Q2.  2008年に日本で報告された蜜蜂の不足の原因は何だと考えていますか。

A2.

我が国では、2008年、一部の地域で花粉交配に使用する蜜蜂が不足しましたが、これは「蜂群崩壊症候群」(CCD)によるものではありません。

  我が国では、2008年から2009年にかけて蜜蜂の蜂群数が減少し、一部地域において花粉交配用蜜蜂の不足が生じました。その原因として、天候不順や寄生ダニの被害等により蜜蜂が十分に繁殖できなかったことや、2007年11月から女王蜂の主要供給国である豪州からの蜂の輸入が見合わされていたこと(※)などが考えられました。養蜂家などには、農薬の影響ではないかとする声もありました。  
  一方、欧米では、働き蜂のほとんどが女王蜂や幼虫などを残したまま突然いなくなり、蜜蜂の群れが維持できなくなってしまう「蜂群崩壊症候群」(CCD)が2000年代から問題になっています。米国では、問題が明らかとなった2006年以降、5年連続で蜜蜂の群れの3割以上が越冬できずに消失し、2011年の冬にも22%の群れが越冬できなかったと報告されています。日本ではこのような現象は見られていません。 
  ※ 豪州の一部の州で蜜蜂の病気届出制度が変更され、同国から蜜蜂を輸出する時に病気がないことを保証
      するための方法などに関する日本と豪州の間の取り決めの内容が見直されるまで、豪州政府が自主的に
      女王蜂の輸出を見合わせていたものです。 

農林水産省は、蜜蜂の研究者、養蜂家、花粉交配用蜜蜂の利用者、都道府県の担当者などの意見を参考に、原因究明のための研究を実施し、蜜蜂の需給調整を強化しました。

  農林水産省は、蜜蜂不足の実態把握や当面の対応策等を検討するため、2009年夏に、蜜蜂の研究者、養蜂家、花粉交配用蜜蜂の利用者、都道府県の担当者などから成る「みつばちの不足問題に関する有識者会議」を2回開催しました。この会議での意見に基づいて、農林水産省は、次の対策を講じました。
  
    ・  蜜蜂の減少の原因を科学的に明らかにするための調査研究の実施
    ・  都道府県の範囲を超えて花粉交配用蜜蜂の蜂群の需給調整を行うための「需給調整システム」の
       立ち上げ
  
  2008年から2009年にかけて国内で蜜蜂が十分に繁殖できなかったため、2009年度中に、ダニ、病気、ストレス、農薬など幅広い視点から調査する研究を農林水産省が実施しましたが、その原因は特定できませんでした。巣箱の周辺で死んでいた蜂からネオニコチノイド系農薬が検出された事例もありましたが、ダニや病原菌の影響が示唆された事例もありました。また、花粉交配の目的で高温になる温室の中で使用されることがストレスとなっていることも示されました。この研究の報告書は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産研究部門のホームページから入手できます。
   *2015年4月1日より独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所から現在の名称に変更
   ※「ミツバチ不足に関する調査研究報告書」(外部リンク)

  また、2009年から花粉交配用蜜蜂の需給を都道府県間で調整するようにした結果、2010年以降花粉交配用蜜蜂の不足は見られなくなりました。

 

Q3.  日本では、農薬による蜜蜂の被害はどの程度発生しているのですか。

A3.

農林水産省は、2013年度から、蜜蜂の被害事例について、以前よりも詳細な調査を行いました。

  我が国における農薬の使用に伴って発生した疑いのある蜜蜂の被害事例は、2012年度以前は、毎年、全国で数件程度の報告がありましたが、それらの事例と原因との関係についての十分なデータは得られていませんでした。
  そこで、農林水産省は、国内外で関心の高い農薬と蜜蜂の被害発生との関連性を把握し、事故の発生要因を考慮した被害軽減対策を策定するため、農薬が原因と疑われる蜜蜂数の顕著な減少や大量の死虫の発生事例を2013年度から2015年度までの3年間調査することとしました。
  なお、蜜蜂の被害軽減対策を考えるためには、被害の発生状況をより正しく知り、被害の発生要因を明らかにする必要があります。具体的には、蜜蜂の被害の程度や発生時期、病気の有無、周辺での作物の栽培状況、農薬の使用状況などの情報が必須です。
  このため、調査を開始する前に、養蜂家から農林水産省への報告経路や報告項目などの手順を明確にしました。
  具体的には、まず、都道府県の養蜂担当部局や家畜保健衛生所などが、被害の状況、ダニ、ウイルスへの感染の有無などの調査を実施し、その結果、農薬が原因である可能性がある場合は、農薬の使用の指導を担当する部局が、周辺農地の農薬の使用状況の調査を実施することとしました。
  また、2013年度からは、被害の報告とともに、巣箱の周辺から、瀕死または腐敗の有無等から判断して死後間もないと考えられる蜜蜂が入手できる場合には、農薬を浴びたかどうかを確認するための試料として採取し、分析機関に送付してもらうよう依頼しました。 

2013年度には69件、2014年度には79件、2015年度には50件の被害の報告がありました。

  2013年度(2013年5月30日~2014年3月31日)、2014年度(2014年4月1日~2015年3月31日)及び2015年度(2015年4月1日~2016年3月31日)に、蜜蜂の被害について都道府県から、それぞれ69件、79件及び50件の報告がありました。都道府県に被害を報告した蜂場(養蜂家が巣箱を置いた場所)に被害発生当時置かれていた巣箱数の合計は約3,000箱で、前年の8~9月の全国の巣箱数(おおよそ40万箱)の1%未満にあたります。
  2012年度までの10年間では毎年数件、多い年でも10件程度の報告でした。(※) 農林水産省は2013年5月に、蜜蜂の被害をより正確に知るために、行政に連絡してもらう蜜蜂の異常の状況を明確にするとともに、養蜂家に対して異常を報告してもらうよう呼びかけを強化しました。その結果、養蜂家の協力が得られたため、これまでより多くの事例が報告されたものと考えています。
  専門家によれば、農薬による蜜蜂の被害の特徴は、巣門(巣箱の入り口)の前に死虫が観察されることであり、2013年度から2015年度までの被害報告では、巣の周辺で採取される1巣箱当たりの死虫数が1,000~2,000匹という比較的小規模な事例が多くを占めていました。
   
    一般に巣箱1箱当たり数万匹の蜜蜂がいるとされており、女王蜂は多いときには1日に
    2,000個程度の卵を生んでいます。巣の蜜蜂数が多少減少しても、養蜂家の飼養管理
    により、蜂群が維持・回復するといわれています。また、働き蜂の寿命は、約1ヶ月(夏季)
    といわれています。

  ※  農林水産省が、農薬の使用に伴う事故及び被害の実態を把握するため、農薬によるヒトの中毒事故、農作
       物、家畜、水産動物の被害などを対象に都道府県から毎年報告される情報から、蜜蜂の事故事例を抜き出
       して集計したものです。(「農薬の使用に伴う事故及び被害の実態調査」)

  被害の発生は水稲のカメムシ防除の時期に多いこと、巣箱の周辺で採取された蜜蜂は、殺虫剤を直接浴びた可能性が高いことが分かりました。

被害の発生は水稲のカメムシ防除の時期に多いこと、巣箱の周辺で採取された蜜蜂は、殺虫剤を直接浴びた可能性が高いことが分かりました。

  被害の発生は、水稲のカメムシを防除する時期に多く、巣箱の周辺で採取された死虫からは各種の殺虫剤が検出されましたが、それらの殺虫剤の多くは水稲のカメムシ防除に使用することが可能なものでした。このことから、分析に供した死虫が、水稲のカメムシ防除に使用された殺虫剤を直接浴びた可能性が高いと考えられます。
  また、周辺に水稲が栽培されていない地域及び水稲のカメムシ防除の時期以外でも被害事例の報告があり、巣箱の前で採取された蜜蜂の死虫サンプルから殺虫剤の成分が検出されましたが、周辺で使用された殺虫剤や周辺で栽培された作物等の情報は不十分でした。
  従って、蜜蜂被害の主な原因として、水稲のカメムシ防除に用いられる殺虫剤やその他の殺虫剤のうち、どの殺虫剤が蜜蜂の被害を発生させているのかを特定することはできませんでした。
  調査の終了後も、農林水産省は都道府県の行う対策が有効であったかどうかの検証等のために、毎年、都道府県ごとに被害の件数などを把握します。

  <詳細は以下をごらんください>
   「蜜蜂被害事例調査(平成25年度~平成27年度)」

 

Q4.  農薬による蜜蜂の被害を防ぐため、日本ではどのような対策がとられているのでしょうか。

A4.

蜜蜂に対する影響試験の結果に基づき、農薬を使用する際に注意すべき事項をラベルに記載することが定められています。

  農林水産省は、農薬登録の前に、農薬の成分を蜜蜂の体に塗布したり、砂糖水に混ぜて蜜蜂に与えたりして、蜜蜂に対する影響を試験して、その結果を登録申請の際に提出するよう、農薬の開発者に求めています。
  試験の結果、その農薬成分の蜜蜂に対する毒性が比較的強い(例えばその成分を20%含む薬剤を1000倍に薄めた散布液が1匹あたり1滴分(約0.05 ml)付着しただけでも試験に供した蜜蜂の半数が死んでしまう程度)ことが判明すれば、
   1)散布の際に巣箱及びその周辺にかからないようにする
   2)養蜂が行われている地区では周辺への飛散に注意する等、ミツバチの危害防止に努める
などの注意事項を、その農薬のラベルに表示しなければなりません。
  2015年7月に、農薬を使用する農家と養蜂家の間での情報交換をより頻繁に実施するため、農林水産省は、蜜蜂に対する注意事項のうち、上記2)の注意事項の記載を以下の内容に見直すよう、農薬製造者・販売者に要請しました。

「関係機関(都道府県の農薬指導部局や地域の農業団体等)に、周辺で養蜂が行われているかを確認し、養蜂が行われている場合は、関係機関へ農薬の散布時期などの情報を提供し、ミツバチの危害防止に努める。」

  農林水産省が、農薬製造者・指導者に注意事項の見直しを要請してからおよそ1年が過ぎた時点で(2016年10月末現在)、注意事項の記載内容の見直しは、該当農薬製剤約950のうち、7割弱で注意事項の記載が変更されていました。

  現在、我が国で農作物に広く使用されている有機リン系、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系などの殺虫剤の場合、散布液が0.001~0.0001 ml(1滴の数十分の1~数百分の1)付着しただけでも蜜蜂が死ぬ可能性があるので、上記の注意事項を守って使用するよう、都道府県を通じて農家を指導しています。

蜜蜂に農薬がかかるのを防ぐため、農家と養蜂家との間の連絡を密にするように指導しています。

  養蜂家の方が季節によって花のある地域へと巣箱を移動させることがあるので、農家が農薬を使用するときに、蜜蜂の巣箱が近くにある場合もない場合もあります。そこで、農林水産省は、都道府県を通じて、農薬を使用する農家と養蜂家との間で、巣箱の位置及び設置時期や、農薬の散布時期などの情報を交換し、巣箱を退避するなどの対策を講じるよう指導しています。
  この指導に基づき、養蜂の盛んな地域を中心に、各地で以下のような取組が行われています。

    ・  養蜂組合等が、巣箱マップや養蜂家の連絡先などを、周辺農家や、市町村、農協、無人ヘリコプターに
        よる防除を実施する者などに提供する。農薬の散布前には農家が周辺の養蜂家に連絡する。
    ・  普及指導センターや農協が、当該地域の農薬の使用時期や無人ヘリコプターによる防除の計画を、養
        蜂組合等を通じて、あらかじめ養蜂家へ提供する。
    ・  普及指導センターや農協が農薬危被害防止の目的で定期的に開催する協議会等に養蜂組合等が参
        加し、養蜂家からの情報を積極的に伝達する。
 
  2013年度及び2014年度に蜜蜂の被害があったと農林水産省に報告された事例の中には、現場レベルでの指導が徹底しておらず、農薬使用者と養蜂家との間で巣箱の設置場所や農薬の使用時期などの情報共有がなされていないものも少なからずありました。
  このため、都道府県の養蜂担当部局が養蜂組合の協力を得て、巣箱の設置される可能性のある場所の情報を農薬使用指導部局・農業団体に伝えていただき、養蜂家と農薬使用者の情報の共有が徹底されるよう、あらためて都道府県に指導しました。
    
  水稲のカメムシ防除の多くは無人ヘリコプターを用いて行われています。農林水産省は、2015年度より、さらなる情報共有を図るため、無人ヘリコプターで農薬を散布する者が提出した実施計画に基づき、その情報を都道府県の農薬使用指導部局から養蜂担当部局を通じ養蜂組合等に提供するよう、都道府県を指導しています。

蜜蜂の被害を減らすために、各地域で有効な対策が取られていますが、課題もあります。

  蜜蜂の被害を軽減させるためには、農林水産省が、2013年度から2015年度に行った蜜蜂被害事例調査の中で都道府県に指導してきた以下の対策が有効であることがわかりました。
  ア) 農薬使用者と養蜂家の間の情報共有
    ・  養蜂家は、巣箱の設置場所等の情報を農薬の使用者と共有する。
    ・  農薬の使用者は、農薬を散布する場合は、事前に、散布場所周辺の養蜂家に対し、その旨を連絡する。
         等
  イ) 養蜂家による対策(巣箱の設置場所の工夫・退避)
    ・  水田に囲まれた場所や、周辺に水稲以外の花粉源が少ない場所では、巣箱を置かないようにするか、
       水稲の開花期に巣箱を退避する。  等
   ウ)農薬使用者による対策(農薬の使用の工夫)
    ・  蜜蜂の活動が盛んな時間帯(午前8~12時)の農薬散布を避け、できるだけ早朝、または夕刻に散布す
       る。
    ・  蜜蜂にかかる可能性の低い粒状の殺虫剤を使用する。 等

  また、農林水産省は2014年度及び2015年度に被害件数の多かった都道府県と意見交換を行い、調査の中で有効であることが明らかとなった対策を参考に、地域の実態に合わせた取組を推進するよう、助言・指導を行いました。

  一方、北海道における被害事例の報告数は、35件/69件(平成25年度)、27件/79件(平成26年度)、29件/50件(平成27年度)となっており、被害が減少しませんでした。
  北海道では、「農薬使用者・養蜂家間の情報共有」等の取組は進んでいるものの、「巣箱の設置場所の工夫・退避」に関する取組は進んでいません。
  なお、北海道からは、「巣箱の設置場所の工夫・退避」を実施できなかった理由として、「採蜜が可能な巣箱の退避先がない」、「退避には労力が必要」、「費用対効果を考えて、動かない」との報告も寄せられています。
  北海道は必要な対策に取り組んでいくこととしています。

蜜蜂の被害を減らすための取組を、今後も引き続き推進していきます。

  農林水産省は、今後、以下のような、蜜蜂の被害の軽減に取り組んでいきます。
    ・  都道府県による対策の継続的な実施を促進する。
    ・  水稲のカメムシを防除する時期(7月~9月頃)には、対策の実施を徹底し、注意喚起を行うため、都道
        府県に対し、通知を発出する。その際、水稲以外の作物についても、情報共有等の対策を行うよう注意
        喚起を行う。

  北海道は、自ら農薬散布回数の削減や、巣箱を退避させることが可能な場所の確保の検討等の対策を推進します。

  農林水産省は、上記の対策が有効であったかどうかの検証等のために、毎年、都道府県ごとに被害の件数等を把握します。
  また、引き続き、国内外の知見を収集するとともに、効果的な被害軽減対策を確立するために必要な調査研究を行っていきます。

 

Q5.  EUにおいて、ネオニコチノイド系農薬の使用が制限されることとなったとのことですが、その内容はどのようなものですか。

A5.

ネオニコチノイド系農薬のうち3種類を、種子処理や土壌処理に使用すると、蜜蜂に悪影響を与える可能性があると述べられています。

  欧米では畑地での大型機械による播種作業が多く行われており、種子処理(※1)の際に種子にコーティングされた農薬が剥がれ落ちたり、土壌処理(※2)で粒状の農薬が土壌に施用する際に壊れたりして、農薬の混じった土が粉塵状に巻き上げられることがあります。そのため、種子や土壌処理だけに農薬を使用しても、開花期に散布する場合と同様に周辺の花に蜜や花粉を集めに来ていた蜜蜂に粉塵状の農薬が付着し、蜜蜂に被害が生じる可能性があります。また、農作物や周辺の作物に農薬が吸収されて、その花粉や蜜を介して蜜蜂に被害が出たりする可能性もあるといわれています。
  このような懸念から、蜜蜂への悪影響に関して、2013年1月、EUのリスク評価機関である欧州食品安全機関(EFSA)は、3種類のネオニコチノイド系農薬の評価を実施しました。EFSAは、これらの農薬を種子処理や土壌処理に使用すると、その結果として蜜蜂に被害が出る可能性があると述べています。

   ※1 種子処理とは、種子の表面に農薬の粉末をまぶしたり、農薬の溶液に種子を浸したりして 
         種子の表面に農薬を付着させることをいいます。害虫防除の目的で農薬をこのような方法で
         使用することは、日本ではあまり一般的ではありませんが、EUでは、省力的な害虫対策
         として広く使用されています。
   ※2 土壌処理とは、粒状の農薬を作物ではなく土壌に散布することを言います。機械による
         播種作業では、種子をまく溝の中に同時に散布されるのが一般的です。 

欧州委員会は、これらのネオニコチノイド系農薬について、蜜蜂の被害につながる 可能性のある方法では使用させないことにしました。

  欧州委員会は、2013年5月24日に、蜜蜂を保護する目的で、これら3種類のネオニコチノイド系農薬について、次のように使用の一部を制限することを決めました。
    ・  穀物や蜜蜂が好んで花を訪れる作物については、種子処理、土壌処理又は茎葉散布(農薬を作物に直
       接噴霧すること)による使用はできなくなります。
    ・  施設栽培における使用や、花が終わった後に収穫する野菜・果樹に対する使用は、農家や防除業者で
       あれば可能です。(家庭園芸用等では使用できません。)
                                  (下の表も参考としてください。)
     
  これらの措置は、2013年12月1日より実施されています。EFSAは、これらの措置の導入の際に、2年以内に新たな科学的知見に基づく評価を開始することとしており、欧州委員会は、2015年5月22日に、これらネオニコチノイド系農薬の蜜蜂へのリスクに関する新たな科学的知見(データ)を提出するよう、加盟国政府や農薬メーカー等に幅広く要請しました。
  EFSAは、今後、提出された新たなデータの評価を行い、2017年1月までに蜜蜂へのリスク評価を更新することとしています。
 
 
 農家及び防除業者の使用
 
農家及び防除業者以外の使用
(家庭園芸用等)
 土壌処理/種子処理
茎葉散布
蜜蜂の嗜好性が高い作物
  • 種実を利用する作物(菜種、ひまわり、とうもろこし、各種果菜類・果樹等)
  • 栽培期間中に開花する作物(マメ科牧草等)
 一部制限
 
(施設栽培での使用及び開花期の後に使用するものは可)
 不可
とうもろこし以外の穀類
(1月 ~ 6月に播種するもの)
稲、小麦、大麦等
 不可
 不可
とうもろこし以外の穀類
(7月 ~ 12月に播種するもの)
冬小麦等
 可
上記以外の作物
開花前に収穫する作物
(葉菜類、タマネギ等)
 可

フェニルピラゾール系農薬のフィプロニルについても、使用の一部制限が決められました。

  3種類のネオニコチノイド系農薬で使用の一部が制限された種子処理(前のページ参照)に使用するフェニルピラゾ-ル系農薬のフィプロニル※についても、蜜蜂に被害が出る可能性があると、欧州食品安全機関(EFSA)は、2013年3月に公表した評価結果で述べています。これを受けて、欧州委員会は、2013年8月14日に、施設内で播種される種子や、開花前に収穫する野菜の種子以外の種子へのフィプロニルの使用を制限することを決めました。これらの措置は、2014年3月1日より実施されています。また、遅くとも2年以内に、農薬製造者から提出される追加データなどを参考に、措置を見直すこととなっています。
  なお、我が国では、フィプロニルの野菜や花きへの散布剤としての使用を認めていますが、使用する際には蜜蜂の被害を防止するため「蜜蜂を放飼している地域では使用はさける」旨の注意事項を付すこととしています。また、水産動植物への影響が懸念されるため、水稲では育苗箱に施用する方法でだけ使用を認めています。なお、水稲の葉面への散布は認めていません。

  ※フィプロニルは他の多くの農薬と比較して蜜蜂のみならず、ヒト、水産動植物への毒性が高いことが知られ
     ています(Q7の表を参照)。 

 

Q6.  米国において、ネオニコチノイド系農薬の使用が制限されることとなったとのことですが、その内容はどのようなものですか。

A6.

米国環境保護庁(EPA)は、4種類のネオニコチノイド系農薬の新たな使用方法を承認しないこととしました。

  米国で農薬の登録審査を行う機関である環境保護庁(EPA)は、2015年4月2日に、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフランの4種類のネオニコチノイド系農薬に対し、新たな使用方法については承認しないことを公表しました。
  なお、既に登録されている使用方法を変更する予定は、今のところないとのことです。
  EPAは、ネオニコチノイド系農薬の再評価をすすめており、その中で、新しい蜜蜂の安全に係る試験を要求しています。そのデータが提出され、それに基づいた花粉媒介者へのリスク評価が終わるまでは、野外での新たな使用方法を承認しないことを、ネオニコチノイド系農薬の登録メーカーに通知しました。
  4種類のネオニコチノイド系農薬の再評価が終了するのは、2017年から2018年とされています。 

以前に承認された使用方法は変わりません。

  この措置の対象となるのは、以下の場合であり、既に登録されている使用方法には適用されません。
    ・  新たな使用方法(適用される作物グループの拡大も含む)
    ・  使用方法の追加(例:航空機による防除)
    ・  試験での使用
    ・  新たな地域限定登録
  また、この措置は暫定的なものであり、対象の農薬でしか対処できないような甚大な害虫の被害が新たに生じた場合には、緊急の農薬使用を認めるかどうかを検討することとなっています。

  

Q7.  これらのネオニコチノイド系農薬は、日本でどのように使われているのですか。
A7.

稲、果樹、野菜などに、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフランが幅広く使用されています。

  これら4種類のネオニコチノイド系農薬は、カメムシ、ウンカ、アブラムシ、コナジラミ、ハモグリガなど、主要な害虫に対して優れた防除効果があります。これらの農薬を使用することができる作物も、稲、果樹、野菜など幅広く、農家による害虫の防除に欠かせません。
  我が国では、農薬を表面に付着させた種子をまくという使い方は害虫対策として一般的ではありません。粒剤の土壌処理、水で希釈した散布液の茎葉散布、動力散布機につないだホースからの粉剤の散布などの方法で使用されています。

水稲のカメムシ防除に重要な農薬です。

  稲の花が開花して受粉し、乳液状のデンプンが籾にたまり始カメムシと斑点米めると、カメムシがこれを好んで吸いに来ます。カメムシに吸われた米粒は、成熟が止まってしまったり、吸われた痕が黒くしみになったりします(右の写真)。このような米が混じると、米の商品価値が著しく下がってしまうので、カメムシを確実に防除する必要があります。
  これらのネオニコチノイド系農薬は、カメムシのような吸汁害虫に対して優れた防除効果を持つ殺虫剤です。カメムシの防除に使われる他の殺虫剤に比べて、人に対する毒性が弱いので、水田で働く人が自分の健康や米を食べる人の健康を考慮にいれた場合に使いやすいのです。 水生生物に対する毒性も弱く、水田の下流に位置する河川や養魚池などへの影響を心配する必要もありません。また、他の殺虫剤の中には、油に溶けやすく、稲に使用すると稲わらを餌とする家畜の肉などに残りやすいため、使用時に注意が必要なものもあります。しかし、ネオニコチノイド系農薬は、油に溶けにくく畜産物に残りにくいものがほとんどです。
  ネオニコチノイド系農薬はこのような特性を持っているため、水稲のカメムシ防除の場面で広く利用されています。



我が国では、このほかにも、3種類のネオニコチノイド系農薬が登録されています。

  我が国では、このほか、ニテンピラム、アセタミプリド及びチアクロプリドが農薬登録されています。これらの殺虫剤も、さまざまな農作物に使用されています。

<殺虫剤の蜜蜂、人、水生生物への毒性>
数値が小さいほど毒性は強い。
 
 ミツバチ
 ヒト
 コイ
ミジンコ 類
藻類 
付着で半数死亡する量
(48時間  μg/頭)
 一日摂取許容量
(mg/kg 体重/日)
急性参照用量
(mg/kg 体重) 
半数死亡する水中濃度
(96時間  mg/L)
半数の遊泳を阻害する水中濃度
(48時間  mg/L)
半数の成長を阻害する水中濃度
(72時間  mg/L)
 短期毒性の
指標
長期毒性の指標
短期毒性の指標
短期毒性の
指標
短期毒性の
指標
短期毒性の
指標
ネオニコチノイド系殺虫剤  イミダクロプリド
 0.045
 0.057
 0.1
 170
 85
 > 99
 クロチアニジン
 0.044
 0.097
 0.6
 > 100
 40
 > 270
 チアメトキサム
 0.024
 0.018
 0.5
 > 120
 > 100
 > 91
 ジノテフラン
 0.023
 0.22
 1 注4
 > 97
 > 970
 > 97
 ニテンピラム
 0.071
 0.53
 0.6
 > 100 注6
 > 100
 41
 アセタミプリド
 (8.09) 注2
 0.071
 0.1
 > 100
 50
 > 100
 チアクロプリド
 > 100
 0.012
 0.03 注4
 > 97
 > 97
 > 97
その他(稲のカメムシ防除散布剤)注1
エチプロール
(フェニルピラゾール系)
 0.013
 0.005
 0.35 注4
 > 14
> 8.3
 > 16
MEP 
(有機リン系)
 (0.16) 注3
 0.0049
0.04 注4
 3.6
 0.0045
2.2
PAP 
(有機リン系)
0.12
0.0029
注5
1.85
0.00023
> 7.04
エトフェンプロックス
(ピレスロイド系)
 0.031
0.031
1
 0.14
 0.0036
 > 0.05
シラフルオフェン
(ピレスロイド系)
0.001
0.11
注5
> 795.2
0.00067
> 0.018
その他(稲のカメムシ防除散布剤以外の殺虫剤)
注1
フィプロニル
(フェニルピラゾール系)
0.006 
0.00019
0.02
0.43
0.19
> 0.14
ダイアジノン
(有機リン系)
(0.24)注3
0.001
0.03 注4
10.5
0.00023
13.7
フェンプロパトリン
(ピレスロイド系)
0.049
0.026
0.03 注4
0.015
0.080
> 0.014
オキサミル
(カーバメート系)
0.47
0.02
0.009 注4
23.8
0.32
1.89

 
出典: 食品安全委員会による食品健康影響評価、諸外国及びFAO/WHO合同残留農薬専門家会合(JMPR)による評価結果、農薬抄録等
注1: フィプロニル以外は、各系統の殺虫剤で広く使用されている代表的なものを挙げた。
注2: 投与後72時間後までに半数死亡する量
注3: 投与後24時間後までに半数死亡する量
注4: 諸外国及びJMPRによる評価結果(無印は食品安全委員会等による評価結果)
注5: 諸外国(米国、欧州、豪州)やJMPRでも未設定
注6: ヒメダカによる試験

  

Q8.  日本でもEUと同様にネオニコチノイド系農薬の使用を制限しなくてもいいのですか。

A8.

我が国では、欧米のように農薬の粉塵が広範囲に巻き上がるような方法では播種していないため、種子処理や土壌処理への使用の制限は不要です。

  欧米では畑地での大型機械による播種作業が多く行われており、種子処理(※1)の際に種子にコーティングされた農薬が剥がれ落ちたり、土壌処理(※2)で粒状の農薬が土壌に施用する際に壊れたりして、農薬の混じった土が粉塵状に巻き上げられることがあります。そのため、種子や土壌処理だけに農薬を使用しても、開花期に散布する場合と同様に周辺の花に蜜や花粉を集めに来ていた蜜蜂に粉塵状の農薬が付着し、蜜蜂に被害が生じる可能性があります。また、農作物や周辺の作物に農薬が吸収されて、その花粉や蜜を介して蜜蜂に被害が出たりする可能性もあるといわれています。
  このような懸念から、蜜蜂への悪影響に関して、2013年1月、欧州食品安全機関(EFSA)は、3種類のネオニコチノイド系農薬(イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム)の評価を実施しました。これを受けた欧州委員会は、種子処理 や土壌処理に使用可能であったこれらの農薬について、以下の措置を決定しました(2013年12月1日より実施)。
    ・  穀物や蜜蜂が好んで花を訪れる作物については、種子処理、土壌処理又は茎葉散布(農薬を作物に直
       接噴霧すること)による使用は不可。
    ・  施設栽培における使用や、花が終わった後に収穫する野菜・果樹に対する使用は、農家や防除業者で
       あれば可能。(家庭園芸用等では使用は不可。)

  我が国では、ネオニコチノイド系農薬を、水稲の育苗箱に使用したり、作物の茎葉へ散布したりするのが一般的ですが、イミダクロプリドはテンサイ、トウモロコシの種子処理に、チアメトキサムは果菜類、葉菜類の種子処理に使用可能です。しかし、欧米のように粉塵が広範囲に巻き上がるような方法の播種は行わないため、粉塵についての懸念はほとんどありません。このため、種子処理や土壌処理への使用の制限は不要です。

  今後、我が国でも、欧米のように広範囲に農薬の粉塵が巻き上がるような播種法が一般的になったり、蜜蜂の被害が増加したりすれば、使用の制限を検討する必要があります。 

  ※1  種子処理とは、種子の表面に農薬の粉末をまぶしたり、農薬の溶液に種子を浸したりし
      て、種子の表面に農薬を付着させることを言います。害虫防除の目的で農薬をこのような
      方法で使用することは、日本ではあまり一般的ではありませんが、EUでは、省力的な害
      虫対策として広く使用されています。
   ※2  土壌処理とは、粒状の農薬を作物ではなく土壌に散布することを言います。機械による
      播種作業では、種子をまく溝の中に同時に散布されるのが一般的です。 

我が国では、ネオニコチノイド系農薬は水稲のカメムシ防除に重要です。

  我が国では、水稲は主要な作物で、夏の蜜蜂が利用できる花が少ない時期に開花することから、蜜蜂が水稲の花粉を求めて水田を訪れることが報告されています。
  一方、稲の花が開花して受粉し、乳液状のデンプンが籾にたまり始めると、カメムシがこれを好んで吸いに来ます。カメムシに吸われた米粒は、成熟が止まってしまったり、吸われた痕が黒くしみになったりし、いわゆる斑点米ができてしまいます(下の写真)。斑点米は、米の商品価値を著しく下げるため、開花期とその前後(※3)でのカメムシの防除は米の生産において重要です。これらのネオニコチノイド系の殺虫剤(イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフラン)も、他の系統のいくつかの殺虫剤と同様にカメムシのような吸汁害虫に対して優れた防除効果を持ちます。

   (※3  開花期直前~開花期後2週間程度)

     hanten

これらの農薬はカメムシ防除に用いられる他の殺虫剤に比べて、人や水生生物に対する毒性が弱いです。

  これらのネオニコチノイド系農薬は、カメムシの防除に使われる他の殺虫剤に比べて、人に対する毒性が弱いので、水田で働く人が自分の健康や米を食べる人の健康を考慮にいれた場合に使いやすいのです。水生生物に対する毒性も弱く、水田の下流に位置する河川や養魚池などへの影響を心配する必要もありません。他の殺虫剤の中には、油脂に溶けやすく、稲に使用すると稲わらを餌とする家畜の肉などに残りやすいため、使用時に注意が必要なものもあります。しかし、ネオニコチノイド系農薬は、油脂に溶けにくく畜産物にはあまり残留しません。
  ネオニコチノイド系農薬はこのような特性を持っているため、水稲のカメムシ防除の場面で広く利用されています。

農薬を使用する農家と養蜂家との情報共有、それぞれが行う対策の徹底により、蜜蜂の被害が生じないよう、農薬を使用することが重要です。

  現在のところ、水稲のカメムシ防除において、カメムシだけに優れた防除効果を持ち、蜜蜂への悪影響が全くない殺虫剤は開発されていません。このような農薬を開発するよう奨励するとともに、農薬を使用する水稲農家と養蜂家との情報共有の徹底、養蜂家の行う巣箱の設置場所の工夫・退避、農家の行う農薬の使用の工夫等の対策の徹底により、蜜蜂の被害ができるだけ生じないように、農薬を使用していくことが重要です。

 

Q9.  農薬による蜜蜂の被害を防ぐため、今後どのような対策を行っていくのですか。

A9.

我が国では、水稲のカメムシ防除で殺虫剤を使用する時期に、農薬が原因と考えられる蜜蜂の被害が多く報告されています。

  我が国では、夏に水稲のカメムシ防除を目的として殺虫剤を使用する時期に、蜜蜂の被害が多く報告されています。これは、夏には、蜜蜂が利用できる花が少なく、稲の花粉を求めて蜜蜂が水田を訪れることと関連しているのではないかといわれてきました。
  2013年度から2015年度に農林水産省が行った蜜蜂被害事例調査では、農薬が原因と考えられる蜜蜂の被害の発生は、水稲のカメムシを防除する時期に多く、巣箱の周辺で採取された死虫からは各種の殺虫剤が検出されました。それらの殺虫剤の多くは水稲のカメムシ防除に使用することが可能なものでした。このことから、分析に供した死虫が、水稲のカメムシ防除に使用された殺虫剤を直接浴びた可能性が高いと考えられます(※1)。
  また、農林水産省が2010年度から2012年度に行った試験研究においても、水田地帯で発生する蜜蜂被害の原因解明に取り組み、カメムシ防除のための殺虫剤を浴びたことが疑われる蜜蜂の被害が生じている水田周辺地域の蜂場を選定して、カメムシ防除の時期に蜜蜂が受ける影響や蜜蜂が浴びた殺虫剤の量等を調査しました。その結果、このような蜂場での巣の周辺の死虫の発生などの蜜蜂被害は、水稲のカメムシ防除に使用される殺虫剤を浴びたことが原因である可能性が高いことが明らかになりました。さらに、蜜蜂は水稲の花粉を収集していたことから、蜜蜂は水田を訪れることが裏付けられました(※2)。

<詳細は以下をごらんください>
  「蜜蜂被害事例調査(平成25年度~平成27年度)」(※1)
  「夏季に北日本水田地帯で発生が見られる巣箱周辺でのミツバチへい死の原因について」(※2) 

農薬を使用する農家と養蜂家との情報共有、それぞれが行う対策の徹底により、蜜蜂の被害が生じないよう、農薬を使用することが重要です。

  現在のところ、水稲のカメムシ防除において、カメムシだけに優れた防除効果を持ち、蜜蜂への悪影響が全くない殺虫剤は開発されていません。このような農薬を開発するよう奨励するとともに、農薬を使用する水稲農家と養蜂家との情報共有の徹底、養蜂家の行う巣箱の設置場所の工夫・退避、農家の行う農薬の使用の工夫等の対策の徹底により、蜜蜂の被害ができるだけ生じないように、農薬を使用していくことが重要です。 

農林水産省は、新たな知見の収集、必要な調査研究を推進していきます。

  2013年度から2015年度の調査で、死虫に含まれる農薬の分析に基づく原因解析を行うことができたのは、調査対象のうち、巣箱の周辺で死虫が確認された事例のみでした。蜜蜂が巣箱からいなくなった事例に対しては、現時点では調査の方法が確立していませんが、近年、複数の国で、蜜蜂に小型の無線ICチップを取り付けて、行動を把握するという研究も進められています。我が国の企業も超小型無線システムの開発に際し技術提供を行っています。このような技術が実用化され、位置情報の把握により、農薬を浴びたか否かや浴びた場所の把握が可能になれば、蜜蜂が巣箱からいなくなった事例についての原因究明の一助になると考えています。
  また、蜜蜂の減少の主な要因として、欧米豪では、「ダニ等の寄生虫や害虫」、「病気」、「栄養不足」、「農薬」、「周辺環境の変化」、「異常気象」などが挙げられており、いくつかの要因が複合的に影響していると考えられています。蜜蜂被害を減少させるためには、総合的に原因究明を行っていく必要があると考えています。
  なお、ダニや病気による蜜蜂への悪影響を防ぐため、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産研究部門の蜜蜂の研究者、大学の研究者や各地の養蜂家が共同で、養蜂家向けに「養蜂マニュアル」(PDF:3,689KB)を刊行し、蜜蜂の衛生管理対策をとるように勧めています。
  農林水産省は、今後も、蜜蜂の被害を防ぐために、新たな知見の収集に取り組むとともに必要な調査研究を推進していきます。

  *2015年4月1日より独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所から現在の名称に変更

お問い合わせ先

消費・安全局農産安全管理課農薬対策室
代表:03-3502-8111(内線4500)
ダイヤルイン:03-3501-3965
FAX:03-3501-3774

 

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