食品からの硝酸塩の摂取量
硝酸塩の摂取量
- 平成12年12月14日、厚生労働省食品衛生調査会毒性・添加物合同部会に、年齢層別食品添加物の1日摂取量の調査結果(食品添加物一日摂取量総点検調査報告書)が報告されました。この調査は、食品添加物として利用されている100種類の化合物について、年齢層別の摂取量を算出したものです。硝酸塩の摂取量は、許容一日摂取量(ADI)を上回る結果となっています。
- この硝酸塩の総摂取量のうち、添加物としての硝酸塩は、そのうちわずかで、野菜由来のものがほとんどでした。ADIは添加物としての硝酸塩に対して設定されているので、野菜由来の硝酸塩摂取量とADIを直接比較するのは適当でないと考えられます。
- また、この調査は、購入した食品をそのまま分析して、その結果に年齢別の平均接食量を乗じて、硝酸塩の摂取量を出しています。実際は、水洗いしたり、調理したりする過程で硝酸塩の濃度が低くなるため、実際の摂取量はもっと少ないと思われています。
- 報告書には、以下のように書かれています。
- 硝酸塩の摂取については、FAO/WHO合同食品添加物専門家会合(JECFA)においても評価されており、「硝酸塩の摂取量は主に野菜に寄与している。しかしながら、野菜を摂取することの利点はよく知られており、硝酸塩の生物学的利用能において野菜がどのような作用を持っているのかは明らかでなく、野菜から摂取する硝酸塩の量をADIと直接比較することや、野菜中の硝酸塩量を限定することは適切ではない。」と報告されている。
- 硝酸塩については、元々野菜に含まれている天然の硝酸塩に起因するものがほとんどであり、添加物に由来するものはごく僅かであることが本調査においても確認された。食品としての野菜の有用性、これまでの食経験、知識等から考えると、現時点で問題があるとは言えない。
- 本調査においては、水洗い、加熱等の調理加工の過程が考慮されておらず、野菜を水洗い、加熱等をした際には、硝酸塩の含有量が減少すると考えられることから、実際の摂取量は、本調査により算定した推定摂取量よりも可能性がある。より精密な摂取量を算定するためには今後さらに検討が必要である。
ADIに対する年齢別摂取量の比較 | |||||
1~6歳 体重 15.9kg |
7~14歳 体重 37.1kg |
15~19歳 体重 56.3kg |
20~64歳 体重 58.7kg |
65歳以上 体重 53.2kg |
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摂取量(mg) | 129 | 220 | 239 | 289 | 253 |
対ADI比(%)(注) |
218.5 | 160.1 | 114.8 | 133.1 | 128.4 |
(参考)許容一日摂取量(ADI:Acceptable Daily Intake)
許容一日摂取量(ADI)とは、ある物質について、人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量のことです。
通常、1日当たり体重1kg当たりの物質量(mg/kg 体重/日)で表されます。ADIは、食品添加物や農薬等、食品の生産過程で意図的に使用されるものの安全性指標として用いられます。
(参考)野菜中の硝酸塩(硝酸イオン量)は、文部科学省が公表している日本食品標準成分表で知ることができます。
日本食品標準成分表(2020年、八訂)
品目 | 記載データ ※100g当たりの硝酸イオンの重量 |
ほうれんそう | 0.2g(夏採り) 0.2g(冬採り) |
レタス(結球) | 0.1g |
リーフレタス | 0.2g |
サニーレタス | 0.2g |
サラダ菜 | 0.2g |
キャベツ | 0.1g |
こまつな | 0.5g |
しゅんぎく | 0.3g |
セロリ | 0.2g |
チンゲンサイ | 0.5g |
はくさい | 0.1g |
みずな | 0.2g |
食品添加物としての硝酸塩
- 硝酸塩は、我が国では、食品衛生法に基づき、食品添加物としてチーズ、清酒、食肉製品、鯨肉ベーコンにしようが認められています。
- 詳細は、厚生労働省ウェブページをご確認ください。
品名 | 分類 | 使用基準 | |
使用できる食品等 | 使用量等の最大限度 | ||
硝酸カリウム | 発酵調製剤 発色剤 |
チーズ | 0.20 g/L(原料に供する乳1Lにつき) |
硝酸ナトリウム | 清酒 | 0.10g/L(酵母1Lにつき) | |
食肉製品 鯨肉ベーコン |
亜硝酸根としての最大残存量 0.070g/kg |
お問合せ先
消費・安全局農産安全管理課
担当者:土壌汚染防止班
代表:03-3502-8111(内線4507)
ダイヤルイン:03-3592-0306
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