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農林水産省

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食品中のトランス脂肪酸の低減

2018年3月30日更新

食品からトランス脂肪酸をとることによる日本人の健康への影響について、食品安全委員会〔外部リンク〕は、

1. 「通常の食生活では、健康への影響は小さい。」

2. 「ただし、脂質に偏った食事をしている人は、留意する必要あり。」

3. 「脂質は重要な栄養素。バランスの良い食事を心がけることが必要。」

とした上で「食品事業者において、食品中のトランス脂肪酸含有量は近年減少傾向にあるが、一部製品は高いものがみられることから、引き続きその低減に努める必要がある」 と述べています。

食品事業者は、食品の風味や品質を維持するとともに、とり過ぎると健康に悪影響を与えるかもしれない別の成分が増えないように注意しながら、食品中のトランス脂肪酸を減らす努力をしています。

ここでは、食品事業者がより安全な食品を消費者に提供するために進めているトランス脂肪酸の低減対策を紹介します。また、一部の食品事業者は、自社で進めているトランス脂肪酸の低減対策や自社製品中のトランス脂肪酸濃度についての情報をウェブサイトで消費者に提供していますので、参考にしてください。

1.油脂の精製段階

原料から抽出した油脂には、搾りかすや色素等の不純物が含まれています。油脂の風味や色を良くするため、食品製造事業者は、油脂を精製します。実際には、吸着剤を加えて色素を除いたり、真空に近い条件で高温に加熱して好ましくない匂いの成分を除いたりしています注。

注:焙煎ごま油やオリーブ油には、独特の香りや風味を生かすため、搾油後、不純物や水分の除去にとどめている製品もあります。

このうち、真空に近い条件で高温に加熱する処理では、油脂中の脂肪酸の構造が変わりトランス脂肪酸ができることがあります。そのため、製品の品質を保ちつつトランス脂肪酸を増やさないように、各食品製造事業者は、温度や時間、圧力を厳密に管理しています。

2.油脂の加工段階

油脂を加工食品の原料として使用するため、食品製造事業者は精製した油脂を加工することがあります。例えば、油脂を加工して融ける温度を調整することなどにより、他の原材料に混ぜ込みやすくなったり、最終製品の食感がよくなったりします。

加工方法の一つに水素添加(硬化処理)がありますが、それによって油脂中のトランス脂肪酸が増えることがあります。そのため、製品の品質を保ちつつトランス脂肪酸を増やさないように、各食品製造事業者は、エステル交換や分別などの加工技術を選択することで従来の製品よりもトランス脂肪酸の濃度が低いマーガリンやショートニング等を開発しています。なお、消費者庁の「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」〔外部リンク〕では、「食品100 g当たり(清涼飲料水等にあっては100 ml当たり)のトランス脂肪酸の含有量が0.3 g 未満である場合には、0 gと表示しても差し支えない」としています。そこで、含有量が「0 g」と記載している商品もあります。

注:中性脂肪は、グリセリンに多様な脂肪酸が3つ結合したものです。脂肪酸には、炭素の数やシス型、トランス型といった構造の違い等により様々な種類があります。エステル交換は、その脂肪酸を取り換える技術です。また、分別は、様々な種類の脂肪酸が結合した中性脂肪を融点の違いによって分ける技術です。これらの技術を活用することで、トランス脂肪酸が結合していない中性脂肪を得ることができます。

3.油脂を原料とする加工食品の製造段階

製品の風味や品質を維持しつつトランス脂肪酸を増やさないように、各食品事業者は、よりトランス脂肪酸の少ない油脂を使っています。また、従来の製品よりもトランス脂肪酸の濃度が低いパン、菓子類やカレールウなどの食品を開発しています。

引き続き、農林水産省は、食品に含まれるトランス脂肪酸に関する国内外の情報を収集し、消費者や食品事業者の皆様に提供してまいります。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

化学物質管理班
代表:03-3502-8111(内線4453)
ダイヤルイン:03-3502-8731