光反射シート利用によるブドウ「シャインマスカット」増収技術
ポイント
- 光反射シート「デュポンTMタイベック®400WP」使用。
- 光反射シートの樹下全面敷設により果房周辺の積算日射量が増加する。
- 最終着房数を慣行比1.3倍に設定しても果実品質は慣行同等またはそれ以上となり、収量は3割程度増加する。
- 最終着房数を慣行比1.3倍に設定しても花穂整形器の利用や果粒軟化期以降の摘芯作業省略等により、年間作業時間は慣行と同程度となる。
光反射シートを樹下全面に敷設した試験区
撮影日:平成25年8月3日 ※撮影場所:現地調査ほ(宮城県亘理郡亘理町)。
光反射シートの敷設期間は開花前(5月下旬)から収穫直後(10月下旬)までとした。
光反射シートが棚下の積算日射量(MJ/m2)に及ぼす影響(2015年)
各区3樹を供試 ※オプトリーフを棚下の空間6ブロックにそれぞれ設置し、上面と下面から受ける積算日射量を測定 ※測定期間は7月28日から8月12日までとし、測定前に摘芯を実施 ※t検定により、「*」 は5%水準で有意差ありを示す。
光反射シートを開花前に棚下へ敷設することにより、光反射シートからの照り返し(間接光)を受けた葉が、受光体制を変化させる。その結果、棚下へ透過する直接光に加え、光反射シートによる間接光が影響し、棚下20cmから40cmまでの果房周辺の積算日射量が増加する。
光反射シートが収量および果実品質に及ぼす影響(2016~17年)
収穫日は2016年10月3日、2017年10月11日 ※調査房数は各区5房×3反復、果皮色は山梨県のカラーチャート値から判定 ※t検定により、「**」 は1%水準、「*」 は5%水準で有意差があり、「ns」は有意差なしを示す。
光反射シート区は、慣行区より着房数を3割程度多く設定していることから、10a当たりの換算収量は3割程度増収する。 光反射シート区の果実品質は、糖度と果皮色が慣行区より高くなり、その他の品質には差がない。
栽培方法の違いが10a当たりの管理作業時間に及ぼす影響(2016~17年)
労働力は1名で計算 ※花穂整形は、花穂整形器を利用したときの作業時間 ※t検定により、「**」 は1%水準、「*」 は5%水準で有意差があり、「ns」は有意差なしを示す。
光反射シート区の作業時間は、光反射シート敷設により着房数を慣行区より多く設定するため、花穂整形、ジベレリン処理、摘粒・摘房、袋かけの作業時間は増加する。しかし、花穂整形器の利用や果粒軟化期以降の新梢管理の省略により、年間作業時間は慣行区と同程度となる。
農林水産省のコメント
生産が拡大しているシャインマスカットの増収・糖度向上による高品質果実生産技術として、普及が期待できる。
【生産局園芸作物課】
問い合わせ先宮城県農業・園芸総合研究所 企画調整部 |
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