草地における難防除雑草「ハルガヤ」の生育特性と低減対策
ポイント
- ハルガヤは種子生産が非常に早くかつ多い。また、埋土種子の出芽も長期にわたるため短期的な根絶は困難で、草地更新後も再発生のリスクが高い。そのため各種対策を組み合わせ、長期的にその数を低減していくことが必要である
- ハルガヤ低減には埋土種子対策の輪作、播種当年種子を結実させず適期に播種床処理する草地更新法、競合力が強くアレロパシー感受性の低い草種の選択および適切な施肥による維持管理が有効である。
ハルガヤの出穂期の様子(5月始め)
10cmに満たない草丈から出穂開始(05月02日)。
ハルガヤは早い時期から出穂し、種子をつける。
ハルガヤ開花期の様子
ハルガヤの穂で草地が茶色に見える。
種子生産量が多い(10万粒/m2)ので、草地がハルガヤに優占されてしまう。
ハルガヤに対する飼料用とうもろこし用除草剤の効果
左:アトラジン45%・4葉期茎葉処理、右:無処理
ハルガヤに飼料用とうもろこし用除草剤(アトラジン)の効果があるので、草地更新前に飼料用とうもろこしを作付けすることでも減少させることができる。
ハルガヤ播種後の発芽率推移
ハルガヤの種子は越冬後に発芽する場合があるので、再発生のリスクが高い。
草地における施肥量の違いによるハルガヤ構成割合
ハルガヤは、施肥量が少ないと翌年の構成割合が高くなる。また、チモシーではなくオーチャードグラスを作付けすることで構成割合を抑制できる。
ハルガヤの種子生産時期を考慮した草地の更新法
ハルガヤの種子を生産させないために、前年秋または当年5月までにグリホサート系除草剤を処理する。8月の播種前に再度グリホサート系除草剤を処理し、埋土種子から発生したハルガヤを退治する。
ハルガヤ対策後、更新3年目の草地の比較
左:1回刈り後体系処理(従来法) ハルガヤ 10%、右:春夏体系処理(新法) ハルガヤ 0.2%
従来法ではハルガヤが更新当年に種子をつけ、更新後に再発生している(茶色に見える部分がある)。従来法に比較し、新法では更新後の草地におけるハルガヤの構成割合を大幅に下げることができる。
草地雑草『ハルガヤ』の低減対策
ハルガヤ低減対策マニュアルを作成し、配布(PDFでも入手可能)。
農林水産省のコメント
北海道を中心に草地に繁茂したハルガヤが生産性を低下させるため課題となっている。本研究の成果の活用により、ハルガヤ低減対策を進めるなど、草地の適切な維持・管理に期待できる。
【生産局畜産部飼料課】
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