生物農薬タバコカスミカメによる施設栽培大玉トマトのタバココナジラミ防除
ポイント
- タバコカスミカメは、タバココナジラミなどの微小害虫を捕食する天敵昆虫。
- 栽培初期からタバコカスミカメをバンカー植物とともに大玉トマト栽培施設へ導入する。
- 本技術は、タバココナジラミを対象とした化学合成殺虫剤の削減に貢献できる。
- トマト黄化葉巻病が問題となる地域では、耐病性品種を作付けた上で本防除体系を実施する。
- 天敵への影響が小さい選択性薬剤の使用や害虫の侵入防止対策等の総合的な防除対策を実施する。
タバココナジラミ幼虫を捕食する天敵タバコカスミカメ
タバコカスミカメは体長約3mmのカメムシである。長期栽培(8月定植~翌年7月終了)では、栽培初期の気温が高いうちに本天敵を放飼する(トマト2株あたり1頭の割合)。育苗時や定植時に本天敵に影響がある農薬を使用した場合は、その影響期間が過ぎてから放飼する。トマトに定着した本天敵はタバココナジラミを捕食する。
タバコカスミカメの増殖に適した植物(バンカー植物)を施設内へ導入
タバコカスミカメのバンカー植物としてバーベナやクレオメが利用できる。天敵の放飼と同時に、バンカー植物を栽培施設内へ導入する(バーベナの場合は、1a当たり60cmプランター1個を目安)。
現地大玉トマト栽培施設におけるタバココナジラミの発生推移
タバコカスミカメを利用した防除では、慣行防除(農薬中心)で起こりがちな、栽培後期のタバココナジラミの爆発的増加を抑えられた(現地長期栽培2019年8月~2020年7月作、黄化葉巻耐病性品種利用)。
現地大玉トマト栽培施設における防除方法の違いによる化学合成殺虫剤の散布回数及び使用成分数
タバコカスミカメを利用した防除では、慣行防除(農薬中心)に比べ、殺虫剤散布回数を62.5%、使用成分数を75%削減できた(現地長期栽培2019年8月~2020年7月作、黄化葉巻病耐病性品種利用)。
農林水産省のコメント
トマトの重要害虫であるタバココナジラミは農薬抵抗性個体が拡大しており、天敵の利用が期待されている。みどりの食料システム戦略の化学農薬の使用低減に向けた取組にも資する技術である。【農産局園芸作物課】
詳細情報
天敵の利用を核とした施設栽培トマトの新たな害虫防除体系マニュアル-中部地方版-(PDF:2,676KB)【外部リンク】
化学合成殺虫剤を半減する新たなトマト地上部病害虫防除体系マニュアル-個別技術集-(PDF:5,417KB)【外部リンク】
(商品情報)株式会社アグリセクトバコトップ(タバコカスミカメ剤)【外部リンク】
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本研究成果の一部は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代農林水産業創造技術」(管理法人:生研支援センター)によって実施された。
成果に関するお問い合わせ先静岡県農林技術研究所 |
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