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糖含量が高くTDN収量の多いオーチャードグラス中生品種「えさじまん」

ポイント

  • 中生標準品種「ハルジマン」と比較して、水溶性炭水化物(WSC)含量が約3ポイント高い。
  • 中生標準品種「ハルジマン」と比較して、繊維成分(NDF)含量が2.5ポイント低い。
  • 中生標準品種「ハルジマン」と比較して、栄養収量(TDN収量)が9 %多い。
  • 中生標準品種「ハルジマン」と比較して、サイレージ発酵品質が良好である。
  • 中生標準品種「ハルジマン」と比較して、サイレージ給与では乾物摂取量が5 %多く産乳量が4 %多い。

「えさじまん」の水溶性炭水化物(WSC)含量

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WSCは、Water soluble carbohydrateの略で、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、スクロース(ショ糖)と貯蔵性炭水化物(寒地型イネ科牧草ではフルクタン)の合計。農研機構北海道農業研究センター、雪印種苗(株)長沼、同芽室および同別海の4場所3か年平均。
水溶性炭水化物(WSC)含量は、年間平均11.8 %で「ハルジマン」より3.3ポイント高い。各番草においても、「ハルジマン」より3ポイント以上高い。「えさじまん」のWSC含量は、良好なサイレージ(貯蔵飼料)発酵の目安とされる値の10 %を、年間を通して概ね上回ることから、良質なサイレージ調製が可能となる。

「えさじまん」の中性デタージェント繊維(NDF)含量

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中性デタージェント繊維(NDF)は、Neutral detergent fiberの略。農研機構北海道農業研究センターの2か年平均。

家畜の乾物摂取量(家畜が飼料を食べる量)を制限する中性デタージェント繊維含量が「ハルジマン」に比べて少ないことから、「えさじまん」を給与した場合に乾物摂取量の増加が確認されている。

「えさじまん」の栄養収量(TDN収量)

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TDN(可消化養分総量)は、Total digestible nutrientsの略。飼料の栄養価の指標で、飼料中の可消化養分から算出する。TDN収量は、単位面積当たりの可消化養分の収量(栄養収量)である。TDN=-5.45+0.89×(OCC+Oa)+0.45×OCW(OCC:細胞内容物質、Oa:高消化性繊維、OCW:細胞壁物質)により推定。農研機構北農研、雪印長沼、雪印芽室の3場所2か年平均。()は「ハルジマン」比(%)。

WSC含量の増加と繊維成分の減少により栄養価が向上し、「ハルジマン」に比べて栄養収量(TDN収量)が9 %多い。

「えさじまん」のサイレージ発酵品質

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雪印種苗(株)北海道研究農場による調査。1 haの草地で実施した実規模試験。1番草を細断型ロールベール等によりサイレージ調製。半日程度予乾、添加剤は無し。
Vスコアは、サイレージの発酵品質を示す指標で、100-80点が良、79-60点が可、59点以下が不良。3か年平均。

サイレージ発酵の際に微生物の栄養となるWSC含量が「ハルジマン」より高いことから、サイレージ発酵の良否を示すVスコアは「ハルジマン」より高く、発酵品質は良好である。サイレージ発酵品質の向上によって、乾物摂取量と栄養価が高まり、家畜が摂取する養分量が増えることが見込まれる。

「えさじまん」の乾物摂取量

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雪印種苗(株)北海道研究農場による調査。「えさじまん」および「ハルジマン」サイレージを主体とするTMR(混合飼料)を調製。給与試験は、予備期7日間、本期7日間を1期とする1区4頭、2期の反転試験法で実施した。TMRは自由採食とした。3か年平均。()は「ハルジマン」比(%)。
「ハルジマン」に比べて繊維成分が少なくサイレージ発酵品質が良好であることから、サイレージを搾乳牛に給与した場合、乾物摂取量が「ハルジマン」より5 %多い。

「えさじまん」の産乳量

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雪印種苗(株)北海道研究農場による調査。FCMは、Fat-corrected milk(脂肪補正乳量)の略で、乳脂肪分を4 %に補正した乳量。0.4×M+15×F(M:実乳量、F:乳脂肪量)により算出。3か年平均。()は「ハルジマン」比(%)。

乾物摂取量が増加したことにより、産乳量が「ハルジマン」給与に比べて4 %多い。

農林水産省のコメント

効果的な普及のため、種子の計画的な増殖・販売により、生産現場からの需要に確実に応えることが重要。また、当該品種の能力を十分発揮できるよう、品種の特徴、メリットと併せて、栽培上の留意事項、栽培技術等の周知・広報、普及推進を図ることが求められる。【畜産局飼料課】

詳細情報

農研機構研究報告 第4号オーチャードグラス新品種「えさじまん」の育成とその特性【外部リンク】

2020年度普及成果情報糖含量が高くTDN収量の多いオーチャードグラス中生品種「えさじまん」【外部リンク】
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本研究成果は農林水産省委託プロジェクト研究「食用米との識別性を有する多収飼料用米、TDN収量が高い飼料作物品種の開発」および「栄養収量の高い国産飼料の低コスト生産・利用技術の開発」の支援を受けて得られたものである。
また、本品種は雪印種苗株式会社との共同育成である。

成果に関するお問い合わせ先

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
北海道農業研究センター 寒地酪農研究領域 自給飼料生産グループ

電話番号 :011-857-9273


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