プロ直伝!保存した魚介類はこう使う
3月のテーマ
和ごはん×保存食
昆布やかつお節などの乾物は、旨みをギュッと閉じ込めた日本の伝統的な保存食。日々の料理に使う野菜や肉類、魚介類も、保存の仕方次第で鮮度とおいしさを保つことができます。今月は「保存」をキーワードに、おいしくて、食品ロス削減にもつながるコツを伝授します。
保存食4プロ直伝!保存した魚介類はこう使う
冷蔵するにしろ冷凍するにしろ、食材を保存するために欠かせないのが冷蔵庫です。乾きすぎないようにするのがポイントですが、どうすれば余った魚介類の鮮度、おいしさを維持したまま保存できるのか。「近茶流 柳原料理教室」の柳原尚之さんに、今日から実践できるコツをご紹介していただきました。
赤身と白身で保存の仕方を変えてみる
まず魚ですが、赤身と白身では扱い方が変わり、赤身は次の日には変色してしまうので、できればその日のうちに食べるのがベスト。余らせてしまい、どうしても保存する場合は「漬け」にする手があります。しょうゆ、みりん、酒を混ぜた調味液に刺身などを漬けることで、熟成のうまみが出るので、ランチなどで漬け丼はどうでしょうか。
白身は赤身より持つため、ラップに包んで冷蔵すれば翌日になっても大丈夫ですが、和食の知恵として「昆布締め」があります。しめらせた昆布の水気を取り、薄塩をした切り身をはさんで数時間置けば、水分が抜けたところに塩味が入り、別の楽しみ方ができるようになります。普通に買える昆布でいいし、気軽に試してほしいですね。
保存した魚介類は料理の前にお酒で洗う!?
イカ、タコ、貝類はそれほど神経質になる必要はありません。水気を取り、ラップで包んで冷凍します。注意してほしいのは、「冷凍したらいつまでも持つ」と思うのではなく、なるべく早く使い切ること。最近の家庭用冷蔵庫は高性能とはいえ、それでも、1週間もすれば冷凍焼けして、パサパサになりやすいです。
冷蔵庫で保存しておいた魚介類を料理に使う場合、おすすめなのはお酒で洗うこと。表面に残る臭みをとるため、使う前にお酒でサッと洗い流すだけで、味は変わってきます。
たまごは余熱でふんわり仕上げる
レシピでは、冷凍保存しておいたイカを使ってもおいしい「イカとほうれん草の煮寄せ」を紹介しています。調理の際のポイントは、たまごの火入れ。強い火を入れたままだとしっかりとかたまってしまうので、フタを使って、余熱でふんわり、やわらかく仕上げるようにしてください。イカではなく、アサリ、ホタテなどの貝類を使ってアレンジするのも簡単なので、保存食材でいろいろ試してみてはいかがでしょうか。
柳原尚之さん直伝レシピ
イカとほうれん草の煮寄せ
煮寄せ(によせ)とは、煮物を卵でとじたもののこと。イカは冷凍保存しても、後日おいしくいただける食材。ゲソ(足)やヒレなど、あまりがちな部位でも、おいしく作れるのが煮寄せです。ポイントは、黄身と白身のとろっと感。イカは貝類や白身魚の刺身の残り、ほうれん草は水菜などでも代用できます。
材料2人分
イカのゲソ・ひれなど | ・・・ | イカ1杯分 |
---|---|---|
ほうれん草 | ・・・ | 150グラム |
煮汁 | ・・・ | だし200cc うす口しょうゆ 大さじ1と2分の1 砂糖 大さじ1と3分の2 酒大さじ1 |
卵 | ・・・ | 1個 |
作り方
- いかのゲソ、ひれなどを細切りにする。薄塩(分量外)と酒(分量外)をかけて下味をつけるとともにクセをとる。
- ほうれん草は、塩をひとつまみ(分量外)入れた熱湯で茹でる。水に取って冷まし、水気を絞り、3センチ長さに切る。
- 鍋に煮汁を合わせて、沸いたらほうれん草とイカを入れる。ほうれん草が温まったら、溶いた卵を入れて、フタをして、蒸らしながら卵をふわっと固める。
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