ブリ大根(ぶりだいこん)|にっぽん伝統食図鑑

ブリ大根(ぶりだいこん)

富山県ブリ大根(ぶりだいこん)
分類(大)
水産
分類(小)
その他水産加工品
主な使用食材
ブリ、大根
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主な伝承地域
県内全域
食品概要(特徴・種類)
富山にはブリを使った様々な郷土料理があるが、刺身で食す他、様々な部位も余すところなく味わえるのがブリの特徴といえる。その中で、ブリの残(ざん)とも呼ばれるアラを使った代表的な料理が、ブリ大根である。脂がのったブリのアラと大根を醤油で煮つけた冬の定番料理である。刺身などで残った部位が「ブリのアラ」として売られている。主に家庭で作られる。
歴史・文化、関連行事
富山湾は日本有数の深い湾であり、水深1200mにもなる日本海固有水(海洋深層水)の上に対馬暖流水が重なり、海面近くには淡水と海水が混じり合った汽水が広がる。また、寒流と暖流が交差する海域でもあり、標高3000m級の立山連峰から富山湾に流れ込む栄養豊富な河川水や湧水は、魚のエサとなるプランクトンを育んでいる。このような特徴から、富山湾は多彩な魚介類が生きる豊かな海となっており、さらに、東側を岬である生地鼻(いくじはな)、西側を能登半島に囲まれた天然の巨大いけすのような地形も相まって、新鮮な魚介類が水揚げされる一大漁場となっている。
そんな富山湾で古くから漁獲されてきたのが、12月から1月をピークに北の海から南下してくるブリである。江戸時代の慶長年間(1596~1615年)に富山湾で定置網漁が広がり、庶民の口に入るようになった。富山県では、晩秋から初冬に北西から強い風が吹き、雷が鳴り響く天候を「ブリ起こし」と呼ぶが、その時期は、富山湾の寒ブリ漁が始まる時期と重なる。富山と岐阜、長野を結ぶ旧街道は、昔、富山湾のブリで作られた塩ブリが岐阜や長野に運ばれていたことから「ブリ街道」とも呼ばれている。現在は、氷見、新湊、四方、岩瀬、水橋、滑川、魚津、くろべがブリの水揚げ漁港である。
年越しに欠かせない魚を「年取り魚」というが、北陸や関西においてこの「年取り魚」に当たるのがブリである。また、県内の海沿いの地域には、出世魚のブリにちなみ、結婚した年のお歳暮に嫁の実家から嫁ぎ先へブリを贈り、嫁ぎ先はその半身を嫁の実家へ返すという風習が残っている。
製造方法
ブリのアラは、水洗いした後に熱湯にくぐらせ、血合いやぬめりを取る。大根は厚めの輪切りにし、軟らかくゆでておく。鍋にブリ、大根、調味料を入れて煮込む。その際に浮いてくるあくは、丁寧に取り除くのがよい。一晩置くとさらに味が染み込み美味しくなる。味付けは醤油が主流だが、味噌にする家庭もある。
保護・継承の取り組み
1996(平成8)年には「富山県のさかな」に選定。富山湾のブリのイメージ確立のため、富山県漁業協同組合連合会、氷見漁業協同組合、新湊漁業協同組合、とやま市漁業協同組合、滑川漁業協同組合、魚津漁業協同組合、くろべ漁業協同組合、入善漁業協同組合、朝日漁業協同組合により「富山湾の王者」として商標登録されている。また、地元漁師が選ぶ本当に美味しい魚「プライドフィッシュ」の1つでもある。
氷見市では、富山湾の定置網にかかり、氷見漁港魚市場で競られたブリを「ひみ寒ぶり」としてブランド化している。氷見での本格的なブリのシーズンの幕開けは氷見魚ブランド対策協議会が判断し、「ひみ寒ブリ宣言」を行う。宣言後、「ひみ寒ぶり」には販売証明書が発行され、出荷となる。また、ブリの旬の時期には、市内の飲食店やホテル、旅館などでの様々なブリ料理の提供やプレゼントキャンペーンがある「ひみぶりフェア」を開催。ブリ大根や刺身などの定番料理から新感覚の料理まで、店ごとに自慢の料理が楽しめると好評である。
ブリ大根は、子ども達に郷土料理を伝えるために、小中学校や幼稚園で給食として提供されることもある。
主な食べ方
冬は家庭で日常的に食べられている他、飲食店でも提供される一品である。ブリは、成長するのに合わせて異なる名前をもち、価値も上がっていくことから、出世魚と呼ばれる。その縁起のよさから、正月などの祝宴にも食されている。