黒作り(くろづくり)|にっぽん伝統食図鑑

黒作り(くろづくり)

富山県黒作り(くろづくり)
分類(大)
水産
分類(小)
水産発酵食品
主な使用食材
スルメイカの身、イカスミ
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主な伝承地域
県内全域
食品概要(特徴・種類)
黒作りは、スルメイカの身を細く切り、イカスミと共に熟成させた塩辛の一種であり、富山県を代表する珍味である。一般的な塩辛(赤作り)と違い、黒く光る見た目に、驚く人が多い。口に入れると塩辛特有の生臭さがなく、イカスミに含まれるグルタミン酸やタウリンが独特の旨味を生み出している。イカスミには防腐効果があるといわれており、黒作りはイカスミの防腐効果と独特な香り、風味を組み合わせた先人の知恵が生み出した逸品といえる。
1990年代、富山県では年間300トン以上製造される塩辛のほとんどが黒作りで、大半が県内消費であったが、近年では県外からの注文も増えている。使われるスルメイカの多くは氷見漁港や新湊漁港で水揚げされるが、富山湾で取れたホタルイカを使った「ホタルイカの黒作り」も人気が高い。
歴史・文化、関連行事
黒作りの歴史は古く、加賀藩主が参勤交代の際に支藩である富山藩の特産品として将軍家に献上したところ、その味を絶賛されたことを記した文書が残されている。
その起源としては、江戸時代の元禄期に初めて作られたと伝えられているが定かではない。しかし、亨保年間にはスルメイカの身を細切りにして、これに肝臓、スミ、塩を混ぜて発酵させた今日の形態が出来上がったようである。1808(文化5)年の滑川本陣の桐沢文庫には黒作りの名称が記載された手紙が残っている。
50年ほど前まではごく普通に家庭でも作られていたが、加工品を買い求めるのが一般的になっている。
製造方法
スルメイカの身は皮を剥ぎ、塩をふって冷蔵庫で寝かせる。肝も両面に塩をまぶして一晩冷蔵庫で寝かせる。肝はしっかり水分を抜くことで生臭さがなくなる。その後、身をそぎ切りにし、塩を拭き取った肝の中身とイカスミと和え、1日1回かき混ぜながら、冷蔵庫で熟成させる。
昔は塩分濃度が高く1ヶ月程度熟成させたものが主だったが、現在では塩分濃度を抑え、1~2週間程度の短期間で熟成させたものが好まれている。
保護・継承の取り組み
富山県内の様々なメーカーが製造しており、県内のスーパー、大型商業施設、お土産店などで販売され、手軽に購入することができる。
以前は保存食として県内での消費がほとんどであったが、その独特の味わいが全国で知られるようになり、徐々に塩辛さを抑えて旨味を増すなど嗜好品へと変化し、多様な好みに合うよう商品開発が進んでいった。また、販路を全国に広げるための確かな品質管理の技術も磨かれ、現在では、全国から繰り返し注文する人も多い。
主な食べ方
ご飯のお供や酒の肴として年間を通して食されている。