ます寿し(ますずし)|にっぽん伝統食図鑑

ます寿し(ますずし)

富山県ます寿し(ますずし)
分類(大)
水産
分類(小)
水産発酵食品
主な使用食材
マス、米
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主な伝承地域
県内全域
食品概要(特徴・種類)
富山県を代表する特産品である。曲げ物に笹を敷き、酢飯とマスの切り身を重ねて押し詰めた、押しずし。1段重ねた物と2段重ねた物があり、夏場でも3~4日は日持ちする。土産物としても人気を集めている。
歴史・文化、関連行事
発祥には、845(承和8)年の記録がある物など諸説あるが、一般的には、江戸時代の1717(享保2)年、富山藩士であった吉村新八が神通川のアユと地元産の米で作った寿しを三代目藩主の前田利興に献じたのが始まりといわれている。当時の将軍、徳川吉宗へと献上し、味のよさを賞賛されたことから富山名物になった。その後、アユの代わりに春になると神通川へやってくるサクラマスが使われるようになり、現在の形になったのは幕末から明治の頃である。北陸本線の開通に合わせ駅弁として販売され、全国的に知られるようになった。
製造方法
曲げ物(曲げわっぱ)の底に笹を放射状に敷き、その上に味付けした酢飯を均一に広げる。塩漬けにして酢で締めた薄切りのサクラマスを曲げ物の型に合わせて酢飯の上に並べ、笹を順番に折りたたんで蓋をする。それを何段も重ねて上から重石を乗せ、数時間置いたら完成。完成後も熟成が進み、2日目が最も味わい深いとされる。
使うのは6月頃に取れる脂ののったサクラマスがよいとされるが、サクラマスの他にシロザケなどを使う場合もある。また、マスを酢飯の下に敷く「裏置き」という製法もある。
保存は常温が適しており、冷蔵庫に入れると酢飯が硬くなる。春や秋はそのまま室内で、冬は暖かい場所がよい。
保護・継承の取り組み
店によって味は異なるが、現在は消費者の嗜好に合わせ、酢が弱い物もある。また、遠方でも鮮度のよい状態で食べられるように、冷凍の商品も開発された。
富山市にある「ますのすしミュージアム」では、「ます寿し」の歴史や受け継がれてきた職人の技術を学べ、工場見学や手作り体験もできる。
「富山ます寿し協同組合」も、手作り体験や「ます寿しの食べ歩きマップ」の制作・配付を通じて、「ます寿し」の普及に努めている。
他にも、出張手作り体験会を開催している事業者がある。
主な食べ方
駅弁としてだけでなく、スーパーやコンビニエンスストア、サービスエリアなどでも販売されている。富山市内だけでも30以上の事業者があり、マスの身の厚み、酢や塩の加減、酢飯の押し具合などのこだわりは、事業者によって異なり、食べ比べを楽しむ。祭事、お盆、年末年始などハレの日によく食べられ、お土産や贈答品として購入する人も多い。