大門素麺(おおかどそうめん)|にっぽん伝統食図鑑

大門素麺(おおかどそうめん)

富山県大門素麺(おおかどそうめん)
分類(大)
農産
分類(小)
穀類
主な使用食材
小麦粉、食塩、植物油
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主な伝承地域
砺波市大門地区
食品概要(特徴・種類)
砺波市特産品の手延べ素麺である。庄川と小矢部川が形成した広い扇状地に、屋敷林に囲まれた多くの農家が点在する散居村で知られる砺波平野。そのほぼ中央にある砺波市大門地区に古くから伝わっている。細く長い麺をくるくると丸めた独特の姿から「丸まげ素麺」とも呼ばれる。コシが強くのどごしもよい。さらに、水につけておいても伸びにくい。生産者の名前が書かれた昔ながらの包装紙も人気が高く、お中元などの贈答品としても喜ばれている。
歴史・文化、関連行事
江戸時代後期の1848(嘉永元)年、当時の大門村、現在の砺波市大門地区の売薬の行商人が加賀藩の御用素麺の作り方を教わり、持ち帰ったのが始まりとされる。能登から人を招いた、あるいは村人が能登に出向いて製法を習得したともいわれている。製法は農家の冬の副業として村内に広がり、最盛期の昭和初期には、60軒以上で作られていた。現在は9軒(2025年1月現在)と生産者は減ったものの、その製法や味は守られ続けている。
製造方法
昔ながらの手延べ製法で素麺作りが行われるのは、気温が下がり空気が乾燥する、農閑期の10~3月頃。上質な小麦粉を庄川の水で何度もこね、よりをかけながら少しずつ細く長く伸ばして一晩寝かせる。「はさ」と呼ばれる竿にかけてさらに伸ばし、山から吹く冷たい風にさらして乾燥することで、コシがあってのど越しがなめらかな素麺になる。この、素麺が冬空の下に干されている様子は、昔は大門地域の冬の風物詩であった。完全に乾燥する前に手で切りながら丸まげ状に成型し、和紙に包んでさらに10日かけて乾燥させる。包装紙に誰が作ったかが明記されているのも、大門素麺の特徴の1つである。生地を練る作業など機械化された部分もあるものの、「はさ」にかけて伸ばし、干し、形を整えて包むまでの作業は、昔と変わらず手作業で行われている。
保護・継承の取り組み
大門素麺を地域資源として守り伝承していくために、生産者や飲食店組合、行政などが一体となり、大門素麺を提供する飲食店を増やすことや市内小中学校の見学受け入れなどに取り組んでいる。
JAとなみ野の大門素麺事業部の設立によって、贈答用としての需要が伸び、現在は砺波の特産品として全国へ発送されるようになった。
主な食べ方
手で割ってから熱湯に入れてゆでる。丸くなっているため鍋への収まりがよく、ゆでやすい。シロエビの出汁をベースにしたつゆで食べる白えび素干だしの素麺は、富山の夏に欠かせない料理である。また、大門素麺はにゅうめんにしたりすまし汁に入れたりしても美味しい。コシがあるので、余った時はしっかり水を切って冷蔵庫で保存してもよい。
スーパーなどで販売され、主に家庭で食べられるが、砺波市内には大門素麺を味わえる飲食店もある。