すり身(すりみ)|にっぽん伝統食図鑑

すり身(すりみ)

富山県すり身(すりみ)
分類(大)
水産
分類(小)
練り物
主な使用食材
イワシ、ニギス、トビウオ、アジなどの魚
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主な伝承地域
県内全域
食品概要(特徴・種類)
富山湾で取れる旬の魚を腹開きにして頭、背骨、内臓を取り、すりつぶして作る練り物である。煮たり、焼いたり、揚げたりして食される。
歴史・文化、関連行事
富山湾は日本有数の深い湾であり、水深1200mにもなる日本海固有水(海洋深層水)の上に対馬暖流水が重なり、海面近くには淡水と海水が混じり合った汽水が広がる。また、寒流と暖流が交差する海域でもあり、標高3000m級の立山連峰から富山湾に流れ込む栄養豊富な河川水や湧水は、魚のエサとなるプランクトンを育んでいる。このような特徴から、富山湾は多彩な魚介類が生きる豊かな海となっており、さらに、東側を岬である生地鼻(いくじはな)、西側を能登半島に囲まれた天然の巨大いけすのような地形も相まって、新鮮な魚介類が水揚げされる一大漁場となっている。
そんな富山湾で季節ごとに取れる魚で作られるのが、すり身である。かつては商品にならない小さな魚で作られていたが、現在すり身にする魚はイワシ、ニギス、トビウオ、アジなど、その時季に旬を迎えた魚である。日本海で多く漁獲され、富山県ではミギスとも呼ばれるニギスは、水分が多く鮮度が落ちやすい魚であるため、干物にされることが多い。新鮮なニギスをすり身にできるのは、目の前に漁場が広がる富山県ならではである。
製造方法
使われる魚はイワシ、ニギス、トビウオ、アジ、カマス、エソなど。その時々の旬の魚を使い、硬さや味をみながらブレンドされている。魚は腹開きにして頭、背骨、内臓を取り、塩などの調味料を加えながらすりつぶされ、ペースト状のすり身となる。片栗粉や卵白を入れることもある。出来上がったすり身はパックに入れられ、冷蔵あるいは冷凍の状態で、スーパーなどで販売される。フードプロセッサーを使い、自宅で作ることも可能である。
保護・継承の取り組み
各自治体などですり身作りの体験会などが催されている。また、すり身揚げなどすり身を使った料理は学校給食でも提供されており、地域の伝統食として子ども達に親しまれている。
すり身を使ったB級グルメとして開発された物に、「高岡流お好み焼き ととまる」がある。食を通して高岡の活性化を図ろうと、2011(平成23)年に誕生した。「高岡流お好み焼き ととまる」として認められるには、すり身の他、富山でよく食べられている昆布を使うことも条件になっている。
主な食べ方
県内のスーパーでは、新鮮な生のすり身が常に販売されている。すり身はアレンジがしやすく、そのまま、もしくは野菜などを加えて揚げたすり身揚げや、団子のように丸めて入れた味噌汁や鍋料理、おでんなど、様々な料理に使われている。肉の代わりにギョウザの具材に混ぜたり、地域によっては正月の雑煮に入れたりもする。
中でもすり身揚げは、スーパーの惣菜コーナーで販売されている他、飲食店でも食べることができ、おかずにもおつまみにも人気が高い。氷見市では、すり身揚げを「ととぼち(魚・餅)揚げ」とも呼び、そのまま味わうだけでなく、おでんや鍋の具材にも用いたりする。