回答
【問1】
「集落」や「集落営農」とはどのようなものですか。また、その数は現在、どのくらいありますか。
- 「集落」についての明確な定義はありませんが、一般的には「自然発生的な地域社会であって、家と家とが地縁的、血縁的に結びつき、各種の集団や社会関係を形成してきた社会生活の基礎的な単位」という概念です。このうち市区町村の一部において農業上形成されている地域社会のことを「農業集落」と称しています(2020年農林業センサス)。
- 令和2年現在で把握している「農業集落」の数は、全国で138,243です(2020年農林業センサス)。
- また、「集落営農」とは、統計調査の定義上、「集落を単位として、農業生産過程における一部又は全部についての共同化・統一化に関する合意の下に実施される営農」とされています。具体的には、次のいずれかに該当する取組を行うものとなっています。
(1) 集落で農業用機械を共同所有し、集落ぐるみのまとまった営農計画等に基づいて集落営農に参加する農家が共同で利用する
(2) 集落で農業用機械を共同所有し、集落営農に参加する農家から基幹作業受託を受けたオペレーター組織等が利用する
(3) 集落の農地全体を一つの農場とみなし、集落内の営農を一括して管理・運営する
(4) 地域の意欲ある担い手に農用地の集積、農作業の委託等を進めながら、集落ぐるみでのまとまった営農計画等により土地利用、営農を行う
(5) 集落営農に参加する各農家の出役により、共同で農作業を行う
(6) 作付地の団地化等、集落内の土地利用調整を行う - このような集落営農は、統計調査によれば全国で13,998組織存在し、このうち、法人の割合は41.1%と近年上昇傾向です(令和6年集落営農実態調査(令和6年2月1日現在))。
【問2】
「集落営農」は農業政策上どのような位置付けがなされていますか。
- 集落営農については、1999年制定の食料・農業・農村基本法第28条において、今後育成すべき担い手の一形態として位置づけられました。
- また、2002年からの米政策改革では一定の要件を満たす集落営農を「集落型経営体」とし、2005年の経営所得安定対策等大綱により具体的枠組みが示され、2006年に制定した担い手経営安定法に基づいて実施された品目横断的経営安定対策では、法人化が確実であるなど一定の要件を満たした集落営農を認定農業者とともに助成対象と位置付けられました。
- なお、2024年に改正のあった食料・農業・農村基本法第36条においても、引き続き国の役割として集落営農への支援の必要性が明記されています。
〈食料・農業・農村基本法〉
第36条 国は、地域の農業における効率的な農業生産の確保に資するため、集落を基礎とした農業者の組織その他の農業生産活動を共同して行う農業者の組織、委託を受けて農作業を行う組織等の活動の促進に必要な施策を講ずるものとする。
【問3】
国や関係団体はなぜ集落営農の設立や法人化を進めているのですか。
- 昨今、担い手不足が懸念されていますが、特に稲作経営体では、令和2年までの20年間で6割減少するなど顕在化しています(農林業センサスより)。水稲をはじめとする土地利用型農業では、伝統的に地域ぐるみで農地や農業用水の利用調整等が行われてきた背景があり、このような状況を踏まえれば、個別経営のみならず、小規模農家、兼業農家なども参画する形での担い手の育成を考える必要があります。
- そのため、食料・農業・農村基本計画では、認定農業者のみならず、将来法人化して認定農業者になることが見込まれる集落営農も「担い手」として位置付けられているところです。
- こうしたことから、集落営農の設立や法人化を進め、効率的かつ安定的な経営体の確保を図ることとしています。
【問4】
集落営農を設立するメリットは何ですか。
集落営農の設立により、農地の面的な利用集積によって作業の効率化が図られ、また機械等の共同利用により、個人経営で生じがちな機械等への過剰投資を回避することができるなど、生産・経営面で大きなメリットがあります。
集落営農を設立するメリットは、
- 大型機械の導入、機械の共同利用でコストが下がり、作業効率が向上します。
- 栽培技術の統一により、技術の個人差が解消され単収や品質が向上します。
- 構成員の経験、技術、知識、体力等に応じた役割分担が可能です。
- 耕作放棄地の解消につながります。
- 農村社会の活性化につながります。
【問5】
集落営農を法人化するメリットは何ですか。
法人経営は、
- 機械等の資産は法人として所有できるため、代表者が交代しても安定的に経営可能となる
- 経営手腕のある主たる従事者にとっては、少ない自己資本で経営手腕の発揮が可能(より収益性の向上が望まれる)となる
- 一定の要件を満たすことで、農用地の権利主体になれる
- 資本調達の多様化や取引信用力の向上をなし得る
- さらに食品産業との連携等により、加工、流通、販売等の経営の多角化による所得機会の確保と労働力の周年有効活用が可能である
等の安定した経営体として、多くのメリットがあると考えています。
【問6】
集落営農の設立や法人化を進めるに当たってのポイントを教えてください。
集落営農の設立や法人化は、それぞれの地域やニーズに応じて進める必要がありますが、次のような点がポイントと考えられます。
- 集落営農の必要性・方向性の明確化
農業者の高齢化や担い手の減少などの集落の現状を把握し、集落の方向性や集落の農業の維持をどうするかを集落全員で考え、集落営農の必要性や将来の地域のビジョンを集落共通の認識とすることが重要です。 - リーダーとサポートメンバーの確保
集落営農の設立や法人化には、リーダーとリーダーをサポートするメンバーを確保することが必要です。
地域の実態に応じて、集落の役員、農業の担い手、集落内の農業関係機関・団体の職員(OB)などの話し合いの中で、リーダー及びリーダーをサポートするメンバーを選出します。 - 関係機関・団体との連携
集落営農の設立や法人化の情報を得たり、支援協力を受けたりするため、普及指導センター、市町村、農業委員会、農協などの関係機関・団体との連携体制をつくります。 - 次世代を担う者や女性の話し合いへの参画
次世代につながる集落営農について議論を活発にさせるため、集落内の次の世代を担う者を積極的に集落営農の話し合いの場に加えることが重要です。
また、日頃から地域や農業を支え、集落の合意形成を図る上で重要な位置付けとなる女性が率先して集落営農の話し合いの場に参加し、発言できる環境を整備することも重要です。
【問7】
集落営農の設立や法人化の相談は、どこにすればよいですか。
集落営農の設立や法人化の支援については、都道府県が設置する農業経営・就農支援センター*のほか、行政機関(都道府県・市町村)や農業関連団体(全国農業会議所・県農業会議・市町村の農業委員会、全国農業協同組合中央会・県中央会、農協等)で構成される担い手育成総合支援協議会(全国・都道府県・地域の各段階に設置)、普及指導センター、農林水産省(各地方農政局等)などで一体的に取り組んでいますので、お気軽にご相談ください。
*農業経営・就農支援センターについては、こちらをご覧ください。
【問8】
集落営農の取組事例を教えていただけないでしょうか。
集落営農の全国の取組事例は、こちらをご参照ください。
【問9】
集落営農における構成員の役割分担、出役、出資、利益の配分基準等はどのように決めたらよいですか。
- 集落営農の設立や法人化を図る上では、集落全体での十分な話し合いによって合意形成を進めていき、各構成員の位置付けや役割、集落営農の将来展望等を明確にすることが重要です。これらに基づき今後必要となる集落営農の定款又は規約、取組方針を策定して下さい。
- 役割分担や出役については、まず、集落営農を行うに当たりどのような業務があるかを把握します。その中には、オペレーターとしての機械操作や、畦畔管理、会計・事務管理などが考えられます。
この役割分担や出役の内容を決める際には、担い手など地域の状況に応じて、構成員の経験、技術、知識、体力等を勘案しつつ、話し合いの場などで構成員からの意見を聞き取りながら決めて下さい。 - また出資については、集落営農の定款又は規約の中で出資の決まりを作り、これに基づいて構成員が出資しているものがあります。例えば、10a当たりの出資額を決めたり、構成員1人当たり又は1戸当たりで出資額を決めたりしているものがあります。
- 利益の配分については、例えば、出資額や構成員の農地面積、出役時間等により、利益の配分方法を決定することが考えられます。
【問10】
集落営農における女性、高齢者の役割を教えてください。
1. 女性、高齢者については、これまでも農業面をはじめとして、集落内で重要な役割を担っていることから、集落営農への参加を地域で積極的に促していくことが重要です。
2. 集落営農における女性や高齢者の具体的な役割については、集落営農で加工・販売部門を開始する場合には、その企画立案や加工部門での作業、また、基幹作業の補助的作業や畦畔の管理、用排水路の補修などが考えられます。
3. 集落営農における役割分担については、地域の実態や女性、高齢者の経験、技術、知識、体力などを勘案するとともに、不公平感や過重な負担感を覚えることのないように、十分に配慮し、取り組むようにしてください。
【問11】
集落内に認定農業者が既にいる場合、集落営農と認定農業者の調整はどのようにすればいいですか。
- 集落営農が無秩序に展開された場合には、既存の認定農業者との間で農用地の利用面で軋轢が生じ、認定農業者のこれまでの規模拡大への努力を損なう事態の発生が懸念されます。
- このため、
(1) 認定農業者が、今後さらに農用地の利用集積を進めようとしている場合には、この認定農業者を中心メンバーとして位置付けて、集落営農の設立を進めるなど、地域内の農用地の一体的・合理的な利用体制を構築する
(2) 集落内で、認定農業者と集落営農双方がそれぞれ独立して経営発展を図ると見込まれる場合には、集落営農が利用している農用地のある地域から、認定農業者がこれまでに利用集積を図ってきた農用地を除外する、或いは、認定農業者に近隣の代替農用地をあっせんする等により、両者の農用地の利用関係を調整する
ことが重要です。 - このような考え方を基本として、地域における話し合いを通じ、認定農業者と集落営農との間で、農用地の利用関係に関する無用な混乱が生じることのないようにしてください。
【問12】
畑作地域でも集落営農に取り組む意義はありますか。
水田地域に限らず、畑作地域においても集落営農に取り組むことで、農用地の利用調整や面的集積、地域の農地の保全・管理、担い手の確保、大型機械導入などによる経費の節減などが期待できる場合があります。
【問13】
「農用地利用改善団体」、「農用地利用改善事業」、「農用地利用規程」、「特定農用地利用規程」とは何ですか。
- 「農用地利用改善団体」とは、集落等の地縁的なまとまりのある区域内の農地の地権者等からなる団体で、その区域内における農作業の効率化(例:機械の共同購入・共同利用)や農地の利用関係の改善(担い手への農地集積のための調整)等の「農用地利用改善事業」を実施する団体です。
- 具体的な「農用地利用改善事業」の内容は、農用地利用改善団体が農用地の利用に関する規程で定めるところに従い、
(1) 農用地の効率的かつ総合的な利用を図るための作付地の集団化
(2) 農作業の効率化
(3) その他の措置及び農用地の利用関係の改善に関する措置を推進する事業
です(基盤強化法第4条第3項第2号)。 - 「農用地利用規程」とは、「農用地利用改善団体」が、その区域内における農作業の効率化や農地の利用関係の改善等の「農用地利用改善事業」を実施する場合において、どのように実施するかについて、地域の合意内容を定めたものです。市町村がこの規程を認定し公告することによって、その「農用地利用規程」は有効なものとなり、「農用地利用改善団体」は「農用地利用改善事業」を実施することができることとなります。
- 「特定農用地利用規程」とは、通常の「農用地利用規程」に定める事項のほか、農用地利用改善事業の実施区域で農用地の利用集積を行う農業経営を営む法人(特定農業法人(【問16】参照))又は農作業受託組織(特定農業団体(【問15】参照))の同意を得た上で、その名称・住所、集積目標等が定められたものです。これらの事項が定められた農用地利用規程と特定農業法人又は特定農業団体として位置付ける組織の同意書を添えて市町村に申請し、認定を受けることによりその農用地利用規程は特定農用地利用規定となります。
【問14】
農用地利用改善団体の設立要件及び設立方法を教えてください。
- 農用地利用改善団体を設立するには、その団体が次の4つの要件を備えることが必要です(基盤強化法第23条第1項)。
(1) 市町村が定める基本構想に基づく基準に適合する区域を農用地利用改善事業の実施区域とすること
(2) その区域の農用地について権利を有する農業者等の3分の2以上の者が構成員となっていること
(3) 政令で定める基準に従った定款又は規約を有していること
(4) 農用地利用改善事業の準則となる農用地利用規程を定め、市町村の認定を受けること - 農用地利用改善団体の設立方法は次のとおりです。
(1) 農用地利用改善事業を実施しようとする区域にある農用地の関係権利者の3分の2以上を構成員として農用地利用改善事業を実施する団体を組織します。この団体は、任意組織が基本となりますが、農事組合法人(農業協同組合法第72条の10第1項第1号の事業を行うものに限る)でも構いません。
(2) さらに、団体の構成員全員で団体のリーダー・指導者層を中心として話し合いを重ね、農用地利用規程の案と、定款又は規約の案を作成し、団体の総会などに諮りその承認を得ます。
(3) 最後に、団体の代表者は、農用地利用規程の認定申請書に議決された農用地利用規程、定款又は規約、農用地利用改善事業を実施しようとする区域の農用地の権利者の加入状況を記載した書面を市町村に提出し、その認定を受けることにより正式に農用地利用改善団体となります。 - なお、既存の組織から農用地利用改善団体に移行する場合には、上記の場合と基本的には同じですが、次の点に留意して必要な調整を行い、農用地利用改善団体へ円滑に移行されるようにすることが必要です。
(1) その団体の目的や活動内容が行おうとする農用地利用改善事業の目的や内容と調和するかどうか
(2) その団体の構成員には、農用地利用改善事業の実施区域にある農用地の関係権利者の3分の2以上を含んでいるかどうか
(3) その組織の定款や規約の内容が農林水産大臣の定める事項が定められ、その内容が同大臣が定める基準に適合するかどうか
【問15】
「特定農業団体」とは何ですか。
- 特定農業団体とは、農作業受託によって、農用地の利用集積を図る相手方として農用地利用改善団体によって特定農用地利用規程に位置付けられた組織です。
- 具体的には、
(1) 担い手不足が見込まれる地域において、
(2) その地域の農用地面積の3分の2以上について農作業を委託する相手方として、農用地利用改善団体が作成する特定農用地利用規程に位置付けられた組織であって、農業経営を営む法人となることが確実と見込まれ、
(3) 農用地利用改善団体の構成員から農作業を引き受けるよう申出があったときは、これに応じることが確実と認められる
という性格を有する組織(農作業受託組織)です(基盤強化法第23条第4項)。
【問16】
「特定農業法人」とは何ですか。
- 特定農業法人とは、
(1) 担い手不足が見込まれる地域において、
(2) その地域の農用地面積の過半を集積する相手方として、農用地利用改善団体が作成する特定農用地利用規程に位置付けられた法人であって、
(3) 農用地利用改善団体の構成員から農用地を引き受けるよう申出があったときは、これに応じることが確実と認められる
という性格を有する農業経営を営む法人です(基盤強化法第23条第4項)。 - 特定農業団体との違いとしては、特定農業法人が農用地の利用権設定を中心として、農用地利用改善事業の実施区域内で利用集積を図るものであるのに対し、特定農業団体は農作業受託によって、利用集積を図るという点にあります。
【問17】
特定農業団体を定めた特定農用地利用規程の有効期間はありますか。また、特定農用地利用規程の延長はどのような場合にできますか。
- 特定農用地利用規程の有効期間は、基盤強化法第23条第1項の認定を受けた日から起算して5年とされています(基盤強化法施行令第12条)。
- ただし、農用地利用改善団体は、特定農用地利用規程で定められた特定農業団体の同意を得た場合には、農林水産省令で定めるところにより、同意市町村の承認を得て、その有効期間を5年を超えない範囲内で延長することができるとされています(基盤強化法施行令第12条)。
- なお、特定農業団体を定めた特定農用地利用規程についての延長承認については、特定農業団体が、特定農用地利用規程の認定申請の日から5年以内に農業経営を営む法人となることが予定されている組織であることから、農業経営を営む法人となれなかったことにつき、やむを得ないと認められる事由がある場合等に限定して行うことが適当です(基盤強化法基本要綱第12の4)。
【問18】
特定農業団体は、特定農業法人になる必要がありますか。
- 特定農業団体は、農業経営を営む法人として法人化する際には、特定農業法人になることを義務付けられていません。
- しかしながら、特定農業団体が法人化し、引き続き地域の合意に基づく担い手として位置付けられ、計画的な農用地の利用集積や面的な利用を行う特定農業法人となることは重要と考えています。
- このような観点から、特定農業団体から特定農業法人への組織変更については、一定の場合に特定農用地利用規程の変更に要する認定手続を不要(認定→届出)としているところです(基盤強化法第24条第2項)。
【問19】
なぜ法人化まで5年以内と定めているのですか。
- 特定農業団体や特定農業法人は、農用地利用改善団体の構成員からの農地の引き受けの申出に応じることが確実な組織であり、あまりに長期間このような義務を負わせていることは、負担が大きいと考えられるため、特定農用地利用規程の有効期間は5年となっています。
- また、特定農業団体が農業経営を営む法人になるまでには、内部での合意形成、定款作成等の法人化のための準備や諸手続にある程度の期間が必要となりますが、その期間をあまり長い期間とした場合には、法人化の取組の機運が削がれることが懸念されます。
- このようなことを総合的に勘案して「5年」の期間が設定されています。
- なお、5年以内に農業経営を営む法人となることができない場合には、農用地利用改善団体は、特定農業団体の同意を得た上で市町村の承認を得て、特定農業団体を定めた特定農用地利用規程の有効期間を5年を越えない範囲内で延長することができます。その際、特定農業団体はこれまでの経過を踏まえて、法人化に向けた計画の見直しを行うこととなります。
【問20】
農用地利用規程の認定が取消されるのはどのような場合ですか。
- 市町村は、次の場合には、認定した農用地利用規程を取り消すことができます(基盤強化法第24条第3項、基盤強化法施行令第13条、基盤強化法基本要綱第12の5の(2))。
(1) 農用地利用改善団体が、認定を受けた農用地利用規程に従って農用地利用改善事業を行っていないと認められる場合
(2) 農用地利用改善団体が必要な要件(【問14】)を備える団体でなくなった場合
(3) 基本構想の変更により農用地利用規程の内容が基本構想に適合しなくなった場合で農用地利用改善団体が遅滞なくその農用地利用規程について変更の認定を受けなかったとき(地域の名称の変更又は地番の変更に伴う変更の場合を除きます) - 万一取消しを行う場合には、その取消しを行う前に農用地利用改善団体に対し必要な是正措置を講ずるよう、各関係機関が十分指導することが必要です。
- また、市町村は一度認定した農用地利用規程を取消すというような事態が生じないよう、常日頃から農業委員会、普及指導センター、農協等と連携して、十分な指導や支援を行うことが何より重要です。
【問21】
集落営農法人は特定農業団体になれますか。
- 農業経営を営む法人は特定農業団体になることができません(基盤強化法第23条第4項)。このため、集落営農法人が、農業経営を営む法人の場合は、特定農業団体になれません。
- なお、事業内容が共同利用施設の設置や農作業の共同化に限定されている農事組合法人(1号法人)のように、農業経営を営む法人でない法人は、特定農業団体になることができます。
【問22】
特定農業団体と農用地利用改善団体の構成員は一致する必要がありますか。
- 農用地利用改善団体は、農用地利用改善事業の実施区域内の農用地につき所有権等の権利を有する者(地権者)の3分の2以上が構成員となっている必要があります(基盤強化法第23条第1項)。
- 他方、特定農業団体の構成員は、各特定農業団体の定款又は規約に定める構成員たる資格、加入及び脱退についての要件を満たした者が構成員になることができます。
- このため、特定農業団体と農用地利用改善団体の構成員が必ずしも一致する必要はありません。オペレーターがいない場合など地域の状況によっては、農用地利用改善団体の構成員以外の者が、当該特定農業団体に参加した方が農作業を行う上で効率的である場合も考えられます。
- また、地権者である農用地利用改善団体の構成員の大半が特定農業団体の構成員となることによって、農作業や水管理等において地権者も一定の役割を担うなど、地域が一体となって取り組むことで、特定農業団体の活動が円滑になることも考えられます。
【問23】
法人化した場合、社会保険及び労働保険の取り扱いはどうなりますか。
法人経営の場合は、健康保険と厚生年金保険は強制適用され、保険料は事業主(法人)と従業員で折半することなります。また、従業員が1人以上いる場合は、労災保険と雇用保険も強制適用され、労災保険の保険料の全額と雇用保険の保険料の約3分の2を事業主(法人)が、残りを従業員が負担することとなります。
【社会保険制度の概要】
個人 | 農事組合法人 | 株式会社 | |||
任意組織 | 従事分量配当制*2 | 確定給与支払制 | |||
労災保険 | 事業主 | 特別加入(任意) | |||
従業員 | 従業員5人以上(強制) 従業員5人未満(任意) |
組合員:特別加入(任意) | 従業員1人以上(強制) | ||
従業員1人以上(強制) | |||||
雇用保険 | 事業主 | 適用なし | |||
従業員 |
従業員5人以上(強制)
従業員5人未満(任意) |
組合員:適用なし | 従業員1人以上(強制) | ||
従業員1人以上(強制) | |||||
医療保険 | 事業主 | 国民健康保険 | 国民健康保険 | 健康保険(強制) | |
従業員 | 国民健康保険*1 | 組合員:国民健康保険 組合員以外:健康保険(強制) |
|||
年金保険 | 事業主 | 国民年金+ 農業者年金(任意) |
国民年金+ 農業者年金(任意) |
厚生年金(強制) | |
従業員 |
国民年金*1
|
組合員:国民年金 組合員以外:厚生年金(強制) |
*1 事務所で使用される者の2分の1以上の同意及び厚生労働大臣の認可を受けることにより、健康保険・厚生年金に加入することもできます。
*2 農事組合法人の従事分量配当制における組合員は、出資している組合員としています。
お問合せ先
経営局経営政策課
担当者:組織経営グループ
ダイヤルイン:03-6744-2143