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農林水産省

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平成23年10月26日更新

担当:経営局経営政策課

【問1】
「集落」や「集落営農」とはどのようなものですか。また、その数は現在、どのくらいありますか。

  1. 「集落」についての明確な定義はありませんが、一般的には「自然発生的な地域社会であって、家と家とが地縁的、血縁的に結びつき、各種の集団や社会関係を形成してきた社会生活の基礎的な単位」という概念です。このうち市区町村の一部において農業上形成されている地域社会のことを「農業集落」と称しています(2005年農林業センサス)。
  2. 平成17年現在で把握している「農業集落」の数は、全国で138,655です(2005年農林業センサス(概数値))。
  3. また、「集落営農」とは、統計調査の定義上、「集落を単位として、農業生産過程における全部又は一部についての共同化・統一化に関する合意の下に実施される営農」とされています。 具体的には、次のいずれかに該当する取組を行うものとなっています。
  4. (1) 集落で農業用機械を共同所有し、集落ぐるみのまとまった営農計画等に基づいて集落営農に参加する農家が共同で利用する
    (2) 集落で農業用機械を共同所有し、集落営農に参加する農家から基幹作業受託を受けたオペレーター組織等が利用する
    (3) 集落の農地全体を一つの農場とみなし、集落内の営農を一括して管理・運営する
    (4) 地域の意欲ある担い手に農用地の集積、農作業の委託等を進めながら、集落ぐるみでのまとまった営農計画等により土地利用、営農を行う
    (5) 集落営農に参加する各農家の出役により、共同で農作業を行う
    (6) 作付地の団地化等、集落内の土地利用調整を行う
  5. このような集落営農は、平成17年の調査によれば全国で10,063存在し、このうち、集落内の営農を一括管理・運営するといった進んだ取組がなされているのは、約15%に当たる1,480となっています。

【問2】
「集落営農」は農業政策上どのような位置付けがなされていますか。

  1. 集落営農については、今後の農政の基本方向を示した新たな「食料・農業・農村基本計画」の第3の2の(1)(望ましい農業構造の確立に向けた担い手の育成・確保)において、『個別経営のみならず、集落を基礎とした営農組織のうち、一元的に経理を行い法人化する計画を有するなど、経営主体としての実体を有し、将来効率的かつ安定的な農業経営に発展すると見込まれるものを担い手として位置付ける』と明記されました。
  2. また、新たな「食料・農業・農村基本計画」と併せて公表した「農業構造の展望」においては、平成27年における望ましい姿として、
  3. (1) 効率的かつ安定的な農業経営が、家族農業経営で33~37万程度、集落営農経営で2~4万程度、法人経営で1万程度になるとともに、
    (2) これら「効率的かつ安定的な農業経営」が経営する農地が7 ~8割程度になる
    ものと見込んでいます。
  4. なお、「経営所得安定対策等大綱(平成17年10月)」において、平成19年産から導入される品目横断的経営安定対策については、認定農業者のほか、経営主体としての実体を有し、将来効率的かつ安定的な農業経営に発展すると見込まれる集落営農組織(特定農業団体又は特定農業団体と同様の要件を満たす組織)が支援対象とされています。

【問3】
担い手として位置付けられている「経営主体としての実体を有する集落営農組織」とは、どのようなものですか。

「経営主体としての実体を有する集落営農組織」とは、基本的には特定農業団体(基盤強化法第23条第4項)の要件(【問32】参照)を備えた組織のことをいい、具体的には次の要件を満たしている組織のことです。

  1. 農作業を受託する組織であること
    5年後に、集落営農組織が地域の農地の相当部分(3分の2以上)を受託することを目標とします(基盤強化法第23条第6項第1号、平成15年9月16日付け15経営第3057号経営局長通知第2の1の(2))。
  2. 規約が作成されていること
    [1] 代表者、[2] 構成員の加入及び脱退、[3] 総会の議決事項・方法、[4] 農用地や農業用機械等の利用及び管理等に関する事項等を定めた組織の規約を作成します(基盤強化法第23条第4項、基盤強化法施行令第5条第1号、平成15年9月16日付け15経営第3056号農林水産事務次官依命通知第2の2の(2))。
  3. 一元的な経理を行っていること
    構成員全員で費用を共同負担(資材の一括購入等)するとともに、利益を配分(組織名で出荷・販売し、労賃等を配分)するなど、集落の経理を一括して行います(基盤強化法施行規則第20条の3第2号、3号)。
  4. 中心となる者の目標農業所得額が定められ、かつその額が法人化後に一定水準以上の額を満たす計画であること
    組織の運営の中心となる者(主たる従事者)が目標とする農業所得額が定められており、かつ、その額が、市町村の基本構想において定められた目標農業所得額と同等以上の水準であることが必要です。
    これについては、
  5. [1] 農業生産法人化計画の策定時点では、主たる従事者となる候補者が存在することで足ります。
    [2] 農業所得額の水準については、将来的に目指す経営規模等で判断することが可能です。
    (基盤強化法施行規則第20条の2第3号、平成15年9月21日付け 15経営第3057号経営局長通知第2の1の(1)イ)
  6. 農業生産法人化計画を有すること
    将来法人化する計画(農業生産法人となる予定時期、そのために行う先進事例の調査や研修会の開催、設立準備会や発起人会の設立などの計画)を作成します(基盤強化法施行規則第20条の2第1号、第2号、平成15年9月16日付け15経営第3056号農林水産事務次官依命通知第2の2の(3)、平成15年9月16日付け15経営第3057号経営局長通知第2の1の(1)ア)。

【問4】
農業生産法人とは何ですか。また、どのような要件がありますか。

農業生産法人とは、農地等の権利を取得することができる法人で、次の要件の全てを満たす法人をいいます(なお、農地等の権利を取得することができる例外として、基盤強化法の特定法人貸付事業による場合等があります)。

  1. 法人形態要件
    農事組合法人、合名会社、合資会社、合同会社、株式会社(株式譲渡制限のあるもの)のいずれかであること(会社法施行(平成18年5月予定)後)。
  2. 事業要件
    主たる事業が農業(農産物の加工・販売等の関連事業を含む)であること。
    農業と関連事業が売上高の過半であれば、その他の事業を行うことができます。
  3. 構成員要件
    法人の構成員は、次の(1)から(5)のいずれかに該当する者であること。
  4. (1) その法人に対し農地の権利を提供している者(農地を売ったり貸したりしている者)
    (2) その法人が行う農業に常時従事する者(原則として年間150日以上従事・従事日数には特例あり)
    (3) 農地を現物出資した農地保有合理化法人
    (4) 地方公共団体、農協、農協連合会
    (5) 産直契約を結んでいる消費者や農作業の委託者など法人から物資の供給や役務の提供を受けている者、品種登録を受けた種苗の生産ライセンスの供与契約を結ぶなど特定の技術を提供する企業など一定の範囲内で法人の行う事業と継続的取引関係にある者等
    なお、(5)に該当する者については、その議決権数の合計が総議決権数の4分の1以下、一人当たりの議決権数が総議決権数の10分の1以下でなければならないこととされています。また、平成15年の基盤強化法の改正により、農業経営改善計画の認定を受けた農業生産法人については、特例として認定期間(5年)に限り、その法人から物資の供給又は役務の提供を受けている者やその事業の円滑化に寄与する者(関連事業者等)が行う出資について議決権制限が緩和されました(農業者が出資する場合には制限なし、農外の者が出資する場合には総議決権数の2分の1未満)。
  5. 業務執行役員要件
    業務執行役員の過半が農業の常時従事者である構成員であり、かつ、その過半を占める業務執行役員の過半数が原則年間60日以上農作業に従事する者であること(従事日数には特例あり)。

【問5】
国や関係団体はなぜ集落営農の組織化・法人化を進めているのですか。

  1. 全国で80,086(注1)ある水田集落(注2)のうち約半数にあたる 40,342集落(注1)では、個別経営で担い手となり得る水田作の主業農家が全く存在していない状況にあります。
  2. このような構造改革の立ち遅れが課題となっている土地利用型農業においては、伝統的に地域ぐるみで農地や農業用水の利用調整等が行われてきた実態があります。このような状況を踏まえれば、個別経営のみならず、多数の小規模農家、兼業農家なども参画する形での担い手の育成を考えざるを得ません。
    こうした農村社会の実情や米政策改革において一定の集落営農を担い手として既に位置付けていることから、基本計画では、「一元的に経理を行い法人化する計画を有するなど経営主体としての実体を有し、将来、効率的かつ安定的な農業経営に発展すると見込まれるもの」を担い手として位置付けたところです。
  3. こうしたことから、一定の集落営農を担い手として位置付け、その組織化・法人化を進め、効率的かつ安定的な経営の確保を図ることとしています。
  4. (注1):2000年世界農林業センサス
    (注2):水田集落とは、総耕地面積に対する水田の割合が70%以上の農業集落。

【問6】
集落営農の組織化・法人化に対する支援措置にはどのようなものがありますか。

  1. 集落営農の組織化・法人化に対する支援措置として、「強い農業づくり交付金」において、担い手育成総合支援協議会による集落営農の組織化・法人化のための活動や農業生産基盤・機械施設の整備を支援するとともに、集落営農の組織化、経営指導、栽培技術等の普及を行っているところです。
  2. また、この外にも、
  3. (1) 担い手経営安定対策
    (2) 麦・大豆品質向上対策、耕畜連携推進対策
    (3) 中山間地域等直接支払制度
    等において、集落営農への支援が行われています。
  4. さらに、都道府県や市町村においても、独自の支援措置を設けている場合もあるので、支援措置の具体的な内容等については、市町村、普及指導センター、農協等に相談してください。

(平成18年1月19日追加)

【問7】
平成18年度予算では、集落営農の組織化・法人化に向けた支援として、どのような支援が予定されていますか。

  1. 構造改革の立ち遅れが課題となっている土地利用型農業における担い手の育成・確保を図るため、集落営農の組織化・法人化を加速的に推進することが重要です。
  2. 平成18年度予算においては、集落営農の発展段階に応じてさらにきめ細やかに対応するため、必要な財政支援を体系的に講じることとしたところです。
  3. 具体的には、
  4. (1) 集落リーダーによる集落営農組織の規約・定款の策定に向けた調整活動支援
    (2) 集落営農の一元経理に向け、会計責任者の育成・確保を図るための会計研修活動支援
    (3) 農地の利用調整を図るため、農業委員会による集落内農地の利用調整活動支援等
    (4) 畦畔除去、区画整理や個人所有の農業用機械の整理合理化計画の策定、不要機械の中古リース等の支援
    (5) 生産基盤の整備を契機として集落営農の組織化を図るための支援
    等、新たな事業や事業メニューの新設・拡充を行ったところです。

【問8】
集落営農の組織化・法人化の相談は、どこにすればよいですか。

  1. 集落営農の組織化・法人化の支援については、行政機関(都道府県・市町村)や農業団体(全国農業会議所・県農業会議・市町村の農業委員会、全国農業協同組合中央会・県中央会、農協等)で構成される担い手育成総合支援協議会(全国・都道府県・地域の各段階に設置)、普及指導センター、農林水産省(各農政局、沖縄総合事務局)で一体的に取り組んでいます。
  2. また集落営農の組織化・法人化やその課題については、まず地域の状況に詳しい地元の普及指導センター、市町村、農協等や各地域段階の担い手育成総合支援協議会に相談するとよいでしょう。
    特に普及指導センターでは集落営農に関する情報や地域性に応じた集落営農の組織化・法人化のノウハウ等を持っていますので、お気軽にご相談ください。
  3. なお、国の各地方農政局や農政事務所でも同様に集落営農の組織化等に関する相談を受けています。

集落営農の組織化・法人化の窓口はこちらです。(PDF:50KB)

【問9】
集落営農の組織化のメリットは何ですか。

  1. 集落営農の組織化により、農地の面的な利用集積によって作業の効率化が図られ、また機械等の共同利用により、個人経営で生じがちな機械等への過剰投資を回避することができるなど、生産・経営面で大きなメリットがあります。
  2. また、一定の要件を備えた集落営農を組織化することによって、品目横断的経営安定対策の対象となり、小規模な農家や兼業農家であっても、集落営農に参加することで、この支援を受けることが可能となります。

集落営農の組織化のメリット

  • 大型機械の導入、機械の共同利用でコストが下がり、作業効率が向上します。
  • 栽培技術の統一により、技術の個人差が解消され単収や品質が向上します。
  • 構成員の経験、技術、知識、体力等に応じた役割分担が可能です。
  • 耕作放棄地の解消につながります。
  • 農村社会もいきいきします。

【問10】
集落営農の法人化のメリットは何ですか。

法人経営は、

  1. 法人の資産が構成員の資産から独立しているため、経営体として、より安定的なものとなる
  2. 経営手腕のある主たる従事者にとっては、少ない自己資本で経営手腕の発揮が可能(より収益性の向上が望まれる)となる
  3. 一定の要件を満たすことで農業生産法人になって、農用地の権利主体になれる
  4. 資本調達の多様化や取引信用力の向上をなし得る
  5. さらに食品産業との連携等により、加工、流通、販売等の経営の多角化による所得機会の確保と労働力の周年有効活用が可能である

等の安定した経営体として、多くのメリットがあると考えています。

【問11】
集落営農の組織化・法人化を進めるに当たってのポイントを教えてください。

集落営農の組織化・法人化は、それぞれの地域やニーズに応じて進める必要がありますが、組織化・法人化が進んでいる先進事例などによると、次のような点がポイントとなっています。

  1. 集落営農の必要性・方向性の明確化
    農業者の高齢化や担い手の減少などの集落の現状を把握し、集落の方向性や集落の農業の維持をどうするかを集落みんなで考え、集落営農の必要性や将来の地域のビジョンを集落共通の認識とすることが重要です。
  2. リーダーとサポートメンバーの確保
    集落営農の組織化・法人化には、リーダーとリーダーをサポートするメンバーを確保することが必要です。
    集落リーダーの選出には、地域の実態に応じて、集落の役員、農業の担い手、集落内の農業関係機関・団体の職員(OB)などの話し合いの中で、リーダー及びリーダーをサポートするメンバーを選出します。
  3. 関係機関・団体との連携
    集落営農の組織化・法人化の情報を得たり、支援協力を受けるため、普及指導センター、市町村、農業委員会、農協などの関係機関・団体との連携体制をつくります。
  4. 若い世代や女性の話し合いへの参画
    次世代につながる集落営農について議論を活発にさせるため、集落内の次の世代を担う比較的若い人を積極的に集落営農の話し合いの場に加えることは重要です。
    また、日頃から地域や農業を支え、集落の合意形成を図る上で重要な位置付けとなる女性が率先して集落営農の話し合いの場に参加し、また、発言できる環境を整備することも重要です。

【問12】
集落営農の組織化・法人化に向けた話し合いはどのように進めればよいですか。
また、どのように集落の合意形成を図ればよいですか。

  1. 集落営農の組織化・法人化の話し合いについては、地域の農業の現状と今後地域の農業をどう進めていくか等について共通認識を持つことが必要です。
  2. このため、集落におけるリーダー等を中心に地域の農業関係機関・団体も交えて、集落の現状を明らかにするとともに問題点を把握し、将来の農用地の管理のあり方、集落営農を組織化・法人化するメリット・デメリット、農作業の担い手の確保、収益の配分方法等について、十分に話し合いを重ね、集落の組織化・法人化の必要性について理解を深めていくことが重要です。
  3. また、個々の経営内でも意見が食い違う場合もあるので、夫婦そろって、また次の時代の担い手となる若い世代にもできるだけ話し合いに参加してもらうことが重要です。
  4. なお、合意形成を図るためには、時には本音で話し合い、粘り強く納得の行くまで話し合いを重ねることが必要です。

【問13】
集落の現状把握はどのように進めればよいですか。

  1. 集落の現状把握については、農地面積、農家数、担い手数などについて市町村などが持つ統計データ等によって、客観的に把握するとともに、将来の経営耕地面積、農業就業人口・高齢化率を算出し、中・長期の集落の姿を分析します。
  2. また、農家の意向を把握するため、地域の農業関係機関・団体の協力を得ながら、次の点に留意してアンケート調査を行いましょう。
  3. (1) 調査項目の決定・調査様式づくり
    答えやすく、誘導的でない設問と回答様式を定め、アンケートの趣旨、回収、アンケート結果の活用方法について調査様式に明記します。
    (2) アンケートの実施
    配布、回収方法はそれぞれ工夫して行いますが、回収までに時間をかけないようにします。
    (3) 集計方法
    パソコンを活用し、追加的な分析を可能とするようにします。
    (4) フィードバック
    広報紙等を活用して調査結果を集落の調査対象者や関係機関等にフィードバックします。
    (5) その他
    各階層(世代別、性別)の意見を取り入れるために、一戸に一人の回答者に限定せずに、配偶者や後継者などにもアンケート調査を実施し、回答を求めるなどの配慮をすることも重要です。
    また、あまり多くの質問を設けず、わかりやすい表現や文字の大きさ等にも配慮します。

【問14】
集落営農組織における構成員の役割分担、出役、出資、利益の配分基準等はどのように決めたらよいですか。

  1. 集落営農の組織化・法人化を図る上では、集落全体での十分な話し合いによって合意形成を進めていき、各構成員の位置付けや役割、集落営農の将来展望等を明確にすることが重要です。これらに基づき今後必要となる集落営農組織の定款又は規約、取組方針を策定して下さい。
  2. 役割分担や出役については、まず、集落営農を行うに当たりどのような業務があるかを把握します。その中には、オペレーターとしての機械操作や、畦畔管理、会計・事務管理などが考えられます。
    この役割分担や出役の内容を決める際には、担い手など地域の状況に応じて、構成員の経験、技術、知識、体力等を勘案しつつ、話し合いの場などで構成員からの意見を聞き取りながら決めて下さい。
  3. また出資については、集落営農組織の規約の中で出資の決まりをつくり、これに基づいて構成員が出資しているものがあります。例えば、10a当たりの出資額を決めたり、構成員1人当たり又は1戸当たりいくらとして決めているものがあります。
  4. 利益の配分については、例えば、出資額や構成員の農地面積、出役時間等により、利益の配分方法を決定することが考えられます。

【問15】
集落営農における女性、高齢者の役割を教えてください。

  1. 女性、高齢者については、これまでも農業面をはじめとして、集落内で重要な役割を担っていることから、集落営農への参加を地域で積極的に促していくことが、集落営農の組織化にとって重要です。
  2. 集落営農における女性や高齢者の具体的な役割については、例えば、集落営農で加工・販売部門を開始する場合には、その企画立案や加工部門での作業、また、基幹作業の補助的作業や畦畔の管理、用排水路の補修などが考えられます。
  3. 集落営農における役割分担については、地域の実態や女性、高齢者の経験、技術、知識、体力などを勘案するとともに、不公平感や過重な負担感を覚えることのないように、十分な話し合いのもと、取り組むようにしてください。

【問16】
集落内に認定農業者が既にいる場合、集落営農と認定農業者の調整はどのようにすればよいのですか。

  1. 集落営農が無秩序に展開された場合には、既存の認定農業者との間で農用地の利用面であつれきが生じ、当該認定農業者のこれまでの規模拡大努力を損なうなどの好ましくない事態の発生が懸念されます。
  2. このため、
  3. (1) 認定農業者が、今後さらに農用地の利用集積を進めようとしている場合には、この認定農業者を中心メンバーとして位置付けて、集落営農の組織化を進めるなど、地域内の農用地の一体的・合理的な利用体制を構築する
    (2) 集落内で、認定農業者と集落営農組織双方がそれぞれ独立して経営発展を図ると見込まれる場合には、集落営農組織が利用している農用地のある地域から、認定農業者がこれまでに利用集積を図ってきた農用地を除外する、或いは、認定農業者に近隣の代替農用地をあっせんする等により、両者の農用地の利用関係を調整する
    ことが重要です。
  4. このような考え方を基本として、地域における話し合いを通じ、認定農業者と集落営農組織との間で、農用地の利用関係に関する無用な混乱が生じることのないようにしてください。
  5. なお、平成17年9月1日付け経営局長通知により、農用地利用改善事業の実施の単位として、「水田地域において施設園芸や果樹など利用形態が異なる農地がある場合、遊休農地等のうち要活用農地に該当しないものがある場合など、土地の自然的条件、農用地の保有及び利用の状況、農作業の実施の状況、農業経営活動の領域等から一の集落を単位とした区域を実施区域とすることが困難である場合にあたっては、農用地の効率的かつ総合的な利用に支障を来さない場合に限り、集落の一部を除外した区域を実施区域とすることもやむを得ないものとする。」とされています(【問20】参照)。

【問17】
畑作地域でも集落営農に取り組む意義はありますか。

集落営農は、水田地域に限らず、畑作地域においても集落営農に取り組むことで、農用地の利用調整や面的集積、地域の農地の保全・管理、担い手の確保、大型機械導入などによる経費の節減などに期待できる場合があります。

【問18】
「農用地利用改善団体」、「農用地利用改善事業」、「農用地利用規程」、「特定農用地利用規程」とは何ですか。

  1. 「農用地利用改善団体」とは、集落等の地縁的なまとまりのある区域内の農地の地権者等からなる団体で、その区域内における農作業の効率化(例:機械の共同購入・共同利用)や農地の利用関係の改善(担い手への農地集積のための調整)等の「農用地利用改善事業」を実施する団体です。
  2. 具体的な「農用地利用改善事業」の内容は、農用地利用改善団体が農用地の利用に関する規程で定めるところに従い、
  3. (1) 農用地の効率的かつ総合的な利用を図るための作付地の集団化
    (2) 農作業の効率化
    (3) その他の措置及び農用地の利用関係の改善に関する措置を推進する事業等
    です(基盤強化法第4条第3項第3号)。
  4. 「農用地利用規程」とは、「農用地利用改善団体」が、その区域内における農作業の効率化や農地の利用関係の改善等の「農用地利用改善事業」を実施する場合において、どのように実施するかについて、地域の合意内容を定めたものです。市町村がこの規程を認定し公告することによって、その「農用地利用規程」は有効なものとなり、「農用地利用改善団体」は「農用地利用改善事業」を実施することができることとなります。
  5. 「特定農用地利用規程」とは、通常の「農用地利用規程」に定める事項のほか、農用地利用改善事業の実施区域で農用地の利用集積を行う農業生産法人(特定農業法人(【問23】参照))又は任意組織(特定農業団体(【問22】参照))の同意を得た上で、その名称・住所、集積目標等が定められたものです。これらの事項が定められた農用地利用規程と特定農業法人又は特定農業団体として位置付けられる組織の同意書を添えて市町村に申請し、認定を受けることによりその農用地利用規程は特定農用地利用規定となります。

【問19】
農用地利用改善団体の要件及び設立方法を教えてください。

  1. 農用地利用改善団体を設立するには、その団体が次の4つの要件を備えることが必要です(基盤強化法第23条第1項)。
  2. (1) 市町村が定める基本構想に基づく基準に適合する区域を農用地利用改善事業の実施区域とすること
    (2) その区域の農用地について権利を有する農業者等の3分の2以上の者が構成員となっていること
    (3) 政令で定める基準に従った定款又は規約を有し、かつその定款又は規約に農林水産大臣の定める事項が定められ、その内容が同大臣が定める基準に適合していること
    (4) 農用地利用改善事業の準則となる農用地利用規程を定め、市町村の認定を受けること
  3. 農用地利用改善団体の設立方法は次のとおりです。
  4. (1) 農用地利用改善事業を実施しようとする区域にある農用地の関係権利者の3分の2以上を構成員として農用地利用改善事業を実施する団体を組織します。この団体は、任意組織が基本となりますが、農事組合法人(農業協同組合法第72条の8第1項第1号の事業を行うものに限る)でも構いません。
    (2) さらに、団体の構成員全員で団体のリーダー・指導者層を中心として話し合いを重ね、農用地利用規程の案と、定款又は規約の案を作成し、団体の総会などに諮りその承認を得ます。
    (3) 最後に、団体の代表者は、農用地利用規程の認定申請書に議決された農用地利用規程、定款又は規約、農用地利用改善事業を実施しようとする区域の農用地の権利者の加入状況を記載した書面を市町村に提出し、その認定を受けることにより正式に農用地利用改善団体となります。
  5. なお、既存の組織から農用地利用改善団体に移行する場合には、上記の場合と基本的には同じですが、次の点に留意して必要な調整を行い、農用地利用改善団体へ円滑に移行されるようにすることが必要です。
  6. (1) その団体の目的や活動内容が行おうとする農用地利用改善事業の目的や内容と調和するかどうか
    (2) その団体の構成員には、農用地利用改善事業の実施区域にある農用地の関係権利者の3分の2以上を含んでいるかどうか
    (3) その組織の定款や規約の内容が農林水産大臣の定める事項が定められ、その内容が同大臣が定める基準に適合するかどうか

【問20】
農用地利用改善事業の実施区域は、どのように設定するのですか。また、一部の区域を除外することはできますか。

  1. 農用地利用改善事業の実施区域(以下「区域」という。)は、「土地の自然的条件、農用地の保有及び利用の状況、農作業の実施の状況、農業経営活動の領域等の観点から農用地利用改善事業を行うことが適当と認められる地縁的なまとまりのある地域」とされています。(平成5年8月2日付け5構改B第847号農林水産事務次官依命通知第9の2の(1))
  2. この区域については、一般的には、伝統的に地域ぐるみで農地や農業用水の利用調整等が行われている集落などを単位として設定することが想定されますが、集落を取り巻く環境は多種多様であり、画一的に集落を区域として設定することが、かえって農用地利用改善事業を行う上で適当でない場合もあります。
    例えば、
  3. (1) 河川、山林等の地形的な条件によって、集落内のほ場が分断されており、それぞれ異なる営農体系がとられている場合
    (2) 鉄道、道路、公共施設、宅地等の土地利用の状況によって、集落内のほ場が分断されており、同一の営農体系がとりにくい場合
    (3) 同じ集落内で別々の農業用水を利用しているため、同一の営農体系がとりにくい場合
    (4) 集落内で、隣接集落からの入作が一般化している地区とそれ以外の地区とで、別々の営農体系がとられている場合
    (5) 水田地帯の集落内に利用形態の異なる施設園芸による営農や果樹の作付けなどが行われている区画が存在し、別々の営農体系がとられている場合
    には、それぞれの状況に応じて区域の設定を行う方が、農用地の利用関係の調整や農作業の共同化等を行う上で、関係権利者間の合意が得やすく、効果的に事業を展開することができる場合もあるものと考えます。また、認定農業者が集落内で独自の営農体系を既に確立しているような場合に、その利用集積している農用地を区域から除外することも、その集落の営農状況等によっては、認められることも考えられます(【問16】参照)。

【問21】
農用地利用改善事業の実施区域を市町村の区域を越えた範囲で設定することはできますか。

基盤強化法上、農用地利用規程は、「同意市町村に提出して、当該農用地利用規程が適当である旨の認定を受ける」こととなっている(基盤強化法第23条第1項)ため、農用地利用改善事業の実施区域が2以上の市町村にまたがる場合には、同事業の区域を管轄する全ての市町村において、農用地利用規程を策定し、かつそれぞれの市町村の認定が必要となります。

【問22】
「特定農業団体」とは何ですか。

  1. 特定農業団体とは、農作業受託によって、農用地の利用集積を図る相手方として農用地利用改善団体によって特定農用地利用規程に位置付けられた任意組織です。
  2. 具体的には、
  3. (1) 担い手不足が見込まれる地域において、
    (2) その地域の農用地面積の3分の2以上について農作業を受託する相手方として、一定の地縁的まとまりを持つ地域の地権者(農用地利用改善団体)が作成する特定農用地利用規程に位置付けられた任意組織であって、農業生産法人となることが確実と見込まれ、
    (3) 地権者から農作業を引き受けるよう依頼があったときは、これに応じる義務を負う
    という性格を有する任意組織(農作業受託組織)です(基盤強化法第23条第4項)。
  4. また、この他に特定農業団体の要件については、法人化計画を作成すること、定款又は規約があること、目標農業所得を定めた主たる従事者がいること、組織として一元経理を行っていること等の要件があります(【問32】参照)。

【問23】
「特定農業法人」とは何ですか。

  1. 特定農業法人とは、
  2. (1) 担い手不足が見込まれる地域において、
    (2) その地域の農用地面積の過半を集積する相手方として、農用地利用改善団体が作成する特定農用地利用規程に位置付けられた法人であって、
    (3) 農用地利用改善団体の構成員から農用地を引き受けるよう依頼があったときは、これに応じる義務を負うという性格を有する農業生産法人です(基盤強化法第23条第4項)。
  3. 特定農業法人に対しては、このような農用地の引き受け義務に対応し、不時の支出に備える観点から、税制上の特例措置(農用地利用集積準備金(注))が講じられています。
  4. なお、特定農業団体との違いは、特定農業法人が農用地の借受を中心として、農用地利用改善事業の実施区域内で利用集積を図るものであるのに対し、特定農業団体は農作業受託によって、利用集積を図るという点にあります。
  5. (注)この農用地利用集積準備金は、
    (1) 特定農業法人が地域の求めに応じて農用地を買い入れ、借り受け等する際に必要となる費用の支出に備えるため、農業収入の9%相当額以下の金額を積み立てた場合は、その積立額を損金算入することができるというもので、
    (2) この準備金を取り崩して農用地又は特定の農業用機械等を取得して農業の用に供した場合には、当該事業年度の準備金の益金算入額に相当する金額の範囲内で圧縮記帳し、その圧縮額を損金算入できることとされています。

【問24】
特定農業団体を定めた特定農用地利用規程の有効期間はありますか。また、特定農用地利用規程の延長はどのような場合にできますか。

  1. 特定農用地利用規程の有効期間は、基盤強化法第23条第1項の認定を受けた日から起算して5年とされています(基盤強化法施行令第6条)。
  2. ただし、農用地利用改善団体は、特定農用地利用規程で定められた特定農業団体の同意を得た場合には、農林水産省令で定めるところにより、同意市町村の承認を得て、その有効期間を5年を超えない範囲内で延長することができることとされています(基盤強化法施行令第6条)。
  3. なお、特定農業団体を定めた特定農用地利用規程についての延長承認については、特定農業団体が、特定農用地利用規程の認定申請の日から5年以内に農業生産法人となることが予定されている組織であることから、農業生産法人となれなかったことにつき、やむを得ないと認められる事由がある場合等に限定して行うことが適当です(平成15年9月16日付け15経営第3057号経営局長通知第2の3)。
  4. また、特定農業団体は、延長手続きを繰り返し行うことにより、期限なく特定農業団体として存続し続けることはできません。

【問25】
農用地利用規程の認定が取消されるのはどのような場合ですか。

  1. 市町村は、次の場合には、認定した農用地利用規程を取り消すことができます(基盤強化法第23条の2第3項、基盤強化法施行令第7条)。
  2. (1) 農用地利用改善団体が必要な4つの要件(【問19】)を備える団体でなくなった場合
    (2) 農用地利用改善団体が、認定を受けた農用地利用規程に従って農用地利用改善事業を行っていないと認められる場合
    (3) 基本構想の変更により農用地利用規程の内容が基本構想に適合しなくなった場合で農用地利用改善団体が遅滞なくその農用地利用規程について変更の認定を受けなかったとき(地域の名称の変更又は地番の変更に伴う変更の場合を除きます)
  3. 万一取消しを行う場合には、その取消しを行う前に農用地利用改善団体に対し必要な是正措置を講ずるよう、各関係機関が十分指導することが必要です。
  4. また、市町村は一度認定した農用地利用規程を取消すというような事態が生じないよう、常日頃から農業委員会、普及指導センター、農協等と連携して、十分な指導や支援を行うことが何より重要です。

【問26】
農用地利用規程をつくることは、集落や農業者にとってどのようなメリットがありますか。

  1. 集落の合意に基づき農用地利用規程を作成することにより、集落として進むべき農業の方向を全体で合意し、地域農業の担い手を明確化していくことができます。
  2. 具体的には、
  3. (1) 担い手とされた農業者は、経営改善計画が立てやすくなり、農用地の利用集積・集団化も図りやすくなります。
    (2) 一方、労働力不足、高齢化等により農業経営の継続が困難となる者としては、安心して農地の貸し付けや農作業の委託を行え、リタイア後も継続的に農地の管理が保証されます。
    (3) また、認定農業者と集落内のその他の構成員の役割分担などが明らかになり、担い手の規模拡大に伴う負担の軽減が図られます。
  4. また、担い手がいない集落では、特定農業法人や特定農業団体として位置づけられる組織を農用地利用規程にその名称及び住所、農用地の利用集積目標などを加えて、特定農用地利用規程に位置付けることにより、集落の担い手確保につなげることができます。

【問27】
「農用地利用規程」と「地域水田農業ビジョン」との関係はどうなるのでしょうか。

  1. 「地域水田農業ビジョン」とは、地域の水田営農の担い手や農地の利用集積の目標等について、集落段階での話し合いと合意形成を行い、これを地域自らが作成するものです。
  2. 平成17年の基盤強化法改正による農用地利用規程の整備は、この「地域水田農業ビジョン」の取組を集落レベルのものとして法制度化した意義があり、集落において担い手たる認定農業者への農地の利用集積及び集落営農の組織化を促進するものです。
  3. なお、「地域水田農業ビジョン」における「担い手」には、その過半は認定農業者以外の個別経営や任意組織がリストアップされていますが、今後、これらの「担い手」を認定農業者として認定されるよう、また、集落営農の組織化や法人化が図られるよう誘導・支援していくことが重要です。

【問28】
平成17年9月1日に施行された改正基盤強化法により、これまでの農用地利用規程の取扱いはどうなりますか。

  1. 平成17年の改正前の旧基盤強化法(以下「旧法」という。)により認定された農用地利用規程については、改正基盤強化法(以下「改正法」という。)施行後1年を経過する日までは、改正法により認定された農用地利用規程とみなされますが、その日を経過すると失効するとされたところです(改正法(平成17年法律第53号)附則第2条第3項)。
  2. このため、旧法により認定された農用地利用改善団体が、改正法施行後1年を経過した後も存続するためには、現行の農用地利用規程を改正法に基づき変更するか又は新たに農用地利用規程を作成し、市町村の認定を受ける必要があります。
  3. 特に、農用地利用集積準備金を積み立てている特定農業法人については、特定農用地利用規程が失効すると、農用地利用集積準備金を益金算入しなければならなくなりますので、特定農用地利用規程の変更を必ず行うよう留意する必要があります。

(平成18年1月19日追加)

【問29】
集落営農の組織化を進めるに当たり、LLP(有限責任事業組合)制度を活用することはできますか。

  1. LLP(有限責任事業組合)は、構成員が共同で新たな事業を行うことを目的とした任意組織であり、出資者が出資額までしか責任を負わない有限責任制をとっていること、損益分配を含め内部の取り決めは株式会社等と比べ自由に行うことができることなどの特徴を持っています。
  2. 集落営農におけるLLPの活用については、集落営農組織の状況に応じて活用することが重要であり、具体的な活用事例として、
  3. (1) 集落営農において共同化が進んでいる部門(農作業受託、機械利用・農産物加工等)について、LLPを活用し共同事業化する
    (2) 機械所有等の共同化・効率化を図るため、オペレーター同士が集落を対象として農作業受託組織をつくる場合にLLPを活用する
    等が考えられます。
  4. しかし、LLPは労務による出資ができないこと(LLP法第11条)や、原則、総組合員の同意によらなければ業務執行を決定することができないこと(同法第12条)、さらに貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書の作成が義務付けられている(同法第31条)ことなど、LLPの活用に当たっては、集落営農組織の実態及び組織としての発展段階を十分に考慮した上で活用することが望ましいと考えています。
  5. なお、LLPが特定農業団体となるには、LLPの要件の他に別途、特定農業団体の要件(【問32】参照)を満たす必要があります。
    さらに品目横断的経営安定対策の加入対象となるためには、同対策の規模要件も満たす必要があります。

【問30】
特定農業団体を設立するメリットを教えてください。

  1. 特定農業団体を集落内に設立することで、計画的な担い手の確保が図られるとともに、農用地の計画的な利用、遊休化防止、さらに地域農業の活性化などに役立ちます(注)。
  2. また、特定農業団体は、米価下落による稲作収入の減少に対する支援(担い手経営安定対策)などの国の支援措置を受けることができ、特定農業団体が投資を行う場合には、一定の条件を満たすことで、制度資金の利用も可能です。
  3. さらに、特定農業団体は、経営規模の要件を満たすことで、平成 19年産から導入される品目横断的経営安定対策の対象にもなります(【問34】参照)。

(注):平成17年9月の基盤強化法改正に伴う特定農業団体の役割の明確化
改正基盤強化法第24条第2項において、特定農業団体は農用地利用改善事業の実施区域内に、利用の程度が著しく劣っていると認められる農用地がある場合は、農作業の委託を受け、農用地の効率的かつ総合的な利用を図るよう努めるものと明記されました。

 

【問31】
特定農業団体の設立方法を教えてください。

  1. これから新たに集落営農を組織化し、特定農業団体を設立する場合は、集落ぐるみの話し合いと合意形成を経て、まず、地権者の集団である農用地利用改善団体を設立し、この改善団体の設立と並行して農作業受託を行う特定農業団体の設立に取り組む必要があります。
  2. また、既存の集落営農組織が特定農業団体となる場合には、農業生産法人となることに関する計画を作成するとともに、耕作又は養畜に必要な資材等の購入から農産物の販売及び収益配分に至るまでの一元的な経理を行う必要があります(【問32】参照)。また、農用地利用改善事業の実施の区域内の農用地面積の3分の2以上について利用集積(農作業受託)する目標についてもあらかじめ合意をしておくことが重要です。
  3. 特定農業団体を定めた特定農用地利用規程の認定申請は市町村に対して行いますが、その認定手続きは次の図(PDF:25KB)のとおりです。

【問32】
特定農業団体の要件はどのようなものですか。
また、特定農用地利用規程の認定申請時点で、すべての要件を満たさないといけませんか。

  1. 特定農用地利用規程の認定申請時に次の要件を満たしている必要があります。
  2. (1) 農作業を受託する組織であること
    5年後に、集落営農組織が地域の農地の相当部分(3分の2以上)を受託することを目標とします(基盤強化法第23条第6項第1号、平成15年9月16日付け15経営第3057号経営局長通知第2の1の(2))。
    (2) 規約が作成されていること
    [1] 代表者、[2] 構成員の加入及び脱退、[3] 総会の議決事項・方法、[4] 農用地や農業用機械等の利用及び管理等に関する事項等を定めた組織の規約を作成します(基盤強化法第23条第4項、基盤強化法施行令第5条第1号、平成15年9月16日付け15経営第3056号農林水産事務次官依命通知第2の2の(2))。
    (3) 一元的な経理を行っていること
    構成員全員で費用を共同負担(資材の一括購入等)するとともに、利益を配分(組織名で出荷・販売し、労賃等を配分)するなど、集落の経理を一括して行います(基盤強化法施行規則第20条の3第2号、3号)。
    (4) 中心となる者の目標農業所得額が定められ、かつその額が法人化後に一定水準以上の額を満たす計画であること
    組織の運営の中心となる者(主たる従事者)が目標とする農業所得額が定められており、かつ、その額が、市町村の基本構想において定められた目標農業所得額と同等以上の水準であることが必要です。
    これについては、
  3. [1] 農業生産法人化計画の策定時点では、主たる従事者となる候補者が存在することで足ります。
    [2] 農業所得額の水準については、将来的に目指す経営規模等で判断することが可能です。
    (基盤強化法施行規則第20条の2第3号、平成15年9月21日付け 15経営第3057号経営局長通知第2の1の(1)イ)
  4. (5) 農業生産法人化計画を有すること
    将来法人化する計画(農業生産法人となる予定時期、そのために行う先進事例の調査や研修会の開催、設立準備会や発起人会の設立などの計画)を作成します(基盤強化法施行規則第20条の2第1号、第2号、平成15年9月16日付け15経営第3056号農林水産事務次官依命通知第2の2の(3)、平成15年9月16日付け15経営第3057号経営局長通知第2の1の(1)ア)。
  5. これら5つの要件全てを満たすことは、厳しいように思われるかもしれませんが、「規約の作成」と「一元経理」以外の要件については、将来の目標や計画であればよいことになっています。

【問33】
特定農業団体はどのような「定款又は規約」を作成する必要がありますか。

  1. 特定農業団体が定める定款又は規約には、次の内容を定めることが必要です(農用地利用改善団体となる組織も同様です)。
  2. (1) 目的
    (2) 構成員たる資格
    (3) 構成員の加入及び脱退に関する事項
    (4) 代表者に関する事項
    (5) 総会の議決事項
    (6) 総会の議決方法
    (7) 農用地の利用及び管理に関すること
    (8) 農業用機械及び農業用施設の利用及び管理に関すること
    (基盤強化法第23条第4項、基盤強化法施行令第4条、5条、平成15年9月16日付け15経営第3056号農林水産事務次官依命通知第2の2の(2))
  3. また、この定款又は規約は次の要件を満たす必要があります。
  4. (1) 構成員の加入及び脱退について不当な制約がないこと
    (2) 代表者についてその選任手続を明らかにしていること
    (3) 総会の議決事項について定款又は規約の変更その他の重要事項が議決事項とされていること
    (4) 総会の議決方法について構成員の参加を不当に差別していないこと
    (平成15年9月16日付け農林水産事務次官依命通知第2の2の(2))
  5. なお、定款又は規約に記載していない特定農業団体の詳細な運用等に関する事項について、別途、細則等を定めることは構いません。

【問34】
「品目横断的経営安定対策」と「特定農業団体」との関係を教えて下さい。

  1. 「品目横断的経営安定対策」は、複数作物の組み合わせによる営農が行われている水田作及び畑作について、品目別ではなく、担い手の経営全体に着目し、市場で顕在化している諸外国との生産条件の格差を是正するための対策となる直接支払いを導入するとともに、販売収入の変動が経営に及ぼす影響が大きい場合にその影響を緩和するための対策を実施するものです。
  2. この対策の対象者は、次の要件を備える必要があります。
  3. (1) 「認定農業者」、「特定農業団体」又は「特定農業団体と同様の要件を満たす組織」であること
    (2) 一定規模以上の水田又は畑作経営を行っているものであること
    一定規模とは、認定農業者4ha(北海道10ha)、特定農業団体又は特定農業団体と同様の要件を満たす組織は20haとなっています(なお、物理的制約、生産調整、所得に応じた特例による緩和措置があります)。
    (3) 対象農地を農地として利用し、かつ、国が定める環境規範を遵守するものであること
  4. このため、集落営農組織が「品目横断的経営安定対策」の対象となるためには、まず、特定農業団体と同様の要件(【問32】参照)を備えた上で(地域の生産調整面積の過半を受託する組織については、利用集積目標面積の経過措置があります)、上記2の(2)、(3)の要件を備えることが必要となります。

【問35】
特定農業団体は、「認定農業者」とみなされますか。

特定農業団体は、人格を有していないので認定農業者にはなれません。このため、認定農業者とみなすことはできません。

【問36】
既に集落営農を行っている法人は特定農業団体になれますか。

  1. 農業生産法人は特定農業団体になることができません。(基盤強化法第23条第4項)。
    このため、集落営農を行っている法人が、農業生産法人の場合は、特定農業団体になれません。
  2. なお、事業内容が共同利用施設の設置や農作業の共同化に限定されている農事組合法人(1号法人)のように、農業生産法人でない法人は、特定農業団体になることができます。

【問37】
特定農業団体は、認定申請時点で農地法の農業生産法人の要件を満たす必要がありますか。

  1. 特定農業団体は、一定の基準を満たす農業生産法人になることに関する計画を有しており、その達成が確実と見込まれることが要件とされていますが、特定農業団体の認定申請時点で農業生産法人の要件を満たす必要はありません(農業生産法人は特定農業団体になれません)。
  2. しかしながら、特定農業団体は、5年以内に農業生産法人となることが確実と見込まれる等の要件を満たすことが必要とされていますので、農業生産法人の構成員要件等(【問4】参照)からみて、将来特定農業団体が農業生産法人となることが、確実と見込まれない場合には、特定農業団体として認定することは適当ではありません。
  3. なお、特定農業団体が、法人化しなかった場合には、ペナルティーは規定されていませんが、法人化計画を策定した以上、法人化に向けて特定農業団体は何らかの取組が行われることが当然期待されていますので、各関係機関は特定農業団体が同計画のとおり法人化するよう日頃から法人化に向けた綿密な指導を行う必要があります。

【問38】
特定農業団体は農地の受け手(権利主体)になれますか。

特定農業団体は、それ自体が人格を有するものではないことから、団体名義で農地の所有権や賃借権等の権利について取得することはできません。

【問39】
稲以外の作物(例えば、麦・大豆)だけの作業受託を行う特定農業団体を設立することはできますか。

  1. 特定農業団体は、5年後に農用地利用改善事業の実施区域内の3分の2以上の農用地について農作業受託によって利用集積を図る目標を策定することがその要件となっていますが、この利用集積については、農用地に作付されている品目に関わらず、農作業の受託による面積によって判断することとなっています。
  2. つまり、稲以外の作物だけを受託する組織が、同実施区域内において麦・大豆等の作物のみを対象として、作業受託を通して、農用地の3分の2以上を利用集積すると判断される場合は、特定農業団体として位置付け得ることとなります。
  3. なお、特定農業団体は、地域全体の農用地の利用集積を図る相手方として位置付けられたものであり、また、特定農業団体の主たる従事者の農業所得の目標の設定については、「基本構想において農業経営基盤の強化の促進に関する目標として定められた目標農業所得額と同等以上の水準であること」とされていることなどに留意し(基盤強化法施行規則第20条の2第3号)、米も含めた地域全体の農用地の利用集積を図り、地域の担い手として育成することが重要です。

【問40】
農用地利用改善事業実施区域外の地域において、特定農業団体が農作業受託を行うことはできますか。

  1. 特定農業団体が農作業を受託できる地域は、農用地利用改善事業の実施区域に限られるものではありません。
  2. そのため、農用地利用改善事業の実施区域外で農作業を受託することは可能ですが、農用地利用改善事業の実施区域外であることから、基幹作業以上の農作業を受託していても、農用地利用集積目標面積にカウントすることはできません。

【問41】
A集落において、高齢化等の理由により特定農業団体を設立できない場合、農用地利用改善事業の実施区域外であるB集落の特定農業団体や農作業受託組織をA集落の特定農業団体として位置付けることはできますか。

  1. A集落に特定農業団体を設立することが困難な場合、他のB集落の者のみが構成員となった特定農業団体や農作業受託組織をA集落の農用地の利用集積の相手方として位置付けることはできます。
  2. この場合、A集落の範囲を農用地利用改善事業の実施区域として、そこに農用地利用改善団体を設立し、その農用地利用規程の中にB集落の特定農業団体や農作業受託組織を位置付けることとなります。
  3. また、問いのようにB集落の特定農業団体をA集落の特定農業団体として位置付ける場合は、A集落とB集落とでは農用地利用改善事業の実施区域がそれぞれ別に設定されているので、A・Bの区域内の利用集積面積は別に考えることになります。よって、それぞれの実施区域内において、3分の2以上の農用地を利用集積することが必要となります。

【問42】
特定農業団体が別の農作業受託組織に農作業を再委託することはできますか。

  1. 特定農業団体は、農用地利用改善事業実施区域内の農用地の相当部分(3分の2以上)について、農用地利用改善団体の構成員等から農作業の委託を受けて農用地の利用集積を行い、将来的に効率的かつ安定的な経営体への発展が期待できるものとして、農用地利用規程に位置付けられた「農作業受託組織」です。
  2. そのため、特定農業団体が、受託した農作業をそのまま別の組織に再委託することは、特定農業団体の農作業受託組織としての実態を欠くものであり、その役割を自ら放棄してしまうことになりますので、適当ではありません。
  3. また、農用地の利用集積目標を達成するためには、農作業受託の対象作物が稲であれば基幹3作業(耕起・代かき、田植、収穫)以上、麦及び大豆については耕起・整地、播種、収穫、その他の作物にあっては、稲及び麦・大豆に準ずる農作業を自ら行っている必要があります(【問48】参照)ので、これらの農作業を再委託することは利用集積の目標達成を阻害することにもなります。
  4. このようなことから、特定農業団体の位置付け(特定農用地利用規程の策定)に当たっては、当初から基幹作業以上の農作業を受託する組織を特定農業団体に位置付けることとして下さい。

【問43】
個人経営の認定農業者、既存の農業生産法人、土地持ち非農家、他の集落に農用地を所有している農業者を特定農業団体の構成員にすることはできますか。

  1. 特定農業団体は、構成員たる資格、構成員の加入及び脱退に関する事項等を規定する定款又は規約を有していることが要件とされていますが、その構成員たる資格等の基準については、各特定農業団体で定めることになります。
  2. このため、特定農業団体の定款又は規約に定められた構成員としての資格を満たせば、設問にあるような個人経営の認定農業者、既存の農業生産法人、土地持ち非農家等であっても特定農業団体の構成員になることは可能です。
  3. なお、農用地の所有者等ではなく、農業とは関係のない者をその構成員としようとする場合、特定農業団体は5年後には、その組織を変更して、その構成員を主たる組合員、社員又は株主とする農業生産法人になる計画を有し、その達成が確実と見込まれることが必要になっていますので、農業生産法人に移行できるようその構成員の条件(農地法第2条第7項第2号に定める要件)を備える必要があります。

【問44】
特定農業団体の構成員には何らかの役割が義務付けられていますか。

  1. 特定農業団体の構成員には、制度上、役割分担は義務付けられていませんが、集落の大部分の農家が構成員となって集落内の農作業を共同で行うような特定農業団体にあっては、特定の構成員へ負担が集中しないように、また共同事業体として、構成員間の役割分担を定めることが望ましいと考えます。
  2. 例えば、農作業を中心的に担うオペレーター以外の構成員についても、各々の経験、技術、知識、体力等を最大限活かし、地域の担い手組織の一員として積極的に団体の活動に参加することができるよう組織を運営していくことが考えられます。

【問45】
特定農業団体と農用地利用改善団体の構成員は一致する必要がありますか。

  1. 農用地利用改善団体は、農用地利用改善事業の実施区域内の農用地につき所有権等の権利を有する者(地権者)の3分の2以上が構成員となっている必要があります(基盤強化法第23条第1項)。
  2. 他方、特定農業団体の構成員は、各特定農業団体の定款又は規約に定める構成員たる資格、加入及び脱退についての要件を満たした者が構成員になることができます。
  3. このため、特定農業団体と農用地利用改善団体の構成員が必ずしも一致する必要はありません。オペレーターがいない場合など地域の状況によっては、農用地利用改善団体の構成員以外の者が、当該特定農業団体に参加した方が農作業を行う上で効率的である場合も考えられます。
  4. また、地権者である農用地利用改善団体の構成員の大半が特定農業団体の構成員となることによって、農作業や水管理等において地権者も一定の役割を担うなど、地域が一体となって取り組むことで、特定農業団体の活動が円滑になることも考えられます。

【問46】
特定農業団体となる団体が既に農用地利用改善事業実施区域内の農用地の3分の2以上を利用集積している場合、今後、現状以上の利用集積を図る必要はありませんか。

  1. 特定農業団体の農用地利用集積目標面積は、農用地利用改善事業実施区域内の農用地の3分の2以上を集積することとされています(平成15年9月16日付け15経営第3057号経営局長通知第2の1の(2))。
  2. これは、特定農業団体が現時点においては農業生産法人ではなく、任意組織の受託組織であり、将来的に効率的かつ安定的な経営体への発展が期待できるものとして農用地利用規程に位置付けるに当たっては、同実施区域の農用地の過半を集積目標とすることが設立要件とされている特定農業法人に比べ、より強固な経営基盤の確保を目指すことが適当であるためです。
  3. 特定農業団体とする組織が設立時にすでに、農用地利用改善事業の実施区域のうち3分の2以上を集積している場合でも、目標年における利用集積目標面積は、現状以上の農用地を利用集積する目標とし、地域の担い手として経営面積の拡大を目指すことが重要です。
  4. 平成19年産から導入される品目横断的経営安定対策においては、「特定農業団体と同様の要件を満たす組織」のうち、地域の生産調整面積の過半を受託する組織については、利用集積目標が経過措置として、当分の間、2分の1以上となっています。

【問47】
特定農業団体の利用集積面積には、作業受託のうち全作業の受託面積をカウントすることになるのですか。それとも、一作業のみの受託も面積にカウントしてよいのですか。
また、特定農業団体が二毛作や裏作だけを行っている場合、利用集積面積の考え方はどうなりますか。

  1. 農用地利用改善事業の実施区域内において、特定農業団体に農用地の利用集積が図られたかどうかは、同実施区域内において、農作業委託を受けている作物が稲であれば基幹3作業(耕起・代かき、田植、収穫)以上、麦及び大豆については耕起・整地、播種、収穫、その他の作物にあっては、稲及び麦・大豆に準ずる農作業を行った実農用地面積をカウントすることにより判断します。実施区域内の農用地であれば、特定農業団体の構成員であるか否かは問いません。
  2. これについては、二毛作を行っている場合や裏作だけを行っている場合でも同様で、上記の農作業を行った実施区域内の実農用地面積をカウントします。例えば、20haの農地について二毛作を行い、その基幹作業をすべて請け負っている場合でも、 20ha×2の40haとダブルカウントするのではなく、実農用地面積である20haとしてカウントすることになります。
  3. また、裏作である麦のみの基幹作業以上を特定農業団体が請け負っている場合についても、実農用地面積を数えることになりますので、裏作で上記1の基幹作業を行った面積が20haであれば、20haをカウントすることになります。

【問48】
特定農用地利用規程における集積目標面積の実績面積は、どのように確認すればよいですか。

  1. 「特定農用地利用規程」には、特定農業団体の設立時に当該農用地利用改善事業の実施区域内の農用地のうち、利用集積目標として、その農用地の3分の2以上を利用集積する目標を記載することになっています。
  2. そこに掲げられた目標年である5年後の農用地の利用集積の目標面積が、実際、同実施区域内において3分の2以上集積されているか否かを確認するには、特定農業団体が農作業受託を行っている農用地のうち、基幹作業(【問48】参照)以上の農作業を行っている農用地について、受委託契約書に記載された面積の合計等により確認することが適当です。

【問49】
特定農業団体は、地域の生産調整対策に則って農作業受託を行わなければいけませんか。

  1. 特定農業団体は、農用地利用改善事業の実施区域を対象として農作業の受託を通じて農業経営を行う組織です。
  2. この農用地利用改善事業は、「農用地の効率的かつ総合的な利用を図る」ことを目的としており、同実施区域においては、生産調整対策に則った土地利用調整が図られるものと考えられます。

【問50】
一元経理とはどのようなものですか。また確認すべき書類はどのようなものですか。なお、特定農業団体では、損益計算書、貸借対照表などの財務諸表を作成する必要がありますか。

  1. 特定農業団体の要件となっている一元経理とは、特定農業団体が組織として農作業受託等の費用をすべての構成員が共同して負担し、その利益をすべての構成員に配分していることをいいます。
  2. 具体的には、「その耕作又は養畜に要する費用をすべての構成員が共同して負担していること」、「その耕作又は養畜に係る利益をすべての構成員に対し配分していること」と基盤強化法施行規則第20条の3第2号及び第3号に規定されています。
  3. これは、特定農業団体が、効率的かつ安定的な農業経営に発展するためには、その組織において行う耕作又は養畜に必要な資材等の購入から農産物の販売及び収益配分に至るまで一元的に行われていることが必要であり、このことが確認される必要があるとの観点から設けられたものです。
  4. 一元経理を行うに当たっては、まず特定農業団体名の金融機関の口座を開設することが必要となります。
    また、その口座に特定農業団体として出荷した米や麦などの販売代金が入金され、さらに必要経費(オペレーター賃金、肥料代金等)や構成員への配当金がその口座から出金されることとなります。
    なお、その口座は、あくまでも特定農業団体の農業経営に関するものであり、個人の経営や家計費などと一体とするものではありません。
  5. 一元経理を確認する書面については、次のいずれかの資料で確認します。
  6. (1) その団体の名義により農畜産物が出荷されていることを証する書類
    (2) その団体が農業災害補償法に規定する農業共済資格団体として農業共済組合の組合員となっていることを証する書類
    (3) その他その団体が農作業受託等に必要な資材等の購入から農産物の販売及び収益配分に至るまで一元的に経理を行っていることを証する書類
    (平成15年9月16日付け15経営第3057号経営局長通知第2の1の(1)のエ)
  7. 特定農業団体の経理上の書類については、特定農業団体の設立時点では、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表の作成は義務付けられていませんが、現金の収入・支出についての出納帳は最低限必要です。
  8. なお、特定農業団体は、将来の農業生産法人化に備え、また会計の健全化、税務処理の適正化などの観点から、特定農業団体としての収支実績等を適切に把握するため、損益計算書を作成し、可能であれば貸借対照表も整備していくことが適当です。

集落営農一元経理のイメージ(例)(PDF:169KB)

【問51】
特定農業団体の構成員の収益配分は、どのようになりますか。

  1. 特定農業団体の構成員への収益配分方法については特段の決まりはありません。
  2. 特定農業団体の利益の配分については、定款等の中でそれぞれ、地域や組織の実態にあった利益の配分方法を決め、それを用いて、収益を配分することになります。
  3. 例えば、出資金比率、出役時間、構成員の農地面積、農用地の収穫量などに応じて、構成員に対し明確な基準を設定して収益配分を行うことが考えられます。そして、収益配分は、特定農業団体名の口座から各構成員の口座に送金(振替等)されることになります。

(平成18年1月19日追加)

【問52】
構成員への利益配分において、特定農業団体の生産物を充てることはできますか。

  1. 特定農業団体内における収益の配分方法は、各団体それぞれが定めることになります。
  2. しかし、特定農業団体の利益の配分に生産物を充てる場合には、利益配分の支払等が経理上、不明確となるおそれがあることなどに留意が必要です。

【問53】
主たる従事者の要件について説明してください。また、なぜ主たる従事者の要件が必要なのですか。

  1. 主たる従事者の要件は、担い手として位置付けられた特定農業団体が今後さらに発展し、効率的かつ安定的な農業経営となるためには、主たる従事者が地域における他産業従事者並の生涯所得に相当する年間農業所得の確保を目指すことが必要であるとの考えにより設けられているものです。そのため、法人化計画の中で、将来法人化する際の「主たる従事者の目標とする農業所得の額」を定めることとされています。
  2. なお、このような「主たる従事者」は、農業生産法人となることに関する計画の策定時点においては、主たる従事者となる候補者が存在することで足り、必ずしもこのような要件を満たす者が存在することを要しません(主たる従事者となる候補者は存在するものの、その氏名が特定できない場合には、その候補者数を法人化計画に記載することで可能)(平成15年9月16日付け15経営第3057号経営局長通知第2の1の(1)のイ)。
  3. また、目標とする農業所得の額については、市町村の基本構想において農業経営基盤の強化の促進に関する目標として定められた目標農業所得額と同等以上の水準であることが必要とされています(基盤強化法施行規則第20条の2第3号)。

【問54】
主たる従事者の目標農業所得の達成が確実であるか否かの判断は、どのようにするのですか。

  1. 主たる従事者の目標農業所得の達成が確実であるか否かの判断に当たっては、その組織が現に行っている農用地の利用集積状況、将来的に目指す農業経営の指標等を総合的に判断して行います。
  2. 例えば、特定農業団体の設立に同意した市町村の基本構想に定める目標農業所得及び経営指標が次のような場合、特定農業団体を設立する時点において、その組織の利用集積面積(農作業受託面積)が23haで、5年後に目指す農用地の利用集積目標面積が35haであった時には、特定農業団体になろうとするこの組織は、市町村の経営指標と照らし合わせ、5年後には目標農業所得であるおおむね550万円の経営規模(30ha)を上回る35haを集積する計画であることから、計画どおりに利用集積等が行われれば、目標農業所得の達成が見込まれるという判断になります。

《経営規模(利用集積面積)(例)》現状:23ha→目標:35ha

《基本構想に定める目標農業所得額(例)》
個別経営、集落営農組織における主たる従事者一人当たりの所得水準 おおむね550万円
《基本構想に定める経営指標(例)》
営農類型 経営規模 生産方式
集落営農(集落協業)
主穀作
水稲+大麦+大豆
<労働力>
主たる従事者1人
(外構成員19人)
<作付面積等>
水稲 21.6ha
大麦 8.4ha
大豆 8.4ha
<経営規模>
30.0ha
<基本装備>
農作業舎 200m2
トラクター33ps 2台
自脱型コンバイン6条1台


【問55】
特定農業団体には、なぜ農業生産法人化要件があるのですか。

  1. 特定農業団体について、農業生産法人化する計画を有することを求めている趣旨は、特定農業団体が、一定の期間経過後には農業生産法人となった上で、効率的かつ安定的な農業経営へと発展することが期待できる組織であることを確認するためのものです。
  2. 特定農業団体が農業生産法人化することにより、自らの営農の基盤である農地等の権利の取得ができ、また、経営の永続性が図られることが期待されます。
  3. また、法人経営は、
  4. (1) 法人の資産が構成員の資産から独立しているため、経営体として、より安定的なものとなる
    (2) 経営手腕のある主たる従事者にとっては、少ない自己資本で経営手腕の発揮が可能となる(より収益性の向上が望まれる)
    (3) 資本調達の多様化や取引信用力の向上をなし得る
    (4) さらに、食品産業の直接投資等により、加工、流通、販売等の経営の多角化による企業経営のノウハウの取得が可能である
    等の安定した経営体として、多くのメリットがあります。
  5. なお、特定農業団体から農業生産法人として法人化する際には、特定農業法人になることは義務付けられていませんが、地域の担い手として引き続き農用地の集積を図る観点から、特定農業法人になることが望ましいと考えられます。

【問56】
「農業生産法人となることに関する計画の基準」はどのようなものですか。

  1. 特定農業団体の法人化計画の認定基準は、次のとおりとなっています。
  2. (1) 特定農用地利用規程の認定申請日から起算して5年以内に農業生産法人となる予定日が定められていること(基盤強化法施行規則第20条の2第1号)
    (2) 農業生産法人となるために実施する事項及びその実施時期が定められていること(同規則第20条の2第2号)
    (3) 団体の主たる従事者が目標とする農業所得の額が同意市町村の基本構想の目標農業所得額と同等以上の水準であること(同規則第20条の2第3号)
    (4) 団体が目標とする農業経営の規模等農業経営の指標が定められており、その内容が同意市町村の基本構想の効率的かつ安定的な農業経営の指標と整合するものであること(同規則第20条の2第4号)
  3. なお、上記1の(2)の「農業生産法人となるために実施する事項・時期」とは、次のとおりです。
    「実施する事項」とは、例えば、「先進事例の調査」、「法人経営に関する研修会の開催」、「設立準備会の開催」、「発起人会の設立」、「定款の作成」、「創立総会の開催」等が考えられます。
    また、「実施する時期」とは、特定農業団体が法人化に向けて実施する事項のそれぞれについて、予定する「年及び月」のことです。この「年及び月」は計画書に記載することを基本としますが、先進事例調査など受入側との調整が必要で自分たちのみではその「年及び月」を決められない場合や法人化の状況に応じて実施時期が変わり、計画策定時点では具体的な年月が決められないような場合には、概ねの実施予定時期を記載することで足りるものとしています。しかし、なるべく具体的な実施時期を計画し、計画的な法人化の準備を進めることが重要です。

【問57】
なぜ法人化まで5年以内と定めているのですか。

  1. 特定農業団体や特定農業法人は、農用地利用改善団体の構成員からの申し出に応じ、原則として農用地の利用を引き受ける義務を負っており、あまりに長期間このような義務を負わせていることは、負担が大きいと考えられるため、特定農用地利用規程の有効期間は5年となっています。
  2. また、特定農業団体が農業生産法人になるまでには、内部での合意形成、定款作成等の法人化のための準備や諸手続にある程度の期間が必要となりますが、その期間をあまり長い期間とした場合には、法人化の取組の機運が削がれることが懸念されます。
  3. このようなことを総合的に勘案して「5年」の期間が設定されています。
  4. 農用地利用改善団体や関係機関は、特定農業団体と連携して特定農業団体が計画どおりに農業生産法人となることができるよう、支援・協力を行うことが重要です。
  5. なお、5年以内に農業生産法人となることができない場合には、農用地利用改善団体は、特定農業団体の同意を得た上で市町村の承認を得て、特定農業団体を定めた特定農用地利用規程の有効期間を5年を越えない範囲内で再び延長することができます。その際、特定農業団体はこれまでの経過を踏まえて、農業生産法人化に向けた計画の見直しを行うこととなります。

【問58】
「農業生産法人となる予定年月日」とはどのような時点をいうのですか。

  1. 特定農業団体が「農業生産法人となる予定年月日」とは、この農業生産法人の要件(農地法第2条第7項)を備える日をいいます。
  2. また、「農業生産法人となる予定年月日」は、認定申請の日から起算して5年を経過する日前、とする必要があり、例えば、認定申請日が平成17年9月18日である場合は、平成22年9月17日以前の日となります。(基盤強化法施行規則第20条の2第1号)

【問59】
特定農業団体は、特定農業法人になる必要がありますか。

  1. 特定農業団体は、農業生産法人として法人化する際には、特定農業法人になることを義務付けられていません。
  2. しかしながら、特定農業団体が農業生産法人化し、引き続き地域の合意に基づく担い手として位置付けられ、計画的な農用地の利用集積や面的な利用を行う特定農業法人となることは重要と考えています。
  3. このような観点から、特定農業団体から特定農業法人への組織変更については、一定の場合に特定農用地利用規程の変更に要する認定手続を不要(認定→届出)としているところです。(基盤強化法第23条の2第1項)

【問60】
特定農業団体が農業生産法人に組織変更をする場合、農用地利用改善団体へ連絡することが必要ですか。

  1. 特定農業団体の組織変更は、特定農業団体を農用地利用改善事業実施区域内の農用地の利用集積の相手方として位置付けている農用地利用改善団体にとっては重要な事項です。このため特定農業団体は組織を変更する前に、あらじめ、農用地利用改善団体にその旨を通知することとされています(基盤強化法施行規則第21条の3)。
  2. なお、地域の農用地の利用集積を円滑に図るため、特定農業団体と農用地利用改善団体とは日頃から十分な連絡を取り合いながら、連携して、それぞれの組織運営や営農活動等を行うことが適当です。

【問61】
特定農業団体が特定農業法人になる場合、どのような手続を行う必要がありますか。

  1. 特定農業団体がその構成員を主たる組合員、社員若しくは株主とする農業生産法人となった場合において、当該農業生産法人を特定農業法人とする際には、農用地利用改善団体の代表者は、当該特定農用地利用規程を変更した後、遅滞なく、届出書に変更した「特定農用地利用規程」及び「特定農業団体が農業生産法人となったことを証する書面」を添えて市町村へ届け出ることとなります。(基盤強化法施行規則第25条)
  2. 「特定農業団体が農業生産法人となったことを証する書面」とは、農地法の許可書等の写しや農地法第3条の許可申請書の別紙「農業生産法人の要件にかかる事項」に準じた様式による書面等が考えられます。
  3. 市町村は、変更の届出を受けたときは、届出された特定農用地利用規程の変更内容が、特定農業団体が農業生産法人へと変更されたことに伴う変更のみであり、構成員の同一性が失われていないこと及び農用地利用改善団体に対して特定農業団体から組織変更の事前通知がなされているかを確認します。 (基盤強化法施行規則第25条、平成15年9月16日付け15経営第3056号農林水産事務次官依命通知第2の3の(2)イ)
  4. なお、「構成員の同一性」とは、特定農用地利用規程に位置付けられる農業生産法人の組合員、社員又は株主の過半が、農業生産法人に組織変更する前の特定農業団体であったときの構成員により占められている農業生産法人であることを指します(平成15年9月16日付け15経営第3057号経営局長通知第2の2)。また、この場合の「過半」については、構成員の数で判断します。

【問62】
特定農業団体は労災保険制度に加入できますか。

  1. 特定農業団体は農業用機械等を使用して農作業等を行う組織ですので、農作業中の万一の事故等に備えて、労災保険制度や民間保険会社の制度を活用し、災害の補償体制を備えることは重要です。
  2. 特定農業団体の労災保険制度の適用については、事業が構成員の共同事業という性格から、構成員本人は「労働者」という概念ではありませんが、「特定作業従事者」として特別加入することとなります。
  3. 詳細については、社会保険労務士等の専門家に相談してください。
  法人 特定農業団体 集落営農組織 備考
役員 特別加入※1 特別加入※2 特別加入※2  
役員の家族 特別加入※1 特別加入※2 特別加入※2 農業従事がある家族
構成員 加入 特別加入※2   農業従事がある構成員
構成員以外の者 加入     構成員の家族等

1 中小事業主及びその家族従事者

2 特定作業従事者

  1. [1] 特定農作業従事者
    経営耕地面積2ヘクタール以上又は年間農業生産物総販売額300万円以上の事業場における土地の耕作・開墾、植物の栽培・採取、家畜・蚕の飼育作業であって、動力機械を使用する作業、2メートル以上の高所作業等に従事する者をいう。
  2. [2] 指定農業機械作業従事者
    農業における土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽培若しくは採取の作業であって、厚生労働大臣が定める種類の機械を使用する者をいう。

【問63】
特定農業団体は共済制度や集荷円滑化事業に加入できますか。

  1. 共済制度については、農業災害補償法において農業共済組合の組合員資格を有することができる農業経営の形態は、個人又は法人以外に、法人格を有さない任意の組織として、「農業共済資格団体」(以下「共済資格団体」という)が位置付けられており、特定農業団体は、共済資格団体の要件を満たせば、共済に加入することができます。
  2. また、集荷円滑化事業については、特定農業団体として、またはその構成員の全員が生産調整に取組む場合は、集荷円滑化対策に加入することができます。

《参考》

  1. 共済資格団体の要件(農災法第15条第1項第8号)
    (1) 共済掛金の分担及び共済金の配分方法
    (2) 代表者その他の農林水産省令で定める事項について農林水産省令で定める基準に従った規約を定めていること
    (3) 農林水産省令で定めるところにより、水稲、麦、果樹(果樹共済の共済目的の果樹)、畑作物(畑作物共済の共済目的である農作物)を栽培することを目的とするもの

(平成18年1月19日追加)

【問64】
特定農業団体に対する課税の取り扱いはどのようになりますか。

  1. 特定農業団体に対する課税の取扱いについては、
    (1) 任意組合等として構成員に課税される場合
    (2) 人格のない社団等として特定農業団体に課税される場合
    があります。
  2. 人格のない社団等に該当した場合には、
    (1) 法人税は、特定農業団体として農協などの特定の集荷業者に農産物の売渡しだけを行う場合には収益事業には当たらないので、課税されません。
    (2) 消費税は、設立2期目までは、その課税期間に対する基準期間が存在しないことから、納税義務が免除されます。さらに、例えば、3年目に法人化した場合で一定の要件に該当する場合には、法人化前と法人化後を通算して、連続4事業年度の間、免税事業者となります。

特定農業団体に対する課税の取扱い(PDF:503KB)

【問65】
農地等の相続税、贈与税の納税猶予制度の適用者は集落営農に参加することはできますか。

  1. 任意組織である集落営農組織は、法人格を有しないことから、農地等の所有権、賃借権等の使用収益するための権利を取得することが出来ないため、構成員から農作業の委託を受けて、その農作業の委託を受けた農地等について共同作業を行う組織です。
  2. したがって、相続税、贈与税の納税猶予制度の適用者は、集落営農組織に特例適用農地等に係る農作業を委託することで、集落営農に参加することになりますが、農地等の相続税、贈与税納税猶予制度は、農業相続人又は受贈者が自ら農業経営を継続することを前提として設けられていることから、特例適用農地等に係る全農作業を集落営農組織へ委託した場合には、農地等の権利を譲渡等した場合と同様に、納税猶予は打ち切られることとなります。

【問66】
農地等の相続税、贈与税納税猶予制度の適用者が、農業経営を法人化して集落営農に参加した場合、納税猶予制度の適用は継続となりますか。

  1. 農地等の相続税、贈与税納税猶予制度は、農業相続人又は受贈者が自ら農業経営を継続することを前提として設けられていることから、農業経営を法人化するために特例適用農地等を農業生産法人に譲渡等をした場合には、納税猶予は打ち切られます。
  2. 農地等の贈与税納税猶予制度については、贈与税納税猶予適用者が平成17年4月1日から平成20年3月31日までの間に特例適用農地等のすべてを一定の農業生産法人に使用貸借する等の一定の要件に該当する場合のみ、農地等の贈与税納税猶予制度の特例が継続されます。
  3. 具体的には、平成17年3月31日までに農地等の一括生前贈与を受けて贈与税の納税猶予を受けている受贈者で、以下の(1)から(3)までの要件をすべて満たしている農業生産法人に対し、納税猶予の適用を受けている農地等を一括して使用貸借による権利の設定をすることが必要です。
  4. (1) 当該農業生産法人が認定農業者又は特定農業法人であること。
    (2) 特例対象者が当該農業生産法人の代表権を有する役員(当該農業生産法人が、特定農業法人にあっては代表者でなくても可)であること。
    (3) 特例対象者の当該農業生産法人における農業従事日数が年間 150日以上(当該農業生産法人が、特定農業法人にあっては緩和要件(60日~150日)を措置)で、農作業従事日数が年間60日以上であること。
  5. ただし、相続税の納税猶予制度の場合については、
    (1) 20年間継続して耕作を行えば、納税が免除されるという極めて特例的な制度であること
    (2) 贈与税の納税猶予制度が、あくまで相続時まで猶予措置を継続するものであり、贈与者が死亡した場合にはその贈与された農地については、相続税の課税対象となるという限定された制度であること
    から、相続税も贈与税と同じ特例を措置することは、極めて難しいと考えています。

【問67】
集落営農組織(任意団体)が法人化した場合、制度資金の継承はどうすればよいですか。

  1. 集落営農組織(任意団体)が法人化した場合の制度資金の継承は、
    (1) 集落営農組織(任意団体)であった時点に借り入れた制度資金の借入名義人
    (2) 制度資金を継承(債務引受)する法人
    (3) 融資機関
    の三者による債務引受に関する契約を締結する必要があります。
    なお、その契約の内容は、従来からの集落営農組織(任意団体)の借入名義人に、新たに法人が参加することが一般的なところとなっているようです。
  2. この契約では、法人化前の集落営農組織(任意団体)で資金を借り入れた際に、連帯債務者又は連帯保証人がいた場合や担保として農地・施設等に抵当権を設定していた場合には、そのまま継続することが可能であり、新たな手続きを行う必要はありません。
    ただし、集落営農組織(任意団体)であった時点に資金を借り入れた際の借入名義人は、引き続き、債務を負担することとなることを理解した上で契約する必要があります。
  3. 詳しい取扱いについては、制度資金を借り入れた融資機関にご相談ください。
  4. なお、集落営農に参画する認定農業者が、スーパーL資金等の認定農業者向け資金を借り入れている場合に、上記の債務引受が行われず、かつ、当該認定農業者の農業経営改善計画が取り消された場合等には、繰上償還が必要となる場合があるので、留意が必要です(集落営農組織の構成員になっても、当該農業者が引き続き認定農業者として、市町村の基本構想に照らして適当であると認められる経営を行っているのであれば、繰上償還等の心配はいりません。)。

【問68】
法人化した場合、社会保険及び労働保険の取り扱いはどうなりますか。

原則として、1人でも専従の従業員がいる法人は、社会保険及び労働保険の当然加入の対象となります。
社会保険及び労働保険の掛け金は、従業員だけでなく事業主(法人)負担も生じることがありますが、個人経営では難しい勤労者としての身分保障ができるメリットがあります。

【社会保険制度の概要】

(注)適用に際しては個別運用を確認のこと

  個 人
又は任意組合
農事組合法人 有限会社
株式会社
従事、利用分量の配当 確定賃金の支給
医療保険 事業主
従業員
国民健康保険
(強制適用)
健康保険
(強制適用)
年金保険 事業主
従業員
国民年金
(強制適用)
厚生年金
(強制適用)
農業者年金
(任意)
労災保険 事業主 特別加入
(任意)
従業員 従業員5人以上(強制)
従業員5人未満(任意)
従業員1人以上
(強制適用)
雇用保険 事業主 適用なし
従業員 従業員5人以上(強制)
従業員5人未満(任意)
従業員1人以上
(強制適用)
退職金制度 小規模企業共済、中小企業退職金共済

【問69】
任意の集落営農組織が法人化する際、どのような場合に厚生年金に入らないといけないのですか。〔新制度〕

  1. 法人の従業員(社長や役員も含まれます)は、従業員規模にかかわらず、必ず、厚生年金に加入しなければなりません。
  2. ただし、以下のような場合は、厚生年金加入の対象になりません。
  3. (1) 従事分量配当制の農事組合法人の従業員(税法上、給与支給に 該当しないため)
    (2) パートタイマー勤務(注)の場合

(注):パートタイマー勤務・・・労働日数・労働時間が、おおむね一般従業員の4分の3未満

(平成18年1月19日追加)

【問70】
集落営農を法人化した場合、農業者年金の被保険者資格の取り扱いはどのようになりますか。また、これまで掛けてきた保険料は掛け捨てになってしまうのですか。 〔新制度〕

  1. 集落営農を法人化した場合は、当該法人が社会保険事務所に厚生年金への加入手続(届出)をすみやかに行う必要があります。
    加入手続終了後は、国民年金の第1号被保険者から第2号被保険者となるため、農業者年金基金に脱退届を出していただくこととなります。
  2. また、法人化して厚生年金に加入しても、農業者年金に加入していた時に掛けてきた保険料は、将来(原則として65歳から)、年金として受給できますので、保険料の掛け捨てになる心配はありません。

(平成18年1月19日追加)

【問71】
集落営農の法人化によって厚生年金に加入すると、農業者年金加入時の政策支援(保険料補助)の取り扱いはどのようになりますか。〔新制度〕

  1. 集落営農が法人化した場合
  2. (1) 当該法人が社会保険事務所に届け出て、厚生年金へ加入
    (2) 農業者年金基金へ脱退届を出して、農業者年金から脱退
    (厚生年金制度に基づく保険料を支払うこととなります)
    (3) 65歳以降、農業者年金に掛けてきた保険料は、農業者年金として受給
    となります。
  3. 農業者年金加入時に政策支援(保険料補助)を受けていた方については、
  4. (1) 政策支援(保険料補助)は農業者年金独自の制度ですので、厚生年金加入後は保険料の補助はありません。
    (2) 65歳以降、保険料補助部分(特例付加年金)を受給するためには、農業者年金に20年以上加入する必要があります。法人化後、農業者年金に20年以上加入できない場合であっても、法人の構成員として農業に常時従事(注)していた期間は「農業法人構成員期間」として、農業者年金の加入期間に算入(カラ期間)することができます。
    したがって、法人化して農業者年金を脱退しても、農業者年金に20年以上加入(カラ期間を含む。)していれば、将来、保険料補助部分を受け取ることが可能です。
    (注)年間農業従事日数が原則として150日以上(一定の条件下で60日)。年間農業従事日数には、農作業従事のみでなく、企画・記帳等に係る日数を含む。

【問72】
農業者年金の経営移譲年金の受給権者(親)が法人組織の役員になると受給権は喪失するのですか。〔旧制度〕

  1. 経営移譲年金の支給要件として農地等の経営移譲を求めているのは、若い後継者に経営を譲って農業構造の近代化を図るという政策年金であるという理由によるものです。
  2. このため、経営移譲年金の受給権者(親)が、農業生産法人の構成員になり、その法人の経営に参画する場合は、農業経営の再開となり、経営移譲年金の支給は停止されることになります(一般の退職年金制度での「再就職停止」の状態)。
  3. 一方、経営移譲年金の受給権者(親)が、農業生産法人の持分を有しないで、当該法人の雇用者となる場合には、農業経営者ではないので経営移譲年金の支給は停止されません。
  4. したがって、集落営農を法人化する場合は、経営移譲年金の受給権者が、法人の構成員になるのではなく、アドバイザー・顧問などその法人に雇用される形態をとれば、経営移譲年金の支給停止の問題は生じません。
  5. なお、農地を保有しないで農作業受託のみを行う法人や集落営農組織の場合には、経営移譲年金の受給権者がその構成員となり農作業に従事しても、経営自体は委託者である個別の農家が行っているので、農業経営の再開にはならず、経営移譲年金は停止されません。

【問73】
農業者年金を受給するためには20年間加入している必要がありますが、例えば17年目で集落営農を行う任意組織に参加してしまうと、農業者年金の20年要件が満たせなくなるのではないですか。〔新制度〕

  1. 任意の集落営農組織において農業に従事するのであれば、農地の所有権は農業者年金の受給者からの変更がないため、20年要件が満たせなくなるということはありません。
  2. また、任意の集落営農組織が法人化した場合、その法人の従業員となって厚生年金に加入し、その法人に常時従事しても、その期間はカラ期間としてカウントできますので、従業員(注)となることをもって、20年要件が満たせなくなるというわけではありません。

(注):ここでいう「従業員」とは、広い意味で法人から給料をもらっている者を指します。したがって、社長や役員も含まれます。

【問74】
経営移譲を受けた後継者が集落営農に参加する場合、特定農業団体は経営主体としての実体を有するものであることから、当該農地の経営者ではなくなるとみなされ、親の経営移譲年金が支給停止になるのではないですか。〔旧制度〕

  1. 特定農業団体に農作業を委託しても、当該後継者の農地名義(所有権・使用収益権)に変更はないので、親の経営移譲年金の支給は停止されません。
  2. なお、特定農業団体が法人化した場合、その法人に農地名義を変更させる場合で、農地の細分化防止や担い手農業者の規模拡大といった「農地保有の合理化」という農業者年金制度の目的に沿ったものでなければ、支給停止となる場合があります。
  3. また、経営移譲者(親)がその法人に参加する場合、構成員として参画すると法人の経営に関与することとなるので「農業経営の再開」とみなされ、支給停止となりますが、その法人の従業員として、あるいは、「アドバイザー」や「顧問」といった形で活躍いただければ、法人の経営には関与しないので、支給停止の問題は生じません。

(平成18年1月19日追加)

【問75】
後継者に経営移譲して経営移譲年金を受給するためには、後継者が通算3年又は引き続き1年の農業従事要件がありますが、後継者が集落営農に参加するとこの要件を満たせなくなるのですか。〔旧制度〕

  1. 農業者年金制度は、親が後継者に農業経営を適切に譲ることで、年金が支払われることとなっています。この場合、後継者が経営者として農業経営を行っていくためには、ある程度の経験(通算3年又は引き続き1年)が必要と考えられることから、この要件が設けられたものです。
  2. この要件は、少なくとも農業「従事」の経験が必要という考え方であり、必ずしも、農業「経営」の経験を求めているわけではありません。したがって、親以外の者の下で農業に従事したり、大学や高校等において農業に関する学科を学んだ期間も含まれます。
  3. 後継者が集落営農に参加するということは、まさに農業に従事している状態ですので、農業者年金における「農業従事」の期間に含むことができます。

【問76】
法人へ農地を提供する場合に、どのようにすれば親の経営移譲年金が支給停止にならずに、後継者が法人に参加できますか。〔旧制度〕

  1. 経営移譲を受けた後継者が、農業生産法人の構成員になるために当該法人に農地を提供する場合、農地の細分化防止や担い手農業者の規模拡大といった「農地保有の合理化」という農業者年金制度の目的に沿ったものであれば、親の経営移譲年金は支給停止となりません。
  2. 農業者年金制度の目的に沿ったものとしては、例えば、以下のようなものが挙げられます。
  3. (1) 後継者の農業経営を全て法人に移すようなとき、経営移譲を受けた全ての農地を一旦親に戻し、親が経営移譲のやり直しとして当該法人へ権利移動する場合
    (2) 経営移譲を受けた農地の一部を法人に権利移動するときには、
    [1] 農地の利用集積に資するものとして、基盤強化法に基づき、当該法人に権利移転する場合
    [2] 経営移譲を受けた農地の一部(2分の1以上)を一旦親に戻し、親が分割方式による経営移譲のやり直しとして当該法人へ権利移動する場合(いわゆるサラリーマン後継者に限る)

お問い合わせ先

経営局経営政策課

担当者:集落営農グループ
ダイヤルイン:03-6744-2143
FAX:03-3502-6007

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