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農林水産省

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令和元年度第2回グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会 議事概要

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全体会合

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日時:令和元年12月9日(月曜日) 16時00分~18時00分
場所: TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13B

1.開会あいさつ(農林水産省 大澤農林水産審議官)

 ・グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会は5年目を迎え、幹事会や関係者の方々からの意見を取りまとめた新プラン案を本協議会で提示する。
 ・5年間の成果を踏まえ、反省点も含めた案となっており、東京だけでなく地方の企業の方々の参加促進や、各国・地域の実情に応じた具体的な戦略等の知恵を詰め込んで作成した。参加各社の努力が官民協議会という全体の力となるように、新プランを審議いただきたい。
 ・TPP等関連政策大綱において、農林水産業や食品産業を巡る状況の変化の中で輸出促進だけでなく、食産業の海外展開など、生産者等の所得につながる海外需要の獲得への取り組み推進が加えられているのは、本協議会会員の皆さんの活動に対する政府の評価であると考えている。
 ・今回の議論を経て、新プランを了承いただき、会員の皆さんと推進していく所存。

2.議事

(1)フードバリューチェーン構築推進の新たなプランについて
(農林水産省 大臣官房国際部 海外投資・協力グループ 菊池課長補佐)

 ・本協議会の今後5年間の指針となるGFVC構築推進プランについて説明する。
 ・2014年6月に77のメンバーから発足したGFVC推進官民協議会は、今では454の企業が参加する大きな協議体となった。さまざまな国で、二国間プログラムの策定、相手国政府や企業との関係構築支援、相手国の規制緩和や投資の改善、農産物等に係る関わる日本型制度の普及等の取り組みを実施してきた。
 ・2014年に策定したGFVC戦略では、食関連産業の海外売上高を2.5兆円から2020年度までに5兆円にするという目標を掲げたが、2017年度には5.9兆円となり、既に目標を達成。
 ・このような中、戦略策定から5年たち、さらに食関連企業の海外展開を加速化させる新プランの作成に着手した。新プランの取り組みには5つのポイントがある。
 ・1つ目は、各国・地域における企業支援の取り組みの重点化である。13カ国との二国間対話や民間企業の海外展開支援を重ねた結果、FVC発展段階や企業の進出状況がそれぞれの国・地域で異なっていることが分かった。従って、各国・地域の状況に応じ企業支援の取組を重点化する。
 ・資料1-2の3頁に、国・地域ごとのFVCの発展段階と企業の進出状況を表で整理した。横軸が生産、製造、加工、流通、消費というFVC発展段階、縦軸が日本企業の進出段階。
 ・このように地域の状況を分類した上で、国別、地域別プランを策定している。例えば、企業進出が少ないエリア(アフリカ、ロシア、インド)では、日本企業の進出を加速させる取り組みを実施する。一定の日本企業の進出があるエリア(中南米等)では、進出企業がビジネスを展開する上で問題となる制度や規制の緩和・改善など、ビジネス投資環境の整備を進める。日本企業が多く進出しているエリア(ASEAN、中国、豪州等)では、進出企業のビジネスを強固にするため、日本型規格や基準等の普及を推進する。
 ・2つ目は、企業コンソーシアム形成・計画策定支援。これについては複数のメンバー企業から意見をいただいた。海外展開では、個別よりも、複数の企業が連携して、日本の優れた技術をパッケージ展開するほうが日本の強みが生かせる。企業コンソーシアムで、複数企業の連携を図り、パッケージで相手国に提案する事業計画を策定する。
 ・3つ目は、地方企業の進出促進。地方にも海外展開できる優れた技術を持つ企業が多い。一方で現在、本協議会への地方企業の参加は2割にとどまっているが、今後は地方セミナー等で、海外展開に関心がある地方企業を巻き込む取り組みを行い、企業コンソーシアムへ参加を含めて、地方企業の海外展開を推進する。
 ・4つ目は、輸出と投資の一体的推進。例えば、小売りや外食の業態が、海外にレストラン、スーパーを出店して日本食を提供するような場合、その食材は、現地調達だけでなく、付加価値を高めたい部分では日本から食材を輸出して使用する。このような輸出促進につながる海外展開を積極的に推進する。
 ・5つ目は、スマート農業技術の海外展開の推進。日本のスマート農業技術は、各国・地域の現状に応じてカスタマイズすることで、海外展開が可能となる。二国間対話等を通じた海外各国のスマート農業へのニーズ等把握によって、日本企業のスマート農業技術の普及に取り組む。加えて、スマート農業の普及に重要な農業データの連携基盤を整備し、FVC全体での活用・連携を推進する。
 ・特に地方企業の参画や企業コンソーシアムの形成のように、企業間の連携を強化して、一層海外展開の推進を実施するというのが、本プランの重要なところである。
 ・各国・地域別プランについて、ASEANでは、日本の規格や認証の普及と、そのために必要な人材育成を積極的に行う。中国では、FVCの重心は消費部分にあるので、日本の強みが生かせる介護食や健康食の普及、日本食を含めた外食、中食の展開を加速することに取り組む。インドは日本企業の進出が少ないエリアではあるが、生産から消費まで、フードロスの削減等さまざまな課題があり、それらの課題解決につながる技術を持った日本企業の海外展開を推進する。
 ・FVCが発展した中東で日本企業が狙うのは消費の部分と考えられる。折からの健康への関心の高まりで、富裕層を中心に需要の伸びが見込まれる日本食を軸に、小売りや外食の進出拡大を図る。FVCの発展が不十分なアフリカでは、小規模農家の組織化等を通じ日本企業の海外展開を推進する。
 ・中南米では、円滑なビジネスを図るため、ビジネス投資環境の改善に取り組む。併せてブラジルではスマート農業技術の普及も進める。ロシア、特に極東では大豆穀物等の生産、未利用水産資源の活用、野菜温室等の需要が見込め、関係する企業の進出拡大を進める。豪州は、季節の逆転を利用した生産による、日本品質の農産物のASEANやインド等への通年供給を図るため、日本技術の普及に取り組む。
 ・以上のFVC構築推進プランに基づき、今後5年間で、協議会のメンバー企業数を約450から800に、海外現地法人を持つメンバー企業数を約120から200にする目標を立て、皆さんの海外展開を推進していきたい。

  新たなプランについてのコメント
  (東京農業大学教授板垣GFVC推進官民協議会代表)

 ・今まで5年間の実績を踏まえ、課題を整理し、向こう5年間の外部環境の変化を考慮しながら、二国間対話あるいは会員からの意見を取り入れて、新しい5年間のプランを作成した。事前に協議会の幹事会や各地域の部会の方々に議論を起こしていただき、それを取りまとめて、本日の発表となった。
 ・改善や補完すべきポイントがよくまとめられたプランとなった。まず、国や地域ごとに異なる状況にある課題を、FVCに沿って重点項目を絞り、その国や地域における発展の未来像を念頭に置いて、その中で日本企業の進出や展開を考えた。また、企業単独では難しいことを効率よく進められるコンソーシアムの場を設けた。そして、今までは首都圏中心だったが、地方企業にも参画・参加してもらう機会を準備した。加えて、スマート農業、ICT、AI、IoT、あるいは6次産業化など、日本が持つ強みによって、より進んだ取り組みができないかと考え、目玉の1つとした。
 ・先ほどの5つのポイントを、地域の状況に応じて、一体化させて推進していく。協議会の官民一体の取り組みによって、企業の皆さんの海外進出が飛躍的な結果となればうれしい。これから実施していく新プランに、皆さんの支援、協力をいただきたい。

(2)コールドチェーン構築に係る民間企業の取り組み
  日本通運の食品輸出への取り組み
  (株式会社日本通運 事業開発部 松崎課長)

 ・日本通運の食品輸出の取り組みを紹介する。
 ・日本通運は、自動車、トラック、鉄道、船、飛行機などを使った輸送、倉庫および倉庫内の作業、輸出入に関わる通関業務など、物流に関わる幅広いサービスを提供している。現在46カ国、302都市に705拠点で事業展開している。食品輸送サービスは、日通フード・ロジスティクスというブランドで提供している。
 ・食品の商材のニーズあったサービスを用意している。生鮮品は、鮮度保持、温度管理が重要になるので、保冷性能の高い箱を使用した「空飛ぶ鮮魚便」、加湿機能を加えて海上輸送する「フレッシュ青果便」、保冷機能が付いた航空コンテナを使う「フレッシュ・コンテナ」がある。小ロット、中ロットでも船で運べる海上の混載サービスも用意している。ハラール食品には、「ハラール物流サービス」を展開しており、日本だけではなくマレーシア、インドネシアでも取り組んでいる。
 ・本日は「空飛ぶ鮮魚便」について説明する。「飛び箱」と呼ばれる、積水化成品工業と共同開発した特殊な箱を使用する。この箱は、ふたと箱の密閉性が高く、側面に設けた中空層や、底に敷いたすのこ型の板によって熱が伝わりにくく、保冷性能が高い。その保冷性能を、一般的な同容量の箱と24時間後の氷残量で比較すると、「飛び箱」は一般的な箱の約2.8倍であった。箱の強度においても、落下試験により一般的な箱の約2.4倍という結果が出ている。
 ・保冷性能が高い箱を使用することで、飛行機の積載前後時の保冷保管を不要とし、保冷保管チャージが掛からず、輸送コストの低減を図る。高強度の箱という点でも、輸送中のラフハンドリングなどによる破損リスクを回避できる。
 ・農林水産省委託事業で行ったオーストラリアの事例を紹介する。現地の陸上養殖会社が、バラマンティという魚を刺身として輸出できないか、ダーウィン空港からシンガポール、大阪、シドニーへ試験輸送を実施した。ダーウィン空港は小規模空港で、保冷設備がないため「飛び箱」を使って実証した。刺身が前提なので、活け締め後フィレ加工し、真空パックで氷詰めして輸送した。大阪宛てのリードタイムは72時間、常温下だったが、0.2度を保ち鮮度が保持された。
 ・空港等の保冷設備を利用して輸送するのが一番だが、海外の輸送先に保冷設備が整っていない場合、保冷性能の高い資材で、全コールドチェーンをつなぐ方法を紹介した。他にも食品の特徴にあった輸送方法を提案できるので、問い合わせてほしい。

  質疑応答

質問(農林水産省 国際部 平中国際地域課長):日本通運は輸出促進で多大な経験を持っていると認識している。また、今回のオーストラリアからのコールド輸送の取り組みは、食産業の海外展開や投資の観点からも、本協議会で議論にあった、物流が課題となり投資した工場から出荷できない、といった問題解決の1つの方法と感じた。今後の展開についてうかがいたい。

回答(株式会社日本通運 事業開発部 松崎課長):今は日本発を中心に展開を進めている。まだ普及には至っていない状況で、多くの人に知ってもらい、使っていただくという段階である。今回紹介したオーストラリアの事例のように、日本以外の国から輸出する場合にも、このような資材は活用できる。

コメント(農林水産省 国際部 平中国際地域課長):特にオーストラリアから第三国、東南アジアなどへの輸出は、新プランの中心の1つである。期待している。

質問(板垣GFVC推進官民協議会代表):「飛び箱」は、新しい鮮度保持技術で、まさにフード・ロジスティクのイノベーションと感じた。その分、高品質で高単価なものが対象になるだろう。企業側はコストが気になると思う。トータルで考えているということか。また、タイムリーに適切な場所に適切な量を適切な品質で届けるというロジスティックの核心に向けて、ICT技術をどのように駆使し、コスト低減につながったのか。意見があればうかがいたい。

回答(株式会社日本通運 事業開発部 松崎課長):仕入れ数にもよるが施した工夫の分、箱のコストは若干高くなるが、輸送途上のコストも含めたトータル物流のコストとして比較・検討していただきたい。それが商品のコンセプトでもある。

(3)支援ツールの活用
  (ア)EBRD(欧州復興開発銀行)の農業・食品産業へのファイナンス
  (欧州復興開発銀行 眞田駐日代表事務所長)

 ・EBRDは、1989年ベルリンの壁が崩壊し、東西が一体化したときに、旧東側国の国家計画経済から市場経済への移行「トランジション」へのサポートが、世銀・IMF体制だけでは不十分という認識がフランス中心の西側にあり、1991年に創設された地域国際金融機関である。
 ・その後、アラブの春のような民主化の動きを受け、アフリカのエジプト、モロッコ、チュニジア、中近東のヨルダン、レバノンといった国々がEBRDのファイナンス対象国になった。
 ・アメリカが最大出資国であり、日本は、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアと横並びで、アメリカに次ぐ2番目に大きい出資国である。
 ・EBRDのファイナンスは柔軟で、制約は2つのみである。1つ目は海外投資プロジェクトに対するファイナンスが、資料3の4頁の地図で着色されている国で行われることである。対象国も次第に拡大し、11年前にモンゴル、9年前にトルコ、アラブの春でアフリカのエジプト、モロッコ、チュニジアに拡大したことは先に話したとおりである。
 ・資料3の5頁の2018年実績では、年間コミットメント額が、9.5ビリオンユーロ、日本円で1兆2,000億円強を、395件のプロジェクトに対して行っている。その70%以上が民間企業の投資プロジェクトへのファイナンスなのは、EBRD が1991年の創設以来、民間企業の育成に注力してきた表れでもある。
 ・特に国毎の目標があるわけではなく、実績集計の結果だが、最近対象国となったエジプトが2018年の最大受益国となっている。エネルギー効率化と再生可能エネルギーに力を入れている関係で、エジプトでは11件の再生可能エネルギーのプロジェクトがあった。次いで、トルコ、ギリシャ、ポーランド、ウクライナ、カザフスタンと続いている。
 ・資料3の7頁の表のとおり、ティピカルサイズ(規模)は、1ミリオンユーロ、日本円で1億2,000万円や数億円の小型プロジェクトから、数百億円規模のプロジェクトまで柔軟に対応している。カレンシー/タームズ(通貨/条件)としては、ローカルカレンシー(現地通貨)に重点を置き、ファイナンス対象40カ国のうち、25カ国以上で、現地通貨での融資だけなく出資も行っている。
 ・先ほどのファイナンスの制約の2つ目は、プロジェクトのトータルコストの35%をEBRD単独でのファイナンスの上限とすることである。残り65%はスポンサーの自己資金や、民間企業のパラレルローンといったファイナンスで調達していただく。
 ・融資や出資以外の機能として、トレードファシリテーションプログラムと呼んでいる、輸出入決裁を円滑化させる機能がある。あまり知られていない輸出先国の金融機関がLCを出すときに、EBRDがLCを発行する金融機関の信用リスクを100%補完するという機能で、5万ユーロから5,000万ユーロ、日本円で600万円から60億円の日本からの輸出に対応している。
 ・アグリ(農業関係)ビジネスのFVCでは、生産から消費まで全(entire)フードチェーンにファイナンスを実施している。2018年の実績では、48件のプロジェクトを対象に、ファイナンスが約900億円、1件当たりの平均規模が約20億円となっている。
 ・事例を紹介する。モロッコにおけるトウモロコシやラズベリー等の農業プロジェクトへのファイナンスで、特徴的なのが、ファイナンス対象はワーキングキャピタル(運転資金)のほか、契約農家への種苗や肥料等の購入のためのプレファイナンスもある。他にサウジアラビアの企業の子会社が、トルコで食用オイルを加工製造する例などもある。
 ・日本企業では、秋葉原に本店がある中堅規模のIT企業が、ウクライナで数年前から穀物生産を順調に行っており、3倍の規模拡大を目指して、来年にはファイナンスが実現される見通しである。

  (イ)農業・食品分野におけるオープンイノベーション  ~「知」の集積と活用の場の取組について~
  (農林水産技術会議事務局 研究推進課 産学連携室 佐藤産学連携担当専門官)

 ・知の集積は、産官学によるオープンイノベーションを起こし、農林水産業、食品産業をさらに活発化させる新しい取り組みで、2016年4月に始まり、現在4年目に入った。
 ・従来の共同研究や共同開発は、食品企業と農家、大学と農家と食品企業といった似た分野で行われてきた。近年はIT企業と酒造企業のように異なる業態の共同研究の例も見られるようになった。知の集積が従来の共同研究と根本的に違うのは、医学、情報工学、流通工学、機械工学といったさまざまな業態の企業や大学、行政で形成した大きなグループによって、イノベーションを起こそうとする取り組みであり、医学、生命科学、物理学、化学のような食品業や農林水産業とは離れた分野の方々のアイデアや技術も導入し、新しい技術や新しい商品につなげる仕組みであることである。
 ・活動の枠組みは、3層構造になっている。資料4の3頁の図で、一番下が産学官連携協議会で、会員として加入した方々に、交流を通じて仲間を見つけてもらう出会いの場である。そこから共通の課題や目的を見出してグループを形成するのが2番目の研究開発プラットフォームであり、一番上の研究コンソーシアムで研究開発を実施する。
 ・産学官連携協議会の会員数は、今年8月末で3,000グループ(個人・団体)以上である。幅広い分野、業態の方々が加入し、現在、活発な共同研究活動や将来的な連携に向けた話し合いが行われている。
 ・産学官連携協議会の活動の一例としては、本省において、会員の皆さんが議論する場を設定したり、研究成果をポスターで一堂に掲示し、研究のディスカッションと新しい仲間とのマッチングの場であるポスターセッションを開催した。また今年度は、関西地域での初の周知活動として、5月の関西 次世代農業EXPOでブース展示等を行った。
 ・研究開発プラットフォームでは、現在約160グループで、企業や大学、行政、および農家や漁業関係の方が、研究内容やプロジェクト形成についてディスカッションしている。研究コンソーシアムでは、現在約101の研究開発プロジェクトが採択され、活発な研究開発活動を実施し、成果も出ている。
 ・その中で、海外にも展開が可能と考えられ得る興味深い技術や製品が創出されている。国内の農林水産業・食品産業の成長産業化が基本目的ではあるが、今年度は、海外展開を目指す活動も始めている。
 ・研究成果の海外展開に当たって、ブーメラン効果のような日本の農林水産業・食品産業に与えるよくない影響に十分に考慮する必要がある。展開先国には、知的財産保護の国内法が日本同様に整備されていること、グローバル食品企業の研究開発拠点や優秀な大学があるなど目指すレベルの研究開発ができる土壌があること、国として農林水産分野ないしは食品分野の研究開発に高い関心があることが重要である。
 ・この観点からシンガポールを選定し、来年2月28日にシンガポール国立大学と共同でマッチングイベントを開催する予定である。日本側からは海外展開に関心のあるグループが、シンガポール側からは研究機関、政府機関、企業、ベンチャー等の知の集積の技術に関心のある方々が参加し、将来的な共同研究やコラボレーションを議論するマッチングの場にしていく。
 ・もう1つの海外への取り組みとして、研究開発技術を海外の研究者や農業従事者、行政へつなげる仕組みの構築を考えている。海外展開に関心のある研究グループの成果を英文リストにして、知の集積のホームページに掲載し、実際海外から問い合わせがあった場合は、マッチングやコラボレーションの支援をする仕組みである。
 ・「知」の集積と活用の場については、詳しくはホームページで確認できる。ぜひ皆さんに参加いただきたい。

  質疑応答

質問(農林水産省 大臣官房国際部国際地域課 平中課長):EBRDと「知」の集積のお2人には、どのような方を対象にした支援なのか、具体的なイメージが分かるように補足説明をお願いしたい。

回答(欧州復興開発銀行 眞田駐日代表事務所長):EBRDは、FVCの生産の段階から消費者に届けるところまでをカバーするファイナンスを行っている。事業内容が固まっていなくても、まず声を掛けてほしい。うかがって議論させていただきたい。

回答(農林水産技術会議事務局 研究推進課 産学連携室 佐藤産学連携担当専門官):「知」の集積は、さまざまな業態や分野の方々に参加いただいているため、似通った分野内のディスカッションでは生まれてこないような議論が出てくるのが特長である。ディスカッション等を通して新しい仲間を得ることが、技術研究開発の土壌づくりにつながると考えている。

質問(農林水産省 大臣官房国際部国際地域課 平中課長):「知」の集積のディスカッションはどれぐらい頻度で行っているのか。

回答(農林水産技術会議事務局 研究推進課 産学連携室 佐藤産学連携担当専門官):定期的なイベントとしては、年に5、6回設けている。他に、知り合い同士の小グループでのディスカッションも行われている。

質問(農林水産省 大臣官房国際部国際地域課 平中課長):EBRDの対象国では、農業機械の関係でウズベキスタンを認識している。他に、農業・食品関係で着目している国を教えてほしい。

回答(欧州復興開発銀行 眞田駐日代表事務所長):地域は2つある。1つは中央アジアとモンゴル。もう1つは、アフリカのサブサハラ、サハラ砂漠以南の国々で、EBRDのファイナンス対象拡大をここ数年議論している。実現すれば農業関係のプロジェクト展開ができると期待している。

コメント(農林水産省 大臣官房国際部国際地域課 平中課長):説明に感謝する。関心のある方は、眞田所長、佐藤専門官に連絡してほしい。

(4)専門家の知見を活用した投資促進
  (ア)サウジアラビアからの招へい事業結果報告
  (みずほ銀行 国際戦略情報部 井上参事役)

 ・サウジアラビアでは、国家の改造計画、サウジ・ビジョン2030が進められている。また、日本・サウジ・ビジョン2030という共同指針で、日本はこれを支援する取り組みを積極的に行っており、その一環として、本事業では、日本産の食品、外食、食文化も含めてサウジアラビアに支援、輸出する働き掛けを行っている。
 ・昨年サウジアラビアの市場の分析を行い、そこで重要なキーワードを見出した。サウジアラビアでは、日本の食文化、日本の食材、日本の料理には限られた知識しかない。どうやって普及するかを考えたときに、消費者の主要層がSNSユーザーである若者のため、インフルエンサーといわれるオピニオンリーダーを使うことがよいと思ったのが、本事業の発端である。
 ・資料5の4頁の図から、サウジアラビアでは、他の国で人気の中華料理、日本料理、タイ料理は受け入れられず、食文化が近いアラブ料理、ヨルダン料理が高く評価されていることが分かる。外食対象ではあるが、ここにサウジアラビアの食文化の特異性が見える。
 ・今回の調査では、日本から相手国に赴く従来型とは逆の、サウジアラビアの政府関係者、事業者、インフルエンサーを日本に連れてきて、日本市場を見てもらった。その上で、アラビア語の環境で、アラブ人向けに情報を発信して考えていただくこととした。
 ・招へいしたのは、インフルエンサー2名、政府関係者3名の計5名で、インフルエンサーは、サウジ料理の専門家でもあるシェフとすし店を経営しているシェフである。4日間のツアー日程で、日本企業17社にも協力いただき、政府関係のミーティング、日本食文化体験、日本企業訪問、ビジネスマッチング、市場視察、企業ミーティングを実施した。
 ・情報発信のフォローアップは、インフルエンサーが1日10件を目安にインスタグラムとスナップチャットで情報発信し、それに対するフォロワーの状況、フォロワーの反応やコメントを収集していく。アラビア語への対応は、現地拠点のみずほサウジアラビアとアラビア語が堪能なアドバイザーからなる在サ調査チームが、日本語訳、英語訳で返して支援する構造である。
 ・12月2日から調査を開始して、1人のインフルエンサーのスナップチャットの実績を見ると、一気に視聴者人数が増え、視聴者時間数も増えていることが分かる。10日間で2万人弱が1日見ている計算になり、延べ約20万人に本ツアーの情報が発信されたと考えられる。インスタグラムは、1つの記事に約6,000から、多いときは約1万2,000の視聴数があった。12日までなので途中経過ではあるが、1日10件、10日間とすると、約60万から120万の視聴数を見込めることになる。
 ・コメントから、「友だちと見ています」「家族で見ています」のようにスマホを複数人で見る特徴があり、ラーメンやスイーツのように認知されている食べ物ほど、コメントが付きやすいことが分かった。
 ・今後の課題は、日本側から提供できる商材、輸出ができる商材が限定されている上に、サウジ側でも日本食を取り扱いたいディストリビューターの数が少ないことが挙げられる。従って、日本食に対する興味喚起と普及のため、インフルエンサー活用の継続やイベント開催、また、SNS視聴の状況から料理コンテンツ配信もいい方法だと考えている。
 ・サウジアラビアの食品の安全を監督する官庁SFDA(Saudi Food & Drug Authority)が、輸出許可、輸入許可を管理しているが、パフォーマンスがよくないことを、日本側、サウジアラビア側双方の企業から聞いた。二国間対話を通じて、まず当局の効率性を図ることが良策であると考える。

  (イ)ネパールへの専門家調査団派遣の結果報告
  (アイ・シー・ネット株式会社 シニアコンサルタント 田畑様)

 ・農林水産省の海外農業・貿易投資環境調査分析委託事業で11月にネパールを訪問した。ネパールは多様な気候・地形から未開発の食料資源があるが、生産性に問題がある。一方、観光資源は豊富である。人口は3,000万でまとまった市場規模があるが、現地情報やネットワークが不足しており、事業を行っている日本企業は少ない。
 ・新たな外国人材受入である特定技能の在日資格を使うことによって、日本のFV発展へのネパール人材の活用やFVに関係する技術移転などの新しい需要が生まれてきた。
 ・昨年度の1回目の調査から、今回2回目となる事業の目的は、3つの分野で調査を行うことである。1つ目は日本の農業、食品関連企業のネパールでの投資可能性、2つ目は日本の農業、食品関連産業のネパール人材の受け入れ可能性、3つ目は日本とネパール間における政府間の協力可能性であり、その中で遺伝資源と育種分野、農業者の組織化の2分野に重点を置くことにした。遺伝資源と育種分野は、JICAが関連分野である種子品質に関するプロジェクトを計画中であること、当方でも別事業で遺伝資源に関する協力を行ってきたことを踏まえ選定し、農業者の組織化は、ネパール政府からの要請があり、また、JICAと全農が発展途上国における農業組織の育成において協力するための協定を結んだという背景がある。
 ・11月11日から15日まで正味5日間の調査を行った。13日には官民の協議会等を開催した。先立つ11、12日はそのための事前調査として、カトマンズで、関係機関、窓口、政府機関や関連する企業を訪問した。14、15日は、カトマンズを離れて地方を回って見学した。標高差が激しいネパールで、訪問したのは、JICAの野菜の種子を作るプロジェクトである野菜生産団体や、同じくJICAのプロジェクトで品種を選抜して新しいブランドを作ったかんきつ類農業組合などである。
 ・13日の午前中は、人材受け入れに関する情報交換会、ネパール農業研究会議とJIRCAS(国際農林水産業研究センター)の共同研究協定の調印式、地元企業と日本企業とのマッチング会を行った。午後は、官民合同会合を開催し、日本側からは、調査参加者のほかに、日本人会商工部会員、在ネパール日本大使館、JICAの専門家等、ネパール側からは民間企業、政府関係者が出席した。また、遺伝資源と育種、農業者組織化、民間投資、人材受け入れの4つの各分科会に、各10名程度が参加し、事務局が用意したディスカッションペーパーに基づいて活発な議論を行った。
 ・遺伝資源と育種分科会では、堅固な種苗産業の育成は、ネパールにおけるFVCの構築のための1つのシナリオとして重要であることを確認し、そのための4つの協力提案があった。1つ目は日本の種苗産業の投資を促進するための環境整備、知的財産権の整備、種子検査および認証制度の導入、2つ目は植物育種について日本の優良品質とネパールの遺伝子を組み合わせた品種の開発、3つ目は遺伝資源の収集における、生物多様性条約、名古屋議定書といった国際ルールの導入、4つ目は人的資源の向上と遺伝子銀行の整備である。
 ・農業者組織化では、日本の農業協同組合から学ぶ必要性が確認された。他にネットワーク構築の必要性など、討論をさらに進めることが重要であると認識された。民間投資では、日本企業がネパールに投資するために環境整備が必要であることが確認された。人材受け入れでは、既にネパールから相当数の労働者が日本に来ている現実も踏まえ、さらなる情報交換が必要であると確認された。

  (ウ)第4回日伯農業・食料対話の報告
  (農林水産省 大臣官房国際部 国際地域課 櫻井国際調整官)

 ・2014年、農業食料分野における両国間の関係を進化させるため官民合同の政策対話の設置が決定し、基本的に毎年1回対話を重ねてきている。
 ・本年8月、本対話の第4回目をブラジルのサンパウロで開催した。日本の農林水産大臣、吉川元大臣、ブラジルの農務大臣をヘッドとし、関係者が出席した。日本側は、農林水産省、大使館、JICA、JETRO、ブラジルで事業展開している日系企業の方、ブラジル側は農務省、関係省庁、地方の関係者、政府の関係者、ブラジルの民間の企業の方である。
 ・対話では、成長を続けるブラジルの農業とアグリビジネスのさらなる発展を目的として、ブラジルでの日本企業の投資ビジネス環境の改善を中心的なテーマとして掲げている。
 ・その下で4つの分野、1つ目はブラジルでの農畜産物業の競争力の強化、2つ目は税制、通関、その他の手続きの改善、3つ目は穀物輸送インフラの整備、改善、4つ目は外貨規制の緩和について、意見交換、議論等を行ってきた。
 ・農畜産物業の競争力強化では、農業、食品分野の日伯連携として、ブラジルの畜産物の生産加工の効率化、環境負荷の低減に役立つ日本企業の精密技術とその導入のための産学官の連携体制の構築について議論、意見交換を行った。税制、通関、その他の手続きの改善では、障害となっている、もしくは今後障害となる恐れがある規制等について、本対話で取り上げて、ブラジル政府側に日本側の問題意識を共有することで、その改善を促すことを目的とした。
 ・今まではブラジル開催だったが、来年度の第5回は日本で開催する。時期と場所は未定だが、日本開催の強みを生かして成功裏に収めたいと思っている。協議会の皆さんの知恵を借りながら、どのように進めているか検討していくので、協力をいただきたい。

  質疑応答

質問(農林水産省 大臣官房国際部国際地域課 平中課長):農水省委託事業の範囲内ではあるが、専門家として現地に赴き、現地の方と交流して感じた日本の食品産業や農業が伸びていく可能性や、サウジアラビアやネパール進出の可能性を秘めている分野について1つ、2つ上げてほしい。

回答(みずほ銀行 国際戦略情報部 井上参事役):サウジアラビアでは、1つは健康改善に資する食品群が有力だと考える。肥満が多く、死因の第1位が失血性の疾患であることからも、強く求められると思う。もう1つは和牛である。オーストラリア産の和牛が高い値段で売られている。このようなマーケットは逃すべきではない。

回答(アイ・シー・ネット株式会社 シニアコンサルタント 田畑様):育種関係、遺伝子関係が重要分野であると考えている。日本の種苗会社は、採種は国内ではなく、海外のきれいで隔離された場所、かつ人件費が安いところで行いたいと考えている。ネパールはそれに該当すると思う。また、ネパールで種苗産業が発展するきっかけとなる可能性がある。また、ネパールのヨモギを原料にしてお灸に使うもぐさを製造している日本の会社があったが、ネパールのアユールヴェーダや伝統医学とお灸を組み合わせ、さらに観光に結び付ければ、ネパールならではの進出の機会があると考える。

質問(農林水産省 大臣官房国際部国際地域課 平中課長):協議会副代表であるハウス食品の石川国際事業開発部長からコメントをいただきたい。

質問(石川GFVC推進官民協議会副代表):サウジアラビアは9割以上がイスラム教の方だと思う。輸出を広げていく上でハラール認証についてうかがいたい。

回答(みずほ銀行 国際戦略情報部 井上参事役):サウジアラビアでハラール認証が必要なのは、食肉および食肉加工品のみである。SFDAの輸入許可が、GSO、ガルフスタンダードに則った成分分析表に基づくもので、サウジアラビアでは、これをクリアすれば、食肉、食肉加工品以外のハラール認証は必要ない。

(5)二国間政策対話・官民ミッション等の実施状況及び今後の予定
農林水産省 大臣官房国際部国際地域課 平中課長

 ・本年度に実施済み及び今後予定する二国間政策対話や官民ミッションは資料8の記載のとおりである。関心がある場合は事務局に問い合わせてほしい。引き続き本協議会のメーリングリスト等を通じて案内するので、確認してほしい。

  全体質疑

農林水産省 大臣官房国際部国際地域課 平中課長):坂田副代表から一言いただきたい。

(坂田GFVC推進官民協議会副代表):知の集積と活用の場の取り組みが参考になった。今後はそのような場所に話を持っていき、解決を考えるのがよいと気付いた。

3.閉会あいさつ(東京農業大学教授 板垣GFVC推進官民協議会代表)

 ・GFVC推進官民協議会は、2014年から2019年の5年間の活動を終え、2020年から2024年の5年間を5つの柱で進めていくことを発表した。今後5年間の国内外を取り巻く状況の変化に対応しながら、現状に合う戦略を作って、皆さんの国際市場への進出と輸出促進を支援することが、協議会にとって大事なことである。
 ・サウジアラビアの話で地域の食文化について、ネパールの話で遺伝資源について考えさせられた。本協議会は、地域の文化、人の考え方、経済発展に伴う食行動の変化なども追っていく必要があり、そういった文化の側面も皆さんの参考となるはずである。

以上

グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会アフリカ部会(JICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)共催)

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日時:令和元年度12月9日(月曜日)14時00分~15時30分
場所:TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13B

1.開会あいさつ(農林水産省 大澤農林水産審議官)

 ・本協議会は5年前に発足し、試行錯誤を重ねながら、現在は多数の参加者を集める組織となった。国内の農林水産業や食品産業のノウハウを活用し、ご協力をいただきながら、さまざまなアイデアを得ることができている。
 ・アフリカは将来的な人口増加と経済成長が見込まれており、日本のビジネスチャンスとして新しいフェーズを迎えると期待している。実際にどこまで成長が見込めるか未知数ではあるが、考え得る将来の予想図を描きつつ、今から対策を講じておくことが重要だと思う。
 ・日本が昔から培ってきた知識や技術は、アフリカにとって有益だと考える。例えば、日本の伝統的な農協組合のあり方と最新のIT技術を融合させる試みが行われているが、そうした取り組みはアフリカでも応用可能だろう。
 ・アフリカにもさまざまな国があり、各地域の価値観に日本のノウハウをどのように適応させていくか、今後の課題である。
 ・グローバル・フードバリューチェーンの次期戦略として、アフリカ各国の課題に対しては、複数の日本企業で協力しながら支援していく方針である。政府間の交渉が必要な局面では、政府が積極的に交渉していく。
 ・TICAD7での議論も踏まえ、将来に向けた議論をお願いしたい。
 

2.議事

(1)TICAD7の結果報告
  官民ビジネス対話(農林水産省 大臣官房国際部 国際地域課 北村専門官)

 ・今回のTICADは、前回(2016年10月にケニアで開催)から3年毎に日本とアフリカで交互に開催することとなり、8月28日~30日に横浜で開催された。
 ・今回の大きな特色は、民間企業を公式にパートナーと位置づけ、日アフリカの官民で直接対話が行われたことである。
 ・TICADの開催に先立ち、官民の常設の議論の場としてアフリカビジネス協議会が設立された。
 ・8月29日に行われた、日アフリカ初の官民ビジネス対話では、アフリカビジネス協議会の各ワーキンググループからインフラ、ヘルスケア、農業、中小企業スタートアップの順に、分野別の取り組みと今後の方向性について発表した。
 ・農業ワーキンググループからは日本植物燃料の合田様が、アフリカ農民のエンパワーメントを図る取り組みについて発表した。ナイジェリアなど4か国からは、各国における取り組みと日本の民間企業への期待が寄せられた。
 ・同日に開催されたテーマ別会合では、初めて「農業」がテーマとして設定された。アフリカからの参加国のうちブルンジなど8か国の代表から、雇用の創出等として農業が重要であると発言があり、日本の民間企業からの投資拡大への期待が述べられた。弊省からも𠮷川前大臣が出席し、日本の取り組みについて説明するとともに、各国と議論を行った。
 ・TICAD期間中、JICA、JETROの他、UNIDO、アフリカ開発銀行などで、民間との連携をテーマにした多彩なサイドイベントが開催された。
 ・弊省ではシンポジウムを開催し、フードバリューチェーン、農業開発、栄養と研究の3分野で議論を行った。農業ワーキンググループの取り組みに対して、登壇した南アフリカから強い関心が示された。
 ・JETROのサイドイベントにも農水省ブースを出展した。日本人の来場者を想定していたが、在日留学生の他、アフリカのビジネスマンも多数来場し、予想を上回る盛況であった。英語版資料が準備不足だったため、次回以降の課題と考える。

  サイドイベント開催結果(JICA 農村開発部 睦好次長)

 ・TICAD7におけるJICA主催のサイドイベントについて結果を報告する。
 ・前回、2016年にナイロビで開催したTICAD6と比較して、今回はJICAと民間企業の連携や協力に大きな進展があったと感じる。
 ・TICAD7を機に、日アフリカの政府機関や企業間で多数のMOUが締結された。マダガスカル大統領やセネガル農業大臣など要人が出席したアフリカ側からは、日本企業の影響力が高く評価され、喜んでいただけたと思う。
 ・食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA)のサイドイベントでは「IFNA横浜宣言2019」を採択した。これは、TICAD6で発足したIFNAの経験をアフリカ全土に拡大することを表明するものである。
 ・共催のNEPADが「アフリカ全土に展開していきたい」という強い意志を持っている。
 ・JICAの取り組みとしては、マルチセクターでの取り組みとして、農業や農村開発からのアプローチを重視している点が、大きく評価されていると思う。
 ・TICAD7終了後の方向性としては、2020年3月に第2回パートナー会合をエチオピアで開催し、アフリカ全土を対象に、食と栄養に関する改善プロジェクトを大きく前進させていく予定である。
 ・SHEPのサイドイベントの成果として、出席者の同意をいただき「SHEP100万人宣言」という共同宣言が発表された。現在、約11万人の農民がSHEPプロジェクトで研修を受けているが、100万人まで拡大していきたい。
 ・SHEPアプローチを取り入れた農家では収入が増加している。「農民が自ら気づいて変わる」というコンセプトのもと、農家のエンパワーメント推進を図る研修を行うことがSHEPの主軸である。
 ・CARDのサイドイベントでは、サブサハラ・アフリカのコメ生産量を倍増する目標を発表した。
 ・SHEPが農家のエンパワーメントであり基礎体力とするならば、アフリカ稲作振興のCARDは明確な目標を持つコメ増産のイニシアチブである。
 ・全体でのコメ生産量増産を目指しているが、民間企業の協力なしでは実現できない。CARDは国際イニシアチブであり、運営委員会の13機関としてアフリカ開発銀行、世界銀行、FAOなどの国際機関と協働しているが、今後、民間企業との連携も進めていきたい。

  質疑応答

 ・農林水産ブースにはアフリカから多数の来場者があり、ポン菓子製造機や米の石抜き機など、食品を加工したり、ひと手間加える分野に興味が集まった印象である。
 ・IFNAは栄養と農業をひとくくりにしているようだが、栄養改善に関して日本側も農業のくくりとして考えたほうがよいのか、それともヘルスケアのくくりで考えたほうがよいのか?
→これまでアフリカ各国でも農業は農業省、保健は保健省としてそれぞれのサービス普及に努めてきた。IFNAでは農村の栄養改善において、日々の食事の改善が必要と考える。庭先で栽培できる野菜や、食事に取り入れるべき栄養素など、農業普及員とヘルスワーカーが一丸となって食事改善に取り組むという、マルチセクターとしての活動を重視している。この方針には、非常に多くの賛同をいただき、フードベースのアプローチが評価されたと感じている。
 ・SHEP100万人宣言に関して、JICAから民間企業に何かメッセージがあればお願いしたい。
→100万人宣言の目標は高く、民SHEP研修会や、ITも活用して普及させてきているが、民間企業の協力が不可欠である。SHEPやJICAについて検索して何をしているか知っていただくとともに、一層の民間の参加国期待したい。(JICA山田上級審議役)
 ・SHEPで得た日本のファンには、将来的に日本製品の消費者になってもらうというロードマップを作成していることもあり、SHEPの活動については、農業ワーキンググループの中でも中心的な活動として大切にしていきたい。

(2)TICAD7 日本提案とアフリカの反応(報告)
  AGRA総会の報告(日本植物燃料(株) 合田社長)

 ・アフリカの農業を促進・支援する組織であるAGRAの2019年総会に出席した。
 ・農業ワーキンググループの日本側からの提案として、アフリカ農業イノベーション・プラットフォーム構想/Agriculture Innovation Platform in Africa(AIPA)を提示し、横浜行動計画において日本側のイニシアチブとして採択されたことを説明した。
 ・AIPAの目標の一つは、デジタルのプラットフォームを構築していくことである。
 ・AGRAの総会では「GROW DIGITAL」が今年度のメインテーマだった。アフリカの農業関係者にとって、デジタル基盤を活用していくことは当然の前提であり、誰と協働して、どのような形で進めていくか、ということに関して非常に高い関心が寄せられている。
 ・現在、FAOとITUが中心となり、アフリカ各国のポリシーメーキングや農業デジタル化を進めるE-agriculture Strategy という取り組みを支援している。
 ・FAOの事務総長が中国人であり、中国は農業デジタル化を戦略的に進めている印象があるため、アフリカ各国から信頼されている。
 ・中国のネット通販最大手であるアリババグループが、e-WTP(e-World Trade Platform)という構想を打ち出し、中国ではすでに実現しているプラットフォームに、アフリカ諸国も参加しないかと打診している。農業からのアプローチではないが、同じような切り口でアリババがアフリカに提案している。
 ・創業者のジャック・マー氏は、起業家育成資金としてエチオピア政府に約100億円を支援するMOUを締結した。
 ・中国の動向に左右される必要はないが、アフリカのデジタルプラットフォームにおける先駆者がいったん決まってしまうと、後続として介入していくのは非常に困難である。この機会に、重点国に対しては、デジタル化において日本が優位になるよう推し進めていくべきだと強く思う。

  報告を受けて補足(豊田通商(株) 渉外広報部 海外渉外室 羽田室長)

 ・合田さんからの報告を聞いて感じたことは、農村向けにIT技術を活用する考えは、アフリカ側にとって全く新しい話ではなく、他国は始めていて、むしろ日本が周回遅れになりかねない危機感。本WGとしても、導入方法(whatではなくhow)を議論するフェーズであることに留意しておきたい。
 ・各種報道では、エチオピアではアリババグループのIT資産を活用する話が進んでいるとのこと。IT技術はあくまでも道具であって、道具を入手したから終わりということではないが、他国が先行している事例として留意しておきたい。
 ・農業ワーキンググループとしては、農家が抱える課題を、現場で把握し、一緒になって解決に取り組んでいるJICAの活動を活かして、現場が使いやすい技術を提供できるように進めていきたいと考える。

(3)日本提案推進のロードマップの説明および議論
  TICAD7ビジネス対話での発表について(日本植物燃料(株) 合田社長)

 ・TICAD7のビジネス対話での発表について説明する。
 ・AIPAとして、小規模農業の従事者への支援を挙げている。
 ・デジタル化の関連情報として、ケニア、セネガル、ナイジェリアなどでは、デジタル市場と農家・生産者をつなぐアプリケーションが急増している。日本でも農協を通さずに、ITを使いこなすことで消費者と直接やり取りして付加価値を上げたり、商売を拡大する農家がある。
 ・一方で、農村部ではスマートフォンを持っていない人が依然として多数である。AIPAは、そうした人々と、どのように連携していくかという点に焦点を絞り、テーマとしている。
 ・これまでの日本の取り組みとして、SHEP、IFNA、CARDのほか、農産物の高付加価値化や生産性向上の観点から、多数のアクションを進めてきた。
 ・これまでの課題として、プロジェクトに参加した農家同士の連携や、プロジェクト終了後の日本との関係など、距離が遠いこともあり有益な関係性の構築が難しかった。今後はICTを導入しプラットフォームを構築することで、関係性も含め、現場で一つ一つ築き上げたものを将来に残せるようにしていきたい。
 ・具体的な優先アクションとして、1つめがアフリカ農業デジタル化基盤構築、2つめが先進農業技術の導入促進である。
 ・農業デジタル化基盤構築を「E-Agri Platform(仮称)」とする。現状では、SHEPの対象農家はアナログで20人、30人ずつのグループで参加してもらっているが、この先、電子プラットフォームを通じて買い手を見つけたり、農業資材を共同購入したりなど、デジタル化によって農業の合理化を図りたいと考えている。
 ・デジタル化することにより、取引履歴の蓄積から新たな与信を提供することも可能になるだろう。アフリカ農家は、個人の与信はまだ少額であり、いずれグループで500万や1,000万の与信取引ができるようになれば、初めて農機を自分たちの意思で買えるようになる。
 ・日本でも、特に農業分野は地方でビジネスが完結している企業が非常に多いと思う。アフリカとの連携に興味があっても、参加する方法がないというのが現実だろう。30万人、50万人のアフリカ農家とつながるプラットフォームがあれば、農業関連の中小企業にとっても、新たなビジネスチャンスとなるであろうと期待している。
 ・次に、先進農業技術の導入促進について説明する。アフリカの方々は日本製品を良いと評価しているが、高額だと思っている。同時に、現物を実際に見たり触ったり、試して比較することが、なかなかできない。そこで、日アフリカ農業イノベーションセンターを設立してはどうかという提案をした。
 ・アフリカに何カ所かイノベーション拠点を設置し、農機メーカーに限らず、検査機器や資材関係の日本企業に現物を展示してもらい、現地の方々に触れてもらう場をつくりたい。
 ・SHEPとの連携では、自立的な農家を育成する。
 ・ITはツールであり、利用する人の向上心や工夫がなければ広がっていかない。SHEPで自立的な農家を育成し、農家自身がより成長するためにツールを使いこなすというステップがなければ、デジタル基盤の活用は成り立たない。SHEPとの連携が重要だと考えている。

農業ワーキンググループ ロードマップ(案)について

 ・農業ワーキンググループのロードマップ案は、たたき台であり、参加者の皆さんから意見をいただき修正していくものである。
 ・このロードマップを見て、「自社ではこの部分の支援ができるし、自社のビジネスも拡大できそうだ」など、独自の目線で積極的に意見をいただくことで、ロードマップの中身が充実していくと思っている。
 ・現在、モザンピークにおいてデジタル化プラットフォームのパイロット運用を進めている。モザンピークはポルトガル語圏なので、今後は英語圏、フランス語圏で、かつビジネス的に魅力がある国々にパイロット運用を広げていく必要があるだろう。
 ・パイロット運用ができそうな候補国5カ国に対し、農水省でFSを進めていただいている。
 ・農家組織の生産性向上支援については、SHEPとの連携や、活用できる商材をお持ちの企業に協力いただくことにより、さらに拡張していけるだろうと思っている。

  ロードマップ(案)について補足(豊田通商(株) 渉外広報部 海外渉外室 羽田室長)

 ・農家のデジタル化推進に関しては、対象となる農家の組織はどのくらいの規模で、どのような要件があればよいのか、調査と分析が必要と考えている。
 ・また、調査するにしても、村の長がいて統制された組織でないと調査が不可能なのか、などの実態をまず調べないといけない。
 ・アフリカ側にアウトリーチする手段については、日本のメンバーだけで閉じて活動するのは非効率と感じる。例えばJICAのCARDの運営機関として13機関が参加しているが、農業や食の開発に関連するアフリカ側の機関の多くがここに含まれる。JICAがこれまで築き上げてきた国際機関とのネットワークを、本WGの現地調査などで協力を得られるよう、JICAには架け橋となっていただきたい。

ロードマップにおける農林水産省の取り組みについて
(農林水産省 大臣官房国際部 海外投資・協力グループ 川上補佐)

 ・農水省がこれから取り組もうとしていることを具体的に紹介する。
 ・アフリカでは農業がそれほど進んでいないという印象だが、実態を把握するために調査を行おうとしている。
 ・SHEPが取り組んできた実績を尊重し、まずは連携させていただき、調査内容や調査結果に反映できるようにしたい。
 ・調査は1月から実施する。
 ・すでにデジタル化が進んでいる国、デジタル化が進んだ農業グループの数、携帯電話の普及率、プラットフォームを基盤としたビジネスの普及状況など、具体的な部分をまずは調査する。
 ・調査結果をふまえて、どの国において当事業に取り組むかを検討していきたい。
 ・農家の生産性向上支援については、来年度に実施のイメージで考えている。
 ・現時点で想定している具体的な内容としては、調査結果の分析をふまえた営農普及面や組織面の指導、電子マネーの導入、農業機材の導入などに取り組んでいきたい。
 ・現時点では企業との連携は全く決まっていない。今後、案件化に向けて議論させていただきたい。
 ・農村部のデジタル化に関しては、小農家がデジタル化で市場につながり適正な価格で収入を増やしていくスキームに、日本企業が介入しビジネスチャンスを得られるのではないかと考え、当事業に取り 組んでいる次第である。

  アフリカで行う現地調査について(豊田通商(株) 渉外広報部 海外渉外室 羽田室長)

 ・農水省から言及のあった「調査」だが、具体的には1月中旬から2月上旬にかけて、現地に調査に行く。対象国はセネガル、エチオピア、南アフリカ、ケニア、モザンピークである。
 ・一番の目的は、SHEPを受けてJICAとつながっておられる農家の実態を、現地現物で確認すること。ビジネスパートナーとしてどうか、人数はどうかなど、リアルな実態を把握することを重視したい。
 ・出来れば、SHEP卒業間近くらいの集団を訪問させていただきたいということで、JICAに協力をお願いしている。ここに文字を入力してください。

農業機械化に係る調査結果報告およびロードマップ推進案
(JICA 農村開発部 睦好次長)

 ・TICAD7に先行して「アフリカにおける本邦企業の農業機械の活用に係る情報収集・確認調査」を実施した。報告書はウェブで全文ダウンロード可能である。
 ・情報収集の結果、サブサハラ・アフリカでは、土地の耕運を75%が人力あるいは牛などの家畜で行っており、機械化している農家は25%未満だった。稲作関連に着目し、どのようにすれば機械化が進むのか、タンザニア、セネガル、コートジボワールの3カ国について調査を実施した。同時に日本の農業機器メーカー143社にアンケートあるいは電話でのヒアリングを実施し、112社から回答をいただいた。
 ・確認調査の結果、さまざまな課題が見えてきた。それらの課題への対策として、JICA支援案をまとめた。
 ・小規模・中規模のモデル圃場整備については、農業機械化をするための圃場や農道の不足を解消するための支援案である。また、過去ODAで日本の農機メーカーを供与してきて、日本の農業機械は壊れにくいと評価されていたが、そうしたスキームがなくなったことで、日本の農業機械は認知度が低い。認知度を上げるためにも、モデル圃場に本邦メーカーの農機導入することを提案したい。
 ・また、農家としては農機を買いたいが、資金不足で買えないという声が出てきたため、農機購入資金の支援として、どのような金融サービス、補助金サービスがあるのか調査した。タンザニア、セネガル、コートジボワールにおいては、かなり多様な補助金システムがあると分かった。日本の農業機械を補助金の対象にするには、恐らくさまざまな働きかけや、認知してもらうことが必要であり、そういった面でも工夫していかなければならない。まずは日本に来ていただき、農業機械のレンタルの仕組みや、組合ではそのシステムをどのように活用しているのか、実際に見ていただくのもよいと思い、その案をロードマップにまとめた。ロードマップは案の段階なので、導入方法や見せ方、不足している部分などに対する意見は多数いただきたい。
 ・4月からは、本件推進のための調査事業を開始する予定である。現地に専門家としてのアドバイザー派遣も計画している。調査結果としてご紹介した支援案に沿った活動を予定しているが、初期段階から民間企業の意見もいただきながら進めていきたいと思っている。
 ・タンザニアとケニアのモデル圃場の候補地について紹介する。タンザニアにおける候補地はどちらかというと稲作用地であり、ケニアで候補地として検討しているのは大学である。イノベーションの拠点としての素地を期待している。
 ・JICAでは行政官向けの研修として「アフリカ地域農業機械化促進コース」を実施中で、対象国からの研修生を多数の民間企業で受け入れていただいている。12月19日に研修生との意見交換会があるので、ぜひ参加いただいて、「こういう研修生を呼んでほしい」「この国から来てほしい」などの要望をいただきたいと思っている。

  カンボジアにおける農業支援の取り組み事例(JC FINANCE PLC. 菊池様)

 ・弊社はお客様を集団として捉えておらず、ワン・トゥ・ワンでの与信を行っている事例である。
 ・弊社が目指しているのは、日本の農協のようなプラットフォームの構築、小規模農家のスモールビジネス支援、IoTの積極的な推進の3つである。
 ・農協プラットフォームについては、日本では商社的な全農があり、金融機関としてJAバンクや農林中金があり、その両輪でうまく機能している。弊社は現地におけるJAバンクのような存在を目指し、農業にフォーカスして事業を行っている。全農にあたる部分は、パートナーを見つけ協働で事業化したいと考えている。
 ・農家が購入する大型農機は、日本製のクボタやヤンマーが中心で、ディーラーと組んで弊社がファイナンス業務を行っている。
 ・原則として、自分の田畑だけでなく、他人の田畑も耕してあげる運行受託をしていただける農家にファイナンスサービスを提供している。たくさん働く人は収入が増加する。そうしたスモールビジネスを支援している。
 ・スモールビジネスを行う農家へどのように与信するかというと、農機に独自のGPSを実装しており、リアルタイムでどこにあるのか、どういう状態にあるのかという動態情報を把握している。農機は融資の担保物でもあるので、どこにあるか把握することは非常に重要である。
 ・GPSのデータを取得し、蓄積されたデータを分析すると、農機がたくさん動くと収入が多いという相関関係が見えてくる。すると、お客様の与信の仕方も従来と変わってくる。一般的に与信ができないかと思われるようなお客様にも、融資ができるというサービスを提供している。
 ・アフリカにはM-PESAのように、携帯電話を持っていれば送受金できるシステムがあるが、似たような銀行がカンボジアにある。ウィングといい、カンボジア全土に6,000店舗ほど出店しており、代理店を利用して農家が近所で支払いができるため、弊社は実質的にキャッシュレスで運用している。
 ・未収先に弊社スタッフが訪問しても、現金は受け取らずに必ずウィングで支払ってもらい、金額錯誤や搾取のようなトラブルを回避している。
 ・弊社では次のマーケットとしてアフリカを考えており、カンボジアと同じ農業という分野で、弊社のスキームのうちどのようなものが通用するのか、情報収集のために本日は参加させていただいた。学ぶことが多数あり、大変勉強になった。
 ・特にE-Agri Platformは非常に素晴らしいと思う。金融におけるデジタル化やIoT化は最もインパクトがあると思うので、個人的には、ぜひ規範としたい。

質疑応答および議論

  JC FINANCE PLC. 菊池様

 ・ロードマップが実現すれば、IDプラットフォームができて、金融との連携なども可能になり、おそらく農家は豊かになっていくと思うが、徴税のシステムが見えないことが気になった。現地の政府などと連携していくうえで、徴税の仕組みを表示すると、国の支援が受けやすいのではないかと感じた。

→(総務省)総務省としては、アフリカ現地の政府と協議が必要な場合に、協力させていただきたいと思っている。アフリカ全土のITを取りまとめているスマートアフリカ事務局とは、頻繁に仕事のつながりがあり、コネクションを持っているため、スマートアフリカ事務局とやり取りされる際には、当省が皆様に協力したいと考えている。

  馬搬振興会

 ・馬搬振興会は、馬で農業や林業を行うことを全国で普及している団体である。本日の話を聞いた所感を述べる。
 ・アフリカでは75%が人力農業だそうだが、その部分を支援する必要があるだろう。日本でも少し前まで人力農業を行っており、今でも人力の道具である「くわ」を製造する農機具店が存在する。その農機具店は、それぞれの地域の地質に応じて耕しやすいくわを製造している。アフリカでも地域によって地質が違うはずなので、人力でもこのようなくわを使うことで生産性が上がることも考えられる。
 ・日本の小さな農機具店のくわをアフリカに提供することで、ビジネスが一つ成り立つのではないか。
 ・人力から大型農機に移行することもよいが、人力から畜力に移行することも、持続可能な農業のあり方ではないかと思う。セネガルでは畜力として馬、エチオピアでは牛を使っている。日本として支援するのであれば、畜力に対応した農機具メーカーのビジネスも成り立つのではないか。もともと日本の農機具メーカーは畜力のアタッチメントを製造していたし輸出もしていた。日本の高い技術力をその分野で認知してもらうことも可能だと思う。
 ・ヨーロッパやアメリカでは現在も畜力を利用している農家が多数ある。日本の視点として畜力は抜けているのではないかと感じる。

  豊田通商(株) 渉外広報部 海外渉外室 羽田室長

 ・ロードマップのTICAD8が開催される時期に、アフリカでも農業が成熟すると想定し、種や肥料および収穫した作物の流通経路や、作物を買い上げスーパーマーケットなどが必要になってくると想定した。この点、アフリカで手広く物流ビジネスを行っている企業として、アフリカでの農産物の物流などが、現状どのような状況になっているか、ボロレからコメントをお願いしたい。

  ボロレ・ロジスティクス・ジャパン(株) 濱田様

 ・弊社は基本的に、フランス系のグローバルな物流会社で、その流れからアフリカに50年ほど前からネットワークを築いて事業を行っている。
 ・今回のTICADでは、農業関係で伊藤忠とともにMOUを締結するなどさせていただいた。
 ・弊社はアフリカの46カ国に拠点がある。ヨーロッパとアフリカのつながりから考えても、比較的大規模な農業関連の輸送や倉庫が、ある程度、構築されていると考えている。
 ・ウガンダは完全な農業国であるが、お茶の葉が非常に有名で、最近はコーヒーも高品質で輸出量を伸ばしている。
 ・お茶の葉を輸出するにしても、ウガンダは内陸国のため、ケニアまで運ぶ必要がある。そのため、ウガンダ国内である程度まで加工し、コンテナなどの箱詰めまでしてケニアに輸送するというような流れは構築されているように思う。
 ・ただ、小規模農業の支援に関して、ケースバイケースだとは思うが、弊社からも、さまざまな協力ができると思う。どのようなアイデアがあるか、どのような施設があるかという問い合わせには、協力できる。
 ・農業機器の話が出たが、メンテナンスとか壊れたときにスペアパーツを供給するサービスなどは必ず必要になってくると思う。
 ・アフリカでは鉱山や資源を掘削するマイニングが非常に盛んで、鉱山機械メーカーが多数、進出している。先ほどのGPSの事例のように、鉱山メーカーも稼働率データを収集しており、機械が壊れた時に可能な限り早急にリプレース用のスペアパーツを供給する取り組みができないかという要望が多数ある。
 ・ただ、国をまたいでそういったサービスや事業を行うとなると、税制上の問題や法律上の問題に直面せざるを得なくなり、そのためアフリカに代理店を持ちたくないという事業者もあるので、そのあたりがネックになっている。
 ・JICAや日本政府に、現地の政府や経済団体と話を進めていただき、そういった問題を改善できないかと、政府間の課題として取り上げていただければ非常にありがたい。

  (株)クボタ 金子様

 ・JICAの報告にあった通り、アフリカにおいて本邦メーカーの認知度が低いというのは、活動が少ないことにも起因していると思う。
 ・主な事業活動は圃場の調査と同時に、販路の選定や開拓であるが、我々が直接ユーザーや農家に販売するわけではないため、代理店の構築が重要なポイントとなる。代理店を見つけるための情報収集の手段が取りにくく、直接現地に赴いて担当者が代理店候補を探すというのが現状である。
 ・一方で、イノベーションセンターのような拠点を設置し、日本の技術力を展示できるようになれば、政府機関や現地の販売代理店候補など、さまざまな方々に見ていただくことができて、非常に有効だと思う。
 ・モデル圃場をケニアとタンザニアで始動するということだが、国によって各企業の製品特性の得手不得手があると思うので、アフリカを5~6の地域に分け、各地域にモデル圃場を1カ所ずつ構築していただければ、参加企業も増えるのではと考える。
 ・また、農業機械の研修や、保管に関しての詳細な取り決めも必要になってくるのではないか。いずれにしても、イノベーションセンター実現に向けて取り組む意義は大いにあると思う。

  豊田通商(株) 渉外広報部 海外渉外室 羽田室長

 ・アフリカ民間企業との出会いの機会を増やすことについては、農業ワーキンググループだけでなく、ヘルスケアのワーキンググループでも出ている議題である。経済産業省のほうで合同ワーキングが設定されているが、グループ共通の議題として、できるだけ日本政府の看板を利用し、他国の経済団体や農業団体を開拓する活動を別途行っていく。

  (株)フジケン 宮越様

 ・日本の中小零細企業を代表して、皆さんの声を代弁させていただきたい。
 ・われわれ零細企業がアフリカに進出することは、非常に困難である。大手企業も苦労している状況がよく分かる。
 ・政府系の支援メニューの中で、零細企業が参加できる、あるいは活用できる案件があれば教えていただきたい。すでにいくつかトライしてはいるが、なかなか前進しないため、改めて教えていただくようお願いしたい。
→(豊田通商(株)羽田室長)JICAの担当者から個別に回答していただく。

  まとめ(豊田通商(株) 渉外広報部 海外渉外室 羽田室長)

 ・今回は、一方的な報告で1時間がすぎるような進め方にならないよう、ワーキンググループを進行させていただいたつもり。企画メンバーは、開催に先駆けて、2、3回集まり、進め方の打ち合わせをした。この準備段階から自分たちも議論に参加したい、という方がおられれば大歓迎。
 ・正直、今の限られたメンバーだけでは、知恵を絞りきった状態と感じている。現場もしくは他地域の状況、日本の農業の現場をご存知の方々の意見は大変貴重なので、協力いただける方は本プラットフォームの運営窓口に、ぜひ連絡をいただきたい。ここに文字を入力してください。

(4)外務省からの連絡事項
(外務省 アフリカ部アフリカ第二課 村田地域調整官)

 ・コンゴ民主共和国に2年、コートジボワールに3年駐在し、9月に帰国した。
 ・コンゴ民主共和国とコートジボワールにおいて稲作への協力に従事し、アフリカの農業の生産性を高める必要があることを十分に理解している。ぜひ日本企業に大活躍していただきたい。そのために も、現地の情報提供に努めたい。
 ・連絡事項として、アフリカの優秀な学生を育成する取り組みについて紹介する。将来、日アフリカの経済関係をリードしていく人材を日本で育成するスキームであり、2013年から実施している。
 ・アジアに比べて少ないが、アフリカから国費留学生として毎年、数十名が来日している。
 ・昨今の人手不足解消として、アフリカの優秀な学生をインターンシップないし雇用で採用していただき、しっかりと日本のビジネスを学んでもらって、アフリカに帰国後はビジネスパートナーとしての関係を維持することも可能だと思う。
 ・インターンシップおよび雇用、就職をマッチングするため、外務省人事課にアフリカ人学生で日本企業に就職したい者の情報があるので、ぜひ活用していただきたい。
 ・新しい試みとして、12月19日に名古屋で、中京地域の企業と中京地域出身の学生、アフリカ人学生の座談会および業種別討論会を開催する。第1回は名古屋だが、今後は北陸、東北、九州、中国地方でも実施を検討している。ぜひ、アフリカ人留学生の人材有効活用をお願いしたい。

3.閉会挨拶(GFVC推進官民協議会 板垣代表)

 ・本日は多数の方に参加いただき、非常に多様な情報をいただいた。
 ・特に印象深いのは、アフリカのポテンシャルの大きさである。今後、大きな市場として成長していくことに先駆け、どのようなビジネスの仕掛けを作り出していくかという点で、多数の知恵をいただいたと思う。
 ・皆さんのそれぞれの取り組みを紹介していただき、さまざまな経験値をこの場で共有することは非常に重要である。
 ・その中から新しいビジネスが生まれ、官民あるいは民間同士が連携して、アフリカの豊かな潜在力に対応していくことになれば、大変ありがたい。
 ・農業ワーキンググループが中心に進めている官民連携の中にも、積極的に参加していただき、民間企業が推進力となり、担い手となっていただくことを期待している。
 ・今後ともGFVC推進官民協議会に、ご支援とご協力をいただくようお願いしたい。

以上

お問合せ先

大臣官房国際部海外投資・協力グループ

代表:03-3502-8111(内線3512)
ダイヤルイン:03-3502-5914
FAX番号:03-3502-8083

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