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農林水産省

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第7回ロシア極東等農林水産業プラットフォーム会合(グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会ロシア部会)の概要


議事概要(PDF : 398KB)
日時:平成30126日(木曜日)15時30分-18時00分
場所:TKP赤坂駅カンファレンスセンター

一.開会挨拶(農林水産省 大臣官房 柱本参事官)

・これまでも本プラットフォーム会合ではロシアおよび日本の関係者を招き、情報交換・意見交換を行ってきた。本日もロシアのノヴゴロド州、アムール州、サハ共和国から、政府関係者や民間企業の方々に来ていただいた。またロシア極東投資誘致・輸出促進エージェンシー、外務省からもご説明頂く。参加者の皆様にはこの場を有効に活用して頂き、今後の日露企業間ビジネスが発展するきっかけになれば幸いである。

二.議事

1.
最近の日露関係について(外務省 欧州局  日露経済室 島室長)
・現在の日露関係は非常に力強く進展し、さまざま分野で協力が進んでいる。安倍総理大臣とプーチン大統領の首脳会談は、今まで24回、本年だけでも4回行われている。
・本年5月、サンクトペテルブルクで行われた国際フォーラムに、安倍総理は日本の首相として初めて出席した。その後、モスクワで首脳会談を行い、ボリショイ劇場で「日本におけるロシア年」および「ロシアにおける日本年」が開幕した。9月12日の東方経済フォーラム(ウラジオストク)、11月14日の東南アジア首脳会議(シンガポール)、12月1日のG20サミット(ブエノスアイレス)でも首脳会談が行われている。
・これらの首脳会談の際には、2016年5月にソチで安倍総理がプーチン大統領に提案した8項目の「協力プラン」の具体化を着実に進めていくことが毎回話し合われている。現在、8項目の「協力プラン」の下、150の民間プロジェクトが生まれ、そのうちの半数が実際に動き始めている。
・2016~2017年にかけて、両国の貿易額は増加し、本年もその傾向が維持されている。本年1~9月では前年同期比で約20%増である。
・今後の日露関係の主な行事日程は次のとおり。12月18日に貿易経済日露政府間委員会(東京),年明けに安倍総理大臣の訪露が予定されている。来年6月、G20(大阪)にプーチン大統領が訪日されることを期待。 

2.プラットフォームの活動報告
(1)「黄金の秋」2018への参加結果(農林水産省 大臣官房国際部 海外投資・協力グループ 井上参事官)
・モスクワで開催されたロシア農業省主催の農業展示会「黄金の秋」(2018年10月10日~13日)に、わが国はパートナー国として参加した。
・開会日にメドベージェフ首相が日本ブースを訪問し、川農林水産大臣が展示内容を説明するなど、わが国の民間企業が有する技術、商品、日本食を、ロシア政府関係や民間企業にPRした。ロシア側の関心は非常に高かった。 

(2)ロシア極東官民ミッションの派遣結果((株)野村総合研究所 グローバルインフラコンサルティング部 植村上級研究員)
・本年度7月に農業・食品加工分野を対象に沿海地方とアムール州、10月に水産加工分野を対象に沿海地方とサハリン州に官民ミッションを派遣した。
・農業・食品加工分野において日本企業側からは、ロシア企業の生産コストの安さや、機械化・IT技術の活用・高度化の進展状況、品質への取り組み姿勢や、顧客志向に対する積極性が評価された。極東ロシアで大豆の生産が非常に伸びている。背景としては、2014年以降の資源価格の低下によるルーブル安から、生産コストが相対的に安価になり、ロシアの農産物の価格競争力が向上。また、ロシア極東における野菜の需給量に対し、供給量が不足し需要ギャップが生じており、生産増が求められている。
・ロシア政府・州政府はロシア農産物の更なる輸出・高付加価値化を促進するため様々な支援に取り組んでおり、輸送能力の不足に対しては物流ハブの強化、付加価値の低さに対してはIT技術を活用した効率的管理、加工技術の向上を推進。日本側の要求水準や技術を伝えることで、日本向けの生産も拡大すると考えられる。
・水産加工分野においては、日本企業側からロシア極東産の水産資源に対し興味が示されており、サケ・マス・スケソウダラ以外の魚種もビジネスの潜在力があるとの感想。
・現在、ロシア極東産水産物はウラジオストック経由で大連や釜山へ輸送し、加工されて日本やヨーロッパ向けに輸出されているが、将来的にウラジオストックに加工等も機能集約して、直接日本に輸出したいというのがロシア側の狙いである。
・ロシア極東から日本へ水産物を輸入する際検討すべき事項として、日本では輸入割当制度があるので、対象魚種について輸入をいきなりすることは難しい。また、日本側のニーズにロシアの加工体制・品質が適合していない(鮮魚/冷凍魚での加工、缶詰の品質等)等課題はあるが、日本側のニーズを伝えることで解決していくだろう。
・また、両国の関心魚種をすり合わせ、資源量調査を行い取引の潜在性を上げていくべきと考えられる。
・物流に関しては、検疫の迅速化・効率化、貨物運行などの支援をすることでコールドチェーンが構築されれば、(ロシア極東産の水産物が)日本人の口に刺身で入ることも可能となる。
・今後はロシア側からも訪日してもらい、日本の現場・企業に訪問して日本側のニーズ・要求水準を理解してもらいことが有益かと思う。 

3.ロシア極東の漁業・養殖業について(極東投資誘致・輸出促進エージェンシー 是枝駐日首席代表)
・ロシア極東地方はアジア太平洋における水産養殖分野の新規参入者である。ホタテ・ナマコ・ムール貝・カキ・昆布などの養殖に適した気象条件を有しており7万haの水域で60以上の水産養殖プロジェクトが始動している。今後3~5年間に10万haの海域に拡大させる予定で、その場合の沿海地方の水揚げ量の見込みは年間20万t、現在では1万tが養殖されている。
・水産物の養殖について、外国資本の参加は法律で制限されていない。海洋養殖場の49年間リース権はオークションに出され、1ha当たり500~1,000ドルである。投資家には、税金控除、土地取得手続きの簡素化、輸出入に対する免税措置などの優遇措置がある。
・当方では、関心を有する企業への情報提供や相談を受ける事が可能。養殖事業に参画するために必要な法人登録には1ヶ月、オークションへの参画は3ヶ月ほど、ウラジオストク自由港居住者の地位取得には2ヶ月程度の手続期間が必要であり、環境調査・監査実施含め、活動開始まで9ヶ月の期間を要する。
・ウラジオストク自由港では様々な優遇措置を用意している。同港居住者は標準条件と比較して、土地税や資産税、利潤税が5年間免税、雇用税の大幅減税となっている。

 4.ノヴゴロド州からのプレゼンテーション
(1)ノヴゴロド州 Gusev副知事
・ノヴゴロド州はロシア北西部に位置し、国家揺籃の地である。1862年にロシア国家100年の記念碑が建立されている。
・日本とロシアの公式的な協力は、1855年の下田条約に始まる。この条約に調印したのはノヴゴロド州生まれのプチャーチン提督である。このときのロシア代表団の初の日本滞在が両国間の貿易と外交関係を樹立し、科学技術分野の交流をスタートさせた。
・本年のサンクトペテルブルグ経済フォーラムにおいて、日本の農業分野の最新技術を使った有機肥料製造プラント建設の合意文書に調印し、既に建設が始まっている。来春から生産開始の予定である。
・当州はモスクワとサンクトペテルブルグという大都市の間に位置するという地理的優位性があり、全国平均を上回るペースで経済成長し、投資先としての魅力がある。既に多くの外国企業がビジネスを展開している。一番規模が大きいのは化学工業、二番目は食品加工業、農業、他にも木材加工業が主要産業である。
・日本との協力に関しては、優遇措置や支援など、さまざまな特典を用意しているので、ぜひ参加してほしい。

(2)ノヴゴロド Shakhov市区長
・同州の温室野菜栽培プロジェクトでは、既に2カ所で順調に稼働し、キュウリ、トマト、ピーマン、ナス、サラダ菜、マッシュルームなどを、さまざまな技術を駆使して作っている。モスクワ、サンクトペテルブルク、北部ロシアに納入し、さらに拡大中。
・現在、ロシアは野菜が不足し、年間60万tを輸入している。日本との協力の非常に有望な分野である。日本農業の競争力を使って、大市場へ出荷することができる。
・また、国内のクランベリー栽培は200t、輸入は1万8,000tであり、国内の需給バランスが取れていない。ノヴゴロド州の気候や土地はクランベリー栽培に向いている。
・5%以下のローン、建設費等の10%返却、高品質の種の優先購入などの優遇策がある。

(3)Farm Pavlyuk社 Pavlyukオーナー
・当社は丸種株式会社とビジネスを始めている。本年、丸種の種を実験的に植えた。来年は、商業的な規模で植える予定である。
・当社のメインビジネスは、ジャガイモ、ニンジン、キャベツなど露地物の栽培。現在2,250haで栽培しているが、今後2万4,200haまで生産を拡大する必要がある。モスクワとサンクトペテルブルクの2大都市がメインのマーケット。ノヴゴロド州は気候条件に恵まれ、農薬が少なくて済む。野菜だけでなく、キノコ、ベリーの栽培にも適している。
・今後、牧草からビタミンを含んだ飼料添加物の粉末製造を増やしていく。現在、飼料に使われている添加物は輸入品の合成ビタミン(150~200万t)なので、国内需要がある。また飼料の輸出も考えられる。
・飼料用牧草地には1ha当たり8.5~9.5ドルが支援される。飼料用植物の種の購入費も補助される。土壌の生産性を上げる取組に対しても1ha当たり105~150ドルの支援がある。

(4)Setnovo社 Polinゼネラルディレクター
・当社では2万6,000人が30カ国で働き、2017年の売上高は約200億ユーロである。印刷用カートン、段ボール、バイオマテリアル、住宅建設用の材料などを作っている。国内に2つの製材所、3つの段ボール工場がある。ほとんど針葉樹を使用している。
・ノヴゴロドで生産した製材の80%は輸出し、そのうち15%は日本に輸出。
・当社は安定した木材原料供給が行える。州からも多くのサポートがある。

(5)ノヴゴロド国立大学 Efremenkov副学長
・学術と製造の間に緊密な関係が構築されるときにイノベーションが起きる。その模範例が日本だ。本学は州政府と緊密に協力し、投資・イノベーション・プロジェクト策定に参加し、医療・リハビリ・高精度計測機器・電子工学・農業などの分野で活動している。
・現在、ロシアでは種の97%を輸入している。1t当たり5,000~1万ドルである。
・われわれはノヴゴロド州で種を栽培することに対する日本の協力に関心を持っている。当州では種が良く育つ上、為替差もあるので欧州マーケット向けにも優位性がある。種栽培には長年の研究と技術投入が必要。
・本学には50年の歴史を持つ農業天然資源研究所がある。日本企業に参加してもらい、科学のパートナーとして仕事をしたい。種栽培センター建設に当たっては、ロシア連邦農業省からコストの20%分について補助を受けることができる。投資の優遇措置もある。 

5.アムール州からのプレゼンテーション
(1)アムール州 Turkov農業大臣
・アムール州は、面積240万ha、そのうちの150万haが耕地である。
・主要農産物は、大豆、小麦、トウモロコシ、大麦、ライ麦、ジャガイモがあり、遺伝子組み換えは一切していない。大豆で、ロシアの35%、極東の69%を生産している。生産量は年間120~150万t、加工能力は年間60万t、主な製品は大豆油、飼料用・食用の大豆カス、レシチンなどである。
・穀物の収穫は年間45~50万t、加工能力は年間17万t、配合飼料、濃縮、ミックス飼料などを生産している。
・食肉、牛乳、卵、ジャガイモなどは自給自足でき、極東各地にも出荷している。養蜂も有望な分野である。国内で非常に人気があり、50万tの輸出可能量がある。牛肉、豚肉、鶏肉なども生産を拡大していくつもり。技術的には日本にも十分出すことができる。
・種豚・種牛や機械などの購入への助成金、低金利ローンなど、連邦政府から支援があるので、ぜひ日本の投資家に当州での農業に参加していただきたい。
・マザノフスキー地方には2万haの農地がある。豆乳、大豆加工品、小麦粉製品、畜産、乳製品などを生産可能。インフラ整備もされ、関税の免税地域に指定され、行政サービスの簡略化など支援もある。

(2)アムール州投資誘致エージェンシー Puzanovディレクター
・農業以外の特徴としては、アムール州には水力発電が3つあり、安い電力を供給している。840MWの余剰電力がある。ガス・石油の精製工場もある。データ処理センターを造ることも有望なプロジェクト。金、石炭、鉄鉱石等も埋蔵量も多い。民間宇宙基地があり、最新のハイテククラスターとなりつつある。ヘリウムの生産は世界一。
・優先的社会経済発展区域では、投資家に優遇措置がある。最初の5年間、利益に掛かる税と資産税は0%になる。
・豊かな原料、住みやすい気候条件、州政府からの強力なサポート、輸送の優位性があり、日露の協力は有望である。日本の最新技術を投入すれば新しいプロジェクトが必ず成功し、高い付加価値が得られる。農業のみならず、ガス・石油、船舶分野でも日本との協力ができる。

(3)アムール州輸出支援センター Bendikロジスティクスマネージャー
・本日参加できなかった2社の紹介をする。
・ディコロスDV有限会社は2010年に創設され、天然のキノコとベリーを収穫して加工している。最近ではアムール州におけるマツタケ産地10カ所を開発。収穫時期は8月の1週程度で、採取後72時間で成田空港に着く。既に日本の専門家から高い評価を受けている。納入に関する長期協力に期待している。
・French Kiss社は14年間活動しているチョコレートブティックである。ベルギーとフランスから輸入された天然の原料とチョコレートだけを使用し、キャンディー、糖衣錠、チョコセットなど、さまざまな商品を作っている。

(4)極東国立農業大学 Tikhonchuk学長
・本学は1950年に設立された極東で最古の農業大学である。現在、農業、食品産業、電力分野の若い専門家を育成している。学生数は約5,000人、職員数は約200人。大学院も併設し、修士・博士号を取得できる。
・アムール州の農業に寄与するさまざまな研究を行い、それに関する定期刊行物も発行している。研究開発から実際の農業への導入まで行っている。農作物の品種改良、家畜の健康、畜産廃棄物の有効活用などの技術開発もしている。
・現在、力を入れているのが、商品としての農作物の品質向上である。食品加工における有益な添加物の製造技術の改良も行っている。
・北海道大学、新潟大学、東京農大、金沢工業大学、酪農学園大学と協力し、研究者・教授陣の交流も行っている。新潟大学には留学生を送り、共同研究も行い、国際シンポジウムも開催している。今後は日本企業との協力も開始したい。
・本学には1,000ha以上の実験農場がある。新技術のテスト、環境のモニタリング、高機能食品の栽培・製造にも力を入れており、日本企業も利用可能。

(5)Octyabrskiy Grain Elevator社  Dotsenkoコマーシャルディレクター
・当社は90年以上の歴史がある極東の最大の農業企業の一つである。生産設備としては、エレベータ、穀物倉庫、穀物乾燥機、穀物加工工場がある。安定した多面的な企業であり、穀物と大豆の受け入れ、乾燥、保管と輸送、卸売。大麦・小麦粒、そば粒の生産を行う。
・エレベータ能力は5万トン、倉庫能力は2万トン。エレベータは24時間で穀物を1,200t以上処理して積み下ろすことが可能である。近くに鉄道駅があり、輸送費を削減できる。ロシア国内の製粉企業、加工工場、配合飼料工場に納入している。エレベータは経験豊富な90人の従業員が操作している。
・日本、中国、韓国、ウズベキスタン、カザフスタンに穀物出荷サービスを提供している。最高品質の商品を最適価格で提供できる。商品は全てロシア規格(GOST)と国際規格(ISO-9001)に適合している。遺伝子組み換え食品はない。ロシアの最良100商品に選ばれ、極東全地域の幼稚園・学校・病院に納入されている。

(6)Cargo Leader DV社 Andreevaゼネラルディレクター
・当社は物流業者で、中国向けと中国からの商品輸送、税関手続きを行っている。長年にわたり中国の工場とのビジネス関係を維持している。中国語ができる職員が多く、複数の工場を相手に仕事ができる。
・クライアントには調査研究、情報提供を無料で行っている。国際的商談のオーガナイズ、契約書作成の手伝い、外為関係の法的手続きも行っている。
・また、工場がある都市に社員を派遣し、製造・納期を管理監督している。
・現在、パートナー企業やクライアントが、日本との協力に高い関心を示している。

(7)Blagoveshchensky Agrotehsnab社&Souyz社 Mkrtchanゼネラルディレクター
・当社は1930年に設立され、農業機械の納入、メンテナンスを行ってきた。2010年には穀物生産業務も始めた。現在、2万5,000haで小麦と大豆を生産している。今後3万haまで拡大するので、ぜひ日本企業と共同事業をしたいと考えている。
・2014年に比べ、年々売上高は伸びている。今後、未利用の5,000haの使用準備、大豆の生産拡大の準備、農業用トラクタの組立などを開始したい。

(8)Seryshevsky Production complex社  Melnichenkoディレクター
・当社は酪農、食肉、乳製品、飼料、野菜、パン、菓子などの生産、小売りを行っており、毎年支部・支社を増やしている。冷凍製品、食料品などの分野へも拡大している。生産ラインは来年度で20年目を迎える。主な強みは、優秀な人員スタッフ、マーケティングの良さ、常に完成したものを求める企業精神である。
・大豆、大麦、小麦、トウモロコシに最近力を入れている。大豆の収穫は、天候の影響で期待よりも下回っている。しかし飼料生産にとっては最適な気象条件であり、生産強化に取り組んでいる。
・酪農は約1,000頭の乳牛を飼育。乳製品の生産量は1万5,000tで、国内評価は高い。その中でカッテージチーズの生産量は1,500t、極東全体で15%のシェアを占める。
・食肉加工はソーセージ類をはじめ、ビーフジャーキーなどの新製品も手掛けている。
・畜産部門では同社内で飼料を生産し、調達している。飼料部門での日本との関係も拡大できる。非常に栄養分が高いので、価格が少し高くても気に入るものと考えている。

6.サハ共和国からのプレゼンテーション
(1)Sakha Tea社  Zamorshikovaディレクター
・わが共和国の国土の90%以上は、まだ開発されていない地域である。ダイヤモンドの生産量は世界一で、石油・天然ガス・レアメタルの埋蔵量も多い。
・日本とわが国の共通点は、厳しい自然と、人が助け合う伝統があること。
・当社は地球上で最も北で、茶を作っている。2016年より、野生ハーブから茶を生産している。本年は20tの葉を収穫して発酵し、薬草をブレンドした。北の植物は、ビタミンや生物活性成分が多い。2017年、世界的な茶の会社から評価され、アゼルバイジャン、カザフスタン、ウクライナ、フィンランドなどに輸出している。今後は製薬分野のプロジェクトも考えている。

(2)Yakutia Berry社  Ardzakov社長
・当社はサハ共和国最大の野生ベリー加工業者である。年間温度差110度、永久凍土ななど、わが国の厳しい自然環境を生き抜くベリーは、世界一のパワーを持ち、有効成分が多く含まれている。現在、収穫されている野生ベリーは1万分の1に過ぎない。
・日本のメーカーや貿易会社には、デラックスクラスの製品を供給できる。
・当社が力を入れているのがカウベリーである。もともと有効成分が豊富なので添加物の必要がない。地理的に空の貨車が活用できるので輸送料も安い。今、日本の飲料メーカーが当社製品に関心を持っている。果実そのものでも、果汁でも供給可能だ。飲料や菓子などの原料として購入することを薦めたい。

<質疑応答>
質問:日本マーケット向けネット通販には、どれくらい関心があるのか。
回答:茶の分野ではインターネットショップを持っているので世界中どこでも購入できる。ベリーの分野では中国のネット通販に入ろうとしているが、条件が厳しくてなかなか入れない。日本で展開する場合も条件を知りたい。まだ取り組んでいない分野でも、本会合を機に始めたい。個別具体的に話をしたい。

質問:ロシアの国内における、作物のゲノム編集技術の進捗状況について伺いたい。
回答:現状では法律が未完成である。日本のパートナーの実績がベースになっている。露農業省がこの課題に対応している。第1段階として、品種改良センターで、データベースをつくり、ビジネスにシフトしていくことになるが、まず、関連の法律を整備しているところである。

8.ロシア極東における新潟大学の取組みと課題(新潟大学  長谷川准教授)
・2014年から農林水産省の支援をいただき、ロシア極東地域で食用大豆の研究プロジェクトを実施。
・本プロジェクトではロシア極東産大豆について日本から見るとどんな問題があるのか、どんな問題が解決しないと日本とロシアの大豆ビジネスが上手くいかないのか、研究プロジェクトが進むにつれ、ロシア極東大豆生産者と日本の需要者の間にすれ違いがあることが判明した。1点目は、品種・栽培体系が日本のニーズに合ってないこと。2点目は、ロシア側の収穫後の処理方法が、日本側の求める同品質品をまとまった量で欲しいというニーズにそぐわないことから、この問題を解決しないとロシアの大豆に付加価値がつかない。3点目は、物流において日本はIPハンドリング(生産流通経路)を知りたがるが、ロシアではそれが保証されていないこと。
・また、ロシアでは長年続いた中国との大豆ビジネスの慣行があり、日本の要望に応えられていない。
・これらの課題を解決すれば大きなビジネスチャンスが生まれると考える。

9.閉会

                                                                                                                                                                           以上 

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