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農林水産省

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SDGs、世界の栄養不良改善への貢献を

(サ)SDGs~誰一人とりのこさないことをめざして~

2015年9月の国連サミットで150を超える加盟国首脳参加のもと、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた「SDGs=持続可能な開発目標」が全会一致で採択されました。
これは、貧困や飢餓、環境問題、経済成長やジェンダーなど、すべての国の社会課題を対象とした17のゴールと、達成基準である169のターゲットから構成されたもので、このゴールとターゲットによって、包括的で持続可能な社会の構築をめざしています。
そして、豊かさを追求しながら地球環境を守り、誰一人取り残さないことを強調し、2030年までに達成することが目標とされています。

(シ)世界で続く飢餓・栄養不良

飢餓人口の増加

これまで10年以上減少してきた世界の飢餓人口は、2016年再び増加に転じました。同時に、さまざまな形の栄養不良が世界中の人々の健康を脅かしています。その要因として「紛争」や「気候変動」が指摘されていますが、比較的平和な地域においても食の安全保障と栄養面の悪化が懸念されていると言われています。

参考:『世界の食料安全保障と栄養の現状 2017』(FAO・ユニセフ等国連5機関)

◆世界の飢餓人口 8.15億人
アジア 5.2億人
アフリカ 2.43億人(アフリカの人口の約20%)
ラテンアメリカ、カリブ 4,200万人
紛争の影響下にある地域 4.89億人

◆様々な栄養不良
発育阻害(5歳未満) 1.55億人
消耗症(5歳未満。身長に対し、体重が少なすぎる状態) 5,200万人
体重過多(5歳未満) 4,100万人
肥満の成人 6.41億人
貧血症状のある出産可能年齢の女性 6.13億人

(ス)明治の経験と知恵に学ぶ「食と栄養改善」

貧困者が都市部へ

明治初期の混乱期、貧困にあえぐ農村部から都市部に人口が集中し始め、都市部にも貧困者があふれるようになりました。明治元(1868)年に東京府が、明治3(1870)年には大阪府が調査を行い、貧困率が約2割との結果が出ています。

◆東京府調査(東京市人口約50万人)
→貧困者(救済資金受給者)は約10・5万人(約20%)

◆大阪府調査(人口30・7万人)
→生活困窮者は約5・7万人(約18%)

※出典/牧野文夫『明治期の資産分析と貧困』法政大学,2016

明治の栄養改善と食品産業の発展

当時の日本は「富国強兵」、「殖産興業」というビジョンのもと、近代化に取り組みました。明治政府は、日本人の体格改善のために、西洋料理を積極的に導入しました。
一方で、国民はこうした近代化と相まって拡がった「脚気」に苦しみます。その撲滅のために、多くの研究者が解決策を探し求めました。そして、一般市民の間では、新しい食文化を積極的に取り入れようという好奇心の中、「和洋折衷」という知恵でそれぞれの国に合った形で改善しながら、肉食文化も受け入れていったのです。国民は文明開化の新しい風を楽しみ、工夫しながら「和洋折衷」という日本独特の食文化を作り上げていきます。そこには女子教育も大きな役割を果たしました。
国策的なニーズから発展した食品産業は、明治後期以降、家庭料理での「洋食」の普及と料理への関心拡大の追い風を受けて、大きく発展していったのです。

(セ)食事のバランスと地域性~日本だからこそできる栄養改善を

人間の生命活動において、エネルギーを作る源となる「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」。明治初期の日本では、白飯(主に炭水化物)に偏った食事が脚気の流行を引き起こしましたが、炭水化物に限らず、バランス良く、各栄養素を摂取することが重要と言われています。
その後も、日本では西洋食を取り入れつつも、伝統的な食事も大切にしたことで、欧米ほど脂質の摂取量が増えることなく、現代のバランスの良い食文化が作られました。一方、現在も世界には食料不足などの地域的な理由により、栄養の偏った食事をとっている人々がいます。他国の食文化をうまく取り入れながら、栄養バランスの良い豊かな食文化を生み出した日本だからこそ、世界に向けて発信できるメッセージがあるのではないでしょうか。私たちは、この経験と知恵を世界の未来のために、特に飢餓や貧困に苦しむ途上国の「食と栄養改善」のために、活用したいと願っています。

参考資料:明治期については、食糧振興会叢書「日本近代の食事調査資料 第一巻 明治篇 日本の食文化」掲載の「食饌調査」のうち、「陸軍士官学校」の値より算出。2013年の値については、農林水産省「食料需給表」、FAO ”Food Balance Sheets” を基に試算

明治時代の栄養改善に学ぶ~先人の言葉

我々は、佐伯矩の言葉から、明治の日本人が当時から、広い視野と、国家の枠にとらわれず持続可能な社会づくりに取り組もうとする志をもって栄養改善に取り組んでいたことを知ることができます。
その志を現代にも受け継ぎたいものです。

~佐伯芳子『栄養学者佐伯矩伝(玄同社,1995)』より佐伯矩の言葉~
「栄養の問題は、栄養学なしでは解決しないと同時に世界の国々がすべて同じ心で協力しなければ成り立たない。私はこういう専門を選んだことを、心から誇りに思い、有難いと思っている。将来は、たとえどんなに国々がせめぎあっても、栄養の問題-食糧の偏在や不足などに対しては、正しい理解のもとに協力するようになるだろう。ちょうどWHOがなしとげた伝染病撲滅の場合と同じように。」


お問合せ先

食料産業局企画課

代表:03-3502-8111(内線4354)
ダイヤルイン:03-6744-7179
FAX番号:03-3508-2417

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