開拓地用水合併兼開拓地御拂下再願

資料の現代語訳

開拓地用水合併兼開拓地御払下再願

  三河国碧海郡
    阿弥陀堂村
      伊与田与八郎
  同国同郡
    石井新田
      岡本 兵松

申し上げ奉ります。加茂・碧海両郡内の開拓地の養水については、かねて与八郎が願い上げました粟寺村外六ケ村悪水吐き落としを養水に用いたき願い筋については、見込み違いなども有り、すでに右の件は願い下げをお願いしました。この上は、兵松が一緒に協力し、何とか元からの望みをやり遂げたいと思います。
そこで、右の与八郎が願い上げておりました矢作川分水の一方を養水に引き用い、水行筋については兵松が申し上げました通り、東水行筋はそのままにし、西水行筋は右の悪水吐きの件は願い下げにしましたので、下の今村地内字カミグラ池から下手の吉浜村地先の海面までのところに、かねて与八郎が申し上げました通り用水路を開削し、東西の水行筋が全て出来れば、開拓地は勿論、最寄りの古田の分も養水十分に行き届くようにしたいです。もっとも、水行筋開削、その他の費用については、引き受け金主もおりますので、どのような事にも尽力するつもりでおりますが、成功の後は、右の入費を補わなければいけませんので、この旨困っておりましたが、先に嘆願致しました通り、溜池を全て御払い下げ下さいますようにいたしたく、そうなれば、右の地所を見込んで、水行筋の掘り割り費用の償いとしたいです。
また、矢作川分水口から流末までの川通り両縁の水除堤敷地も、御下げ渡し下されたいです。これらの件について連名にてひたすらお願いいたします。

      石井新田
           岡本 兵松
      阿弥陀堂村
明治七年六月     伊与田与八郎