あふ・ラボ
強いクモの糸の性質を持つ新しいシルクが誕生!
カイコが生み出すクモ糸シルク 新たな技術が未来を紡ぐ
各界から注目を浴び続けていたクモの糸。 |
クモ糸シルクの特徴は、遺伝子組み換えであるにもかかわらず、通常のシルクと同様に扱える点。すなわち、繰糸、撚糸、精練、染色、織り、編みなど、シルクに対して行われる加工がこれまで通り機械を使って可能になる クモ糸シルクを作る遺伝子組み換えカイコの5齢幼虫。卵からふ化した幼虫は、桑の葉を食べて約3週間ほどで体重を1万倍に増やし、繭を作る カイコに組み込んだのは、オニグモ(写真)のクモ糸遺伝子。この縦糸を構成するタンパク質の一つについて遺伝子をクローニングし、その特性がカイコのシルクに現れるよう組み換えを行った |
製品化が難しかった夢の天然繊維・クモの糸
強度は同じ太さの鋼鉄の5倍、伸縮率はナイロンの2倍。クモの糸は、まさに"夢の繊維"として各界から注目を集める存在です。 「クモ糸シルク」を紡ぐカイコの実用化に成功
世界中で様々な研究が進む中、国立研究開発法人農業生物資源研究所は、オニグモの縦糸を作る遺伝子の一部を遺伝子組み換えによってカイコに導入する研究を行ってきました 手術用縫合糸や防災ロープへの応用も
今後は、さらに強度や機能性、耐熱性を高めて幅広い分野での活用が期待されています。 |
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2007年に発表した初代クモ糸シルクの繭(左)は、糸を取るのも難しい小ささで、糸の強度測定が不可能だった。 今回、実用品種の中515というカイコに遺伝子組み換えをして作ったのが、右の繭。 糸の量も初代に比べ3倍に増加した |
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左は通常シルクの生糸、右はクモ糸シルクの生糸。 これまで、遺伝子組み換えカイコは実験用の品種で作っていたため、組み換え繭糸を生糸にすることが困難だった。 今回、生糸を作ることができる品種のカイコを使って遺伝子組み換えを行うことで、クモ糸のタンパク質を含む組み換え生糸を作ることに成功した |
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クモ糸シルク(上)、通常シルク(下)で作ったスカーフを引っ張ったところ、 クモ糸シルクで作ったスカーフのほうがよく伸び、手触りもきめ細かくて柔らかいと評判だった |
あふ・ラボトリビア【カイコ】
カイコの成虫は何も食べない!? カイコの成虫には口が無く、エサを食べません。 |
写真提供/国立研究開発法人農業生物資源研究所