このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

特集 食料・農業・農村 これからの10年 ニッポンの食を作る 新たな計画、ついに始動!(2)

  • 印刷

"食料を産み出すチカラ"を、私たちがお教えします!



まずは、新しい基本計画のポイントとなる「食料自給率」と「食料自給力」をピックアップ。
農水ガールズの2人が、分かりやすく解説します。
農水ガールズの写真
皆さん
はじめまして。
私たちは
「農水ガールズ」
と申します。

農水ガールズ
大臣官房政策課計画グループ
塩田知恵子(左)  那須祐子(右)
食料・農業・農村の基本計画に係る業務を担当

まずは、日本と諸外国との食料自給率を見ていきましょう。「カロリーベース」と「生産額ベース」の食料自給率の諸外国との比較の図。でもこれは、ニッポンの食料を作るチカラの”ある一面”を見ているにすぎません。もっともっとそのチカラを多面的にみるための指標を新たに作りました。それが「食料自給力指標」【食料自給力指標】とは潜在的な生産能力を評価の対象とし、日本の農林水産業がどれだけポテンシャルを持っているのかを測る指標です。分かった!要するに食料自給力って「輸入がストップしたときでもこれだけ食料を作れます」というもの?違います!!えー。食料自給力指標は、日本の農林水産業の「底力」を見るための指標です。大胆な前提を置いて計算しているので”いざという時”のものではないのです。日本の農地をフル活用して例えば…おいもを作ってみる、穀物を作ってみる、栄養バランスを考えて作ってみる…。いろんなパターンでシュミレーションしてみると、眠っているニッポンの”食料を産み出すチカラ”がだんだん見えてきます!”食料を産み出すチカラ”を正しく知ることで日本の農林水産業の課題に立ち向かえるのです!私たちも頑張ります!
1 ”食料を産み出すチカラ”ってどうやって分かるの?

那須祐子さんの写真 私たちの食卓に並ぶ食料のうち、国内生産でどれだけを賄うことができるのか――。 これこそが”食料を産み出すチカラ”です。その指標となっているのが、皆さんもよくご存じの「食料自給率」。残念ながら、日本の食料自給率は減少傾向で、先進国の中でも最低水準にあります。カロリーベースで見ると、平成9年以降は40%前後で推移しており、品目別では大豆が現在7%、小麦が12%と、そのほとんどを輸入に頼っています。

豊かな食に恵まれた日本にいると、食料の供給状況を意識することはあまりないかもしれません。しかし実際の数字を目の当たりにして、不安を覚えた方も多いのではないでしょうか。


2 食料自給”力”ってどういうもの?

塩田知恵子さんの写真 実は、食料自給率には潜在的な生産能力が反映されないという限界がありました。そこで今回の基本計画では、新たに「食料自給力指標」というものを設けることにしたのです。

これは、花き等が栽培されている農地など、潜在的な生産能力を評価する指標で、図1の通り、(A)~(D)の4つのパターンで試算しています。

日本の持つ生産能力をフル活用して食料のみを最大限生産すれば、今以上の食料供給が可能です。食料の安定供給を推進していくためには、日本の農林水産業のポテンシャルを、正しく評価しておくことが大切なのです。

図1、食料自給力指標の姿
(A) 米・小麦・大豆中心 栄養バランス考慮
(B) 米・小麦・大豆中心
(C) いも類中心 栄養バランス考慮
(D) いも類中心

現実の食生活とは大きく異なるいも類中心型では推定エネルギー必要量等に達するものの、より現実に近い米・小麦・大豆中心型ではこれらを大幅に下回る結果となっています。


3 どのように見ればいいの?

那須祐子さんの写真 平成25年度の試算では、(C)(D)の「いも類を中心に熱量効率を最大化して作付けする場合」で、国民全体がその時の体重を保つだけのエネルギーを供給できるとされています。しかし、現実の食生活に近い(A)(B)の「米・小麦・大豆を中心に熱量効率を最大化して作付けする場合」では、エネルギーの必要量を下回ることが分かっています。さらに、農地面積の減少や単収の伸びの鈍化などにより、食料自給力は近年低下しているのです(図2)

図2、食料自給力指標の推移
食料自給率が平成9年度以降17年間40%前後(横ばい)で推移している中、食料自給力(我が国の食料の潜在生産能力)は近年低下傾向にあり、将来の食料供給能力の低下が危惧される状況にあります。
資料:農林水産省作成


4 新しい指標が目指すものは?

塩田知恵子さんの写真 食料自給力指標を導入するいちばんの目的は、日本の潜在的な生産能力を正しく評価した上で、食料安全保障に関する国民的な議論を深めていくことにあります。

その上で、消費者の皆さまには国産農林水産物の積極的な消費拡大を、生産者の皆さまには農地や農業技術のフル活用などを、国から働きかけていきます。

そうしたことを通じて、日本の農林水産業が抱えている課題に対してアプローチし、食料自給率・食料自給力の維持向上と、食料の安定供給の確保を推し進めていきたいと考えています。