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特集 日本の農林水産物・食品の輸出拡大に向けて ニッポンの食材、おいしいね!(2)

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林 芳正農林水産大臣が語る 目指せ1兆円!攻めの輸出戦略



林 芳正農林水産大臣の写真

世界的な「日本食ブーム」が追い風となる中、日本の農林水産物と食品の輸出を拡大していくために今やるべきことは何なのか。
5月、ミラノ国際博覧会を皮切りにロンドン、イスタンブールを歴訪した林芳正農林水産大臣が語ります。


林 芳正農林水産大臣の写真

ミラノ万博日本館で感じた「日本食」への注目度

5月1日からイタリア・ミラノで開催されている「ミラノ国際博覧会(ミラノ万博)」は、世界初の「食料」をテーマとする博覧会。今回の「日本館」では「Harmonious Diversity~共存する多様性~」をテーマに掲げ、日本の農林水産業や食を取り巻く取り組み、伝統的な食文化などを、さまざまな角度から紹介している。林芳正農林水産大臣は、5月4日に日本館を訪問。

私自身、開幕を指折り数えて待っていましたが、想像を上回る日本館の出来映えに魅了されました。日本の文化や伝統、食文化などを、ビジュアルイメージやテクノロジーを駆使して体感してもらえる“参加型”で、来館者自ら引き出しを開けたり、箸でタッチしてみたりできるという、非常に工夫された展示です。最後のブースはバーチャルの食堂になっていて、訪れただけでお腹が空いてくるのですが(笑)、さらに進むと、最後にレストランやフードコートといった「本当の食堂」が出てくる戦略的な構造でしたね。また、スマートフォンと連携させて日本館のアプリをダウンロードできるという試みは、来館者が帰ってからも日本への理解を深めてもらえるので、本当に上手くできているなぁという印象を持ちました。


ミラノ万博イタリア政府代表のパスクィーノさんは「もっとも人気のあるパビリオンの一つになるのではないか」とお世辞抜きでおっしゃっていました。その後、イスタンブールでお会いしたイタリアのマルティーナ農林政策大臣も日本館を絶賛していましたし、ミラノ万博が日本の食文化の魅力を発信する絶好の機会になると大いに期待しています。



林 芳正農林水産大臣の写真

5品目の輸出団体によるセミナーで日本産をアピール

5月5日にはイギリス・ロンドンで行われた日本産農林水産物・食品の輸出プロモーションイベントに出席。政府が定めた輸出重点品目のうち「コメ、コメ加工品、牛肉、茶、花き、水産」の5品目の輸出団体とJETRO(日本貿易振興機構)が合同で主催したもので、多くの国・地域から食品輸入業者や外食産業者、ホテル、レストラン関係者などが参加した。合同レセプションでは、日本産の花きで装飾された会場の中、日本の食材を使った料理を参加者に提供。

日本全国から5品目の輸出団体が、初めて一堂に会して海外でセミナーを開催したわけですが、非常に画期的なイベントだったと思います。イギリス以外のさまざまな国や地域からもバイヤーなど約400人の方が集まりました。私も各ブースを訪問してご挨拶しましたが、それぞれの団体の皆さんが一生懸命工夫を凝らして情報発信されていた姿が大変印象的でした。


ご来場の方々にはセミナーで各品目の商品知識を聞いていただいた上で、実際に試食したり、花を楽しんでいただいたりするなど、日本産のすばらしさをより実感していただけたのではないかと思います。和牛やホタテのにぎり寿司、抹茶などが特に好評で、会場は終始大変な熱気でした。EU向けの輸出重点品目である青果物や調味料、菓子、アルコール飲料などの食品に関しても、日本企業・団体11社が参加し、日本茶とガラス茶器の企業さんがコラボレーションを行うなど演出も多彩で、一堂に会したことによるシナジーも生まれ、たくさんのよい出会いがあったのではと思っています。


現在、農林水産省はグローバルな食市場の獲得に向けて「FBI戦略」を推進しています。「FBI」は「FROM」「BY」「IN」の頭文字を取った語呂合わせですが、日本産の農林水産物と食品の輸出のために、まず日本食の魅力を発信しなくてはいけません。例えば、フランス料理でゆずが使われるように、日本の食材を世界の料理に使ってもらう「Made FROM Japan」に力を入れる。そうした日本食材の普及のためにビジネス環境の整備や人材育成を支援する、これが「Made BY Japan」。そして、日本の食を特徴づける牛肉やお米などの輸出を促進する「Made IN Japan」。この3つを別々にやるのではなく、一体となって戦略的に進めていきたいと思います。


この「FBI戦略」を支えるものとして、2013年に、品目別、仕向け国別の輸出戦略を作り、それぞれの課題を整理しました。例えば、和牛をイスラム圏に輸出するには、イスラム法で合法であることを認めた「ハラール認証」が必要になりますが、そうした一つ一つの課題に対応するために、実際に輸出に取り組んでいらっしゃる全国の方々には、各品目の輸出団体等を通じて、方策をオールジャパンで話し合っていただければと思います。具体的な動きとして、統一マークを作ってのマーケティング活動などもスタートしています。


2012年当時、4500億円だった日本の農林水産物・食品の輸出額を2020年には1兆円にするという具体的な金額目標を掲げています。最初は非常に高い目標だと思われましたが、昨年には6117億円と史上最高額を記録しました。本年も3月までで対前年同期比で約3割増となっており、1兆円の目標に手が届くところに来ているのではないかと思います。



正しい「日本食」の普及を国内外へ

農林水産省は、日本食・食文化の魅力を広く世界にPRするため、2月に日本料理関係者など13名を「日本食普及の親善大使」に、特別親善大使には女優の檀れいさんを任命した。

女優の檀れいさんを「日本食普及の特別親善大使」に、日本料理関係者等を「日本食普及の親善大使」に任命している様子の写真

女優の檀れいさんを「日本食普及の特別親善大使」に、日本料理関係者等を「日本食普及の親善大使」に任命

大使の方々には持ち味を活かして、日本食の魅力を世界に広めることにご協力いただきたいと思います。日本料理関係者の方々には、専門的な調理法などを海外の色々なレベルの方に普及していただきたいですね。今、海外の方へのアンケートで「好きな外国料理」を聞くと、「日本食」が1位に挙げられることが多くなっています。それだけに、だしのとり方など、本当の日本食の技法が海外でもしっかりと位置づけられることが重要になってきます。


また、次世代を担う若い人たちにも、日本食の良さを知っていただきたいと思いまして、「ピンク・ベイビーズ」という平均年齢15歳のボーカルダンスユニットに「おいしい日本! 食のジュニアPR大使」になっていただきました。



輸出拡大はインバウンド、地方創生にもつながる

「おいしい日本! 食のジュニアPR大使」に任命されたピンク・ベイビーズの写真

「おいしい日本! 食のジュニアPR大使」に任命されたピンク・ベイビーズ

一昨年に「和食」がユネスコの無形文化遺産として登録されたのを「ホップ」、ミラノ万博を「ステップ」、そして2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックを「ジャンプ」とする3段階で、日本食や食文化の発信を強化していきます。まずはミラノ万博で得られる成果をテコに、我が国の農林水産物・食品の輸出拡大につなげていきたい。そして、今回のロンドンでのイベントのようなトップセールスは安倍総理も取り組んでおられますが、それと同時に、海外メディアや機内でCMを放映するなどの発信活動を引き続き積極的に行います。

現在、海外で「日本食」と呼ばれているものの中には、本来の形からアレンジされたものがあるのも事実ですが、それも日本食に興味を持っていただく入り口としては否定しません。しかし、私はよく山にたとえるんですが、1、2合目の裾野のあたり、入り口ではそれでも良いかもしれない。でも中腹の5、6合目あたりではしっかりとした日本食を知っていただきたい。その心得といいますか、しっかりした日本食はこんなに美味しいものだということを味わっていただきたいのです。


また日本食の特徴の一つである「うま味」を上手に使えば塩分や糖分を控えめにできて健康維持にも役立ちます。こうした日本食の深みも広く海外に発信していきたいと思います。


それに伴って輸出が拡大し、日本食のファンが増えることは、「本場の日本食の味を知るために日本を訪れる」というインバウンドにも結びつくのではないでしょうか。ワインの好きな方がフランスのシャトーに行かれるように、日本のお寿司屋さんや市場に、つまり日本に来ていただくというのが、9合目、頂上だろうと。それは地方創生にもつながると思います。そのためにも、今後さらに輸出環境の整備を進める“攻め”の輸出戦略で、1兆円の目標を早く大きく超えて達成できるように取り組んでまいります。



林農林水産大臣GW海外出張リポート
平成27年5月3日から5月9日の間、林農林水産大臣は、イタリア、イギリス、トルコに出張し、ミラノ国際博覧会日本館イベント、日本産農林水産物・食品PR セミナーおよびレセプション、G20農業大臣会合等へ出席しました。その様子をご紹介します。

5月4日
イタリア ミラノ
・ミラノ国際博覧会  日本館イベント
・食育イベント、地理的表示  関連施設視察
日本館内で、日本館アテンダントと記念撮影している写真
日本館内で、
日本館アテンダントと記念撮影
日本食材・日本食を紹介する空間を視察している写真
日本食材・日本食を紹介する空間を視察
バーチャル食堂。テーブル面にタッチすることで、日本食を食する模擬体験をしている写真
バーチャル食堂。テーブル面にタッチすることで、日本食を食する模擬体験ができる
イタリア政府代表パスクィーノ氏と日本館特別大使のハローキティとの記念撮影している写真
イタリア政府代表パスクィーノ氏と日本館特別大使のハローキティとの記念撮影
呈茶イベント中に紙細工の説明を受けている写真
呈茶イベント中に紙細工の説明を受ける
フードコートエリア内を視察している写真
フードコートエリア内を視察

5月5日
イギリス ロンドンほか
・地理的表示  関連施設視察
・日本産農林水産物・食品PRセミナー及びレセプション
合同レセプションでの挨拶をしている写真
合同レセプションでの挨拶
会場内は外国人バイヤーであふれている様子写真
会場内は外国人バイヤーであふれた
和牛の良さを積極的にアピールしている写真
和牛の良さを積極的にアピール

5月7日~8日
トルコ イスタンブール
・G20農業大臣会合出席
・要人との会談
・日系食品関連企業との意見交換
G20農業大臣会合での記念撮影している写真
G20農業大臣会合での記念撮影
アメリカのヴィルサック農務長官と会談している写真
アメリカのヴィルサック農務長官と会談
イタリアのマルティーナ農林政策大臣と握手をしている写真
イタリアのマルティーナ農林政策大臣と握手
日系食品関連企業との意見交換している写真
日系食品関連企業との意見交換