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特集 太平洋クロマグロの資源管理 クロマグロ食す・守る(4)

クロマグロを「守る」  日本が取り組む資源管理




資源量が激減している太平洋クロマグロ。回復させるには待ったなしの状況です。今こそ適切な資源管理が求められています。


親魚資源量の推移
親魚資源量の推移
矢印 親魚資源量の将来予測
親魚資源量の将来予測


歴史的最低水準付近まで資源量が減少
太平洋クロマグロの資源量は、ここ20年ほどで激減しています。昨年11月には、政府機関や科学者で組織される「国際自然保護連合(IUCN)」の「レッドリスト」に、絶滅危惧種として名を連ねました。実際、太平洋クロマグロの資源量は、歴史的に見ても最低レベルにまで落ち込んでいます。

さらに、0歳魚の加入(発生)状況(漁獲サイズまで生き残った魚の数)も低水準です。これまでの加入尾数の歴史的平均値は約1500万尾でしたが、2012年はその約半分の700万尾程度となっており、近年、低加入期にシフトした可能性があります。



未成熟魚の漁獲量を従来の50%に制限
では、私たちは将来的に太平洋クロマグロが食べられなくなってしまうのでしょうか。

実は、クロマグロは繁殖力の高い魚なので、漁獲量を適切に管理すれば、資源回復が可能であることが分かっています。

例えば、大西洋クロマグロでは、08年から管理の取り組みを強化。漁獲できる量を大幅に削減したところ、資源量の回復が図られました。

太平洋クロマグロも資源回復を目指し、国際機関である「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の決定に従って、漁獲できる量を適切に管理していく必要があります。

太平洋クロマグロの漁獲量の大半を占めている日本でも、未成熟魚の漁獲が多いという実態を踏まえ、資源管理を強化。クロマグロを漁獲するすべての漁業者の協力のもと、今年から体重30kg未満の未成熟魚の漁獲量を従来(02~04年)の50%に削減する取り組みがスタートしています。

「北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)」のシミュレーションによると、この制限を続けた場合、24年までには回復目標である歴史的中間値(約4.3万トン)に到達できる見込みです。



漁業関係者、消費者の協力で資源回復へ
具体的には、大中型まき網漁業で2000トン、その他の沿岸漁業等で2007トン、合計で4007トンを上限とした漁獲規制を実施します。漁法や地域で管理し、漁獲制限をオーバーした場合には、その分が翌年の漁獲枠から差し引かれる仕組みです。

沿岸漁業に関しては、全国を6ブロックに分けて管理。ブロックごとの漁獲量が上限の7割に達した時点で「注意報」、8割で「警報」、9割で「特別警報」、9割5分で「操業自粛要請」を出し、水産庁のホームページにも掲載します。

漁獲制限が続く間、漁業関係の方々には”獲らない我慢”をお願いすることになり、また消費者の方々には太平洋クロマグロが一段と食べにくくなる不便が生じるかもしれません。水産庁では、皆さんの理解と協力を得ながら資源管理を進めていきます。

また、マグロ養殖の分野においても、天然種苗に依存しない取り組みとして「完全養殖」の研究が進行中です。天然の幼魚を種苗にするのではなく、人工ふ化させて育てた親魚から採卵して次の世代を生み出すもので、すでに商品化に成功した事例もあります。



日本の漁獲上限は4,007トン
⃝大中型まき網漁業…2,000トン
⃝その他の沿岸漁業等…2,007トン
   水産庁留保分…19トン
   近海竿釣り漁業等…106トン
   全国6ブロック…1,882トン
日本の漁獲上限は4,007t



資源に圧力をかけずに「食す」
資源に圧力をかけずに「食す」 近畿大学水産研究所の養殖マグロの生けす(右)と、大手小売業のイオンが期間限定で販売していた完全養殖のクロマグロ(左)。資源に圧力をかけない取り組みとして注目されています
近畿大学水産研究所の養殖マグロの生けす(右)と、大手小売業のイオンが期間限定で販売していた完全養殖のクロマグロ(左)。資源に圧力をかけない取り組みとして注目されています


取材・文/小泉秀希    撮影/福岡 拓    写真提供/東都水産、大間町、近畿大学水産研究所、イオン