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農林水産省

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特集 国産材の利用促進 使って・育てるこれからの森林づくり(2)

健全な森林を育てる林業の生産現場



森林を整備し、木材を生産する現場では、林業の成長産業化に向けた取り組みを進めています。
森林を作る


豊かな森林をつくる


多面的機能の維持には森林整備が不可欠
森林は木材を生産するだけでなく、さまざまな働きを通じて私たちの生活に多くの恩恵をもたらしています。

根が土壌を固定して土砂災害を防止し、土の表面が下草や落ち葉、枝などで覆われることで、雨水等による土壌の浸食や流出を防いでいます。また、森林の土壌が雨水を蓄えて徐々に河川に流すことで、洪水の緩和や水質の浄化機能を担っています。さらに、木々は大気中の二酸化炭素を吸収して炭素を貯蔵し、地球温暖化の防止にも貢献しているのです。

こうした国土保全、水源の涵(かん)養、地球環境保全などの機能は、「森林の有する多面的機能」と呼ばれています。その機能を将来にわたって十分に発揮していくには、森林を適切に整備・保全する必要があるのです。

国内の人工林には間伐をしなければならない段階にあるものも多く、健全な状態を取り戻すには「植える→育てる→伐採する→利用する」という流れを循環させることが重要になります。この循環のポイントになるのが、木材の利用です。国産材を積極的に使うことで、木材の代金が山村に戻り、森林の整備や植林へとつなげていけるのです。


林業の成長産業化に向けた取り組み
日本の木材需要は2009年を底に回復傾向にありますが、木材の総需要量に占める輸入の割合は、依然として7割以上に上ります。国内の人工林の多くが本格的な利用期を迎える中、森林資源の循環利用と林業の成長産業化を図ることが喫緊の課題です。

その一方で、木材生産を担う山村地域の多くは高齢化が進み、人口減少が顕著になっています。森林を適切に管理し、国産材を安定的に供給するためには、林業の生産性を向上させることが重要です。

そのために、造林・保育の効率化が期待できるコンテナ苗の導入や、高性能林業機械を活用した効率的な作業システムの普及に取り組んでいます。

また林業就業に意欲的な若者に対して、基本的な技術の習得を支援する「緑の雇用」事業を平成15年度から実施。新規就業者数が大幅に増加しています。






豊かな森林をつくる
「植栽」「下刈り」「除伐」「間伐」など、木の生長に合わせて適切な整備を行うことで、健全な森林がつくられていきます。
「植栽」「下刈り」「除伐」「間伐」など、木の生長に合わせて適切な整備を行うことで、健全な森林がつくられていきます。


1.
植栽のイラスト 植栽
(1林齢)
伐採跡地を地ごしらえして雑草やかん木などを取り除いたあと、苗木を植え付ける
2.
下刈りのイラスト 下刈り
(1~5林齢)
植栽した木に日光が当たるよう、苗木の生長を妨げる植物を除去する


3.
除伐のイラスト 除伐
(10林齢~)
植栽木の生長を妨げる雑木や、形質が悪く育つ見込みのない植栽木を取り除く


4.
間伐のイラスト 間伐
(~50林齢)
樹木の生長に応じて、一部の植栽木を伐採し、立木密度を調整する


5.
主伐のイラスト 主伐
(50~100林齢)
柱や板の原料にできる太さまで育った木を伐採する


6.
伐採した木は、利用しやすい長さにそろえてから搬出される 伐採した木は、利用しやすい長さにそろえてから搬出される






林業の生産性向上に向けた取り組み

コンテナ苗の導入
コンテナ苗とは、特殊な形状の容器を使って育てた苗木のこと。根鉢の形状が均一なので大きな穴を掘る必要がなく、根付け作業が効率的に行えます。また、根と培地が一体化していることから、活着(苗が土に根付くこと)もおおむね良好です。伐採と造林の一貫作業に用いやすく、造林・保育の効率化とコスト削減のため、各地で導入が進められています。
専用の器具であけた小さな穴に差し込み、軽く踏み固めるだけで植えられるので、作業時間の短縮が可能に
専用の器具であけた小さな穴に差し込み、軽く踏み固めるだけで植えられるので、作業時間の短縮が可能に
高性能林業機械の活用
作業の効率化や林業従事者の負担を軽減する目的で、20年ほど前から高性能林業機械の開発と普及を進めています。集材をするフォワーダや、枝払い・玉切りを行うプロセッサなど、6,228台(2014年3月末現在)が生産現場 で使用されています。

女性でも無理なく作業ができる
女性でも無理なく作業ができる
写真提供/神子沢林業





カネイ林業・本戸三保子さんに聞く
「木の良さを知ってもっと使って欲しい」


静岡県浜松市で林業に従事する本戸三保子さん(31歳)は千葉県の出身。大学のインターンシップで森林組合を訪れたのを機に、この道を志しました。「女性の自分にこの仕事が務まるのか分からなかったけれど、とにかくやりたいという気持ちだけでした」

本戸さんは、「林業女子会@静岡」の創設メンバーの一人。一般の人に林業について知ってもらい、木の良さを感じてもらうための活動も行っています。

「林業を良くしたくて飛び込んだ世界。間伐をすれば山はきれいになるし、苗も植えれば生長する。満足感はありますが、自分の手が届く範囲しか変えていけないのは、とてももどかしいです」

林業の再生には、国産材の利用拡大が不可欠。「価値を知って、もっと多くの人に木を使って欲しい」と語っています。

カネイ林業・本戸三保子さんに聞く
親方の青山有一さんと二人三脚で、早朝から夕暮れまで作業に当たる
親方の青山有一さんと二人三脚で、早朝から夕暮れまで作業に当たる


撮影/原田圭介