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農林水産省

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特集 国産材の利用促進 使って・育てるこれからの森林づくり(3)

林業を支える木材加工のいま



国産材の原木はおよそ6割が製材工場へ、2割が合板工場へ、2割がチップ工場へ供給され、さまざまな製品に加工されます。
木の加工


 バーカという機械で樹皮をむいた原木に木取りを行い、機械で必要な寸法に切り出していく
バーカという機械で樹皮をむいた原木に木取りを行い、機械で必要な寸法に切り出していく


加工・流通体制を整備し国産材を安定的に供給
豊富な森林資源を循環利用し、林業の成長産業化を実現するためには、幅広い用途で新たな木材需要の創出を進めるとともに、国産材を安定的に供給する体制を構築する必要があります。

木材の加工・流通を担う木材産業では、現在、そのための体制の整備に取り組んでいます。

その一つが、工場の大規模化です。福島県に工場を持つ協和木材(本社・東京都江東区)では、地域で生産された木材を大量かつ安定的に加工できる施設を整備。原木の調達から製材加工、製品販売までを自社で手掛け、品質や性能の面で競争力のある製品を低コストで供給しています。

このほかにも、複数の工場が連携して大規模化に取り組む事例や、地域の生産者・製材工場・工務店等が協力して特色のある家づくりを行っている事例もあります。

また、新たな木材需要の創出に向けて、中高層建築物等の木造化を可能にするCLT(Cross Laminated Timber)などの開発・普及を推進。国産材による「都市の木質化」につながる取り組みとして期待されています。さらに、木質バイオマス(木材由来の再生可能な資源)のエネルギー利用なども、近年大幅に拡大中です。





製材品(無垢材)
原木を切削(せっさく)加工して寸法を調整した製品。断面の寸法によって板類、ひき割類、ひき角類などの種類がある。

主な用途
住宅の柱・梁などの建築用材、梱包用材、家具建具用材など
製材品(無垢材)



合板 合板
大根の“かつらむき”の要領で原木から薄い単板(ベニア)を製造し、繊維方向が互いに直交するように重ねて接着した板。

主な用途
住宅の壁・床・屋根の下地、コンクリート型枠、家具建具用材など



集成材
一定の寸法に加工された複数のひき板(ラミナ)を、繊維方向が平行になるように並べて接着したもの。

主な用途
住宅から大規模建築物までの建築用材など
集成材



木材チップ 木材チップ
原木や工場の残材、解体材などを機械にかけて切削・破砕した木材の小削片。製紙工場、木質ボード工場、バイオマス発電施設などに出荷される。

主な用途
紙・板紙の原料、木質ボードの原料、燃料など




新たな木材需要の創出に向けた取り組み
CLT(直交集成板)の普及
CLTはひき板を繊維方向が直交するように積み重ねて接着した重厚なパネルで、大きな面で利用できる強い構造材です。断熱性、耐火性、耐震性に優れているほか、コンクリート製品より軽いので基礎工事等の簡素化が見込め、施工がシンプルになり、工期の縮減も可能です。すでに欧米を中心に、中高層建築物などに採用されています。農林水産省では、国土交通省とも連携し、昨年11月に公表したロードマップに沿って、本格普及に向けた取り組みを着実に進めています。
CLTパネルを使った建築物の施工の様子
CLTパネルを使った建築物の施工の様子

木質バイオマスのエネルギー利用
未利用間伐材や製材残材などを「木質バイオマス」として発電やボイラーの燃料に活用する取り組みを推進。公共施設や一般家庭でも木質バイオマスを燃料とするボイラーやストーブの導入が進んでおり、木質ペレットの生産量も増加中です。地域内にある木質資源を活用するので、地域の雇用・所得の創出なども期待されています。

おが粉や端材などを圧縮成型してつくられる木質ペレット
おが粉や端材などを圧縮成型してつくられる木質ペレット

再生可能エネルギーの固定価格買取制度を活用した木質バイオマス発電施設
再生可能エネルギーの固定価格買取制度を活用した木質バイオマス発電施設



撮影/原田圭介
写真提供/協和木材、名南製作所