特集 野菜をもっと食べよう!(2)
「生産」「加工」「消費」のいま ニッポンの野菜事情
少子高齢化やライフスタイルの変化などを背景に、野菜の消費量は減少傾向。その一方で「健康のために手軽に国産野菜が食べたい」というニーズは高まっています。
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[生産] 価格・量ともに安定的に供給するため、さまざまな工夫をしています 野菜は天候によって生育状態などが変わりやすく、生鮮品なので保存性にも乏しいため、供給量が一定ではありません。また、供給量の変動に伴って価格も大幅に変動するという特性があります。 そこで、野菜を安定した量と価格で供給できるよう、さまざまな工夫をしています。「産地リレー」もその一つ。南北に長い日本列島をうまく使い、季節によって産地を切り替え、年間を通した安定供給を図っているのです。また、国が策定した需給ガイドラインを踏まえた供給計画に基づく生産・出荷の推進、野菜価格安定制度などにより、価格の安定化が図られています。 |
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キャベツの卸売価格の推移

資料 : 東京中央市場青果卸売会社協会調べ ※注 : 過去5カ年の月別価格の平均値

資料 : 東京中央市場青果卸売会社協会調べ ※注 : 過去5カ年の月別価格の平均値
キャベツの産地リレー(関東消費地向け)


[加工] 加工・業務用の30%程度は輸入品。 これを国産に切り替える動きが進んでいます 野菜需要のうち、加工原料や外食・中食の食材として利用される加工・業務用需要の割合は増加傾向で推移し、全体の約60%を占めています。国産割合を見ると、家計消費用(家庭で消費されるもの)がほぼ100%であるのに対し、加工・業務用では70%程度。残りの30%は輸入に頼っており、輸入先の過半は中国です。 加工・業務用に占める輸入割合は、年々増加しています。平成2年は12%でしたが、その後20年で30%にまで達しました。現在、ここを国産野菜に切り替えていく動きが進んでいます。 |
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加工・業務用野菜、家計消費用野菜の国内仕向け量の推移

資料 : 農林水産政策研究所 ※注 : 「指定野菜」(14品目)からばれいしょを除いた数値。指定野菜とは、全国的に流通し、特に消費量が多く重要な野菜のこと。キャベツ、ほうれん草、レタス、ねぎ、たまねぎ、白菜、きゅうり、なす、トマト、ピーマン、大根、にんじん、さといも、ばれいしょの14品目

資料 : 農林水産政策研究所 ※注 : 「指定野菜」(14品目)からばれいしょを除いた数値。指定野菜とは、全国的に流通し、特に消費量が多く重要な野菜のこと。キャベツ、ほうれん草、レタス、ねぎ、たまねぎ、白菜、きゅうり、なす、トマト、ピーマン、大根、にんじん、さといも、ばれいしょの14品目
[消費] 野菜の消費量は減少傾向。 一方で、サラダの購入金額が増えています 近年、野菜の消費量は減少傾向で推移していて、世代別の野菜摂取量を見ると、すべての年代で1日350グラムという摂取目標量に達していません。その一方で、1人1年当たりのサラダ購入金額は増加傾向で推移しています。 その背景には、単身者や高齢者世帯、共働き世帯の増加があります。健康のために野菜を食べたいけれど、丸ごと1個買っても使いきることができない、調理に時間をかけられない――こうした理由から、野菜に対する簡便化ニーズは年々高まり、調理の手間がかからないサラダの購入金額の増加に表れていると言えます。 |
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野菜消費量の推移(1人1年当たり)

資料 : 農林水産省「食料需給表」 ※注 : 平成26年度の数値は概算値

資料 : 農林水産省「食料需給表」 ※注 : 平成26年度の数値は概算値
サラダの購入金額の推移(1人1年当たり)

資料 : 総務省「家計調査」(農林漁家世帯を除く2人以上の世帯)。
ただし、総務省「消費者物価指数(平成22年基準)」のサラダの指数により計算

資料 : 総務省「家計調査」(農林漁家世帯を除く2人以上の世帯)。
ただし、総務省「消費者物価指数(平成22年基準)」のサラダの指数により計算
取材・文/岸田直子