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農林水産省

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特集 野生鳥獣と向き合う(3)

[Part2 対策] ストップ!  鳥獣被害 被害防止に向けた活動が全国で進められています



増え続ける野生鳥獣にどう向き合っていくのか。
捕獲強化などの抜本的な取り組みが、全国各地で展開されています。

目標、シカ・イノシシの生息頭数サルの加害群数、10年後までに半減、シカとイノシシは平成35年度までに約210万頭へ、サルは被害を及ぼす群れの数の半減を目指しています




地域ぐるみで目標達成へ
柵
地元の農家、猟友会、研究機関などの共同作業で柵を設置(岐阜県郡上(ぐじょう)市)
わな
捕獲のためのわなを仕掛ける(福島県田村市)
イノシシを捕獲
鳥獣被害対策実施隊でイノシシを捕獲(高知県幡多郡黒潮町)
一斉捕獲
猟銃免許を持つ猟友会員らが一斉捕獲に向かう(岩手県奥州(おうしゅう)市)


全国各地の被害対策を積極的に支援
今でさえ深刻な鳥獣被害ですが、このままの捕獲ペースでいくと、シカの場合、平成37年度には現在のほぼ倍の500万頭まで増加するという試算もあり、農林業や生態系にさらに深刻な被害をもたらすことが懸念されています。

農林水産省では、野生鳥獣による被害を防止するため、市町村が作成する「被害防止計画」に基づく「捕獲」や、野生鳥獣の侵入を防ぐ「被害防除」、エサ場や隠れ場所をなくす「生息環境管理」など、地域ぐるみの取り組みを支援しています。

また、市町村における被害防止対策の担い手である「鳥獣被害対策実施隊」の設置や体制の強化を推進。今年度中に全国で1000市町村を目標に、設置促進に向けた普及活動などを行っています。

さらに、環境省と連携して、深刻な被害を及ぼしているシカ・イノシシについて「生息頭数を平成35年度までに半減」という目標を設定。抜本的な鳥獣捕獲対策を実施しています。

この目標を達成する上では、捕獲従事者の育成と確保が大きな課題です。


野生鳥獣を捕獲し、適正数まで減らす
野生鳥獣が増えすぎた地域では、田畑への侵入を防ぐ柵を設置したり、追い払ったりするだけでは、被害を防止することは難しい状況です。
そこで、国がいま最も力を入れているのが、わなや猟銃などを使用して野生鳥獣を捕獲し、生息頭数を減らす対策です。

農林水産省では、この対策を進めるため、野生鳥獣の捕獲に必要な狩猟免許所持者を育成する講習会や射撃場の整備、箱わなや囲いわな等の捕獲機材導入などの支援を行っています。

また、近年では、捕獲した鳥獣を埋めたり焼却したりするだけではなく、地域資源として有効活用するために、食肉処理加工施設の整備や商品開発、販売・流通経路の確立などの取り組み、食肉利用の専門家による研修会の開催なども支援しています。

こうした取り組みは、捕獲頭数の増加につながることはもちろん、村起こし・地域活性化にもつながると考えられます。


捕獲
生息頭数を調整
わな(下)、銃(右下)、網で野生鳥獣を捕獲。ITを活用した自動監視システムを備えたわなも開発・利用されている
わなで捕獲
写真提供/千葉県茂原市経済環境部農政課
銃で捕獲



漫画『山賊ダイアリー』



ニホンザル"群れごと"捕獲、一網打尽に!
シカやイノシシと違って、群れで行動するサル。「ボスザルを捕獲すればよいのでは?」と考えがちですが、ボスを失った群れは分派して拡散し、さらに群れの数が増えてしまう恐れがあるのです。

そこで、被害対策も群れごとに講じる必要があります。群れの全頭を捕獲する大型のおりの設置や、犬などを活用して農地や集落の外に追い出す「追い払い」、山奥に定住させて集落に出てこないようにさせる「追い上げ」などの対策で、加害群数の半減を目指しています。

ニホンザル写真提供/鳥獣被害対策.com
撮影/小淵幸輝
大型の捕獲おり
写真提供/長野県伊那市
サルを群れごと捕獲するために設置された、大型の捕獲おり

野生鳥獣を農作物に近寄らせない
捕獲による効果が現れるまでには時間がかかり、必ずしも計画通りにいかない場合があります。そこで、捕獲と同時に必要なのが「被害防除」と「生息環境管理」の対策です。

被害防除とは、野生鳥獣が田畑へ侵入するのを防ぐ柵の設置や、追い払いなどのこと。野生鳥獣にとって魅力的な農作物の味を覚えさせない、田畑に近寄らせないためには、効果的な対策が必須です。柵にはワイヤーメッシュ柵、金網柵、電気柵、ネット柵があり、獣種や地形などに合わせて、効果が発揮されるように設置することが大切です。

一方、生息環境管理とは、野生鳥獣のエサ場や隠れ場所を作り出さないこと。出荷できない農作物などを農地やその周辺に置きっぱなしにしない、やぶや茂みを刈り取って緩衝帯を設けるなど、被害を招くことになる環境を作り出さない対応も必要です

また、被害状況は地域ごとに異なります。農林水産省では、地域に応じた被害防止計画の作成や対策を助言する被害対策アドバイザーの紹介のほか、ホームページを通じて、優良活動事例などの各種情報提供を行っています。
被害防除
柵の設置や追い払い活動











電気柵(下)を設置したり、エアガンによる追い払い(右下)を行い、野生鳥獣を田畑に近づけないようにする
シカ
写真提供/北海道
電気柵
写真提供/鹿児島県姶良(あいら)市
エアガンによる追い払い
写真提供/農研機構・中央農業総合研究センター



電気柵は正しく設置を!
人に対する危険防止のため、危険である旨の表示をすることや、漏電遮断器の取り付けなど、設置方法が電気事業法で定められています
[生息環境管理]
エサ場や隠れ場所を除去








野生鳥獣が身を隠せるやぶや茂みを刈り取り(下)、農地との間に牛を放牧(右下)することで、田畑に近づけないようにする
イノシシ
写真提供/農研機構・中央農業総合研究センター
野生鳥獣が身を隠せるやぶや茂みを刈り取り
写真提供/福岡県田川郡添田町
農地との間に牛を放牧
写真提供/福井県鯖江市


取材/文/岸田直子

イラスト/岡本健太郎 ©岡本健太郎/講談社
(イラストは漫画『山賊ダイアリー』からの引用です)