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農林水産省

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MAFF TOPICS(1)



MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」の略称です。
「MAFF TOPICS」では、農林水産省からの最新ニュースなどを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けします。

あふラボ イタリア料理店で需要拡大 リゾット専用の国産米「和(なご)みリゾット」誕生


ひとめぼれ 和みリゾット CARNAROLI
ひとめぼれもみ 和みリゾットもみ CARNAROLIもみ

ひとめぼれ玄米

和みリゾット玄米

CARNAROLI玄米

左からひとめぼれ、和みリゾット、CARNAROLIのもみと玄米の比較。和みリゾットは一般的な国産米よりも粒が大きく、CARNAROLIと同程度



「変わりダネ」?リゾット用品種は初の試み
農研機構中央農業総合研究センターは、イタリアの代表的料理リゾットに適した水稲「和みリゾット」の開発を行い、普及に努めています。

リゾットにはイタリア原産の大粒品種「CARNAROLI」(カルナローリ)が最適とされますが、輸入米としては高価なうえ、稲が倒れやすく収量が多くありません。一方、「コシヒカリ」等の国産米では粒が小さく、リゾットにすると見た目や食感も異なってしまうので、国産の大粒米が求められていました。

こうした背景から、研究センターは平成18年に「CARNAROLI」を片親とした6つの組み合わせの交配を開始。その中から有望と期待された「北陸204号」との組み合わせに力を入れます。とはいえ、カレーに向く「華麗舞(かれいまい)」や寿司向きの「笑みの絆」などの育成を行ってきた研究センターでも、リゾット用品種は初の試み。加えて「変わりダネ過ぎないかとの懸念もあった」と開発・育成に携わった重宗明子さんは話します。

選び出された稲は「CARNAROLI」に比べて、稈長(かんちょう)(稲の地表面から穂首までの長さ)が短いため風雨に強く、収量性は良好。粒も大きくリゾット向きと、育成面で見込みはつきましたが、問題は味でした。


首都圏のイタリア料理店でも広がりつつある「和みリゾット」。おいしくて和むこと、日本で作られた米(=和)であることから命名
首都圏のイタリア料理店でも広がりつつある「和みリゾット」。おいしくて和むこと、日本で作られた米(=和)であることから命名



イタリア料理店から好評価を得る
重宗さんは、研究センターでの食味評価を振り返り、「生米から作る本格的なアルデンテのリゾットを食べた経験のある人が少なく、本当にこれが正解なのかと不安でした」と明かします。しかし、イタリア料理店からリゾットに適しているとの評価を受けて、平成25年に「和みリゾット」が誕生しました。

当初は新潟県での作付のみでしたが、平成27年には茨城県や福島県でも栽培しています。同センターの前田英郎さんは「問い合わせも増え、さらに面積拡大が期待できる。首都圏のイタリア料理店でも徐々に広がっている」と話し、国産のリゾット米が全国で食べられる日を心待ちにしています。



研究センターでの食味評価。実際にリゾットに調理して試食が行われた
研究センターでの食味評価。実際にリゾットに調理して試食が行われた


左からひとめぼれ、和みリゾット、CARNAROLIの稲穂。稈長はCARNAROLIよりも短く、ひとめぼれと同程度のため、倒伏の心配が少ない
左からひとめぼれ、和みリゾット、CARNAROLIの稲穂。稈長はCARNAROLIよりも短く、ひとめぼれと同程度のため、倒伏の心配が少ない



あぶラボトリビア
寒いと米は粘らない!?

稲穂が出てから気温が低くなると、アミロースというデンプンが増加し、米は粘らなくなります。そのため北海道の米は評価が低かったのですが、「おぼろづき」「ゆめぴりか」のように「寒くても粘る」品種が開発され、おいしい米の産地となりました。



文/葵和みどり