MAFF TOPICS(4)
NEWS-3 世界かんがい施設遺産を訪ねる <第1回>
(1)稲生川(いなおいがわ) 【青森県・十和田市他】 不毛の地だった三本木原(さんぼんぎはら)。1859年の稲生川用水路システムの建設により、米の生産量が18倍近くに増加し、地域有数の農業地帯に発展。鎖国状態だった当時の日本で、南部土方衆など「潜穴普請(せんけつふしん)」集団の高い技術で建設の難所を克服した。 |
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昔の測量器具「水準儀(すいじゅんぎ)」を使う様子(昭和10年代)。 |
現在の稲生川。最上流取水地点。 |
(2)雄川堰(おがわぜき) 【群馬県・甘楽町(かんらまち)】 約400年前に建設されたかんがい用水路システム。水漏れをおこさない石積み水路、精巧な石構造物など400年前の最高水準の技術的な工夫がなされている。水路には水車が設置され、20世紀初頭の絹産業関連施設の動力源としても活用された。 |
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昔から生活用水として利用。 |
大堰とも呼ばれる現在の雄川堰。 |
(3)深良用水(ふからようすい) 【静岡県・裾野市他】 富士山の噴火土壌で困窮する村民を、用水建設によって救済。1670年に、芦ノ湖から水を引く用水路を完成させた際は機械もなく、ノミだけで上流、下流から掘削したが、合流地点での誤差はわずか1メートル。のちの日本水路トンネルの規範となっている。 |
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ノミだけで掘削した昔のトンネル。 |
山を貫通する現在の水路トンネル。 |
(4)七ヶ用水(しちかようすい) 【石川県・白山(はくさん)市他】 1903年以前は7つの用水システムがあり、それぞれ手取川から取水していたため、氾濫などの水害や非効率な水利用による水不足、水争いが問題に。そこで近代化政策の中で、用水システムの取り入れ口をひとつにまとめる「合口(ごうぐち)事業」が完成。安定的な水利用を可能にした。 |
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1901年頃の大水門。 |
現在の大水門。 |
かんがいの歴史と発展を明らかにすることが目的
世界かんがい施設遺産とは、かんがいの歴史と発展を明らかにすることで理解を高め、かんがい施設を適切に保全することを目的として、国際かんがい排水委員会(ICID: International Commission on Irrigation and Drainage)が認定するものです。
平成26年度から登録制度として創立され、日本では26年度は9カ所、27年度は4カ所のかんがい施設が登録されました。
現在登録されているのは日本の13カ所をはじめとして、中国、タイ、スリランカ、パキスタンの5カ国25カ所です。
登録にあたっては、建設から100年以上経過したもの、かんがい農業の発展に貢献したもの、卓越した技術により建設されたものなどを基準に選ばれています。
歴史的・技術的・社会的価値のあるかんがい施設が登録されることで、今後はかんがい施設を核とした地域づくりに活用されることが期待されています。
MAFF TOPICSでは「世界かんがい施設遺産を訪ねる」と題して、順次紹介していきます。第1回は、13カ所のうちの4つ。いずれも、価値あるかんがい施設です。
世界かんがい施設遺産とは、かんがいの歴史と発展を明らかにすることで理解を高め、かんがい施設を適切に保全することを目的として、国際かんがい排水委員会(ICID: International Commission on Irrigation and Drainage)が認定するものです。
平成26年度から登録制度として創立され、日本では26年度は9カ所、27年度は4カ所のかんがい施設が登録されました。
現在登録されているのは日本の13カ所をはじめとして、中国、タイ、スリランカ、パキスタンの5カ国25カ所です。
登録にあたっては、建設から100年以上経過したもの、かんがい農業の発展に貢献したもの、卓越した技術により建設されたものなどを基準に選ばれています。
歴史的・技術的・社会的価値のあるかんがい施設が登録されることで、今後はかんがい施設を核とした地域づくりに活用されることが期待されています。
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