このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

特集1 和牛(3)

[肥育]家族とともに一頭一頭に愛情を込めて 今月の農林水産大臣賞 vol.4

株式会社福永牧場[宮崎県]


第44回日本農業賞・個別経営の部大賞(農林水産大臣賞)に輝いた福永牧場。
その輝かしい肥育実績の背景には、牛たちへ注ぐ惜しみない愛情があります。


来年の全共へ向け、肥育されている優良牛たち。
来年の全共へ向け、肥育されている優良牛たち。


福永 透さん・美保さん 福永 透さん・美保さん
透さんは1974年生まれ。宮崎県立都城農業高校卒業後、兵庫県の肥育農家での研修を経て、就農。福永牧場を継ぐ。美保さんは1975年生まれ。2000年に透さんと結婚し、就農。
第44回日本農業賞・個別経営の部 大賞受賞


全国和牛能力共進会を父子で連覇
「爺ちゃん、親父、僕と親子3代にわたる"牛飼い"です」と語るのは、株式会社福永牧場の福永 透さん。全国和牛能力共進会(全共)去勢肥育牛の部で、父子で2連覇を達成。枝肉(※1)重量と4等級(※2)以上の上物率が全国平均を大きく上回る出荷を続ける優秀な農家です。

福永牧場で肥育している牛は200頭。主に透さんと妻・美保さんの2人で世話をしています。心がけているのは、その牛の性格に合った飼い方をすること。

「子牛市場で購入してきた子牛を肥育するわけですが、一頭一頭ルーツも違えば、それまでの育ち方も違う。それをうちのやり方になじませることから始まります」

まずは、性格をつかみ、その牛が持っている能力を最大限に引き出すのが、牛飼いの仕事だと福永さんは言います。

一頭ずつ触れ、話しかけ愛情を持って育てる
「体調はどうですか?」「食べましたか?」。朝夕の給餌前後はもちろん、時間さえあれば一頭一頭の牛に話しかけ、目、耳、鼻、行動を注意深く観察。直接触れて体温を確かめます。

「昨日まで機嫌よく餌を食べてたのに、今日は腹を下してるということもある。そういうときはすぐにケアして、夕方までには食べられるようにしてあげないといけない。早め早めのケアが何より大切で、そのためには一頭ずつちゃんと目を配っていないと」

気になることがあれば、すかさず各牛房にある札に書き込み、作業中も夫婦で情報交換に努めていいます。

※1 枝肉:頭部・内臓と四肢の先端を取り除いた骨付きの肉。
※2 4等級:公益社団法人日本食肉格付協会が定める格付基準の肉質等級のこと。数字が高いほどよい。


「体調はどうですか?」。時間さえあれば、牛に触れながら話しかける。
「体調はどうですか?」。時間さえあれば、牛に触れながら話しかける。
牛の様子を透さんへ伝える美保さん。夫婦間の情報交換は欠かせない。
牛の様子を透さんへ伝える美保さん。夫婦間の情報交換は欠かせない。


消費者の「おいしかった」の一言が何よりの励み
牛に極力ストレスをかけない肥育法も福永牧場の特徴。1頭あたりの飼養面積は9平方メートルを確保。敷料はきめが細かく吸水性のいい、ひのきののこくずを使っています。

牛は暑さに弱いため、暑熱対策として、インバーター付きの換気扇を2牛房に1台の割合で設置、牛舎側面には直射日光を遮る寒冷紗(かんれいしゃ)をかけています。また、お手製の細霧装置を活用し、真夏は日中15分おきに霧を発生させることで牛舎内の温度を下げています。

そうして20カ月間手塩にかけて育てた牛を地元に出荷するとともに、一部は生体で東京にも出荷しており、宮崎牛の知名度アップや消費拡大に貢献しています。

「食べた人が『おいしかった』と言ってくれることが、いちばんうれしい」

現在は来年の全共に向けて肥育に励む福永さんですが、夢は「中学3年の息子が『牛(の肥育を)やってみたいな』と言ってくれること」。牛たちへの惜しみない愛情は、こうして親子代々受け継がれていくのでしょう。


周囲を遮るものがない広々とした環境にある、福永牧場の肥育牛舎。
周囲を遮るものがない広々とした環境にある、福永牧場の肥育牛舎。
約300キログラムの牛を20カ月かけ、850キログラム前後まで育て上げる。
約300キログラムの牛を20カ月かけ、850キログラム前後まで育て上げる。



取材・文/岸田直子
撮影/原田圭介


読者アンケートはこちら