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農林水産省

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特集2 飴(あめ)(1)


子どもから大人まで世界中で愛されている砂糖菓子"飴(あめ)"。
日本にも古くから親しまれている飴文化が各地にあります。

飴細工



飴細工
写真提供/浅草 飴細工 アメシン
 


日本の伝統技術 飴細工を発展させる匠(たくみ)
約90度まで熱して柔らかくした飴を、動物や草花などの形に変身させる飴細工。自らの手と握りバサミ1本だけで美を表現する日本の伝統技術です。それを今に伝える飴細工師の一人が「浅草 飴細工 アメシン」の手塚新理さん。

「飴細工の起源は江戸時代ですが、和食や茶道と違い、詳しい文献はほとんど存在していません」

手塚さんも独学で技術を磨いたそうです。その作風は、対象をリアルに再現すること。飴を熱してから冷えて固まるまでの約3分、短時間で一気に完成させます。

「その日の気温や湿度によって仕上がりが左右されるので、原料の砂糖や水飴などの配合比率はつねに変えています」

その技は、東京スカイツリータウンのソラマチ店で見られます。



手塚新理(しんり)さん
手塚新理(しんり)さん
浅草 飴細工 アメシン 代表

直径3~4センチメートルほどの飴を手で形作る。金魚のヒレなど細かな部分は握りバサミで細工を施す。ソラマチ店では実演販売も。
浅草本店工房(TEL 03-5808-7988/木曜休)では体験教室を実施。


飴の話あれこれ

[歴史] 平安時代から市販され、江戸時代にはブランド飴が登場
もともと、日本で"飴"といえば水飴のことで、平安時代から売られていたようです。ただし用途は調味料(甘味料)でした。お菓子として人気になるのは、砂糖の輸入が始まった室町時代からで、金平糖やカステラも広まり始めました。地名や屋号をつけた"ブランド飴"も、数多く売り出されました。

[製造] シンプルな工程からバラエティ豊かな飴が生まれる
砂糖と水飴を煮詰めて味や香りを加え、冷却・成形すれば、飴は完成です。砂糖と水飴の配合比率、加える味や香りの種類や量を変えることで、さまざまな種類を作ることができます。一見、簡単そうに思えますが、煮詰める温度や冷却のタイミングを見極めるのは至難の業。職人の経験と技による、微妙な調節が必要です。

[分類] 飴はハード系とソフト系の2つに分けられる
飴の原料になる水飴は、米や芋などのデンプンを酵素で糖化して作られます。この水飴と砂糖に、味や香り成分を加えたのが、べっこう飴や黒飴などの伝統的な飴"ハード系キャンディー"。水飴と砂糖に、餡やバターなどを練り込むと、柔らかな練り飴"ソフト系キャンディー"になります。キャラメルもソフト系の一種です。

[栄養] 災害時の栄養補給にも役立つ飴パワー
金平糖を自衛隊が携行食に採用していることからも分かるように、手軽に糖分をとれる飴は非常食として役立ちます。高カロリーが得られるだけでなく、飴をなめると緊張がほぐれるため、ストレス軽減も期待できるのです。

[効果] 飛行機の離着陸時に飴が配られるワケ
気圧の変化で耳が詰まるのは、鼓膜にかかる空気圧が変わるから。これを防ぐのが鼻から耳へ空気を送る"耳管"です。普段は閉じていますが、唾を飲んだり、あごを動かすと開き、鼓膜の空気圧が調整できます。飴をなめるのも、耳管を開く方法のひとつです。


取材・文/隅藏なおみ(Office彩蔵)


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