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農林水産省

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今月の農林水産大臣賞 vol.8

一人でも多くの人に食べてほしい! 餌にこだわって育てる鶏



夫婦そろって34歳からの就農。両親が一緒に頑張る姿を見て育った3人の子どもたちも、迷わず就農。
全員が生き生きと働きながら、6次産業化に成功。その背景には「農業は楽しい」という思いが息づいています。


平成26年度佐賀農業賞・先進的農業経営者の部農林水産大臣賞 佐賀県では、意欲的に技術や経営の改善に取り組んでいる農業者および組織・集団を「佐賀農業賞」として表彰しています。表彰対象は3部門あり、最優秀者に農林水産大臣賞が贈られます。


写真左上から時計回りに、カレー850円/1袋180グラム入り、ローストチキン480円/100グラム、ソーセージ480円/1袋3本入り、スモークチキン420円/100グラム(すべて税込み)。
写真左上から時計回りに、カレー850円/1袋180グラム入り、ローストチキン480円/100グラム、ソーセージ480円/1袋3本入り、スモークチキン420円/100グラム(すべて税込み)。


株式会社百姓屋(佐賀県)市丸道雄さん・初美さん 株式会社百姓屋(佐賀県)
市丸道雄さん・初美さん

道雄さん、初美さんともに1959年生まれ。1983年に結婚、3人の子どもに恵まれる。1994年に道雄さんがサラリーマンを辞め、夫婦で就農し、「百姓屋」を設立。2012年に法人化を果たす。
所在地(店舗)/佐賀県唐津市北波多田中808-10
http://i-hyakusyouya.jimdo.com/[外部リンク]


この鶏のおいしさを多くの人に伝えたい
かむごとに口の中に鶏肉のうまみと甘味が広がるローストチキン、しっとりした食感と絶妙の塩加減があとを引くスモークチキン……。すべてJAさがブランドの骨太有明鶏(ほねぶとありあけどり)を使ったオリジナル加工品、「山ん鶏(やまんどり)」シリーズです。

「柔らかいでしょう? 初めて食べた方は皆さん驚かれるんですよ。ソーセージも鶏肉100パーセントのものは珍しいと思います」と、百姓屋の市丸初美さん。

佐賀県伊万里市の自然に恵まれた山の中で、夫の道雄さん、長男の善登(よしと)さん、次女の夫・谷口明大(あきひろ)さんが骨太有明鶏を育てています。

「餌には有明海産のかきの殻を砕いて混ぜ、抗生物質は与えません。こうした無薬鶏を育てるのはリスクが大きいのですが、品質と味には絶対の自信があります。でも、皆さんがその鶏肉を買えるのは県内の農協関係のスーパーや関東地区の生協と限られるため、知名度が低い。だから、もっと多くの人に食べてもらいたくて、この『山ん鶏』シリーズを作りました」


写真のウインドレス鶏舎1棟、セミウインドレス鶏舎2棟、ほか6棟で年間52万羽を出荷。
写真のウインドレス鶏舎1棟、セミウインドレス鶏舎2棟、ほか6棟で年間52万羽を出荷。


農業未経験の夫婦が34歳で就農
もともと地元の産業機械会社に勤めていた道雄さんは、発展途上国での技術指導で年に何カ月も家を空けがちでした。赴任先のアフリカでマラリアにかかったことをきっかけに、会社を辞め農業を始める決意をしたのは、1994年のこと。

「驚きましたが、子どもたちに親が働く姿を見せることができるし、何より一緒に同じ目標に向かって頑張れるうれしさや楽しさのほうが大きくて」と、初美さんは当時を振り返ります。

でも、夫婦ともに農業は未経験。花き栽培から始めることにしたところ、道雄さんの実家の養鶏業が厳しいことを知り、ブロイラー養鶏も引き継ぐことになりました。同時に初美さんは複式簿記を習得。農作業はお互い助け合って行いながらも、責任者は養鶏が道雄さん、花き栽培と経営管理が初美さん、と部門別に明確化しました。

「私は花が好きだったので、とにかく楽しくやろうと思い、パラソルの下でいすに座って作業し、近所の女性4人にパートに来てもらっていました。農業を知らなかったからこそ、の大胆さですよね」

もちろん花き栽培も養鶏も知識ゼロからのスタートだったので苦労の連続でしたが、家庭では夫婦の会話が途切れることなく、いつも笑顔が絶えませんでした。

女性が楽しく働ければ後継者は育つ
そんな両親の生き生きした姿を見て、3人の子どもたちも「家業を手伝いたい」と意欲的に。そこで、2001年に百姓屋の経営目標や各自の役割分担、ルールを明確化した「家族経営協定」を結びました。

目標に掲げた、オリジナル加工品の生産・販売、直売所の開設など一つ一つ実現する一方で、長女・智美(ともみ)さん、次女・未佳(みか)さんも就農。「山ん鶏」シリーズ、花き栽培、直売所を担当しています。

家族が一丸となって農業に取り組むこの姿勢が評価され、平成26年度佐賀農業賞の先進的農業経営者の部で農林水産大臣賞を受賞。また、平成27年度(第54回)農林水産祭で内閣総理大臣賞(「女性の活躍」)を受賞しました。

「『山ん鶏』シリーズの商品数をもっと増やしたいし、それらをホームページで販売できるようにもしたい。まだまだやりたいことはたくさんあります」

女性が生き生きと農業をしていると、後継者は育つ――。まさに市丸家がそれを教えてくれています。



花苗のハウスで、花の手入れをする初美さんと長女の智美さん。
花苗のハウスで、花の手入れをする初美さんと長女の智美さん。
花苗は市場へ出荷するほか、直売所でも販売している。
花苗は市場へ出荷するほか、直売所でも販売している。

カフェスペースも併設された百姓屋の直売所。「山ん鶏」シリーズや花苗を販売するほか、予約制で食事もできる。
カフェスペースも併設された百姓屋の直売所。「山ん鶏」シリーズや花苗を販売するほか、予約制で食事もできる。
直売所のカフェで食べられる「百姓屋ランチ」。ローストチキン、軟骨入り肉団子スープ、サラダなどがついて850円(税込み)。
直売所のカフェで食べられる「百姓屋ランチ」。ローストチキン、軟骨入り肉団子スープ、サラダなどがついて850円(税込み)。
「ハーブチキンカレー」はサラダがついて850円(税込み)。このカレーが今月から「山ん鶏」シリーズに加わった。
「ハーブチキンカレー」はサラダがついて850円(税込み)。このカレーが今月から「山ん鶏」シリーズに加わった。



取材・文/岸田直子
撮影/原田圭介


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