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MAFF TOPICS(1) あふラボ


MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」の略称です。
「MAFF TOPICS」では、農林水産省からの最新ニュースなどを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けいたします。

鶏のオス・メスを見分ける「内視鏡鑑別法」を開発

暮らしに役立つ最新の研究成果を紹介します。

内視鏡の先端部分(ガラスレンズ管)を直腸内に挿入し、直腸壁から精巣や卵巣を透かして見る。それらの形態はディスプレイに拡大表示して確認。どんな種類の鶏でも、少しの訓練で精度の高い鑑別ができる。ひなの体に与える影響も少ない。
内視鏡の先端部分(ガラスレンズ管)を直腸内に挿入し、直腸壁から精巣や卵巣を透かして見る。それらの形態はディスプレイに拡大表示して確認。どんな種類の鶏でも、少しの訓練で精度の高い鑑別ができる。ひなの体に与える影響も少ない。
雌雄鑑別内視鏡カメラ。USBで直接パソコンと接続させ、ライブ画像の表示や静止画・動画の記録も可能。
雌雄鑑別内視鏡カメラ。USBで直接パソコンと接続させ、ライブ画像の表示や静止画・動画の記録も可能。
ディスプレイに拡大して映し出すことで、精巣や卵巣の様子が容易に分かる。
ディスプレイに拡大して映し出すことで、精巣や卵巣の様子が容易に分かる。


内視鏡は簡単で正確な鑑別法
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、市販の内視鏡を改良し、鶏のオス・メスを簡単に判別することができる「内視鏡鑑別法」を開発しました。

現在、鶏卵を生産する養鶏施設などでは卵を産むメスだけが必要なため、ふ化直後にひなのオスとメスを主に「肛門鑑別法」、「羽毛鑑別法」、「機械鑑別法」と呼ばれる3つの方法(下表参照)で鑑別しています。これらの鑑別法は、高度な技能の取得が必要であったり、品種改良された限られた鶏にしか使えなかったり、鑑別に時間がかかるなどの課題がありました。

こうした現状を踏まえ、小動物用の細い内視鏡を応用して、新たに開発したのが内視鏡鑑別法です。

これまでの機械鑑別法では、接眼レンズをのぞき、実物に近い小さなサイズで鑑別していました。内視鏡鑑別法もガラスレンズ管で精巣や卵巣の形を観察する点は同じですが、内視鏡ではパソコンなどのディスプレイに拡大して映し出せるところが大きな違いです。

「観察しやすくなるため、3日程度の操作経験でも精度の高い鑑別ができ、習熟すれば速度の向上も期待できます。鑑別を外部に委託する必要がなくなり、施設内で計画に合わせた生産が可能です。また、多種多様な鶏を飼育管理する試験場や研究施設にも有効です。現在は試作段階ですが、1~2年後の実用化を目指しています」(農研機構 畜産研究部門・大塚誠さん)

現在行われている3つの鑑別法と内視鏡鑑別法
現在行われている3つの鑑別法と内視鏡鑑別法


あふラボトリビア
肛門鑑別法は日本発祥の伝統技術

初生雛(しょせいひな)鑑別師は、肛門鑑別で雌雄を見分けるひなの鑑定人。養成所に通い、資格試験合格が必須で、最終的に資格を取得できるのは約50%という難関です。平成28年10月現在、資格を持っている人は全国でわずか183名(国内登録者117名)。世界中にニーズがあり、日本の鑑定師は世界でも活躍しています。



取材・文/細川潤子




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