ギネス世界記録TM 挑戦者たち vol.1
世界一糖度の高いもも「まさひめ」
マルヤファーム/大阪府

土壌を改良して甘いももを栽培
大阪府岸和田市の包近(かねちか)町は、府内最大のももの産地。同町の農家、松本隆弘さんが栽培する「包近の桃」の1品種「まさひめ」が2015年に、最も高いブリックス値を記録したももとして、ギネス世界記録に認定されました。

「“大阪でもも”は意外かもしれませんが、包近地区では120年以上も前からももを栽培しており、今は地域ブランド『包近の桃』として人気です。私は20年前に家業を継ぎましたが、経営が安定せず、あきらめて転職を考えた時期もありました」(松本さん)
転機が訪れたのは、微生物を利用した土壌改良材との出合い。これを取り入れて、糖度の高いもも栽培の研究を開始します。
「通常、ももの糖度は11から12度程度ですが、20度を超えるものも出るようになりました」

さまざまな果実で記録に挑戦してほしい
2008年ごろからは光センサー糖度計を導入して、もものインターネット販売を開始しました。
「このころには糖度25.5度にもなり、日本一になれると思いました」
ギネス世界記録を意識したのは2011年ごろのこと。しかし、ギネス世界記録には「食物の糖度」というカテゴリーが存在せず、検査方法や証明機関など数々の困難に直面したそうです。

「大阪府をはじめとする関係機関など、数多くの方の協力を得て、約3年かけて挑戦し、認定されました。ただその後、ギネス社がこの糖度に関するカテゴリーのガイドラインの見直しに入り、現在は記録挑戦ができないのが残念です。できるだけ早く見直しが終わって、ももに限らずさまざまな果実について、日本から挑戦できるようになってほしいです。そうすれば、日本の農業技術を世界にアピールできると思います」

世界一重いプラム(すもも)「貴陽」
高石貴陽園/山梨県

40年以上かけて「貴陽」を商品化
一般的なプラム(すもも)の約3倍の大きさにもなる「貴陽」を育てたのは、故・高石鷹雄さん。現在は息子の栄貴さんが跡を継いで栽培しています。
「『貴陽』は、1996年に父が新品種として品種登録したもので、今では県内だけでなく、日本各地で栽培されています」(高石栄貴さん)

山梨県南アルプス市の申請でギネス世界記録に認定されたのは2012年。市内の各園から選抜された貴陽3個の重さ、大きさを計測し、このうち最も重かった323.77グラムの貴陽が世界一重いプラム(すもも)に。同県の農産物がギネス世界記録に載るのは、これが初めてのことでした。
「貴陽は、すもも『太陽』を品種改良したもの。実がつきにくい『太陽』の収穫量を増やそうと、さまざまな花粉を試した結果、そのひとつに大きな実ができました。改良には40年以上かかっています」
品種名「貴陽」は息子、栄貴さんの名前と「太陽」を組み合わせたもの。“子どものように大切に育てたい”という思いを込めてつけたのだそうです。

おいしいプラムを収穫し続けたい
いちばん気を使っているのは授粉作業。作業は3から4回、丁寧に繰り返し行う必要があるそうです。
「自分の花粉では結実しない性質があるので、人工的に授粉します。受粉樹には『ハリウッド』という品種を利用しています」

手間とコストをかけて、1本の木当たり800から1,000個の実になるように調整された貴陽は、ほどよい酸味で糖度も高くなるとのこと。
「実が大きいことに加え、種も小さいので可食部が多く、食べ応えがあります。果汁もたっぷりでジューシーです。父が生み出した貴陽を、ひとりでも多くの方に食べていただけるよう、これからも作り続けていきます」

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