ギネス世界記録™ 挑戦者たち vol.3
世界一大きなトマトの木
えこりん村/北海道恵庭市

北海道・恵庭で生まれた「世界一」
「わぁ、こんなに大きいんだね」。北海道恵庭市のえこりん村にある「とまとの森」には、いつも観光客の楽しそうな声が響き渡っています。温室いっぱいに茎と葉を広げているのは、大きなトマトの木。2013年11月に枝葉の広がっている面積(85.46平方メートル)でギネス世界記録に認定され、以降も毎年立派な枝葉を広げ、たくさんの実が収穫されています。

「ひと粒のトマトの種が生育環境を整えるだけで、自分で考えて大きく成長し、真っ赤な実をたくさんつけて子孫を残す。トマトには潜在的な生命力、植物の無限な力があるということを広くたくさんの方々に知って欲しい」と話すのは、栽培を担当している高橋克拓さん。頭上からは、『きゃー、トマトにさわらないで』『ほめてはげまして』などと書かれたユニークなパネルがぶら下がり、並々ならぬトマトへの愛情が感じられます。

「水耕栽培」でのびのび育てる
1985年のつくば科学万博で展示されて1万3,000個のトマトを実らせた巨木を再現すべく、「とまとの森」がオープンしたのは2006年のこと。以降、1年1作して巨木のトマトを無料で公開しています。毎年、11月25日に種をまき、2週間後にはその中からひとつの苗を決定。4月下旬から10月中旬までの半年間、一般公開し、350日後の11月10日に展示終了、というサイクルを繰り返しています。土を使わないのは、トマトにストレスを与えずにのびのびと育てるため。温室の中央にある木箱の中に液肥槽(えきひそう)があり、上部にある深さ約10センチメートルの栽培槽との間を、肥料を混ぜて空気を含んだ井戸水が循環しています。

「基本的には、農業生産技術に携わってきた諸先輩方々の経験や書籍から学び、植物としてのトマトの原理原則に則って、栽培管理をしています」と高橋さん。水や肥料をきめ細やかに調整するのはもちろん、毎日朝と夕方には弦楽器やピアノの音楽を聴かせるなど、トマトの成長に良いといわれることは積極的に取り入れています。「私たちにできるのは、トマトにとって最適な環境を整えること。たくさんのお客様に見ていただき、『すごいね』『きれいだね』と感動していただけるのもプラスだと思います」

ギネス世界記録に申請した8作目の2013年は、天候に悩まされた1年でした。2月から5月にかけて日照不足と低温が続き、5月下旬から6月上旬にかけては一転して異常な高温に。そのため、水中にある根っこが3分の1ほど溶けてしまい、トマトが水と肥料を十分に吸収できない事態になりました。それでも決してあきらめることなくスタッフ総出で知恵を結集。訪れた人々からの声援も力となり、11月10日に世界一の記録が認められたのです。
トマトの数・重さも追求
高橋さんにはもうひとつ、「トマトの最終収穫個数2万個超え」という目標がありました。「でも、開園以来10年間ずっと1万8,000個の壁を超えられませんでした。同じ方法を続けていてもダメだと思い、改めて海外や国内の事例を勉強しました」。2017年からは温度・湿度・二酸化炭素濃度・日射を24時間モニタリングしたり、換気扇やミストで暑さ対策をしたりと、新たな設備と手法を導入。ハウス内の環境を正確に把握して、日々改善に取り組んできました。その結果、翌2018年には、日照不足や地震による停電といった厳しい条件にも関わらず、最終収穫個数2万486個という快挙を成し遂げたのです。

「次は、個数2万個を目標としながら、ひとつひとつのトマトをもっと大きく育てること。常に一定以上のトマトが実り、たくさんのお客様に感動してもらえる場所にしたいです」と高橋さん。世界一のその先へ。挑戦は続いています。

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