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農林水産省

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ご当地の郷土料理の魅力 ふるさと給食自慢

日本全国で提供されている学校給食のメニューの中から、その土地で親しまれている郷土料理や食材などを取り入れたものを紹介。その地域ならではの食の連載をお届けします。

第9回

長野県塩尻市の学校給食

キムタクごはん

写真:キムタクごはん

塩尻市立木曽楢川小学校で提供されている給食。キムタクごはん、イカのカレー揚げ、あやみどり大豆のサラダ、厚揚げスープと、地場産の食材をふんだんに取り入れた献立です。食器には、木曽の特産品である木曽漆器を採用しています。

家庭料理が塩尻の味に

ポリポリおいしいキムタクごはん

(塩尻市役所こども教育部教育総務課)

塩尻市では、すべての小中学校で、調理室を設けて給食を提供する自校給食方式を採用しています。各学校に配属されている栄養士が地域性を活かした献立を考案し、調理員が子ども達の体調や学校行事に合わせて調理を行っています。栄養士が給食メニューを考案する際に、自分の家庭や子どもの反応を参考にすることも多くあるそうです。今回紹介するユニークな名前の「キムタクごはん」も、栄養士が家庭で作っていた料理から生まれたメニューです。

写真:調理工程
写真:調理工程

キムタクごはんの「キムタク」とは、「キムチ」と「たくあん」のこと。細かく刻んだベーコン、はくさいキムチ、たくあんを炒めて薄口醤油で味を整え、温かいごはんに混ぜ込めば完成です。つぼ漬けたくあんを使うことで甘味が加わり、キムチの辛さを苦手とする子どもでも食べられるように配慮されています。また、白米は塩尻市産のコシヒカリを使用しています。

写真:給食の様子

酸味と甘味が絶妙にマッチした味わいと、たくあんのポリポリとした食感は子ども達に大好評。キムタクごはんが給食に出る日は、他の日に比べて食べ残しが少ないそうです。学校の献立リクエストランキングでも、常に上位にランクインする人気メニューです。

塩尻市のご当地メニュー
キムタクごはん」とは?

キムタクごはんの歴史

今でこそ塩尻市内の学校で人気メニューとなったキムタクごはんですが、もともとは塩尻西部中学校だけの給食メニューでした。長野県は伝統的に漬物文化が発達している地域でありながら、子ども達の漬物離れが進んでいました。そこで、子ども達に漬物をおいしく食べてもらいたいという想いから、塩尻西部中学校の栄養士が考案した家庭料理だそうです。その後、各校の栄養士が集まる定例会議の中でキムタクごはんを紹介したことを機に、市内中に広がっていきました。

写真:塩尻市内の風景
子どもに大人気

「キムタクごはん」の実力

写真:キムタクごはん

キムタクごはんは、栄養のバランスも抜群です。キムチに含まれる乳酸菌には整腸作用が、辛味成分であるカプサイシンには脂肪を燃焼させる効果が期待できます。また、ベーコンの原料である豚肉にはビタミンB群も豊富。体内でお米の炭水化物を燃焼させ、エネルギーに換える手助けをします。(監修:管理栄養士・国際中医薬膳師 清水 加奈子さん)

写真:調理の様子

2011年に全国放送のテレビ番組で取り上げられたことで、キムタクごはんは広く知られるようになりました。現在では市内の飲食店や市役所の食堂でも提供されたり、混ぜごはんの素として商品化されたりするなど、塩尻市の味として定着しています。また、塩尻市では一般の方が市内の学校で提供されている給食を食べることができる「給食レストラン」というイベントを開催。地産地消や食育の大切さを市民に伝えています。

懐かしの給食の「アレ」調査隊

給食ではおなじみだったけど、学校を卒業した今では縁が遠くなってしまったさまざまな「アレ」についてご紹介します。今回のテーマは、現代ではアウトドア用としても人気の「アルマイト食器」です。

ファイル7アルマイト食器
写真:アルマイト食器

写真提供/学校給食歴史館

アルマイトとは、耐久性を増すためにアルミニウムを電解処理して、表面に酸化アルミニウム被膜を作る加工をしたもの。アルマイト製の食器は軽く、丈夫なため、学校給食が制度化された1950年代から全国の学校で採用されるようになりました。しかし、アルマイト食器は熱が伝わりやすく、熱い汁物などを入れると手で持つことができないなどのデメリットもありました。そのため、1970年代から、軽くて丈夫で熱くなりにくいポリプロピレン食器へ移行する学校も多くありました。

写真:アルマイト食器

写真提供/京都市学校歴史博物館

現在もアルマイト食器を採用する学校はありますが、その数は減少し続けています。代わって、強化磁器製食器やメラミン製食器などが導入されていますが、中には地場産業である陶磁器や木製食器を導入する学校もあるようです。一方で京都府の「京都市学校歴史博物館」では、アルマイトの給食食器セットがミュージアムグッズとして販売されており、その懐かしさから30代から70代の層に人気だとか。

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