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  • aff07 JULY 2021
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南極料理人&料理研究家直伝! 冷凍食品の活用術

イメージ写真

時短調理やお弁当作りなどに役立つ冷凍食品。
今回は、南極地域観測隊に調理担当として参加した経験のある西村淳さんに、冷凍食品を使用した南極基地の食事や、そこで学んだ冷凍食品の活用方法などについてお話を伺うとともに、自宅で簡単に作れる冷凍食品を組み合わせたレシピを紹介しながら、その魅力に迫ります。

南極の観測基地でも大活躍!
冷凍食品は
こんなにすごい!

大雪原の中に佇むドームふじ基地。(写真提供:西村淳さん)

南極地域観測隊の調理担当として、第30次・第38次南極観測隊に参加した西村淳さん。1度目は「昭和基地」、2度目はそこから1,000キロメートルほど離れた「ドームふじ基地」で越冬の経験をしています。ドームふじ基地の当時の平均気温は-57度、最低気温記録は-79.7度にもなる、動物もウイルスも存在しない過酷な環境だったそうです。

南極で観測したオーロラ風景。(写真提供:西村淳さん)

また、基地は富士山よりも標高の高いところにあるため気圧が低く、水の沸騰温度が85度。通常は100度で沸騰する水が85度で沸騰してしまうため、いつものような十分な温度で茹でるなどの調理ができないので、調理器具の主力は電子レンジだったそうです。そんな南極で西村さんや隊員の皆さんはどの様な食生活を送っていたのか、また、冷凍食品をどの様に活用していたのか、教えていただきました。

南極は常に氷点下のため、西村さん達は大雪原に小屋を作って、天然の冷凍庫として、ここに冷凍食品を保管していたそうです。(写真提供:西村淳さん)

南極料理人・
西村淳さんに聞く!
~南極での冷凍食品活用秘話~

左:華やかなパーティー料理。 右:豪勢なカニ御膳。(写真提供:西村淳さん)

当時南極での料理は、ほぼ冷凍食品でやりくりをしていて、その他には、乾燥した食材や缶詰なども使用していました。慣れてみると、冷凍食品は、生ゴミが出ない、調理が簡単、保存期間が長い、味の変化が起きにくい、と良いことだらけ!特に野菜は解凍のコツさえ掴めば、簡単に栄養たっぷりの料理を作ることができました。不慣れな頃は、解凍がうまくいかずにベチャベチャになり、野菜スープがポタージュになったことが何度もありましたが、今となっては良い思い出です。

工夫を凝らした料理の数々が並ぶ、ドームふじ基地でのパーティー。隊員たちの元気の源であり、気晴らしのひととき。(写真提供:西村淳さん)

冷凍食品の活用方法は色々ありますが、例えば肉は油を塗ってから冷凍すると色の変化を防ぐことができます。これを応用した絶品ローストビーフのレシピをご紹介。300グラムから500グラムの牛肉ブロックをフォークでまんべんなく刺し、塩胡椒やお好きなスパイスで下味をつけてから一時間ほど置きます。油を敷いたフライパンでその肉に焼き目をつけてからフリーザーバッグに入れ、口をしっかり閉じて冷凍。あとはお好きなタイミングで凍った肉を袋のまま、熱湯をはった炊飯器の内釜に入れ、保温で30分放置し(300グラム時。100グラムにつき5分長くしてください)、竹串を刺して透き通った肉汁がでてきたら完成。このローストビーフは、南極のパーティー料理でも喜ばれましたよ。

教えて!
南極料理人・西村さん!
~冷凍野菜の活用レシピ~

南極仕込みの冷凍野菜活用方法は、時短料理におすすめ!

  • さといも

    凍ったままのさといもを、1対1の水+めんつゆに入れて一晩おく。そのまま600ワットの電子レンジで5分から6分加熱。味のしみたさといもの煮物に。

  • ほうれん草

    凍ったままのほうれん草を、お湯が沸いた鍋に入れ、すぐにザルにとる。さっと水で洗った後、水気を絞り、しょう油やかつお節をかけると、パリパリ食感のお浸しに。

  • かぼちゃ

    凍ったままのかぼちゃを600ワットの電子レンジで3分から5分加熱(かたかったら、もう2分追加で加熱)。熱いうちに1対1の水+めんつゆをかけると、ほくほくで味がしみたかぼちゃの煮物が完成。

  • 長ネギ

    小口切りの長ネギをラップで小分け冷凍しておき、麺類を作ったときに凍ったままトッピング。彩りも添えられ、便利!

  • きゅうり

    きゅうりを一本そのまま冷凍し、凍ったまま切って、水気を絞れば酢の物に。塩もみをしなくても、水分が出て、まるで塩もみしたかのような食感に。

今回教えてくれたのは・・・

プロフィール写真:西村 淳さん

西村 淳さん
(にしむらじゅん)

海上保安庁在任中に第30次、第38次南極観測隊に参加。著書『面白南極料理人』には、ドームふじ基地で越冬した経験を綴り、映画『南極料理人』(脚本・監督:沖田修一)のモデルにもなった。

南極地域観測隊の食料に
冷凍食品が使われるように
なったのはいつから?

温めるだけで食べられる、日本初の調理冷凍食品「茶碗むし」が発売されたのは1954年のこと。その3年後、1957年に日本を出発した南極観測船「宗谷」には焼き鳥セットなどの冷凍鶏肉類、うなぎ蒲焼や竹輪なども含む冷凍魚介類、冷凍野菜類、冷凍果物類、合わせて合計69種類、約20トンの冷凍食材が積載され、観測隊員の食生活を支えました。1960年頃より低温流通システムが整い始め、冷凍食品は業務用が先行して普及。その後一般家庭へも広まるようになりました。

日本初の調理冷凍食品「日冷 茶碗むし」

南極観測船「宗谷」には、それまでメインの食糧だった缶詰や塩漬けされた干物にくわえ、多くの冷凍食材が積まれた。

政府のコールドチェーン構想に沿って、日本冷蔵(株)(現、(株)ニチレイ)は冷凍運搬車を開発。

取材協力、写真提供:(株)ニチレイ

冷凍食品の活用は、
アイデア次第!

昨今はスーパーマーケットの冷凍ケースや、コンビニエンスストアにも多くの冷凍食品が並んでいます。そのまま食べる以外にどんな活用方法があるのか、アイデア料理研究家Makoさんに教えていただきました。

Makoさん
おすすめの3アイテム!

  • 冷凍ブロッコリー

    小房になっていて、使いたい分だけ解凍できるので一人暮らしの人にもおすすめ。お弁当やワンプレートご飯の彩りが足りないときに活用できます。

  • 冷凍からあげ

    メイン料理にも、パスタなどの具材にも使えるアイテム。トマト&玉ねぎのタレでメキシカン、ネギだれを作って油淋鶏風など多彩なアレンジも。タレは塩味を抑えるのがポイントです。

  • 冷凍うどん

    素早く調理ができるのが嬉しい冷凍食品。体調が悪いときや、リモートワークのランチにも。

少しの工夫で、
見た目も味もワンランクUP!
冷凍食品アイデアレシピ

そのまま使っても簡単&おいしい冷凍食品ですが、冷凍食品同士を組み合わせても手軽においしい一品を作ることができます!今回は国産材料を使った冷凍食品を活用してアイデアレシピを紹介します。時間がないときや、小腹が空いたときなどに試してみてはいかがでしょうか。

冷凍食品 アイデアレシピ 1

「かぼちゃクリームうどん」(調理時間目安:約10分)

左:国産冷凍栗かぼちゃ。
右:国産小麦を使用した冷凍さぬきうどん。

材料(2人前)

  • 冷凍かぼちゃ
    200グラム
  • 冷凍うどん
    2玉
  • 油あげ
    1枚(気になる場合は油抜きをしておく)
  • 100ミリリットル
  • 牛乳
    200ミリリットル
  • ごま油
    大さじ2分の1
  • 白だし
    大さじ2

作り方

  • 1

    鍋に冷凍かぼちゃ、冷凍うどん、水を入れて蓋をし、中火で5分蒸し煮する。

  • 2

    1の鍋に、油あげをキッチンバサミで切り入れ、牛乳、ごま油、白だしを加える。

  • 3

    ひと煮立ちしたら、弱火でかぼちゃが柔らかくなるまで混ぜながら加熱し、ねぎ(分量外)をちらして出来上がり!

  • ワンポイント!

    少ないと感じるくらいの水で蒸し煮をすると、かぼちゃとうどんの自然なとろみがついて、クリーミーに。キッチンバサミを使うのでまな板や包丁がよごれず、手軽に作れます。

冷凍食品 アイデアレシピ 2

「焼きおにぎりの枝豆茶漬け」(調理時間目安:約5分)

左:国産米を使用した冷凍焼きおにぎり。
右:国産冷凍枝豆。

材料(2人前)

  • ・冷凍焼きおにぎり
    4個
  • ・冷凍枝豆
    20房
  • ・薬味(みょうが、大葉、ごまなど)
    適量
  • ・白だし
    大さじ1
  • ・お好みのお茶
    200ミリリットル

作り方

  • 1

    表示してある時間通りに温めた焼きおにぎりと、房から出した枝豆を、茶碗に入れる。

  • 2

    1の茶碗に、お好みのお茶を注ぎ、白だしを入れる。

  • 3

    2に準備した薬味をちらして、出来上がり!

  • ワンポイント!

    枝豆はお茶をかけるので半解凍でOK!夏は焼きおにぎりを少し冷まし、冷たいお茶を注ぐ冷製茶漬けもおすすめです。

今回教えてくれたのは・・・

プロフィール写真:Makoさん

Makoさん
(まこ)

フードクリエイター、栄養士、フードコーディネーターの資格を持つ、アイデア料理研究家。著書に「家政婦Makoのずぼら冷凍レシピ」(マガジンハウス)などがある。

冷凍食品とフリーズドライ食品

編集後記

買い物に行く時間がない、気力もない、明日のお弁当に必要な食材を買い忘れた!・・・そんなピンチから脱出してこれたのは、冷凍庫に冷凍食品(食材)がストックされていたから。野菜は使いやすいように、バラバラに凍結されているし、肉も魚もくっついていないから、なんて使いやすい!ありがとう、冷凍食品。(広報室KM)

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大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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