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農林水産省

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aff 2024 JANUARY 1月号
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未来へつなぐ和食

連載
インタビュー 堀内さやか 家庭料理は愛する人に健康になってもらうためのもの

第一線で活躍する和食の達人から将来を担う子どもたちへ想いをつなぐ連載企画「未来へつなぐ和食」。
今回は使いたい食材を求めて全国を旅するという、東京都新宿区荒木町の「御料理ほりうち」を営む堀内さやかさんにお話をうかがいます。聞き手は最近スイーツ作りに凝っているという斉藤應之介さんです。

新鮮な高原野菜が身近にある環境でした

斉藤應之介さん(以下、斉藤)僕はおいしいものが大好きで、週に2回から3回、自分で食べたいものを料理しています。

堀内さやかさん(以下、堀内)それは良いことですね。料理は完成に向かって時間を調整しながら作業を進めなければなりませんから頭の体操にもなりますよ。

斉藤堀内さんも子どものころからおいしいものが好きでしたか。

堀内私は山梨県の山間部で育ちました。部屋の窓を開けるとキュウリ畑という環境で、新鮮な高原野菜が身近にありました。祖母と畑に行ったとき、山から流れてくる水で冷やして食べるもぎたてのトマトは最高でしたね。

斉藤料理はどのようにして覚えたのですか。

堀内子どものころ、台所で母や祖母の真似をしたり、父も料理が好きだったので一緒に作ったり、そういうことを繰り返しているうち、一人でできるようになりました。料理人になりたい、と思ったのは高校生のときで、調理師学校で勉強した後、師匠について修行しました。

斉藤修行はどのようなことをするのですか?

堀内魚をきれいにおろすとか、野菜を同じ形に切るとか、まずは師匠の料理を正確に再現することから学びました。基本が体に染みつけば応用が利くようになります。

堀内さやかさん

お菓子作りはレシピ通りに材料をきっちり 量らなければならないから、料理の基礎 を覚えるのに適していますよ。

斉藤應之介さん

スイーツ作りが好きです。この前、クリー ムブリュレを作りました!

全国から食材を集めて作りたい料理を作れる

斉藤自分のお店を持てて良かったことは何ですか。

堀内作りたい料理を作れることですね。全国から使いたい食材を集め、お客さまに食べていただきたい料理をお出しできるのはとっても楽しいです。

斉藤お店の人気料理にはどのようなものがありますか。

堀内私は鶏のもつ煮など出身地である山梨県の郷土料理もお出ししています。もつは安い食材とみられがちですけど、食材の価格だけが料理を決めるわけではない、という思いでとり入れました。お客さまに人気で、今や看板メニューの1つです。

斉藤食材についてはどのようなこだわりがありますか。

堀内より深く理解したいので、気になった食材があれば産地に行くことがあります。生産者にお会いして、どんな人がとった魚か、どのように育てた野菜か、こういったことを知ると、大切に料理しようという気持ちが高まりますし、その食材の素晴らしさを誰かに伝えたくなります。生産者とお客さまをつなぐのが私の仕事だと思っています。

堀内さやかさん

最近はまっているのがキノコ狩りです。─これを見てください。長野県の山でとれた天然のナメコです(堀内)。

ムキタケやヒラタケなど

ムキタケやヒラタケなどです。どれも「キノコ仙人」と呼んでいるキノコ採りの名人からいただいたものです(堀内)。

作る料理に適した食材を選び、組み合わせる

斉藤どんなことに気をつければ料理はおいしくなるのでしょうか。

堀内肉なら脂の多いもの、少ないものを料理によって使い分けるように、まずは食材選びが大事です。和食の出汁に使う昆布にも種類があり、産地によって見た目や味が違います。4種類の昆布を水に浸してから軽く火を入れたものを用意したので飲み比べてください。

斉藤……これは心地よくて、すっきりした味ですね。

堀内よく分かりましたね。それは利尻昆布です。澄んだ上品な香りの出汁を引けて、京都の料亭などでよく使われるものです。

斉藤同じ昆布でも合う料理が違うんですね。

堀内食材選びだけでなく、組み合わせも大事です。味だけでなく、香りも含め、何と何が合うか考えなければならず、そのためには研究や経験の積み重ねが必要です。

北海道の昆布

北海道の昆布も日高、真昆布、利尻、羅臼(らうす)と産地ごとに違いがあります。

斉藤應之介さん

羅臼昆布は濃厚な味わいの出汁を引けて、鍋物やラーメンに向いています。

斉藤應之介さん

同じ北海道の昆布でもこんなに違うんですね。びっくりしました。

いつでも素晴らしい食材が手に入るのは大切なこと

斉藤和食について僕たちはどのようなことを知っておくべきでしょうか。

堀内日本は食材に恵まれた国です。山も近いし、海も近い。田畑もある。これらはすべてつながっています。山からのきれいな水が田畑を潤し、川から海に流れ、磯場で海藻や魚を育てる。食材はこうした循環の中で育つんです。いつでも素晴らしい食材が手に入る。これがどれだけありがたいことで、大切なことかを忘れず、これから先も手に入るようにしていくにはどうしたらいいか、SDGsの観点からもぜひ考えてほしいです。それが和食という文化を守っていくことにつながりますから。

私の店では魚は旬のものだけを使います。もちろん、おいしいということもありますし、いくら人気の魚でも一年中食べようとすれば、とり過ぎにつながってしまいますので。 / 食材がとても大切なことがよく分かりました。おいしいものを食べられていることに感謝したいです。

ほりうち・さやか●1977年、山梨県出身。調理師専門学校へ進学後、都内の割烹店、ホテルなどで修行を積み、2014年に神楽坂の日本料理店の料理長に。2018年7月独立し、東京都・荒木町に「御料理ほりうち」をオープン。

さいとう・おうのすけ●2011年、東京都出身。料理のレパートリーは和え物や野菜炒め、ふわとろオムライス、ケーキや揚げパンなどのお菓子全般。料理のほか、カマキリの採集・飼育、スケートボード、スノーボード(JSBA2級)が趣味。

「行くぜっ!にっぽんの和食」キャンペーン

農林水産省は、令和5年12月4日(月曜日)に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて10周年を迎えたことから、新たな発想で「和食文化の魅力」を若者・子育て世帯に発信していく「行くぜっ!にっぽんの和食」キャンペーンを実施しています。

キャンペーンの目的

令和5年12月4日(月曜日)に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産登録10周年を迎えました。これを契機に、和食文化の保護・継承に関わる企業・団体と協力して、和食文化の魅力を様々な視点から若者・子育て世帯に発信し、和食文化に対する興味・関心を高める「行くぜっ!にっぽんの和食」キャンペーンを立ち上げました。
本キャンペーンを通じて、和食文化の魅力や次世代への継承の重要性を伝えるメッセージを発信することで、我が国が誇る和食文化を次世代に繋げていく活動を促進する「きっかけ」をつくることを目的としています。

実施期間

令和5年12月4日(月曜日)から令和6年12月3日(火曜日)まで

詳しい情報は公式サイトとSNSでチェック!

「行くぜっ!にっぽんの和食」
												キャンペーン特設サイト https://www.washoku10th.jp

「行くぜっ!にっぽんの和食」X公式アカウント アカウント名称:行くぜっ!にっぽんの和食 アカウントID:@washoku10th

キャンペーンヘの賛同者募集中!

キャンペーンの趣旨に賛同し、参加する企業、団体または個人を募集しています。キャンペーンの趣旨に賛同される場合は、賛同申請フォームにアクセスしてください。

「行くぜっ!にっぽんの和食」ユネスコ無形文化遺産登録10周年キャンペーン賛同申請フォーム https://questant.jp/q/washoku10th_supporter

「行くぜっ!にっぽんの和食」

※Miso椀グランプリのキャンペーン期間は終了しています。

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お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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