旅する農業遺産

農業遺産は、特徴的かつ伝統的な農林水産業を営む地域であり、世界農業遺産と日本農業遺産の2種類があります。世界農業遺産は国際連合食糧農業機関(FAO)により、日本農業遺産は農林水産大臣により認定されます。今回は、日本農業遺産の一つである新潟県中越地域の「雪の恵みを活かした稲作・養鯉システム」をご紹介します。
※世界農業遺産認定地域数は86地域(うち日本国内認定地域数15地域)、日本農業遺産認定地域数は24地域
雪の恵みを活かした稲作・養鯉システム
新潟県の中越地域に位置する長岡市と小千谷市は、山間部にある豪雪地帯。限られた山の斜面を開拓して「棚田」を作り、その隣の「棚池」で食用鯉を養殖することで、厳しい自然環境を乗り越えてきました。江戸時代後期に赤い斑点のある鯉が偶然見出され、そこから改良に改良を重ねた結果生まれたのが、現代の美しい錦鯉です。
山間地で水を確保するために、先人たちは雪解け水や湧水、横井戸などを複合的に活用。渇水時には、錦鯉を養殖している棚池を稲作用の貯水地に利用するなど、フレキシブルな仕組みを作り上げてきました。こうした環境に適応した知見や技術に加え、谷地に棚田と棚池が入り組んで並ぶ特有のランドスケープが評価され、2017年3月に日本農業遺産に認定されました。

長岡市と小千谷市は、新潟県の中越地方に位置。日本最長の信濃川が流れ、日本海や東西の山々など、変化に富んだ景色が広がります。長岡市は県内2位の人口を有し、平和への祈りを込めた「長岡まつり大花火大会」でも有名です。小千谷市は北魚沼地域にも含まれ、魚沼産コシヒカリや小千谷縮(ちぢみ)など、特産品が充実しています。





山古志(やまこし)の棚田・棚池
山古志地域の各所には、棚田が幾重にも重なる絶景スポットがあります。桃色の芝桜が広がる春、緑の木々が生い茂る夏、黄金の稲穂が揺れる秋、白銀の世界に変わる冬と、四季折々の眺めは圧巻。春から秋にかけては、棚池を泳ぐ錦鯉の姿も見ることができます。撮影スポットやアクセス方法などの情報は、「やまこし復興交流館おらたる」で教えてくれるので、ここを拠点に棚田巡りを楽しめます。
URL:https://nagaoka-navi.or.jp/spot/14642
アクセス:関越自動車道「小千谷IC」から車で約30分(やまこし復興交流館おらたる)

越後川口やな場
明治元年(1868年)より親しまれてきた、川魚の漁場であるやな場。川に足をつけながら、春はヤマメやカジカ、夏は鮎、秋は鰻や鯉など、様々な川魚とのふれあいができます。施設周辺には「男山漁場別館」があり、炭火で焼き上げた鮎の塩焼きや刺身、鰻の蒲焼き、鯉こくなどの川魚料理を提供。家族で一日中楽しめる施設です。営業期間は4月から11月。
URL:https://nagaoka-navi.or.jp/spot/11797
アクセス:JR上越線「越後川口駅」から車で5分

旧機那サフラン酒製造本舗
国の登録有形文化財に指定されている「旧機那サフラン酒製造本舗」の建造物群。敷地内には、地区のシンボルになっている鏝絵蔵(こてえぐら)や、令和2年にリニューアルオープンした「米蔵」があります。米蔵では、地域の特産品販売や長岡市出身の絵本作家・松岡達英さんの絵本コーナー、地元の米と具材にこだわったおむすびカフェがあり、洒落た雰囲気。周囲には味噌や醤油、日本酒などの蔵が建ち並び、散策が楽しめます。
URL:https://settaya6-hakkomuseum.jp/
アクセス:JR上越線「宮内駅」から徒歩約10分

農家民泊 木沢ハウス
築60年の古民家を改装した趣のある民宿。自然豊かな長岡市の川口木沢地区にあり、田植えや稲刈り、山菜取り、野菜の収穫、そば打ち、雪遊びなど、年間を通して様々な田舎体験が用意されています。名物の石窯ピザは、魚沼産コシヒカリ「震央米(しんおうまい)」の米粉でつくった、ここでしか味わえない逸品。田舎でのんびり過ごしたい人や、地元の人々と交流してみたい人にぴったりです。
URL:https://marumaru-kawaguchi.jp/map/2265/
アクセス:JR上越線「越後川口駅」より車で約15分

錦鯉の里
平成元年(1989年)にオープンした、世界で唯一の錦鯉のテーマパーク。優秀鯉15品種100尾余りが泳ぐ姿を間近に鑑賞できる「鑑賞棟」、大小の滝や橋が配された池を約200尾が泳ぐ「日本庭園」(4月から11月に営業)、歴史や品種・飼育方法などを学べる「資料展示室」があります。餌を購入して、鯉とのふれあいを楽しむのもおすすめ。
URL:https://www.nishikigoinosato.jp/
アクセス:JR上越線「小千谷駅」から徒歩約20分

小千谷市総合産業会館サンプラザ「サンプラザ逸品館」
越後小千谷の物産品、魚沼産コシヒカリやへぎそば、地酒、米菓に加えて、ユネスコ無形文化遺産に指定されている小千谷縮の雑貨などバラエティー豊かなお土産を購入できます。併設の小千谷織物体験工房「織之座」では、20分程度ではた織りを体験できるので、立ち寄ってみてはいかがでしょう。
URL:https://www.ojiyasunplaza.jp/baiten.html
アクセス:JR上越線「小千谷駅」から徒歩約20分

道の駅「ちぢみの里おぢや」
小千谷を訪れたらぜひ食べたいのが、名物のへぎそば。新潟県の郷土料理で、つなぎに布海苔(海藻)を使い、独特の食感と喉越しが特徴です。道の駅「ちぢみの里おぢや」では、「へぎそば処 和田」のへぎそばが味わえます。小千谷産の玄そば粉「とよむすめ」を使ったこだわりのそばと、だしの効いた特製めんつゆの組み合わせが絶妙。日帰りの温泉施設も併設しているので、食事の前後にゆったり過ごしてみませんか。
URL:https://www.chijiminosato.com/
アクセス:JR上越線「小千谷駅」から車で約5分
勇猛果敢な闘い「牛の角突き」
2頭の牛が角を突き合わせて激しくぶつかり合う「牛の角突き」は、長岡市と小千谷市で受け継がれている伝統行事。一説には1000年以上の歴史があるとされ、国の指定重要無形民俗文化財に指定されています。牛が傷つかないように引き分けで終わらせるのが特徴で、興奮した牛を引き離す「勢子(せこ)」の活躍も必見。長岡市の山古志闘牛場では4月から11月にかけて12回程度、「越後山古志牛の角突き大会」を、小千谷市の小千谷闘牛場では5月から11月に毎月1回、「越後小千谷牛の角突き」を開催しています。

越後山古志牛の角突き大会

越後小千谷牛の角突き
URL:https://nagaoka-navi.or.jp/event/1985(越後山古志牛の角突き大会)
URL:https://www.city.ojiya.niigata.jp/site/kanko/ushinotsunozuki.html(越後小千谷牛の角突き)
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代表:03-3502-8111(内線3074)
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