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農林水産省

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青森県北津軽郡板柳町有限会社成田りんご園

取組主体の概要

青森県板柳町は、県を代表するりんごの一大産地です。天候などに起因する市場相場に左右されない安定的な価格でりんごの出荷を可能とするために、付加価値のあるりんごの出荷を増やすことが課題のひとつとなっています。有限会社成田りんご園では、環境にやさしい栽培技術、技術的難易度の高い「化学肥料不使用で、農薬の使用を慣行の5割以下」を実践しています。

取組内容

実践事例

農業者紹介

事業概要

昭和47年に就農、りんご経営面積3ha。台風19号の経験により直売を開始。平成14年に有限会社成田りんご園を設立。現在は、多数の個人客のほか、大手量販店とも取引。

今後の展望

先祖から引き継いだ優良な農地を、後継者に引き継いで行きたいです。

有機質肥料での栽培

化学肥料を不使用とし、EM菌で発酵させたぼかし肥料を使用するなど、有機質肥料のみでりんごを栽培することで、一般消費者に美味しいりんごを届けることを目指しています。

農業者の意見

Q. 取組を行った背景は?
平成3年9月の台風第19号、別名「りんご台風」の経験を教訓として、「自分で育てたものは自分で値段をつけて販売するべきだ」と一大決心をしました。これからは宅配の時代であり、一般消費者向けの販売を主として考えた場合、「安心・安全」が第一と考え、環境にやさしい栽培を行うこととしました。
Q. 苦労したことは?
化学肥料を使わずにりんごの生育と収量を確保するため、現在、モグラ堆肥、魚かす、ぼかし肥料と豚ぷん堆肥の4種類をブレンドしながら、トラクターで散布しています。化学肥料であれば、窒素分を比較的自由に調整できますが、有機質肥料だけではコントロールが難しいです。豚ぷんを追加することで窒素分を補っています。特に花の数が多い時には、樹勢が衰えるので、窒素成分が必要となります。ただ、有機質肥料は余分なコストがかかります。単価が化学肥料の概ね1.5倍はかかり、有機質肥料は化学肥料に比べて窒素量が少ないため、量を多めに撒かなくてはいけないからです。

「農薬は慣行の5割以下」による特別栽培

農薬の使用を、慣行の5割以下にすることで、青森県「特別栽培農産物認証制度」の認証を取得し、環境にもやさしいりんご栽培を心がけています。

農業者の意見

Q. 取組を行った背景は?
約30年前から減農薬に取り組んでいました。平成11年に県の特別栽培農産物の制度ができたので、真っ先に認証を受けました。りんごを直売する際のセールスポイントになりました。
Q. 苦労したことは?
慣行栽培では農薬を「36成分」使えますが、特別栽培認証のためには「18成分」に抑えなければなりません。そのため、散布の間隔を通常の10日より4日ほど長くあけることになります。カビを含む病気と虫のリスクを取り除くために、日頃からりんご畑をよく見て、観察し、できるだけ早く病虫害を見つけて対応するようにしています。

取組効果と今後について

Q. 経営上の効果は?
安定した価格で販売できることで、会社経営の見通しが利くようになり、計画的に色々な事業を進められるようになりました。そして、常連さんと呼べる個人のお客様が、およそ3,700~3,800人いらっしゃいます。こうしたお客様からは毎年、感謝の手紙や電話をたくさん頂いており、私の励みになっています。大きな勇気ももらって、経営を続けられています。
Q. 他の農業者へのアドバイスは?
地球温暖化により栽培環境が悪化してきているので、農業者としては、環境にやさしい栽培体系に移行していった方がいいのではないかと思っています。それは、肥料であれ、農薬であれ、まず環境負荷低減の方法を早く確立することだと思います。化学肥料を使わず、有機質肥料を使い、消費者に豊かな食生活を送れるような食材を提供できるようにしていくべきです。そして、りんごは、今はほんの「嗜好品」かもしれませんが、今後は食べたら健康になれる「健康食品」として提供できるように成長してもらいたいと思っています。そのため、全国の農業者さんには環境にやさしい栽培技術でりんごを育てられるように、進化してもらいたいと思っています。

普及指導員からの視点

現在、若手の就農希望者が増えており、とてもうれしいことです。中には、「有機農業をしたい」とか、「農薬を使いたくない」などの希望をお持ちの方もおります。しかし、「有機農業」は、非常に難しく、基礎を身に付けた上での応用編の農業です。まずは、基本的な普通の農業を覚えることが必要なため、県民局では「ニューファーマーズカレッジ」という、農業の基礎を学ぶ勉強会を定期的に開催していますので、遠慮せずに参加してください。また、有機農業や特別栽培を目指す農業者の方々へは、必要な情報を提供いたしますので、いつでもお問い合わせください。

お問合せ先

農産局技術普及課

担当者:新技術班
代表:03-3502-8111(内線4799)
ダイヤルイン:03-6744-2218