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農林水産省

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奥能登里山里海グリーン農業協議会

主体概要・取組概要

プラスチック被覆肥料の使用低減を通して、環境汚染の問題に取り組み、世界農業遺産認定の地である「能登の里山里海」の環境を守りつつ、高齢化・人口減少が進む地域で農業活動を継続していくことを目的としています。​グリーンな農業・スマートな農業を推進していくことを目指して、地域の4法人で協議会を設立し、奥能登地域における持続可能な農業を実現することを目的としています。

取組内容

検証事例

農業者紹介

事業概要

平成13年に地域の農業発展と社会貢献を目的として法人設立。年々農地面積が拡大し、現在は約100haを管理。水稲を中心に畑作、菌床椎茸などの複合経営を行っている。

今後の展望

地域農業の担い手不足から将来的に200ha以上の農地を管理していくことが予想される。環境に配慮しつつ地域農業を守っていく為、現状に満足せず改善を続けていきたい。

プラスチック被覆肥料の代替技術としてペースト2段施肥技術の検証

ペースト2段施肥とは、一定の粘性を持たせた液状肥料であるペースト肥料を、側条施肥位置(上段)と下段施肥位置(下段)の上下層の2段に分けて、施肥することで、肥料成分の発現を調整し、追肥を省略する技術です。

上段は初期生育の肥効を、下段は生育後半の肥効を期待しています。​

プラスチック被覆肥料を使用しない、環境にやさしい技術です。​
各地区の土壌条件や異なる水稲品種で実証を行い、当地域に適したペースト肥料の施肥方法を検証します。

農業者の意見

Q. 検証を行った背景は?
気候変動や担い手不足などの課題を解決できないか、新たな取り組みを試行錯誤している中で、ペースト肥料を販売しているメーカーの方と知り合い、導入に向けて検討することになりました。​
Q. 利点、特徴は?
■田植作業について​
一般的には、雨の日は田植作業ができないのに対し、ペースト肥料の場合は雨が続いても天気の影響を受けずに計画通りの日程で田植えを行えるのがメリットです。​
■ペーストであることによる利点​
田植機に肥料を入れる際、通常の肥料は15kgや20kgの袋を持ってタンクに手で入れる作業を何度も繰り返す必要がありますが、​ペースト肥料はタンクからポンプで入れることができるため、省力化という点でも使いやすい技術だと言えます。
Q. 改善点・苦労している点は?
■使用量の把握について
通常の肥料の場合、使用量のチェックを行いやすいのですが、​ペースト肥料はタンクから使うため、どれくらい使用したか計算が難しいと感じています。​
■田植機の調整・マニュアルについて​
ペースト施肥専用の田植機を使う必要があるので、新規導入が必要です。​品種によって窒素量の調整を行い、肥料が効く深さをマニュアルで調整しなければなりません。​この部分が、まだ手探りになっています。​加えて、毎回田植機の掃除・メンテナンスが必要になります。​
Q. 経済的メリットは?
価格面だけで見れば、通常の肥料より窒素量で、3割程度高いのが実態です。​ただ、使用量の観点で見れば2-3割は削減できているので、生産が安定し従来よりも5%ほど収穫量が増えれば、結果に見合う投資になる予定です。​まだ実証段階ではありますが、期待しています。​
Q. 導入に向いているのは?
専用の田植機が必要という点から、適期に田植えをするため計画的に作業する必要のある規模の大きい農家の方が向いている技術だと感じています。
Q. 今後の展望は?
国としても、グリーンな栽培体系を普及していこうという考えなので、我々も一緒になって進めていきたいと考えています。​徐々に対応面積を増やし、環境に配慮した取り組みを推進していきたいです。​今回のペースト2段施肥についても我々の実証結果を各地に活用してもらって、全国に普及していくことに貢献したいと考えています。​

お問合せ先

農産局技術普及課

担当者:みどりユニット
ダイヤルイン:03-6744-2107